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 新宿西口仲間の斎藤明さんからお借りした本を読んでみました。創元社の「戦後再発見」双書イ如著者・吉田敏浩・1500円・2016年12月の新刊です。戦後日本の独立が、アメリカ軍による占領の影響から脱しきれない不完全なもので、それが今も続いている実態が、よくわかりました。それを象徴する風景が都心の港区にあります。「ニュー山王ホテル」の通称で呼ばれる「ニューサンノー米軍センター」と、それに直結する米軍の「六本木ヘリポート基地」です。「ニュー山王ホテル」の入り口には、武装した日本人の警備員が立っています。警察官でもないのに銃を持っているのは、ここが治外法権を認められた米軍の管理下にあるからです。
 この現象の根拠になっているのが、安保条約に基づく「日米地位協定」です。この協定により具体的な協議をする「日米合同委員会」が、この「ニュー山王ホテル」の中で定期的に開かれているのです。合同委員会は13名で構成されますが、日本側が6名、アメリカ側が7名です。日本側は外務省北米局長が代表となり、関係する省の高級官僚が加わります。アメリカ側は在日米軍副司令官が代表で、あとは大使館公使以外は、司令部と陸海空、海兵隊を代表する軍人です。この構成からもわかるように、これは対等な協議というよりも、アメリカ軍から出される要望を、日本側の行政としてどう受け入れるかを相談する場になっているのです。
 この「日米合同委員会」での協議の内容は、アメリカ軍の軍事機密に触れるので公開されません。そして協議の結果だけが、超法規的に日本の行政に反映されて行くのです。強いて根拠を探すとすれば、憲法98条の第2項、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」を適用するしかないでしょう。憲法といえども、憲法違反の条約は無効とはしていないのです。基地の騒音対策などで、最高裁まで行っても規制が米軍機には適用されないのは、そのためです。
 しかし戦後72年も過ぎたのに、日米関係が「占領」の影を引きずっているのは異様なことです。この本の帯文にも「日本政府の上に君臨し、軍事も外交も司法までも日本の主権を侵害する取り決めを交わす『影の政府』の実像とは?」と書いてありますが、著者は結論として、せめて日米合同委員会の密約の場を、国会に移して公開の討論にすべきことを説いています。独立直後の1952年から設置されて65年も同じ形で続いているとは、驚くべき政治の怠慢と言うほかはありません。
 安倍政権は「日米同盟の強化」ばかりを言っていますが、現状が対等な同盟ではない「事実上の占領の継続」であることを、どの程度まで認識しているのでしょうか。日米関係が現状のままであるかぎりは、軍事行動でも日米の対等はありえません。自衛隊の海外派遣を進めるにしても、アメリカ軍の補助として使われるのでは、国民の期待を裏切ることになるでしょう。その前に日米合同委員会にメスを入れて、何をしたいかを国民の前で議論すべきです。

お知らせ・明日は9日ですので、今年から発案した「毎月9日に国会一周散歩」に行きます。具体的には、正午に地下鉄丸ノ内線「国会議事堂前」駅改札出口(1カ所だけです)の前からスタートして、議事堂周回歩道を左回りに一周します。その後、適宜に昼食して帰る予定です。なお、これは集会・イベントの告知ではありませんが、どなたでもおいで下さい。また、この歩道では「デモ行為」が規制されますので、プラカードを掲げるなどは出来ませんが、身に着けるもの、持ち物などは常識の範囲で自由です。ただ歩くだけでも、もちろん構いません。