国連で始まる核兵器禁止条約に向けた交渉に、日本は参加しない方針を決めたということだ。昨年の秋までは「積極的に参加して主張する」としていた方針から豹変したわけだ。その理由を岸田外相は「核保有国と非保有国との対立を深めるおそれがある」と説明したというのだが、説得力はない。保有国と非保有国との利害が一致しないのは当り前で、非保有国の圧倒的多数の圧力で保有国に圧力をかけ、核兵器の非合法化を進めて行く以外の方法は、おそらくないだろう。
 日本が不参加に転じた理由は、アメリカのトランプ大統領が核兵器の拡充を公言しており、日本は日米安保でアメリカの「核の傘」の恩恵を受けている立場だから、アメリカの方針に逆らうのはまずいと判断したというのだから情けない。「唯一の原爆被爆国」だったが、今は原爆で守られているので、どこかよその国で原爆が使われるのは構わないと言っていることになる。
 第一次世界大戦で使われた毒ガスは、その非人道性が各国に衝撃を与えて、国際的に禁止する条約が作られた。この合意は曲りなりにも守られて、第二次世界大戦では毒ガスが公然と大規模に使われることはなかった。太平洋戦争のアメリカ軍も、洞窟に籠った日本軍の抵抗に手を焼きながらも、毒ガスの本格的な使用は寸前で思い止まっている。国際的に非合法化するというのは、やはり大切なことなのだ。
 本格的な核戦争をやったら、今度こそ世界は破滅すると誰でも思っている。その根本原因にメスを入れるには、なるべく早く核兵器禁止の国際合意を成り立たせるしかない。二度も原爆を経験した日本が、ここで後ろを向いてどうするのだ。トランプの一時的な政策に振り回されるのでは、あまりに情けないではないか。この一点だけでも、安倍政権は不信任に値いする。