(熊さん)勝手なことばかりしてる北朝鮮だけど、国連の加盟国だって、本当ですか。
(ご隠居)ああそうだよ。東西冷戦が終わった1991年に、韓国といっしょに国連加盟を認められたんだ。
(熊)それにしちゃ、えらく好戦的じゃないですか。
(隠)うん、国連は加盟を認める国の条件として、「平和を愛好する国」と言っているし、総会で加盟国を除名することもできるんだよ。だけど創立以来、加盟国を除名したことは一度もない。除名されるような国は、もともと国連とは縁が薄くなっているし、除名したところで、何の打撃にもならないからだよ。
(熊)でもさ、核実験やミサイルの発射をすると、国連安保理の決議違反だって非難されるじゃないですか。国連から除名ってのは、形だけにしても圧力になりませんかね。
(隠)じつは、そういう発想をした国はあるんだ。ほかならぬ韓国だよ。だけど北朝鮮を除名したら、ますます国際社会から孤立させるだけで、働きかけるパイプをなくしてしまうだけだ。逆効果だという意見が多くて、韓国も提案を取り下げたことがある。今だって、北朝鮮が国連除名を怖がっておとなしくなる、なんてことにはならないと思うよ。韓国とアメリカの画策だと言って、徹底的な反撃を言い立てるに違いないさ。
(熊)だから効果がなくても、根気よく非難決議を出してるってわけですか。
(隠)安保理事会での、北朝鮮に向けた決議というのを、ざっと見てみたんだが、安保理事会による非難決議は9回、それから「議長声明」というのが3回出ているようだ。いちばん新しい「決議第2321号」ってのが昨年の11月3日に全会一致で採択されているよ。初回の決議から説き起こして、延々と経過を述べているから、すごく長い文章になってる。外務省文書の「北朝鮮による核実験等に関する国連安保理決議の採択について(外務大臣談話)」の中の「決議第2321号(PDF)」という青文字をクリックすると読めるよ。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page4_002546.html
 この中には、2005年に採択された、北朝鮮、韓国、中国、アメリカ、ロシア、日本による「6者会合への支持を再確認する」という言葉も入っている。このときは北朝鮮が核兵器の放棄に同意して、その代わりにアメリカから平和利用のための軽水炉の提供を要求したんだ。
(熊)へーっ、いいとこまで行ってたじゃないですか。それなら平和共存できそうだ。
(隠)ところがだ、北朝鮮とアメリカとの間の信頼関係は育たなかったんだな。その翌年には、早くも北朝鮮は日本海へ向けて弾道ミサイルを7発も発射してしまった。そこでまた6者の話し合いになるんだが、日本には北朝鮮に対して、拉致問題が未解決という大きな不満もある。結局、安保理では非難決議と制裁の発動、北朝鮮は安保理決議無視の実験続行という、実りのない繰り返しになってしまったわけだ。
(熊)てぇと、北朝鮮がつぶれるまでは何も解決しませんかね。
(隠)だからって戦争しかないってのは賛成できないな。北朝鮮は戦前の日本に似ているところもあるが、侵略に出てきてるわけじゃない。警戒心で固まってるだけなんだ。時間をかけても溶かして行くのがいいと思うよ。