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 古賀茂明の新著「日本中枢の狂謀」(講談社・単行本1700円)を読んだ。400ページを超える重量感ある本で、著者も言うように、もっと軽装で早く出してほしかったと思う重大テーマを複数含んでいる。帯文には「総理官邸、記者クラブ、原発マフィア……悪魔の三重奏が作る地獄!」と書いてある。内容は
第1章 総理大臣の陰謀
第2章 「報道ステーション」の闇
第3章 新聞テレビから漂う腐臭
第4章 日本人だから殺される時代
第5章 日本沈没の戦犯たち
第6章 甦った原発マフィア
終章 東京都知事選挙と民進党の全内幕
 から成っている。一度通読しただけで紹介し切れる内容ではないが、いまの日本が安倍官邸の意図に沿って、引き返し不能な変容を遂げようとしている事実を、危機感をもって訴えている。ちなみに、「日本中枢の狂謀」という「狂謀」の語は、広辞苑の第4版には採録されていない。しかし言われてみれば「狂った謀りごと」だから意味はよくわかる。官邸から出てくる「狂った謀略」なのだ。
 その原点となるイスラム国(IS)による邦人人質事件は2015年に起きた。捕えられた後藤健二さんの映像が世界に流れる中で、中東歴訪中の安倍総理は「テロと戦う周辺国への援助」を公表したのだ。先進国の外交なら硬軟さまざまの手法を駆使して自国民の命を救おうとするだろうに、安倍官邸は敵対的と取られるであろう「毅然たる態度」を押し通すだけだった。
 このとき古賀茂明氏は出演していた「報道ステーション」で、日本が平和国家であってイスラムを敵視していないことを示すために、「I am not ABE」と書いたカードを掲げて見せた。これは官邸への真っ向からの批判だったから、古賀氏および報道ステーションには強い圧力がかかって、追放処分に近い処遇を受けることになった。一方、強硬な態度を押し通した安倍首相は、テロに屈しなかったとしてアメリカ以下の同盟国から評価されて満足していた。そのかげで、救えたかもしれない後藤健二氏の命は見捨てられたのだった。
 人質事件は、「日本人だから殺されない」平和ブランドが、「日本人だから殺される」日米同盟ブランドに変わってしまったことを意味している。平和憲法を持ち、戦争で一人も人を殺さずにきたことによって、日本人は世界のどこへ行っても信頼され、安心して働くことができた。その信頼が揺らぎ始めているのだ。この変化は自然に生じたのではない。官邸の明確な「狂謀」から生まれている。