(熊さん)北朝鮮が水爆の実験をしたらしいって、また大騒ぎですね。
(ご隠居)なんで今ごろ、あんな古いものを作るんだ。気が知れないよ。
(熊)えっ、核兵器の親玉みたいな、すごい兵器じゃないんですか。
(隠)バカでかくて使いようもなくて、アメリカでさえあきらめたんだよ。今は逆に核兵器の小型化がトレンドなんだ。なんとか実戦に使えるようにならないかと、アメリカを先頭に工夫してるところだよ。えらい労力と金をかけて開発しただろうに、北朝鮮は自殺用のピストルを手に入れたようなものだな。
(熊)自殺用ですか。アメリカへの脅しにはならないんですか。
(隠)ならないね。どう考えても使いようがないんだよ。実験だって水爆を大気圏で爆発させたら、それだけで国際世論は北朝鮮を武力で壊滅させることに同意するだろう。まして外国に対して使うなんぞは、それだけで即座に北朝鮮の消滅を意味するだろうさ。どっち道、水爆は自分が死ぬ気にならなけれゃ使えない兵器なんだよ。水爆を使える国があるとすれば、それは戦後の一時期、核兵器を独占していた時代のアメリカだけだったろうね。でもそれはもう過去の話になった。朝鮮戦争に中国軍が介入してきたとき、アメリカは一度だけ核兵器の使用を真剣に考えたんだよ。
(熊)ふーん、そんなことがあったんだ。
(隠)朝鮮戦争以降、世界は戦争を前提にしないで、それぞれの国づくりを進めるようになった。北朝鮮だって、その例外じゃないよ。世界の大国に負けないように、立派な宮殿の前で大規模な軍事パレードや、派手な民族舞踊なんかをやって見せてるじゃないか。もっともああいうパレードは、軍事的に劣位の国が、背伸びした姿を見せる場合が多いんだけどね。
(熊)それに、北のテレビなんか見ると、すごく自信満々じゃないですか。
(隠)あれも芝居がかっていて滑稽だね。そっくり返ってひっく返りそうだ。原爆や水爆をこしらえるよりも、金と労力を、もっと民生の向上に使ったらいいのにと思うよ。南との格差を縮めて、そして何よりも、南北の休戦を安定的な共存関係に変えて、民族の統一へ少しでも近づいてくれるといいと思うよ。日本としても、できるお手伝いはしたいものだね。