民進党は全党あげた選挙を経て、新代表として前原誠司氏を選出した。本来なら最大野党の党首は、政権を取れば首相になる「影の総理大臣」と呼ばれるべきだが、それほど大きな話題にはならなかった。北朝鮮をめぐる緊張など、ほかの大ニュースが続いたのも不運だったかもしれない。
 前原氏と言えば、民主党政権が出来てすぐの頃に、「八ッ場ダム」の予定地に立って、「コンクリートから人へ」の時代になると宣言し、ダム計画の見直しを言明したことを思い出す。本当にそうなるのかと期待したものだ。私は、わざわざ現地まで行って、工事中の高い橋脚を見上げ、その巨大さを実感した。しかし政権が崩壊する以前から、ダム中止の話は怪しくなり始めていた。それ以来、鋭いかもしれないが軽い人だなという印象がある。
 今回も、党内人事を固める段階で、最初から山尾志桜里の名を出していたのに、党内から批判があるとかの理由で引っ込めることにしたという。山尾志桜里は、最近の民進党では、数少ないスターと言える存在だった。週刊誌ダネが出そうだという話もあったらしいが、要するに他人の評判を気にして人選に反映させるところに、やはり軽さがある。自分が見込んだ人間なら、火中の栗を拾っても悔いないというほどの信念がない。
 政治家としては、目先の利く変わり身の早い人よりも、重量感があって方向性がぶれない人の方が好ましいと私は思っている。小さな得点を拾うよりも、国の進路を見定めている、信念の固い人が政治には必要なのだ。そういう不器用な頑固者の政治家が民進党にもいて、その名を長妻昭という。子分を作らず、派閥を持っている様子もないが、党内での信用度は高いようだ。党の中枢にいる人たちは、どういう人間を外へ出したら信用されるかを、よく考えてほしい。
 党内で党首に担がれやすい人と、総理大臣にしても通用する人物とは、微妙に食い違っているような気がするのだ。何にしても今の民進党は、国民から期待されなければ政権党に復活することはできない。その近道は、「総理にしても通用する人物」を押し出すことだと私は思っている。