ミサイル発射から核爆発実験へと、このところ北朝鮮の挑発行動が目立っている。北の国営新聞までが「アメリカを消滅させる」などと勇ましいことを言っているので始末が悪い。これを受けてアメリカの一部でも、「北朝鮮は戦争をしたくて仕方がないらしい。どうせアメリカ本土には影響ないんだから、やってやれ」といった論調が出ているようだ。適度な戦争なら、関連企業は儲けになるので好ましいという見方があるらしい。ただし紛争の現場になる韓国や、アメリカ軍基地を抱える日本としたら迷惑この上ない話で、まっぴら御免こうむりたいところである。
 日本の安倍首相はどうかというと、許せない暴挙だから厳しい制裁を加えるべきだと言って、各国首脳の間を説いて回っている。これも毎度のことで、中国とロシアは同調せず、制裁よりも話し合いが必要という立場を変えていない。そして形ばかりの制裁に効果がないことは、これまでの実績で証明されている。安倍首相が熱心になればなるほど、日本は北朝鮮の敵意の正面に立ちはだかる構図になっている。
 中国は公式の新聞などを通して、北朝鮮が勝手にアメリカに先制攻撃をかけても、これに同調せず傍観する、ただし、アメリカが北朝鮮に先制攻撃をかけてきた場合は傍観しないと言っているとのことだ。しかし戦況が進んで北朝鮮が完敗した場合でも、以前のようにアメリカの地上軍が北朝鮮の全土を占領するといったことは、なさそうに思われる。大兵力を極東に派遣するなどは、頼まれてもやりたくないに違いない。したがって中国も、自国の軍隊を朝鮮のために動かすことはなさそうだ。
 とは言うものの、朝鮮半島は戦争を「停止」しただけの不安定な状態にある。それだけに、戦争をやってみたい人たちにとっては、必要なときには使える便利な実験場にもなるわけだ。そして北朝鮮という「問題国家」を残してしまった。しかし北の将軍が求めているものは、本音ではアメリカとの直接の対話であり、それを通しての体制の安全保障であることがわかっている。不愉快な相手ではあっても、「大人のつきあい方」を学んでくれるように説得するしかない。挑発に乗ってまともに喧嘩の相手になってしまっては、大損をするだけである。