政治の世界では、ときに思いもかけないような劇的な変動が起きることがある。それは「天の声」と呼ばれたり、単に「風が吹いた」と言われることもあるが、今回の選挙でも、その可能性が出てきた。その中心には、今は小池百合子というキャラクターがいて、「希望の党」という旗を上げている。おかげで、かつては政権を担った経験もあり、理念も歴史もあった民進党は、あっさりと事実上の解党をしたと報じられるまでになった。
 小池新党の最大の役割は、これまで盤石の「一強」と思われていた安倍自民党を、根底から揺さぶる可能性を見せたことだろう。気がついてみれば、いつの間にか「2大政党による政権交代選挙」の様相が出来上がっている。これまで苦労を重ねた「野党連合」が、志しては挫折を繰り返してきた「対決型の総選挙」が、現実のものになったではないか。
 ただし、この対決は、従来想定されていた「保守」対「革新」ではなく、本質的に「保守2大政党間の政権争奪戦」として戦われる。言ってみれば、アメリカの「民主党」と「共和党」ように、日本にも「保守2大政党」の時代が近づいていると見ることができるのだ。日本も「根っからの真正保守」と、「革新の要素も取り入れた進歩的な保守」の2大政党になって行くのだろうか。その場合は、共産党の行き場がなくなる。2大政党は、アメリカに習って第3党の登場を許さない選挙制度を作ったりするだろうか。しかし今はそんな空想をしていても始まらない。
 小池新党は、安倍内閣にとっては民進党よりもはるかに大きい脅威だろう。小池ブームは安倍政権を倒す可能性を秘めている。誰にも止められなかった安倍政治を立ち止まらせ、日本の進路を改めて問う機会ができるのは、良いことに違いない。その機会がきたら何を訴えたいか、私たちは今から用意しておく必要がある。