昨夜は、従前から予定されていた「ながつま昭と語る会」の当日だった。会場は、補助椅子を追加しても立ち見の出る盛況だった。話は経過報告から始まったが、内容は淡々とした公式説明に近かった。でもこれは、彼の持ち味なのだ。
 長妻昭といえば、舌鋒鋭く不正を追及する闘士のイメージがあるかもしれないが、根は慎重な人だ。ミスター年金と呼ばれ、鳩山内閣の厚生労働大臣に就任したとたんに、「検討中」を連発して「ミスター検討中」と言われたことがあるが、まじめな人だから根拠のない風呂敷を広げたりはしないのだ。それに今は民進党の幹部役員だから、前原代表が決めた方針に従うのが役目という立場にいる。つまり政権交代を最優先して、小池新党に合流するという話になる。
 しかしここには、選挙では「希望の党」に公認の申請を出し、小池百合子の審査と選別を受けなければならないという関門がある。長妻支持者としたら、もちろん、そんな屈辱的な審査は拒否して、民進党が公認を出さないというのなら、無所属で出てほしい、必ず当選させるという感情と自負がある。それは長妻氏もよくわかっているに違いない。
 この日の長妻氏は、なめらかに所信を述べるというよりも、会場からの発言に耳を傾け、黙々とメモを取る時間が長いのが印象的だった。自分の進路についても「検討中」だったのだろうか。長妻氏の「語る会」では、従来は話の途中で「皆さんはどう思われますか」と声をかけ、当面の問題についての賛否を挙手で求めることが多く、これが名物でもあったのだが、なぜかこの日はそれも封印して、一度も使うことがなかった。おそらく支持者の意向は見えていただろう。
 この場で長妻氏が語ったことは、党として決めた当面の方針の説明と、支持者に対する変らぬ支援への感謝に尽きていた。予定の時間で「語る会」は終り、いつものように会場の出口で見送りに立つ長妻氏と立ち話でも出来るかと期待していたのだが、それは甘かった。取材陣が待ち構えていて、拉致されるように会場から去って行ったのだった。
 彼のことだから、まずは党の役員としての職責を果たそうとするだろう。だが、その党そのものが変貌してしまったらどうするのか。今の役職から解き放たれたときに、長妻昭の真価が発揮されるに違いないと思った。彼には「長妻ビジョン」と呼んで恥ずかしくない経国の理念がある。
http://www.huffingtonpost.jp/akira-nagatsuma/time-to-reconsider-society_b_13867982.html