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(ご隠居)きょうの朝日新聞に、国民投票の解説記事が出ていたよ。
(熊さん)日本でも、憲法を改定するには国民投票が必要なんですよね。
(隠)そうだよ。それで衆議院の憲法審査会の議員団が、国民投票でEU離脱を可決したイギリスと、憲法改定を否決したイタリアを訪問して、報告書をまとめたんだね。どちらも政権の思惑が外れて、難しい問題を残してしまったんだ。国民投票の結果は絶対だから、変えることができない。それが重荷になってしまうんだな。
(熊)結果がどうなろうと、国民が望んだことなら、いいんじゃないですか。
(隠)そうとも言えないんだ。理由は次の4項目にまとめている。
1 国民投票は時の政府への信任投票になりがち
2 改憲に向けて政党間の合意を形成し、維持していくことは難しい
3 国民投票の内容を国民に正確に理解してもらうことは簡単ではない
4 国民投票で(政権の意図が)否決された場合の弊害は大きい
 つまり結果が絶対だから、政治が硬直しちゃうんだね。私はすぐに、あの戦時中に国民投票で戦争を続けるかどうかを聞いたらどうなったかを考えたよ。間違いなく圧倒的に「徹底抗戦」という結果が出ただろうね。国民の意見というものは、その時の政治によって左右されるものだよ。多数決つまり民主主義が機能するためには、情報の完全な公開とか、言論の自由の保障とか、いろんな条件が整っていなくちゃならないんだ。そんな理想的な政治状況ってのは、実際には珍しいんじゃないのかな。
(熊)うーん、そんなものですかね。じゃ、どうしたらいいんです?
(隠)憲法を変えるなんていう大事な問題は、特定の政権の特定の利害のために持ち出すべきじゃないということだよ。よく改憲論者から出る護憲派への批判は、「改憲案への批判ばかりしてないで、今の憲法に足りない部分を考えて対案を出せ」というんだが、保守政権はずーっと「解釈改憲」を積み上げて今の状況を作り出したんだ。その後始末のために憲法を変えろというのは、話があべこべなんだよ。憲法との矛盾が隠し切れないほど大きくなった今こそ、国の防衛と世界の平和の問題をどう考えるか、根本から議論する必要があるんじゃないのかな。