(熊さん)きょうの新聞を見ましたか。平成が、あと1年で終るそうですよ。
(ご隠居)はぁ?けっこうでかい見出しだな。私は年号を使うのが嫌いで、平成何年なんていうのは、役所の文書で強制されないかぎり使ったことがないので関心もなかったんだが、今回は生前に退位が決まるという異例の成り行きだからこうなるんだな。今までは、昭和の終りだって、その日になるまでわからなかったから、ある意味で単純だった。暦を直すのも何も、その日から始めればよかったわけだからね。なまじ予告されているんで悩ましいとは皮肉だな。
(熊)今まではずっと生前退位なんてなかったのに、どうしてこんなことになったんですかね。
(隠)それは今の天皇さんが、天皇らしい公務を勤めるのが難しくなるのを予感して、生前退位の制度化を希望されたからだよ。公務は皇太子などが代行する「摂政」なんていう制度があるから、それも使えたんだが、今の医療環境では、長寿化の傾向はますます強くなるだろうから、そういう時代になったということだな。ちなみに、明治天皇の没年は59歳、大正天皇は47歳、昭和天皇は87歳だったんだ。今後は80歳超は当り前になって行くだろうね。
(熊)そうかぁ、定年制も必要になってくるってわけですね。その定年の最初だから難しいんだ。
(隠)でもね、天皇の生前退位自体は、日本の歴史で決して珍しいことではないんだよ。いろんな事情で、兄弟に譲ったりしている。中には重祖といって、一度退任した天皇が、あとでまた復活即位した例も二つあるんだ。だから現代に合うような、合理性のある生前退任の制度を作っておくことは、むしろ将来のために必要なことだと思うよ。
(熊)そうだろうねぇ。死ぬまで現役じゃ、酷ですよ。
(隠)だけどこれはね、元号とはまた全然別な話なんだ。天皇の代替わりごとに国の公式の暦の年号が変わるというのは、世界でも日本だけなんだよ。世界共通の年号を公式にして、日本年号を使うのは、宮中行事に限定したらいいんじゃないのかな。