(熊さん)カジノ法案を強行採決で通したって、どういうことですか。
(ご隠居)ああ、きのうの衆議院の内閣委員会のことだな。法律が出来たわけじゃないが、その前提になる委員会での採決を、自民、公明、それに維新の賛成で押し通したってことだよ。日本では原則禁止だったカジノ賭博を、一定の制限をつけて公認しようってわけだ。それが国際化に役立つなんて理屈をつけてるが、今でさえギヤンブル依存症の人は少ないわけじゃない。パチンコでも競輪、競馬でも、日本人は相当なギヤンブル好きだよ。ギヤンブルでいちばん問題なのは、それが本質的に人を豊かにはしないということだ。大勢の人に少しずつ損をさせて、一部の運のいい人を作り出すのが根本の構造なのさ。宝くじを全部買い占めたらどうなるかわかるだろう。配当率は半分以下、つまり財産は半分になるに決まってるんだよ。
(熊)それでも運が良けりゃ大当たりでしょ。ふつうでは手に入らない大金に手が届く。
(隠)でもな、高額当選者が、おかげで幸福な人生を築いたという例は、意外なほど少ないそうだよ。あぶく銭は身につかないんだね。ま、それは今は問題にしないけど、とにかくギャンブルによる経済効果というのは、生産性とは無関係だということを押さえておく必要があるんだ。世界中の人が、労働せずにギャンブルで生計を立てるなんて世の中が成り立たないことは、誰が考えたってわかるだろう。ギヤンブルにどれほど人気が集まっても、そこからは米一粒だって生まれてはこないんだよ。ギヤンブルで立国なんて、政治の外道、下司の思想だね。
(熊)それでも熱心に応援する政治家がいるのは、なぜなんだろう。よほどたっぷり献金でも入るのかな。
(隠)それもあるかもしれないが、国の財政としても儲けにはなるそうだよ。なんでも30%が国に入るという説明をネットで見たような気がする。それでも国が旗ふって推進するってのも変なものだと思うよ。儲ける人の裏側で、損をする大勢の人たちが出るのは目に見えているんだからね。国民を豊かにする政策とは、とても言えないな。結果的に、貧富の差の拡大につながるんじゃないだろうか。
(熊)このカジノ法案は、日の目を見るかどうか、それも賭けの対象になりませんかね。
(隠)ああ、そうだね。それも面白いかもしれない。なにしろ国が先頭になって強行採決までやってのけるほど熱心なんだ。安倍自民党も、いよいよ国民受けする政策が出せなくなって、あせっているんだろう。これが本当に通せるかどうか、いい勝負だな。熊公と私で、一丁勝負してみるか。