自民党の総裁選挙で安倍首相が三選され、日本の近代史上最長の政権になる可能性が出てきたということだ。類いまれな指導力で一つの時代を築いたというよりも、権力の空白に、ふんわりと乗っかって長期政権になったという印象がある。何よりも、政権交代が起こりそうもない、野党の弱さが作り出した状況と言うべきだろう。だから内閣支持率は、過半数には達しない40%あたりを上下している。
 日本の政治史の中では、安倍政権はどんな評価を受けるのだろうか。戦後最長だった佐藤栄作政権の場合は、日米安保の騒動の中で、良くも悪くもアメリカと一体化する道を選択して政策を推進した。その結果として現状があると言ってよい。しかし安倍政権の功績というものがあるとすれば、それはいったい何なのだろう。
 一言で言えば、それは「事なく過ごした」ということだと思う。もちろんそれは保守政治の枠内でのことだが、今回の三選では、ついに憲法の改定を口にするようになった。それは今のところ「自衛隊の存在を憲法に明記する」という段階になっている。これは本気と受け取っていいだろう。衆参の両院で3分の2の賛成を得られれば、国会として発議することができる。ただしその後に国民投票で過半数の賛成を得る必要がある。ここで不成立なら政権への打撃になるが、最後の勝負のつもりなら、一度は挑戦してみたいのではないか。
 するとこれは、日本の戦後政治史上初めての試みになる。国民投票の結果がどう出るかは未知数だが、どちらにしても、安倍晋三の名は、この件によって歴史に残るだろう。最長不倒と憲法改定の是非、このドラマが目の前に見られるとしたら、面白いのではないかと思えてきた。私としては、もちろん護憲の立場なのだが。