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 長女に誘われ孫の運転で、板橋区赤塚にある乗蓮寺の仏像を見てきました。13メートルの高さがあり、坐像の仏像としては、奈良、鎌倉に次ぐ第3位の大きさになるとのことです。前に合わせた手で、鎌倉の大仏と同じ形の印を結んでいます。この形は、私がかつてインドネシアのボルブドゥール仏教遺跡で読んだ英語の解説が正しければ、仏陀が、(匱蠅魏爾欧峠粟犬稜困澆魄き受ける 印を結び禅定して思索を固める 手を開き一方を上に向けて大衆の救済に乗り出す という、3段階の、△謀る仏陀の姿を表現していることになります。ただし日本では、仏像についての、こうした解説を読んだことがありません。
 それでもこの仏さまは、首尾ととのった美形に見えます。建立が昭和52年と、新しいからでしょう。そしてこの周辺は、緑が豊かな小高い丘になっていました。板橋区立公園としての解説の掲示も出ていましたが、かつてここには赤塚を名乗る豪族がいて、その居城の本丸があったらしいのです。小山の一帯は、うるさいほどのジイジイ蝉の合唱に包まれていました。そして周辺の樹木には、多数の蝉の抜け殻が、しっかりと爪を幹に食い込ませて残っているのでした。
 しばらくは別世界にいるような、心休まるひとときでした。インド哲学を専攻した兄は、こういう実利的な仏益を楽しんだことはなかったのでしょうか。私はブライス師のおかげで、イギリス人から英語で仏教を学ぶことができました。仏教哲学を専門とした兄は、その知識によって、自分の心をどこまで高めることが出来たのでしょうか。時が許せば、私は兄と仏教談義をしてみる機会も欲しかったと思います。
 学問としての仏教と、よく生きるための教養としての仏教と、同じ仏教という土俵で、とりとめもなく、時間も忘れて語り合うような兄弟の時間が、一度でもあったら良かったのにと、改めて思います。