(熊さん)ご隠居、お久しぶり。このところ、名物の「ご隠居、熊さん対談」がないねって、ファンの姉御たちが気にしてるみたいですよ。
(ご隠居)そう言われてみれば、そうかも知れんな。自分でもすっかり忘れとった。気持ちに余裕がなくなってたんだろう。それが、きょう見に行った「こんにゃく座」の公演が良かった。珍しく「ふしぎなたまご」と「おじいちゃんの口笛」の二本立てだったんだが、とくに「おじいちゃんの口笛」が良かったな。
(熊)そして、太田まりさんにも会って、赤ちゃんを抱かせてもらったんでしょ。
(隠)そうなんだよ、最初にまりさんに会ったのは、2007年春の大垣だから、もう12年以上も前になるんだね。最初から、女優さんにあこがれるって感じじゃなかった。自分の娘を見てるような気がしたんだよ。女優としての成長はもちろんだけど、何よりも彼女の「人としての幸せを願う」って気持ちが強かった。そんな不思議な「歌役者」さんだったんだよ。
(熊)わかりますよ、ストレートに出てくる、まじりっ気のない魅力でしょ。
(隠)そうだ、その通りだよ。それから私は許可も取らずに宿河原の稽古場に通ったりして、こんにゃく座のファンになって行ったんだ。いろんな舞台も見せて貰ったが、行くたんびに、来て良かったという収穫があったんだよ。それから「春のうた会」なんかも楽しかったな。
(熊)創立者の林光さんは、「日本人が聞いてわかる、日本語によるオペラ」を目指して旗上げしたんですよね。それがずっと続いている。
(隠)その通りだ。外国が「本場」で、上流階級が楽しむものだった「輸入オペラ」とは、そこが全然違うんだね。「日本人のためのオペラ」を開拓するというのは、決して易しい仕事ではないが、日本の文化のレベルアップのためにも、とても貴重な事業だと私は思っているんだよ。
(熊)ご隠居が元気になって、日本の文化も元気になるんなら、こりゃ八方よしだ。きょうは、いい日でしたね。良かったね、ご隠居。

(今回の公演は俳優座劇場にて、18日(水)14時からが最終回です。)