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 核兵器禁止条約は批准国が51ヵ国に達したので、昨日から発効したとのことだ。批准国の間では、これによって一切の核兵器の使用も、核兵器による威嚇も禁止されることになる。広島の原爆ドーム前では、それを記念してキャンドルによるメッセージが灯されたと新聞に出ていた。
 ところが日本政府はこの条約を批准していない。すべての核保有国も、それらの「核の傘」で守られている諸国も、同様だということだ。「世界で唯一の原爆被爆国」である日本の政府も、「アメリカの核の傘」で守られている恩義があるから、この条約は批准しないのだそうだ。
 でもそれは日本の国民感情とは一致しないのではないか。核兵器への忌避感は、広島の市民ばかりでなく、日本の全国民に浸透していると私は思う。日米安保条約の下でさえ、たてまえとしての日本は「核は作らず、持たず、持ち込ませず」の三原則を明言しているのだ。そしてアメリカの当局者も、核の有無は高度な国家戦略に属するから明言しないと言っている。
 それならば、日本の政府として核兵器禁止条約を批准することは、日米安保と絶対的に矛盾するとは言えなくなるのではないか。自民党政権の下では無理だろうが、今の野党が、核禁条約への加盟を公約に加えてくれるといいと思う。バイデン大統領なら、それで日米関係がゆらぐことはないだろう。