夏本番の季節になった。本来、私は夏が嫌いではない。とは言っても、汗をダラダラ流すような暑さは苦手で、肌がしっとりと潤うような程度の暑さが気に入っている。何かの解説で、ダラダラ流れるような汗を布で拭き取ってしまうと、1cc当たり何カロリーだかの冷房効果を、自分で捨ててしまうことになるという説を読んだことがある。その時に思い出したのは、熱帯に旅した時に接した現地の人たちが、かなりの暑さの中でも流れる汗を拭くことはなく、その肌が常にしっとりと潤っているように見えたことだった。たぶん最も効果的に水分の気化熱効果を使っていたのだろう。
 とは言うものの夏に有難いのは、やはりエアコンから降りてくる涼しい風である。この年になって、外を出歩くような用事は、めっきり少なくなった。近頃は、一日中家の外へ出ないまま終わってしまう日が、かなり多くなっているかも知れない。週に一度は行くことにしていたボウリングも、電車に乗らないと行けなくなってから、ついに間遠になって「水曜日」になっても思い出さないようになってきている。
地下にボウリング場のあった中野サンブラザも、閉館したまま、かなり長いことそのままになっている。区役所の移転など、かなり大規模な再開発の計画が進んでいる様子はわかる。
 妻が居なくなってからでも、もう、かなりの時間が過ぎた。その代わりに、孫が曾孫を連れて遊びに来たりもするようになった。自分はたぶん、その流れの中で生きて行けばいいのだろう。