ニヤッとする話

ニヤッ、とする程度の笑いネタを思い出しながら書きます。

カメラ河童のシネレンズ図鑑50-鏡胴分離型レンズまとめ(注意喚起)3訂- (愛すべき機械たち)

入札者は俺だけ

[確認済みのカメラとレンズ]
 〈カメラ〉
CINEMAX-8 TRIAUTO
〈レンズ〉
IMGP5983

CINEMAX 6.5mm F1.9(前玉のみ)
CINEMAX 13mm F1.9(鏡胴のみ)
CINEMAX 25mm F1.9(前玉のみ)

〈カメラ〉
ELMO 8-V
〈レンズ〉
CINE-ELMO 10mm F1.8(鏡胴のみ)
CINE-ELMO 25mm F1.8(前玉のみ)

〈カメラ〉
FUJICA8 T3
〈レンズ〉
IMGP1460

FUJINON 6.5mm F1.9(前玉のみ)

FUJINON 13mm F1.9(鏡胴のみ)
FUJINON 26mm F1.9(前玉のみ)


〈カメラ〉SECONIC ELMZTIC8
〈レンズ〉
IMGP6660

RESONAR-W 9mm F1.9(前玉のみ)
RESONAR-S 13mm F1.9(鏡胴のみ)
RESONAR-T 32mm F1.9(前玉のみ)

〈カメラ〉
SANKYO MOVIMAT8
〈レンズ〉
IMGP6657

PRONON 6.5mm F1.8(前玉のみ)
PRONON 13mm F1.8(鏡胴のみ)
PRONON 25mm F1.8(前玉のみ)

〈カメラ〉
YASHICA8-EⅢ
〈レンズ〉
未確認(YASHINONと推定)

〈カメラ〉
ELMO 8-V
〈レンズ〉
CINE-ELMO 10mm F1.8(鏡胴のみ)
CINE-ELMO 25mm F1.8(前玉のみ)

[まとめ]
 現在オークションやフリマでシネカメラを買う人には2つの動機があると思う。
 1つはシネカメラそのものが好きで、昔のフィルムで撮影するのが趣味の人。しかし、これは少ないと思う。
 もう1つは8mmカメラに嵌っているレンズが欲しくて買う人。これもカメラ人口からすると極僅かだろうが、シネカメラ購入者の大部分はこちらだと思う。
 そして、前者の目的であれば少しも困らないが、後者の目的で購入すると困惑してしまうシネカメラとレンズがある。
 それはターレット付き8mmダブルエイトとズームレンズ8mmシングルエイトの過渡期に存在したカメラとレンズである。
 これらのカメラでは、固定式の標準レンズが本体内にあり、標準の鏡胴と広角・望遠レンズの前玉がターレットに嵌っている。
 一見完全体のレンズがターレットに嵌っているように見えるので、カメラ本体から外すと像を結ばないレンズの鏡胴を3個買ってしまうことになる。
 これはよく見極めると分るのだが、珍しいメーカーだったりするとつい目を眩まされてしまうので十分注意してほしい。
 このタイプのレンズを買ってPENTAXQシリーズやCHINON BELLAMIに装着しても、全く撮影不可能である。必ず改造が必要だが、この図鑑の作例をみてもお分かりのように写りはすこぶる悪い。
 また、せっかく今まで伝えられてきた文化遺産としてのオリジナルのレンズを壊すことにもなる。
 したがってオリジナルのカメラとレンズで撮影したいという人以外は手を出すべきではない。

カメラ河童のシネレンズ図鑑24-38mmDマウントシネレンズまとめ6訂-(愛すべき機械たち)

38mmレンズまとめ

【コレクション自慢】
レンズ名をクリックするとそれぞれのレンズの項に飛びます。

CINE-YASHINON 38mm F1.4 D
IMGP6599

ZUNOW-CINE 38mm F1.9 D
IMGP6562

Sun TELE-PHOTO 38mm F1.9 D
IMGP6847

 WALTZ TELE-PHOTO 38mm F1.9 D 後期型
IMGP6873

CINE-ARCO 38mm F1.9 初期型
IMGP6902

CINE-ARCO 38mm F1.8 後期型(ゼブラ)
IMGP6910

 CANON LENS C-8 38mm F1.8
IMGP6893

 SANKYO 38mm F1.4 D
IMGP6941

WALTZ TELEPHOTO 38mm F2.5 D 初期型
IMGP7497

CINEMAX TELE 38mm F1.9
IMGP7585

ZEIKA Cine-Tele 38mm F1.9
ZEIKA Cine-Tele 38mm F1.9改
IMGP0347

Tele Photo SUPER 38mm F1.9
IMGP8554

 以下は38mmレンズおよびそれに準ずるシネレンズに関して知り得ることである。推測も多いのでシネレンズファンの御意見を取り入れて改訂したいと思っている。

【レンズの意義】
8mmフィルムカメラの望遠レンズ。

【38mmレンズの製造会社】
〈国産〉[五十音順「株式会社」除く]
アルコ写真工業(ブランド:CINE-ARCO)
市塚光学(ブランド:KINOTAR, KINO-SANKYO)
瓜生精機(ブランド:CINEMAX)
オリンパス光学工業株式会社(ブランド:CINE-ZUIKO)
キヤノン株式会社(ブランド:CANON LENS C-8)
興和光学株式会社(ブランド:PROMINAR)
国際ホト(ユナイトレンズ社)(ブランド:MAIKAR)
株式会社ザイカ(ブランド:ZEIKA)
三協精機(ブランド:SANKYO)
ズノー光学工業株式会社(ブランド:ZUNOW-CINE,ZUNOW-ELMO)
日本光学(株式会社ニコン)(Cine-NIKKOR)
明治商会(ブランド:MEIKOR)
株式会社ヤシカ(ブランド:CINE-YASHINON)
レクサー光器(ブランド:REXER)
ワルツカメラ社(ブランド:WALTZ)
〈舶来〉[アルファベット順]
Kern&Co.AG [瑞西](ブランド:Kern-Paillard YVAR,Kern-Swittar)
Keystone International Co.LTD [米] (ブランド:Elgeet)
Schneider-Kreuznach [独] (ブランド:Xenoplan)
SOM Berthiot Pari [仏](ブランド:Cinor)
Wollensak Optical Co [米](ブランド:Cine Raptar)

【鏡胴デザインの変遷】
〈形態〉
フジツボ型orバベルの塔型(1950年代)→筒型orアサガオ型型(1960年代)
〈色彩〉
オールクローム(1950年代前半)→クローム黒ストライプ(1950年代後半)→クローム黒ゼブラ(1960年代前半)→ブラック(1960年代後半)

【マウント】
Dマウント:内径15.675mm (5/8inch)、ピッチ0.794mm(32山/1inch)、フランジバック12.29mmのねじ込み式マウント。
 またはカプラによりDマウント変換し得るマウント、たとえばバヨネットマウント(CANON)。

【ピントリング】
1feet~無限遠
1feet=0.3048m

【絞りリング】
F0.9~F28
F1.9~16のものが多い。
クリックするタイプと無段変換タイプがある。

【実用撮影可能なデジタル写真機】
PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。CANONのシネレンズにはDマウント変換するカプラが必要。

【判明している種類】
〈国産〉[アルファベット順'CINE'除く]
CINE-ARCO38mm  F1.8
CINEMAX 38mm F1.9
CANON C-8 38mm  F1.4
CANON C-8 38mm  F1.8
KINOTAR 38mm F1.4
KINO TELE 38mm  F1.5
KINO TELE 38mm  F3.2
KINO TELE 38mm  F3.5
KINO-SANKYO 38mm  F1.9
NIKKOR 38mm  F1.8
MAIKAR 38mm  F1.0
MAIKAR 38mm  F1.2
MAIKAR 38mm  F1.4
MAIKAR 38mm  F1.8
MEIKOR 38mm F1.4
REXER 38mm  F1.0
REXER 38mm  F1.4
REXER 38mm  F1.9
REXER 38mm  F2.5
CINE-PROMINAR 38mm  F1.9
CINE-PROMINAR 38mm  F2.5
CINE-PROMINAR 38mm  F3.5
SANKYO 38mm F1.4
Sun 38mm  F1.1
Sun 38mm  F1.4
Sun 38mm F1.9
Sun 38mm  F3.5
Sun DX 38mm F1.9
WALTZ 38mm  F1.4
WALTZ 38mm  F1.9
WALTZ 38mm  F2.5
CINE-YASHINON 38mm F1.4
ZEIKA 38mm  F1.4
ZEIKA 38mm  F1.8
ZEIKA 38mm F1.9
CINE-ZUIKO 38mm F1.4 
ZUNOW-ELMO 38mm  F1.1
ZUNOW-CINE 38mm  F1.9

【筆者が確認済みのバリエーション】
〈国産〉[アルファベット順'CINE'除く]
CINE-ARCO F1.9
:筒型ストライプ、筒型ゼブラ
CANON LENS C-8 F1.8
:筒型ストライプ
CINEMAX TELE F1.9
:ビアグラス型ストライプ
KINO-SANKYO F1.9
:筒型ストライプ
Cine-NIKKOR F1.8
:筒型ブラック
OLYMPAS CINE-ZUIKO F1.4
:筒型ゼブラ
REXER TELE F1.9
:筒型ゼブラ
SANKYO F1.4
:筒型ゼブラ、筒型ゼブラ距離計連動
Sun TELEPHOTO F1.9
:ビアグラス型オールクローム
Waltz TEREPHOTO F1.9
:ビアグラス型オールクローム、ビアグラス型ストライプ
CINE-YASHINON F1.4
:ビアグラス型ゼブラ
ZEIKA Cine-Tele F1.9
:ビアグラス型オールクローム
ZUNOW-CINE F1.9
:バベルの塔型ストライプ
ZUNOW-ELMO F1.1
:アサガオ型オールクローム、アサガオ型ストライプ
〈舶来〉[アルファベット順]
Kern-Paillard YVAR(36mm)
:ビアグラス型ストライプ
Keystone Elgeet
:バベルの塔型オールクローム(カプラと合体すると筒型)

[まとめ]
 38mmレンズは状態の良いものが多い。したがって現代のカメラである「オバQ」に装着して撮影してもはっきりくっきりした画像が得られることがほとんどだ。
 ただ、大口径レンズであるため、「オバQ」の小さなモニターにバーッと光が入ってくるので、真昼間の撮影などだとピントが合わせにくい。この場合はモニターにフードを付けたりして対応すると多少はマシになる。

 ところで、状態のいいレンズが多いというのは38mmレンズがあまり使われなかったことを象徴するともいえる。

 38mmレンズはDマウントが何故滅んでいったかを表しているレンズなのかもしれない。

 13mmレンズが8mmカメラの構造上の制約でその多くがペッツバールタイプ4枚のレンズ構成だったのに対し、38mmはスチールカメラの望遠レンズを縮小した形から次第に標準レンズそのままの形に変化していったように見える。それは鏡胴のスタイルの変遷から推測できる。
 おそらくレンズ構成も「ほのぼのライカ(仮名)」の「ぞなー、もしー(仮名)」や「鉄鎖ー(仮名)」を真似たものになっていったのではないだろうか。あるいはその外見の通り「頭脳(仮名)」の55mmや「トプカピ宮殿(仮名)」の50mmを模したものもあったかもしれない。
 絞り羽根もまた当初の6枚から最終的には12枚を備えたものもあるほどに複雑化していった。
 こうした変化は「大型化」「重量化」「高級化」である。レンズ交換式の一眼レフならばそれでもいいだろう。使わないレンズはバッグに納めればよい。
 ところが8mmカメラはその撮影の性質上リアルタイムに場面の変化を捉える必要があり、そのために素早くレンズ交換ができるように多いものではレンズを3本装着できるターレットを備えていたのだ。しかも一眼レフは両手で支えるが、8mmは片手で支えなければならない。そうした条件にカンブリア紀の怪物のような巨大な38mmはそぐわない。

 動画が珍しかった時代、多くのユーザーにとっては画面が動きさえすればよかったことは、その後固定式の小さなレンズを1個備えたシングル8がDマウントに取って代わったことが示唆している。もっともその後結局それも巨大化するのだが。

 結局商品と云うものは売れなくなればその寿命を終えるわけで、そういう意味でいえばカメラそのもの(スマホのカメラを除く)がDマウントと同じ運命を辿りつつあるのではないかと少々肌寒い思いがする。

カメラ河童のシネレンズ図鑑58- Tele Photo SUPER 38mm F1.9 D-(愛すべき機械たち)

TelePhotoSUPER

 Tele Photo  SUPER 38mm F1.9 D

IMGP8556


製造:(推定:ワルツカメラ社)
製造時期:1960年代(推定)
レンズ構成:不明
鏡胴デザイン:ビアグラス型・クローム黒ストライプ
焦点距離:38mm
開放値:1:1.9
絞りリング(前):反時計回り:F1.9,2.8,4,5.6,8,11,16の7段階
絞り羽根:12枚(推定)
ピントリング(後ろ):反時計回り:3feet~
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

IMGP8552

IMGP8554

IMGP8555

[レビュー]
 レンズ単体で普通の勤め人の昼食と急に残業になって夕食も外食になった飯代くらいの値段で売られていたレンズである。
 困ったのは、写真を見てもメーカーが分からなかったことだ。鏡胴には「Tele Photo SUPER」と刻まれているが、「Tele Photo」は「望遠レンズ」という意味であり、「SUPER」もブランド名とは思えない。
 ただ、私はこれにそっくりのレンズを既に手にしている。


IMGP6866

 それはこの「ヨハンシュトラウスⅡ世(仮名)」である。
 外観は瓜二つと言っていいし、前絞り後ろピントという一風変わった構造も同じである。

 おそらくこのレンズはOEM生産されてある会社の8mmビデオに嵌っていたのだが、何らかの事情で名を名乗ることができなかったのだろう。おそらく当時の欧米先進国への輸出用である。

 ただ、「シュトラウス」と刻んである個体との違いは絞りで、前者は8枚羽根なのに対してこちらは綺麗な遠景に絞られていくからおそらくは12枚羽根である。この部分が「SUPER」なのかもしれない。

IMGP8962s

 まずは遠景。
 曇天なのに隅々まで写ることに感動である。少なくとも50年は経っているレンズなのだ。同じタイプの「シュトラウス」銘の写りの悪さは個体の保存状態の故だと判明した。元々は素晴らしいレンズなのだ。ジャンクレンズの怖いところである。

IMGP8950s

 相当強い逆光でもフレアが現れない。光に強いレンズである。

IMGP8948s

 しかし、本領は中近距離撮影か。集団の被写体を背景に埋没させない解像度がある。

IMGP8954s
 私の好きな紫の発色もバッチリである。

IMGP8952s

IMGP8955s

 普通に絞ると白は全く滲まない、

 この時代のレンズにありがちな赤の不自然な浮き上がりもない。

IMGP8957s

  しつこいようだが解像度が良いために花の群生など集団の被写体を撮るのに本領が発揮されるようだ。

IMGP8993s

 細かいところまで写るが現代レンズのようなカリカリした感じはないから、ポートレートを撮るにも良いのではないか。

 まとめると、解像度よく、立体感があり、発色よく、バランスの取れた完成度の高いレンズである。そして同クラスのものより軽い。38mmのベストレンズかもしれない。
 残念なのはメーカーがはっきりしないことだ。おそらくは「シュトラウス」だと思うのだが。
[駄文]
 メーカー不明の無銘レンズが一番写りがいいとは皮肉である。
 製造されてから今まで派手なスポットライトを浴びたことがなく、おそらく今後も表舞台に躍り出ることもないDマウントレンズらしい話である。
 「オバQ」も最後のS1が製造されてからもう6年。彼らがだんだん壊れていくにつれてDマウントレンズも仕舞い込まれて長い眠りについていくのだろう。

カメラ河童のシネレンズ図鑑58-WALTZ WIDE ANGLE 6.5mm F1.9 D TypeⅡ- (愛すべき機械たち)

WALTZ6.5mmF1.9

 WALTZ WIDE ANGLE 6.5mm F1.9 D TypeⅡ
IMGP8724


製造:ワルツカメラ社
製造時期:1960年代(推定)
レンズ構成:レトロフォーカスタイプ(推定)
鏡胴デザイン:ビアグラス型・ストライプ
焦点距離:6.5mm
開放値:1:1.9
絞りリング(前):時計回り:F1.9,2.5,4,5.6,8,11,16の7段階
絞り羽根:6枚
ピントリング:なし
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

IMGP8733

IMGP8734

IMGP8735

[レビュー]
 「家畜人オークション(仮名)」で3個1組で普通の勤め人の昼食1回分くらいの値段の8mmカメラに嵌っていたレンズである。
 「ヨハンシュトラウス(仮名)」の6.5mmはオールクロームの初期型を既に所有しているが、これは愛機「ペンテコステオバQ」で撮影するとケラレが酷いので、ほぼ期待ゼロで試写に臨んだ。
 大いなる期待を以て臨んだ「紀伊國屋門左衛門13mmF1.4」と同日の試写なので、極端に画像が少ない。筆者の精神状態がよく現れている。

IMGP8607

 試写してみると、案の定F1.9全開放でもこのケラレ具合である。これだと近接撮影で四隅を対象で埋めてもケラレは隠せないだろう。

IMGP8607t

 全開放でピントが甘いため、トリミングするともう写真時代開始当初の湿盤写真のようである。

IMGP8615

 ところが、F5.8まで絞ると解像度が急に良くなることを発見。どうせケラれるのだから、この方がいい。

IMGP8615t

 トリミングすると何とか見られる写真になった。このレンズはこういう撮り方がいいか。幸いなのはゴミの写り込みがないことで、ジャンクレンズは絞ると大抵これが現れるのだ。この個体は鏡胴は相当古ぼけているが、レンズ本体の保存状態はかなり良好のようだ。

IMGP8625t

 接写と遠景を組み合わせた広角得意の構図も解像度の高さから比較的質が高い。

IMGP8736

 画面一杯に対象物を入れて全開放で撮るDマウント広角の得意技でどうにかケラレを目立たなくした構図である。全開放に近いほど白が滲みやすくなる。
 この構図については6.5mmレンズのまとめで既に書いたのでご参照ください。
 カメラ河童のシネレンズ図鑑31-6.5mmレンズまとめ4訂-
 
IMGP8737t

 これだけ解像度が高ければ絞って撮った後トリミングでケラレ部分を切り取った方がいいかもしれない。ただし本来の構図とは違ってしまう。

IMGP8738t

 一面の花、というような、あまり構図を考えなくていい写真では全開放で撮るよりも絞ってトリミングの方がよさそうだ。まあ対象物の色や性質によると思うが。

IMGP8744t

 絞るほどにこの時代のレンズの通弊である赤の浮き上がりは目立たなくなるようである。

 まとめると、「オバQ」ではケラレが避けられないが、解像度の高いレンズなので、F4か5.8くらいまで絞って撮って画像をトリミングした方がいいレンズのようである。発色は当時のレンズとしてはかなり良い。オールクロームの初期型より軽くて小さいので旅のお供にいいかもしれない。

[駄文]
 このレンズも「ヨハンシュトラウス」の例に漏れず外観の傷んだ個体だったが、幸い中身が無事だったので撮影してみると真価が伺われた。
「ヨハン」の個体がどれもこれだけ傷んでいるのはそれだけ愛され使われたからだと思うのだが、個体の保存状態の悪さから現代の評価が不当に低い気がする。
 このブランドの13mmはまだ見たことがないが、もし6.5mmや38mmと同じデザインならば「だんご三兄弟」である。
 是非一度見てみたいものだ。

カメラ河童のシネレンズ図鑑27-WALTZ WIDE ANGLE 6.5mm F1.9 D TypeⅠ3訂-(愛すべき機械たち)

WALTZ6.5mmF1.9

 WALTZ WIDE ANGLE 6.5mm F1.9 D

IMGP7056

製造:ワルツカメラ社
製造時期:1960年代(推定)
レンズ構成:レトロフォーカスタイプ(推定)
鏡胴デザイン:ビアグラス型(コカコーラボトル型)・オールクローム
焦点距離:6.5mm
開放値:1:1.9
絞りリング(前):時計回り:F1.9,2.5,4,5.6,8,11,16の7段階
絞り羽根:6枚
ピントリング:なし
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

IMGP7049


IMGP7051

IMGP7052

[レビュー]
 私のDマウント6.5mmレンズは基本的に8mmカメラのターレットに標準(13mm)望遠(38mm)広角(6.5もも)の3本一組で嵌っていたときにしか増えない。
 これもその1本で、詳しい経緯は覚えていないが、おそらく8mmカメラに嵌っていた標準だか望遠
だかが欲しくて一括して入札したのだろう。
 私が最初に入手したレンズは同じ「ヨハン・シュトラウス(仮名)」の38mmだったが、あまり状態が良くないのでいつしか使わなくなってしまった。このレンズはそれに比べると随分状態がいいようだったが、何せ6.5mmは我が愛機「オバQ」ではケラレの問題があるのであまり積極的に持ち出して写真を撮る気にならず、コレクションを入れる釣り道具箱(スペースがこの程度で済むところがDマウントの長所である)の中で熟成(放置ともいう)されていたのだ。
 この連載も既に13mmと38mmのコレクション自慢が終了したので、後は6.5mmと25mmしか残っていない。そこで重い腰を上げて6.5mmの試写をしてみた。

IMGP7118

 まずケラレが最も目立たない撮影法である。
 全開放にし、撮影対象を構図一杯に入れてしまう。そうすると四隅の黒いのが分かりにくくなる。

IMGP7119

 余白がちょっとでも構図の中にあるとその部分のケラレが目立つ。F4で早くも発明初期の写真のようである。
 ただ、赤と緑の発色はわざとらしくなくてなかなかいい。

IMGP7121

 空を撮るのは無理だ。
 全開放でもこの有様である。

IMGP7126

 わざと逆光にして見上げるようにシャッターを切り、フレアを出してみた。時刻次第では何とかなるのかもしれない。真昼間はやはり不自然さが目立つ。

IMGP7123

 風景写真も撮ってみたが全開放でもこの状態である。

IMGP7123t

 周辺減光がないくらいまでズームしてトリミングすると、もはや本来撮りたかった構図とは別物である。解像度の悪い望遠気味の標準で撮った写真のようだ。広角の意味がない。

IMGP7128

 唯一生きる道は接写か。昔のレンズとしてはぎりぎり近くまで寄れる。回転(ぐるぐるボケ)もない。

IMGP7124

 やはり画面一杯に対象群を入れる構図と全開放が一番いい撮影法のようだ。

IMGP7170

 白の滲みは全くない。
 発色は全般にいいレンズのようである。

 まとめると、「オバQ」との相性が悪く、ケラレが大きすぎるので広角レンズとしては使えない。私のはQ10だがセンサーの大きいQ7やQS-1だともっと酷いケラレになるだろう。発色が自然なので対象物を画面一杯に入れるような構図で、全開放で撮るといいだろう。

[駄文]
 「ヨハン・シュトラウス社」は元々カメラのアクセサリーメーカーだったのだが、カメラ本体の製造に乗り出したのが仇になって倒産してしまったらしい。
 ただ、この会社のカメラは写真で見る限りなかなかいいデザインで、レンズも独特の優美な形をしている。
 「シュトラウス」をはじめ、「頭脳(仮名)」「歩こう(仮名)」など、それまで連綿と続いてきた中小カメラメーカーの倒産が私の生まれた年前後に集中しているのは、高級品ばかり作っていた「加農(仮名)」が「加農ネット(仮名)」という高性能機を破格の安値で売り出したことが大いに関係しているらしい。
 私の眼には「加農ネット」は何だか武骨でちっとも格好良くないが、これが売れに売れたため、「シュトラウス」の優美なカメラたちは市場から追い出されてしまったのだ。
 優勝劣敗は資本主義の掟とはいえ、さまざまな個性的なレンズたちが一気に淘汰されて現在にその子孫を残していないのは寂しい限りである。

カメラ河童のシネレンズ図鑑31-6.5mmレンズまとめ4訂-(愛すべき機械たち)

6.5mmまとめ

 以下は6.5mmレンズおよびそれに準ずるシネレンズに関して知り得ることである。推測も多いのでシネレンズファンの御意見を取り入れて改定したいと思っている。

【コレクション自慢】 
レンズ名をクリックするとそれぞれのレンズの項に飛びます。


KINO-SANKYO 6.5mm F1.9
IMGP7032

Sun 6.5mm F1.9
IMGP7043

WALTZ 6.5mm F1.9
IMGP7051

WIDE ZUNOW-CINE 6.5mm F1.9
IMGP7097


CINE-W. ARCO 6.5mm F1.8 D前期型(ストライプ)

IMGP7175

CINE-ALCO 6.5mm F1.8 D 後期型(ゼブラ)
IMGP7182

MAIKAR 6.5mm F1.9 WIDE ANGLE
IMGP7444

WALTZ WIDE ANGLE 6.5mm F1.4
IMGP0322

WIDE ANGLE ZEIKA NOMIGAR 7.5mm F1.4

IMGP8529

【レンズの意義】
8mmフィルムカメラの広角レンズ。

【6.5mmレンズの製造会社】
〈国産〉[五十音順「株式会社」除く]
アルコ写真工業(ブランド:CINE-ARCO)
株式会社エルモ(ブランド:ELMO)
市塚光学(ブランド:KINOTAR, KINO-SANKYO)
瓜生精機(ブランド:CINEMAX)
オリンパス光学工業株式会社(ブランド:CINE-ZUIKO)
キヤノン株式会社(ブランド:CANON LENS C-8)
興和光学株式会社(ブランド:PROMINAR)
国際ホト(ユナイトレンズ社)(ブランド:MAIKAR)
株式会社ザイカ(ブランド:ZEIKA, NOMINAR)
三協精機(ブランド:SANKYO)
ズノー光学工業株式会社(ブランド:ZUNOW-CINE,ZUNOW-ELMO)
日本光学(株式会社ニコン)(Cine-NIKKOR)
明治商会(ブランド:MEIKOR)
株式会社ヤシカ(ブランド:CINE-YASHINON)
レクサー光器(ブランド:REXER)
ワルツカメラ社(ブランド:WALTZ)
〈舶来〉[アルファベット順]
Kern&Co.AG [瑞西](ブランド:Kern-Paillard YVAR,Kern-Swittar)
Keystone International Co.LTD [米] (ブランド:Elgeet)
Schneider-Kreuznach [独] (ブランド:Xenoplan)
SOM Berthiot Pari [仏](ブランド:Cinor)
Wollensak Optical Co [米](ブランド:Cine Raptar)

【鏡胴デザインの変遷】
〈形態〉
ビアグラス型orアサガオ型(1950年代)→ビアグラス型or筒型(1960年代)
〈色彩〉
オールクローム(1950年代前半)→クローム黒ストライプ(1950年代後半)→クローム黒ゼブラ(1960年代前半)→ブラック(1960年代後半)

【レンズ構成】
多くレトロフォーカスタイプ
【マウント】
Dマウント:内径15.675mm (5/8inch)、ピッチ0.794mm(32山/1inch)、フランジバック12.29mmのねじ込み式マウント。
 またはカプラによりDマウント変換し得るマウント、たとえばバヨネットマウント(CANON)。

【ピントリング】
ないものが多い
0.5feet~無限遠
1feet=0.3048m

【絞りリング】
F1.1~F28
F1.9~16のものが多い。
クリックするタイプと無段変換タイプがある。

【実用撮影可能なデジタル写真機】
PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。CANONのシネレンズにはDマウント変換するカプラが必要。

【判明している種類】(5.5mm, 6.0mm, 7.0mm, 7.5mm, 9.0mm,10.0mm含む)
〈国産〉[アルファベット順'CINE'除く]
CINE-ARCO6.5mm  F1.8
CINEMAX 6.5mm F1.9
CINEMAX 10mm F1.4
CANON C-8 6.5mm  F1.8
CINE-ELMO 6.5mm F1.1
CINE-ELMO 6.5mm F1.9
KINOTAR 6.0mm F1.9
KINOTAR 6.5mm  F1.8
KINOTAR 7.0mm F2.5
KINO-SANKYO 6.5mm  F1.9
CINE-NIKKOR 6.5mm  F1.9
NOMINAR 6.5mm F1.9
MAIKAR 6.5mm  F1.9
MAIKAR 6.5mm  F2.5
MAIKAR 7.5mm  F1.2
MAIKAR 10mm  F3.2
MEIKOR 6.5mm F1.9
REXER 5.5mm  F1.4
REXER 6.0mm  F1.9
REXER 6.5mm  F1.2
REXER 6.5mm  F1.4
REXER 6.5mm  F1.9
REXER 6.5mm  F2.5
REXER 7mm  F1.4
REXER 7.5mm  F2.2
CINE-PROMINAR 6.0mm  F1.9
CINE-PROMINAR 6.0mm  F2.5
SANKYO 6.5mm F1.4
Sun 6.5mm F1.4
Sun 6.5mm  F1.9
Sun 7.0mm  F1.4
Sun 7.5mm  F1.4
Sun 9.0mm F2.5
Sun DX 6.5mm F1.9
WALTZ 6.5mm  F1.4
WALTZ 6.5mm  F1.9

WALTZ 7.0mm  F2.5
CINE-YASHINON 6.5mm F1.4
ZEIKA 5.5mm  F1.4
ZEIKA 6.5mm  F1.9
ZEIKA 7.5mm  F1.4
CINE-ZUIKO 6.5mm F1.8

ZUNOW-ELMO 6.5mm  F1.1
ZUNOW-CINE 6.5mm  F1.9

【筆者が確認済みのバリエーション】
〈国産〉[アルファベット順'CINE'除く]
CINE-ARCO F1.9
:筒型ストライプ、筒型ゼブラ
KINO-SANKYO F1.9
:ビアグラス型オールクローム
Cine-NIKKOR F1.8
:ビアグラス型ブラック
OLYMPAS CINE-ZUIKO F1.4
:筒型ゼブラ
REXER TELE F1.9
:筒型ストライプ
SANKYO F1.4
:筒型ゼブラ、筒型ゼブラ距離計連動
Sun WIDE F1.9
:ビアグラス型オールクローム、ビアグラス型ストライプ
CINE-YASHINON F1.4
:筒型ストライプ、筒型ゼブラ
ZUNOW-CINE F1.9
:バベルの塔型ブラック
ZUNOW-ELMO F1.1
:バベルの塔型オールクローム、バベルの塔型ストライプ
〈舶来〉[アルファベット順]
確認なし

[まとめ]
 6.5mmレンズの場合最も問題になるのは殆ど全てのDマウントファンが撮影に使用している「ペンテコステオバQ」との相性だと思う。
 つまり、6.5mmレンズのイメージサークルが「オバQ」のセンサーより小さいという問題である。
 これは実際の撮影ではケラレという問題として生起する。

 ケラレはケラレとして、「昔のレンズだから仕方がない」と考えるのであれば、それは個人の嗜好であるから特に問題はない。

IMGP7123

 たとえば上のような写真が撮れたとしても、元々昔のレンズなのだし、解像度も今のレンズとは全然違うのだから、これはこれで良し、という考えである。

IMGP7123t

 だが、昔のレンズで撮った写真だと分かっていても、上の写真のように加工したくなるのが人情と云うものである。

 やはりいくら昔のレンズで撮ったものでも、現在の写真鑑賞の基準からあまりに外れたものに対しては違和感があるということだ。

 では、6.5mmレンズで撮った写真が出来るだけそれに近くなるためにはどんな心掛けが必要なのだろうか。

1.全開放で撮る。

IMGP7140

IMGP7146

 2枚の写真は「頭脳」の6.5mmで撮ったものだが、上は全開放のF1.9、下はF11で撮影した。
 F1.9では周辺減光がそれほど目立たないのに対して、F11ではこの写真が6.5mmとしては相当有利な条件で撮影されたにも関わらずケラレとしか言いようのない周辺減光が発生している。

 少なくとも私の所有している6.5mmレンズでいえば、「頭脳」のものと「讃」のもの、それと「紀伊國屋」のものは全開放の場合そこまで目立ったケラレは出ない。

2.フィルターやフードは付けない。

IMGP5736

 注意すべきはフィルターやフードであって、3mm程度鏡胴の長さが長くなっただけでもケラレの部分は大きくなったりする。
 上の写真は「紀伊國屋門左衛門」のフィルターなしで撮影した写真である。僅かにケラレが発生している。

IMGP5736t

 しかしこの程度だと殆ど構図を変えずにトリミングすることができる。

IMGP7158

 ところがフィルターをつけたこの撮影ではかなり大きなケラレが出現した。

IMGP7158t

 この画像を周辺減光がなくなるまでトリムすると、もはや元の構図とは全く違った写真になってしまう。何だかこちらに向かって走ってくる白いワゴン車のナンバーを割り出すために撮られたオービスからの写真みたいである。

3.隅から隅まで写った風景写真は諦める。
 なぜ風景写真に広角レンズを使うかといえば、一般的には、広い画角を利用し、ある程度絞って画面の隅から隅までくっきり写した写真が欲しいから、という動機だと思うのだが、広い画角はトリミングの必要によって台無しになるし、絞るほどケラレの範囲は大きくなってしまう。

IMGP1286

 私の持っている6.5mmの中で最もケラレが少ない「頭脳6.5mmF1.9」でピントと絞りと画角のバランスに精一杯気を遣って撮っても被写界深度はこれが限度である。


IMGP1286t

 トリミングすると鮮明さは更に低下する。

 隅から隅まで何もかも写ったような風景写真は諦めた方がよい。

4.空や海は撮らない。青天の真昼間は撮らない。
IMGP3660

IMGP3657

 青天の海や空のような「青一色」「〇一色」といった感じの色と構図は6.5mmと「オバQ」の組合せが最も苦手とするところではないかと思う。

IMGP3660t

IMGP3657t

 減光が目立たないところまでトリミングすると、もはや構図が全く変わってしまう。

5.トンネル効果を利用する。

IMGP5257

 ではどんな構図だと広角の良さが使えるかというと、道や廊下など、前方に収斂されて行くような構図だと四隅の減光がむしろ奥行きを強調する小道具となって邪魔に感じない。この写真は特に曇天で撮影しているからより欠点が目立たない。

 コンテストにでも出すのであればピントも減光も完全にアウトだろうが、個人的な記録に使用するのであればノープロブレムである。

6.近づいて撮る。

IMGP7147

 焦点距離が近いほどヘリコイドによって前玉がセンサーから遠ざかるので、ケラレなくなる。
 虫や花に近づいて撮るのに適したレンズである。

IMGP6771

 これはその応用編であって、敢えて中央手前の花にピントを合わせたことによって風景を入れても周辺のケラレが気にならなくなる。

7.ピントリングを使わずアダプターのねじ込み部でピントを合わせる。

IMGP7208

 「頭脳」のようにケラレの少ない機種ではヘリコイドを一番近く(0.6feet)に固定しておき、更にアダプターのねじ込みを緩めて最短撮影距離より更に近くにピントを合わせ、ケラレが出ないように慎重に絞っていくと周辺減光程度で近景~遠景の全てを同じ画面に収めることができる。
 それにしても「頭脳」の全開放での被写界深度の大きさには驚いた。やはり皆が「頭脳」「頭脳」と騒ぐはずである。

7.逆光で撮る。フレアを出す。

IMGP2995

 逆光で撮ってフレアを出せば四隅の減光はむしろ陽光を強調する効果となる。

 以上のように、撮影条件に気を遣えば個人的な映像を得るには十分使えるレンズである。

カメラ河童のシネレンズ図鑑15-13mmシネレンズまとめ6訂-(愛すべき機械たち)

歴史はここから始まった

【コレクション自慢】
レンズ名をクリックするとそれぞれのレンズの項に飛びます。

CINE-ARCO 13mm F1.8 D
IMGP6206

Cine-ARCO 13mm F1.9 ゼブラ D
IMGP5286

CANON LENS C-8 13mm F1.8
IMGP6309

KINO-SANKYO 13mm F1.9 D
IMGP6165

KINO-SANKYO 13mm F1.9 D TypeⅡ
IMGP6198

Cine-NIKKOR 13mm F1.9 D
IMGP6223

OLYMPAS Cine-Zuiko 13mm F1.8 D
IMGP6113

SANKYO 13mm F1.4 D
IMGP6239

CINE-YASHINON 13mm F1.4 Ⅰ型 D
IMGP6578

CINE-YASHINON 13mm F1.4 Ⅴ型 D
IMGP6285

ZUNOW-CINE 13mm F1.9 D
IMGP6301

Zunow-Elmo Cine13mm F1.1 D
IMGP6123

Kern-Paillard Switzerland YVAR 12.5mm F2.5 D
IMGP6181

WOLLENSAK  CINE-RPTAR 13mm F1.9
IMGP0331

CINE-ELMO 13mm F2.5

IMGP0339

KINO-SANKYO 13mm F1.4 D

IMGP8731t


 以下は13mmレンズおよびそれに準ずるシネレンズに関して知り得ることである。推測も多いのでシネレンズファンの御意見を取り入れて改定したいと思っている。

【レンズの意義】
8mmフィルムカメラの標準レンズ。

【13mmレンズの製造会社】
〈国産〉[五十音順「株式会社」除く]
アルコ写真工業(ブランド:CINE-ARCO)
市塚光学(ブランド:KINOTAR, KINO-SANKYO)
株式会社エルモ(ブランド:CINE-ELMO)
オリンパス光学工業株式会社(ブランド:CINE-ZUIKO)
キヤノン株式会社(ブランド:CANON LENS C-8)
興和光学株式会社(ブランド:PROMINAR)
国際ホト(ブランド:MAIKAR)
株式会社ザイカ(ブランド:ZEIKA)
サン光器(ブランド:Sun)
三協精機(ブランド:SANKYO)
ズノー光学工業株式会社(ブランド:ZUNOW-CINE,ZUNOW-ELMO)
日本光学(株式会社ニコン)(Cine-NIKKOR)
株式会社ヤシカ(ブランド:CINE-YASHINON)
レクサー光器(ブランド:REXER)
ワルツカメラ社(ブランド:WALTZ)
〈舶来〉[アルファベット順]
Kern&Co.AG [瑞西](ブランド:Kern-Paillard YVAR,Kern-Swittar)
Keystone International Co.LTD [米] (ブランド:Elgeet)
Schneider-Kreuznach [独] (ブランド:Xenoplan)
SOM Berthiot Pari [仏](ブランド:Cinor)
Wollensak Optical Co [米](ブランド:Cine Raptar)

【鏡胴デザインの変遷】
〈形態〉
フジツボ型orバベルの塔型(1950年代)→筒型orアサガオ型(1960年代)
〈色彩〉
オールクローム(1950年代前半)→クローム黒ストライプ(1950年代後半)→クローム黒ゼブラ(1960年代前半)→ブラック(1960年代後半)

【レンズ構成】
多くペッツバールタイプ

【マウント】
Dマウント:内径15.675mm (5/8inch)、ピッチ0.794mm(32山/1inch)、フランジバック12.29mmのねじ込み式マウント。
 またはカプラによりDマウント変換し得るマウント、たとえばバヨネットマウント(CANON)。

【ピントリング】
1feet~無限遠
1feet=0.3048m

【絞りリング】
F0.9~F28
F1.9~16のものが多い。
クリックするタイプと無段変換タイプがある。

【実用撮影可能なデジタル写真機】
PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。CANONのシネレンズにはDマウント変換するカプラが必要。

【判明している種類】
〈国産〉[アルファベット順'CINE'除く]
CINE-ARCO13mm  F1.8
CANON C-8 13mm  F1.4
CANON C-8 13mm  F1.8
CINE-ELMO 13mm F2.5
KINOTAR 13mm  F1.9
KINOTAR 13mm  F1.4
KINO-SANKYO 13mm  F1.9
NIKKOR 13mm  F1.8
MAIKAR 13mm  F1.2
MAIKAR 13mm  F1.9
REXER 13mm  F1.2
REXER 13mm  F1.4
REXER 13mm  F1.9
REXER 13mm  F2.9
CINE-PROMINAR 13mm  F1.9
SANKYO 13mm F1.4
Sun 13mm  F1.4
Sun 13mm  F1.9
WALTZ 13mm  F1.9
CINE-YASHINON 13mm F1.4
ZEIKA 13mm  F1.4
CINE-ZUIKO F1.8
ZUNOW-ELMO 13mm  F1.1
ZUNOW-CINE 13mm  F1.9
〈舶来〉[アルファベット順]
Kern-Paillard YVAR 12.5mm F1.9
Kern-Paillard YVAR 13mm F1.9
Kern-Paillard Swittar 13mm F0.9
Keystone Elgeet 13mm F1.9
Keystone Elgeet 13mm F2.5
Keystone Elgeet 13mm F2.8
Schneider-Kreuznach Xenoplan 13mm F1.9
SOM Berthiot Cinor
:筒型オールクローム
Wollensak CINE-RAPTER F1.9
:バベルの塔型オールクローム
【筆者が確認済みのバリエーション】
〈国産〉[アルファベット順'CINE'除く]
CINE-ARCO F1.9
:フジツボ型ストライプ、筒型ストライプ、筒型ゼブラ
CANON LENS C-8 F1.8
:アサガオ型ストライプ
CINE-ELMO 13mm F2.5
:フジツボ型オールクローム
KINO-SANKYO F1.4
:バベルの塔型ストライプ
KINO-SANKYO F1.9
:バベルの塔型オールクローム、バベルの塔型ストライプ
MAIKAR F1.2
:フジツボ型オールクローム
Cine-NIKKOR
:フジツボ型オールクローム、筒型ブラック
OLYMPAS CINE-ZUIKO
:筒型ゼブラ、筒型ブラック
SANKYO
:筒型ゼブラ、筒型ゼブラ距離計連動
CINE-YASHINON F1.4
:バベルの塔型ストライプ、筒型ゼブラ
ZUNOW-CINE F1.9
:バベルの塔型ストライプ
ZUNOW-ELMO F1.1
:バベルの塔型オールクローム、バベルの塔型ストライプ
〈舶来〉[アルファベット順]
Kern-Paillard YVAR 13mm F1.9
:フジツボ型ストライプ(ピントリングあり)
Kern-Paillard YVAR 13mm F1.9
:フジツボ型ストライプ12.5mm(ピントリングなし)
Kern-Paillard Swittar 13mm F0.9
:筒型ストライプ
Keystone Elgeet 13mm F1.9
:アサガオ型オールクローム、筒型オールクローム
Keystone Elgeet 13mm F2.5
:バベルの塔型オールクローム
Keystone Elgeet 13mm F2.8
:バベルの塔型オールクローム
Schneider-Kreuznach Xenoplan 13mm F1.9
:バベルの塔型オールクローム
SOM Berthiot Cinor 12.5mm F1.9
:筒型オールクローム
Wollensak CINE-RAPTER 13mm F1.9
:バベルの塔型オールクローム

【まとめ】
 私の知る限りではDマウント8mmカメラに改造なしで装着して標準レンズとして使用できるレンズは国産では上述のものである。舶来品については他にも私の知らないものがあるかもしれない。
 8mmカメラの標準レンズに使えるということはD→Qマウントアダプターを介すれば「オバQ(仮名)」にも使える、ということでもあるが、周辺減光が現れるものもあり、中には絞るとケラレが出るものもあるので特性を生かした構図が必要となる。
 また、開放に近い絞り値で被写体を中心に置いて撮影すると、ほとんどのレンズで「ぐるぐるボケ」といわれる収差が出現する。これを面白いと感じるかどうかでDマウント13mmレンズに対する態度はほぼ決まるといってよい。

 筆者の経験から得た購入する際の注意である。
 まず、新しいものでも1960年代(今から60年前)に製造されたレンズなので、オーバーホールされたもの以外はゴミ、黴の混入はあるのが当然と思った方がよい。
 また、ピントリングがスカスカ、または異常に固い、絞りが利かない、動かない、ということもよくある。ストレスなく使えるレンズが欲しい人はカメラ屋さんが整備したものを買った方がいい。ただし、そうしたレンズは同じものでも値段が一桁違ってくる。
 私は素人のくせに勉強のつもりで幾つかレンズを開けてみたが、取り返しのつかなくなったものもある。やはり開けない方がいいと思う。特に汚れているからといって安易にレンズを拭かないこと。
 特に資産としてレンズを考えている人は、売り買いも整備も専門家に任せた方がいい。
 もっともDマウントレンズは使用できるデジタルカメラが既に製造停止になっており、今後そうしたデジタル一眼が発売になる可能性も零に近いから、資産として考えて投資するのは止めた方がいいと思う。
 また、レンズの材質上劣化が避けられずどの個体も状態が悪いものもあるので実写したサンプルを見て購買を決めた方がいい。

 以上、シネレンズを楽しむための基本中の基本、13mmDマウントレンズについてのまとめでした。

カメラ河童のシネレンズ図鑑57-KINO-SANKYO 13mm F1.4 D 改訂-(愛すべき機械たち)

KINO-SANKYO 13mm F1

KINO-SANKYO 13mm F1.4 D

IMGP8720

製造:市塚光学(三協精機株式会社製造の8mmフィルムカメラに供給)
製造時期:1950年代(推定)
レンズ構成:ペッツバールタイプ4枚(推定)
鏡胴デザイン:バベルの塔型・ストライプ
焦点距離:13mm
開放値:1:1.4
絞りリング(前):反時計回り:F1.4,1.9,2.8,4,5.6,8,11,16の8段階
絞り羽根:5枚
ピントリング(後ろ):反時計回り:1feet~
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

IMGP8730

IMGP8731

IMGP8732

[レビュー]
 「家畜人オークション(仮名)」で普通の勤め人の昼食1回分くらいの値段で売られていた8mmカメラに3個1組で嵌っていたレンズである。
  写真ではレンズが3個あることは分かったが、ブランドが分かったのは「讃38mmF1.9(仮名)」だけで、これは既に所有しているから別に欲しくなかった。しかもこのレンズは実際に来てみるとDマウントのねじ込み部が欠品で、おそらくこの8mmとフランジバックが合わないために使用者がこの部分を外して調整していたのだろう。これは特に38mmレンズに見られる現象である。 
 だから38mmを見たときにもガッカリしたのだが、それ以上にこのレンズを見たときにはガクッと落胆した。タイプが違うとはいえ既に2つ所有している「紀伊國屋門左衛門13mm(仮名)」だったからだ。

IMGP8723

 小洒落た金属製のフードが付いていたので別のレンズに見えたのだ。
 だが、どうも私の持っている「紀伊國屋」の13mmより大きい気がする。

IMGP8728

 フードを外して見てもやはり大きい。よく見ると開放値が違い、F1.4である。私の持っている2個のレンズの上級品だったのだ。

IMGP8595

 格好いいフードは残念ながら装着して撮影するとケラレが発生することが判明したので、これを外して休日まで待って試写することにした。

IMGP8653

 解像度、立体感ともに私の所有するレンズの中ではトップクラスである。
 しばらく常使いの標準レンズにすることを決定。

IMGP8652

 と思ったら、空を撮る際に周辺減光があることが判明。F5.8というちょっと明るい時に多用する絞りでこれだから、ちょっと困った。

IMGP8656

 F4だとほぼ気にならないレベルだからよしとするか。
 撮影の8割以上を占める13mmだからなかなか基準が厳しくなる。

IMGP8700

 「紀伊國屋」はかっちり写るが暗い、というイメージがあったのだが、このF1.4は2つのタイプのF1.9よりかなり明るい。ただ、「メリケンサック (仮名)」や「頭脳(仮名)」に比べるとやはり暗めか。

IMGP8703

 明るいものを撮る時も適度の立体感を保ちつつ明るい。流石上級モデルである。
 また、黄色の発色は問題なし。

IMGP8705

 この時代のレンズとしては緑の発色がとても良い。舶来レンズのようだ。

IMGP8697

 白はちょっとだけ滲むか。気になるレベルではない(気にしとるやんけ)。

IMGP8696

 私の好きな紫もいい発色である。

IMGP8691t

 赤が人工的であざといのはこの時代のレンズのお約束である。これはコーティング技術が発達したこの後の時代に克服された欠点に違いない。知らんけど。

IMGP8664

 「紀伊國屋」はDマウントにしてはあまり回転しないレンズなのだが、流石にF1.4ということもあって全開放だとお約束のぐるぐるボケが現れる。ただ「歩こう13mm(仮名)」や「頭脳」のF1.1などと比べるとぐっと控えめである。あくまで端正で暴れないレンズだ。

IMGP8683

 ただ、ペッツバール型の特徴なのか、樽型の収差は思ったより強い。

 まとめると、スッキリくっきり写る解像度の高いレンズである。開放値が明るい割に暴れたら回転したりしない。発色も良い。客観的な記録に使用するのにも十分耐えうるので常使いにしてもいいレンズではないか。
 ただ残念なことに絞ると僅かに周辺減光が現れる。私の「オバQ」は極小の「1/2.3センサー」(イチニーサンセンサーと読んでください)搭載の「 Q10」だから気にならないレンズだが、センサーの大きい「 Q7」や「 Q-S1」だとはっきり「ケラレ」のレベルかもしれない。

[駄文]
 「紀伊國屋門左衛門」は「一里塚光学(仮名)」が「協賛(仮名)」のためにOEM生産したブランドである。  
 個人的には「紀伊國屋に駄玉なし」というくらいにどれも映りが良い。
 しかし、私が入手した個体はいずれも1個にすると普通の勤め人の昼食1回分くらいの値段でひっそりと売られていて、とても銘玉の名声を得ているとは思えない。
 「紀伊國屋」には独自ブランドもあって、こちらは「昨日だー(仮名)」という名で売られているが、これもやはり写りの割には安価である。「昨日だー」には「プロフェッショナル」と呼ばれるF1.4のものがあり、相対的に高価だが、それにしてもCマウントの25mm(つまりマイクロフォーサーズだったら標準)でも「カチオク」などで福沢さんの手を煩わせない程度の値段で売り買いされているようだ。
 真価を知る私としては実に不本意だが、写りのいいレンズが安く手に入るのだからラッキーという面もあるかもしれない(自己本位)。
 このCマウントの25mmや12.5mmを試写してみた方たちのブログを読んでも、やはり「解像度」という言葉が出てくる。やはりシネレンズのことをよく知る方々から見ると「紀伊國屋」の写りは格別なのだろう。
 このままでは幕末や終戦後の日本から良いものが海外に流出してしまったように、このレンズたちもどこかよその国の好事家たちのコレクションに収まってしまいそうである。
 もっと評価されてよいレンズだと思う。

カメラ河童のシネレンズ図鑑9-KINO-SANKYO 13mm F1.9 D TypeⅡ-2訂(愛すべき機械たち)

最高のパートナー

KINO-SANKYO 13mm F1.9 D TypeⅡ

IMGP5693


製造:市塚光学(三協精機株式会社製造の8mmフィルムカメラに供給)
製造時期:1950年代(推定)
レンズ構成:ペッツバールタイプ4枚(推定)
鏡胴デザイン:バベルの塔型・ストライプ
焦点距離:13mm
開放値:1:1.9
絞りリング(前):反時計回り:F1.9,2.8,4,5.6,8,11,16の7段階
絞り羽根:5枚
ピントリング(後ろ):反時計回り:1feet~
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。


IMGP6324

IMGP6198

IMGP6331

 このレンズは私が外出や旅行をするときに最もよく携行するレンズである。
 私の持っているレンズには珍しく、8mmに3個1組で嵌ってるものではなく、ちゃんとレンズとして1個単位で売っていたものだ。
 とすると高いのかといえばそんなことはなく、確か牛丼3杯分くらいの値段で買った。

IMGP4213

 早速試写してみると、全開放だと若干回転する(Dマウント特有のぐるぐるボケ)ものの、対象をシャープにとらえることが出来る。

IMGP9804

 それでどころか、夕陽と飛行機などという、私には少々難しい題材でもちゃんと画面の中に捕えることが出来る。
欣喜雀躍した私は、「頭脳」や「日光る」などの有名どころのレンズを差し置いてこの新人を標準の常使いレンズに据えたのであった。

IMGP6907

 SL人吉の撮影には失敗したものの、これは私の構図の取り方が悪かっただけで、このレンズのせいではない。

IMGP5866

 燦燦と輝く陽光の中でもきちんと絞れば近景と遠景を捉える被写界深度も持っている。この写真など私のおかしな平衡感覚で水平線が傾いていなければパンフレットに載せてもいい出来栄えだと思うのだがどうだろうか。

IMGP5952

 観音様の足元に雲が流れている写真。
 こういう構図で撮ろうと思ったわけではなく、全くの偶然なのだが、この写真も当時私の持っていた他のDマウントでは撮れなかったと思う。

IMGP4204

 接写にも強く、ぬいぐるみなどの質感も着実に捉える。

 強いて弱点を探せば、F1.9というカタログ上の明るさの割には実際はもう少し暗いレンズだという事だろうか。「回らないDマウント」というのはそういうことでもある。

IMGP5568

 写真は手ブレを必死で抑えてどうにか撮った釜山の夜景である。これ以外の画像は他人様にお見せできる出来ではない。
 レンズに入る光が少ないためにシャッタースピードが落ちてしまうのだ。

IMGP5196

 かといって全開放だと夜景が回ってしまったりするのは、やはり「紀伊國屋」もDマウントだということか。

 まとめると、常使いにできる信頼性の高いレンズだが、やや暗いので夜景は別のレンズで、というところだ。
 有名レンズではないので安いし使い勝手のいいD君である。

[駄文]
 手元に届くDマウントレンズの質を決定づける要素として、レンズとして売られているか、8mmカメラの一部として売られているか、というのがある。

 たとえば、「頭脳(仮名」の13mmF1.1がカメラの一部として売られていることはまずない。これはほぼ100%レンズとして売られている。
 「瑞鷹(仮名)」の13mmも同様で、ほとんど全てがレンズとして売られていて、カメラに嵌っているものはまずない。
 舶来のレンズも大体レンズ本体で売られるのが通例のようだ。

 それ以外だとどちらで売られているかはその個体の状態のような気がする。

 つまり、レンズとして売られているものは状態が良く、カメラに嵌って売られているものは状態が悪い。

 実際に撮影してみるとこの傾向は間違いなくある。

 私が持っている標準Dマウントのうち、「楽しく撮影できる」というだけでなく、「安心して撮影できる」という部分まで要求できるのは「頭脳13mmF1.1」「瑞鷹13mmF1.8」、そしてこの「紀伊國屋」13mmF1.9の3つだが、これらは全て8mmカメラから外されてレンズとして売られていたものだ。

 もっともこれは望遠レンズである38mmや25mm、広角レンズである6.5mmにはあまり当てはまらない。
 私はその理由について、標準レンズである13mmは使い倒されたものと死蔵されて使われなかったものの状態の差が大きいのに対して、望遠や広角は元々あまり使われなくて製造されたままの状態に近いからではないかと推測する。

 もう一つの要素としては使い倒されても大丈夫な優れた設計思想、ということが考えられるが、正直な話Dマウントレンズにそこまでの卓越性を求めるのは無理な気がする。

 ただ、この「紀伊國屋」13mmF1.9TypeⅡに関しては、私の手元に来た時には結構くたびれた外観だったから、この説も肯んじ得る部分もあるのかもしれない。

カメラ河童のシネレンズ図鑑4-KINO-SANKYO 13mm F1.9 D TypeⅠ 改訂-(愛すべき機械たち)

KINO-SANKYO 13mm

KINO-SANKYO CINE 13mm F1.1 D TypeⅠ


IMGP6174

製造:市塚光学(三協精機株式会社製造の8mmフィルムカメラに供給)
製造時期:1950年代(推定)
レンズ構成:ペッツバールタイプ4枚(推定)
鏡胴デザイン:バベルの塔型・オールクローム
焦点距離:13mm
開放値:1:1.9
絞りリング(前):反時計回り:F1.9,2.8,4,5.6,8,11,16の7段階
絞り羽根:5枚
ピントリング(後ろ):反時計回り:1feet~
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

IMGP6162

IMGP6165

IMGP6169

[レビュー]
 あまり世に知られていないDマウントの中でも「紀伊國屋門左衛門(仮名)」は無名で、中古市場でも大体普通の勤め人の昼食1回分くらいの値段で売られている。
 この「紀伊國屋13mm F1.9(仮名)」TypeⅠも昼食1回分くらいで売られていた8mmカメラに2個1組で付属していたものだから、牛丼1杯分くらいの値段である。
 しかし、単なる偶然なのか、はたまた製造技術が優れているのか、私の所有する「紀伊國屋」3玉はいずれも頗る状態がよく、また写りも良い。
 鏡胴がクローム黒ストライプのTypeⅡは私が外出するときに最もよく携行するレンズである。
 今回製造元が重複するのに敢えてこのTypeⅠを落札したのは、その美しいオールクロームの鏡胴に惹かれたからである。

IMGP6128

 シネレンズは全開放で写すとピントが合った部分以外は回転するものが多いが、「紀伊國屋」は基本的に回転しないレンズである。
 回転しないレンズといえば「瑞鷹13mm(仮名)」があるが、これはそれよりも回転しにくいレンズである。(上画像はF1.8全開放)

IMGP6133

 したがってカッチリした画像がほしく、客観的な記録が欲しいときにはこのレンズを使用するのが良い。もっとも、その場合には現代レンズを使えばよいだけとも言えるが。
 少なくとも思わぬ回転で撮りたかった構図が台無し、などということはない。
 上画像は同じ構図でF11と絞ったものだが、画面の明るさ以外に違いがほとんどない。

IMGP6147

 日向で黄色い花を中心に入れて全開放F1.8で撮ると初めて回転した。

IMGP6135

 ただし、F4で撮っても画面がやや暗い。これはTypeⅡでもそうした傾向があるから、個体による特徴というわけではなさそうだ。

IMGP6141

 いかにも「昭和の写真」という感じである。ただし、逆光で撮ってもフレアやゴーストは滅多に現れない。

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IMGP6152

 さらに、F4で撮っても白が滲まない。
 これは多くの昭和のレンズの弱点なのだが。

IMGP6155

 特に黄系統がいい発色をするようである。

 まとめると、収差や光の悪戯に邪魔されずに旅の記録を見たままに淡々と撮りたいときに適したカッチリしたレンズといえるだろう。
 「紀伊国屋」さん、いい仕事です。


[駄文]
 遂に始まったこの大型連載(自己宣伝)の劈頭を「瑞鷹13mm F1.8(仮名)」「 頭脳得るものあり 13mm F1.1(仮名)」と立て続けに銘玉が飾ったので、3番目をこのあまり人気のない「紀伊國屋」が務めるとは思っていなかった人が多いと思う。
 しかし、私はこの「紀伊國屋」のよさを是非全国Dマウントファン(推定100名)に知っていただきたいのだ。
 私が持っている「紀伊國屋」のレンズはこの13mmtypeⅠと黒とクロームの鏡胴のtypeⅡ、後は6.5mmだが、3つの個体ともすこぶる写りがいい。
 さらに、安い。私のように遥かなるジャンク道を歩いていると、銘玉の誉れ高いが写りは悪いという「がっかり銘玉」に当たることもしばしばだが、この3つの個体はそれとは逆に、いずれも牛丼1杯から昼食1回分程度の値段で手に入るわりに、銘玉にも負けない写りを見せてくれるのである。

[以下の部分には事実誤認がありましたので訂正します2020.12.21]
[誤]
 実はこの「紀伊國屋」、「協賛(仮名)」だけでなく米国の有名なレンズ会社「ビビッドアーミー(仮名)」にもレンズを供給していたグローバルな企業なのだ。
 レンズ一筋でつい最近まで独立した会社として存続していたが、2016年、「今日、世良正則にしない?(仮名)」の光学部門強化のためにその傘下に入った。

 「紀伊國屋-協賛」は「一里塚光学(仮名)」という会社が「協賛」に供給していたレンズである。
 「一里塚」はネットで検索してもその情報のなさを嘆いたブログがトップヒットするほどに情報がないが、どうもあちこちの有名企業にレンズを供給していたレンズ会社らしい。

 筋金入りのレンズ会社が作っただけあっていいレンズである。

カメラ河童のシネレンズ図鑑38-KODAK ANASTIGMAT 15mm F2.7 CS改 改訂-(愛すべき機械たち)


レンズに歴史あり

 KODAK ANASTIGMAT 15mm F2.7 CS

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製造:Eastman Kodak Company
製造時期:1930年代(推定)
レンズ構成:ペッツバールタイプ
鏡胴デザイン:パンケーキ型・オールクローム
焦点距離:15mm
開放値:1:2.7
絞りリング(前):反時計回り:目盛りなし
絞り羽根:8枚
ピントリング:なし
マウント:H8 RXマウント(CSマウントの可能性もあり)
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1
装着方法:S→Cのカプラをレンズに装着後、H8 RX→Q(あるいはCS→Q)マウントアダプターを使用。

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IMGP7540

[レビュー]
 牛丼1杯分の開始値から全く入札がなく無限連環に入っていたレンズである。
 さしもコアなシネレンズファンも、このレンズはどう使っていいか分からなかったのだろう。
 このレンズの入手経緯や撮影可能になるまでの工程、このレンズの来歴などについては以前かなり詳しく書いたことがある。興味のある人は次のリンク先に飛んで欲しい。
 カメラ河童のジャンク道はるか59-過去から来た不思議なレンズ1-
 カメラ河童のジャンク道はるか60-過去から来た不思議なレンズ2-

[2021.4.9追記]
 ネットでカメラに詳しい人のブログを見ていて知ったのだが、このレンズのマウントはH8 RXマウントというらしい(あくまで推定)。このマウントはCマウントと同じ口径だがフランジバックがもっと短い。「暴レックス(仮名)」という欧州の8mmカメラ用のレンズに採用されていたマウントで、有名どころでは「蹴るん社(仮名)」の「好いた(仮名)」のレンズにこのマウントのものがあるため、好事家のために「麗子ウール(仮名)」や「若鷹ファクトリー」からH8 RX→Qマウントアダプターが発売されている。
 
 ここではこのレンズの写りについてレビューしたい。

IMGP9792

 四苦八苦して無限遠を出したものの、何となくぼんやりとした写りである。

IMGP0260

 もっとも私の調査ではこのレンズが作られたのは1930年代。今から90年前なのである。そのレンズが現代のカメラに装着されて撮影可能なだけでも奇跡に近いのだ。
 それにしてもレトロな映像である。1930年代の独逸の山の中の風景だろうか。

IMGP0344

 しかしさすがはanastigmat(収差なしレンズ)だけあって、直線を撮らせても全く歪まない。これもこのレンズの製作年代を考えれば奇跡に近い。

IMGP0347

 雲の描写は立体感を欠く。これは解像度が低いから仕方がないか。何せ90年前のレンズなのだ(しつこい)。


IMGP0249

 花でも撮るしかないか。とりあえずピントは合う。淡い発色が如何にも昔のレンズである。

IMGP0259

 黄色も合格。

IMGP9794

 赤はあざとく浮き上がっている。

IMGP0266

 青も若干そのケがある。

IMGP0266b

 だが、よく考えてみたら、この時代のレンズで撮った写真は白黒で現像されるのが普通なのだ。
 ピンクや黄色などの比較的明るい色と違い、赤や青などの比較的暗い色は少々あざとくないと白黒になったときに周囲に埋没してしまう。もしかするとそうしたことも考慮に入れてレンズが作られているのかもしれない。

IMGP0268

 このレンズで撮った写真はすぐわかる。独特の発色だからだ。これがレンズの経年劣化によるものなのか、元々の構造によるものなのかはわからないが、一言で云うと「セピア」である。

 まとめると、ピンボケと考えれば実用に耐えないし、こういう写りを味として考えられる人にとっては面白いレンズではないだろうか。ただし、撮影可能になるまでに自家製のS→CSカプラを作り自家製のCS→Qアダプターを作るという手間暇があった。そこまでして実用する必要があるのかという気もする。

[駄文]
 私の持っている「ゴタック(仮名)」のシネレンズは2つだけである。

 このレンズと、もう一つはターレットに固定されたレンズを自製のQマウントアダプターに取り付けた奇怪な形の三位一体レンズだけだ。

IMGP9002

 流石の私もこのレンズを「シネレンズ図鑑」と銘打った読み物に登場させるほど図々しくはないので、どんな写りをするのかどうしても知りたい人(いないか)は過去の記事で確かめて頂きたい。
カメラ河童のジャンク道遥か41-コダックよお前もか-(それでも生きてゆく私236)
カメラ河童のジャンク道遥か42-コダックのオールドカメラで悟ったこと-(それでも生きてゆく私237)

 このレンズも何時のものか分からないようなレンズを改造してやっと撮影可能にしたものだから、結局のところ私は「ゴタック」のまともなレンズを持っていないということになる。

 なぜこんなことになったかと云えば、私には「レンズ1個には普通の勤め人の昼飯代以上の金は出さない」という信条があるからであり、「ゴタック」のレンズ(の値段)はこの信条に真っ向から反するからである。
 したがって、私の信条に従った2つのレンズのみが私の下に馳せ参じたわけだ。

 そのため、この2つのレンズを以て「ゴタック」を語ることには無理がある。ただ、規格から外れているがために私の手元に来ることになったこの2つのレンズを撮影可能になるまでに改造する作業と試写・撮影は実に楽しい時間だったことだけは確かである。

カメラ河童のシネレンズ図鑑39- Bell & Howell comat 0.5inch F2.5 改訂-(愛すべき機械たち)

Bell & Howell COMAT 6.5mm F2

 Bell & Howell comat 0.5inch F2.5

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製造:Bell & Howell Company
製造時期:1960年代(推定)
レンズ構成:ペッツバールタイプ
鏡胴デザイン:バベルの塔型・オールクローム
焦点距離:6.5mm
開放値:1:2.5
絞りリング:反時計回り:2.5,2.8,4,5.6,8,11,16,22の7段階
絞り羽根:4枚
ピントリング:なし
マウント:H8 RXマウント(CSの可能性もあり)
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1
装着方法:カプラを装着してCマウント変換。さらにH8 RX→Q(あるいはCS→Q)マウントアダプターを使用。

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IMGP7525

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[レビュー]
 牛丼1杯分くらいの値段で我が家にやってきたレンズである。
 安い売値で手放したのはおそらく持ち主が「無限遠が出ない」と判断した結果であろう。

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 私は既にレンズ固定式の8mmカメラから取り外した同社の20mmのためにH8 RX→Qマウントアダプターを自作していたのでそれに嵌めてみたところ、スペイサーを挟むことで無限遠が出た。

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 まずレンズの七難隠す夕陽から。
 6.5mmだがDマウントレンズと違いケラレや周辺減光は全くない。

IMGP9186

 赤のあざとさと浮き上がりは旧いレンズにはよくあることだ。

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 白の滲みも同じく。
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 緑の発色は私の持っているオールドレンズの中では一番いいかもしれない。その分なのか、空や海が地味に写る。

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 ややピントが甘いのは自家製のアダプターの所為だろう。

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 古い建物を下から見上げるような構図で撮ると本領発揮である。歴史的建造物の建てられた時代を彷彿とさせる。

IMGP0076

 奥に向かって収斂されていくような映像も広角レンズの得意な構図だが、これまたレトロな写真が仕上がる。

IMGP9137

 レトロの極みはやはりレトロなものを撮った時に体現される。

IMGP9081

 近景と遠景を対比させる広角得意の映像はピントの甘さで好みが分れるか。まあ最近流行のこういう構図で撮りたければスマホで撮ればいいか。

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 広角レンズなので遠くの動物を撮るのは得意ではない。

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 全開放で近くで撮るとピントの甘さが逆に猫の毛などの柔らかい質感を表現するのに適しているような気もする(自信はない)。

 まとめると、古い物を広角が得意な構図で撮るのに最適の古いレンズということが言えるだろう。また、周辺減光やケラレを気にしなくていいのもよい。

[駄文]
 このレンズを購入する際に注意してほしいことは、「そっくりさん」の存在である。「そっくりさん」というより、レンズは同じ(つまりバックフォーカス)は同じなのだが、鏡胴の形(つまりフランジバック)が微妙に違うため、カプラを装着してH8 RX→Qマウントアダプターを介して「ペンテコステオバQ」に装着してもちゃんとした像を結ばない。極接写しかできないのだ。つまりこの「そっくりさん」は「オバQ」のフランジバックでも長すぎるのだと思われる。

IMGP7595

 左が撮影可能なレンズ、右が極接写以外に像を結ばないレンズである。
 左はフードとフィルターが装着されているために一見形が違うが、レンズは全く同じものである。

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 2つの写真は2つのレンズで互いを撮影したものだ。このレンズは極接写ができるのである。
 上は像を結ぶレンズ、下は結ばないレンズだが、下のレンズはマウント部に1.5mm程の余計な出っ張りがあるため、これが邪魔をしてフランジバックが僅かに短い。像を結ばない原因はそのためだと思われる。

 「極接写用のレンズが欲しい」と思って「ベル&グラハム」のレンズを購入する人はいないと思うので、「がっかり銘玉」になってしまう。

 私の経験上こういうレンズのフランジバックを伸ばす方法は3つある。
1.レンズの出っ張りを削る。
 だが、レンズ本体を素人がいじるとかけがえのない遺産に取り返しのつかない傷を与えてしまうことが多い。これは一番避けたい方法だ。
2.カプラを修正して短くする。

IMGP7553

 これはグラインダーを使用すれば10分、手作業でも1日で終わる。試写しながら慎重に削ればよほど不器用な人でない限り大丈夫だろう(太鼓判は押しません)。ただ、私はこのレンズを入手したとき売り手の人がカプラ(上写真)ごと売ってくれたので大助かりだったが、今ではレンズ本体よりこのカプラの方が貴重だったりする。
3.H8 RX→Qマウントアダプターを削って短くする。
 H8 RXマウントアダプターは「麗子ウール(仮名)」「若鷹ファクトリー(仮名)」の2社から発売されている。筆者はこれを手元に持っていないので試写したことはないが、おそらく「そっくりさん」はこれに嵌めても「オバQ」では像を結ばないだろう。現在入手可能な最短フランジバックの「オバQ」ですらこのレンズに対してはフランジバックが長すぎるのだ。
 H8 RXマウントアダプターは居酒屋で2人が腹いっぱい飲み食いした勘定くらいの値段がするから、これを削っても撮影不能、ということになったら傷が深すぎる。
 ここは安物のC→Qマウントで試してみることをお勧めする。C→Qマウントは周囲の螺子を外せばねじ込み部が簡単に外れるから、これをグラインダーもしくは手作業で削ればよい。これまた手作業でも1日あれば確実に終わる。失敗してもアダプター自体は大した値段ではないから大した痛手ではない。
 削り過ぎたらスペイサーを挟めばよい。

 この方法だと多少フランジバックの違うレンズでもOKである。どうも「ベル&グラハム」は歴史が古いせいか、マウントは同じでもフランジバックは各レンズで微妙に違う。
 逆にいえば、これが嫌な人はこの会社のレンズはプロが整備したもの以外は買わない方がいいということだ。

 「ベル&グラハム」のレンズはDマウントより微妙に径が大きいのでD→Qアダプターの穴を広げて改造、という誘惑に駆られやすいが、これはさんざん改造レンズを作ってきた私の経験上止めた方がいい。光軸がズレたレンズは無限遠が出なくなる。ということは遠景の撮影に使えないということだ。遠景の撮影に使えないレンズはいずれ使わなくなる、というのもジャンク道を歩む私の経験である。

カメラ河童のシネレンズ図鑑40- Bell & Howell SUPER COMAT 20mm F1.9 CS 改訂-(愛すべき機械たち)

Bell & Howell SUPER COMAT 20mm F1.9

 Bell & Howell SUPER COMAT 20mm F1.9 CS

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製造:Bell & Howell Company
製造時期:1960年代(推定)
レンズ構成:ペッツバールタイプ
鏡胴デザイン:バベルの塔型・オールクローム
焦点距離:20mm
開放値:1:1.9
絞りリング(後ろ):時計回り:1.9,2,2.8,4,5.6,8,11,16の無段変換
絞り羽根:10枚
ピントリング(前):時計回り:1.8inch~INF
マウント:H8 RXマウント(CSの可能性もあり)
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1
装着方法:H8 RX→Q(あるいはCS→Q)マウントアダプターを使用。

IMGP7513

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[レビュー]
 戦前のフィルムなどを見ていると、映画の撮影をしている人の手には大抵「ベル&グラハム(仮名)」のムービーカメラが握られている。
 それくらい古くからある撮影機の有名メーカーである。
 そのモデルはラクダの背のようなデザインの独特のもので、デジタル時代の今では使い道がなくて通常は完動品でなければレンズより安い値段で売られている16mmカメラ本体としては随分高い値段が付いている。
 私がたまたま「家畜人オークション」で見た機種はそれよりも2世代くらい新しく、もうすぐ本体に固定されたズームレンズに交代する前の最後のレンズ交換式に見えた。
 しかし実際に落札して来てみると固定焦点の癖にレンズが固定式という中途半端な機種で、「だから安かったのか」とブツブツ言いながらカニ目でレンズを外したことを覚えている。
 しかも一見Cマウントに見えたそのレンズはC→Qマウントアダプターを介して愛機「オバQ」に装着しても像を結ばず、今度はマウントアダプターの改造を余儀なくされた。

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 だが苦労しただけあって発色のとてもよい明るいレンズだった。上写真は薄暗い雨空の中で写したものである。

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 白の滲みもなく、葉に付いた朝露まで綺麗に映し出す。

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 ただし、赤があざとく浮き出るのはこの時代のレンズの通弊である。

IMGP9316

 私の好きな紫にも若干そのケがあるのは問題である。

IMGP8949

 その分なのか何なのか、緑の発色がよくかつ自然である。緑色の対象物が緑の背景の中に埋没しない。

IMGP8288

 こういう構図で撮るとレンズによっては木が真っ黒になってしまうのだが、ちゃんと緑色を残している。

IMGP7121

 やはり本領は近景で発揮され、花や葉の質感をきちんと表現できる。

IMGP8967

 遠景は自製アダプターの所為かなんとなくボンヤリとしているが、それでも「昔のレンズだから」という言い訳ができる程度には写る。
 ただし、全開放で無限遠が出ないのは痛い。ある程度絞らないとそれらしい画像にはならない。

IMGP8972

 かなり条件のいい朝の遠景で稜線を出すのはこれが精一杯である。もっとも最近は大気汚染の所為でどんなにいいレンズでもこの程度の日が多いが。

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 動くものはどの程度撮れるかといえば、まず、蝶は止まっていないと厳しい。これはレンズの特性というより、日本のレンズと絞りとピントリングの前後位置が逆であることが主な原因だが。


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 被写界深度はそれなりに深いので、向こうから近づいてくるものや遠ざかっていくものはある程度絞ればバッチリ撮れる。

IMGP8888


 光にはある程度強いが、ハレーションの出方が綺麗ではない。絞りは均等に綺麗に小さくなっていくのを確認しているのだが。

IMGP8922

 近景と遠景を対比させる撮り方はあまり得意ではない。背景に映り込んでいるゴミはセンサーに付いていたものである。

 まとめると、発色のよい明るいレンズである。遠景が弱いのは自製アダプターの所為だから、業者が整備したものを買えばもっといい写りが期待できるのではないだろうか。

[駄文]
 市場に出回っている「ベル&グラハム」のレンズはDマウントかと思えば0.5mmほど径が大きく、Cマウントかと思えばバックフォーカスやフランジバックが違い、なかなか苦労させられる。
 ネットで詳しい人のブログを見て調べたところ、このマウントは「暴レックス(仮名)」の8mmカメラ用の独特の規格で、H8 RXマウントというらしい。「麗子ウール(仮名)」「若鷹ファクトリー(仮名)」からH8 RX→Qマウントアダプターも出ている。
 したがって、S→CのカプラとこのH8 RXマウントアダプターを使用すればとてもいい写りを見せてくれることが予想される。このレンズはCSマウントである可能性も否定できないが、このアダプターで撮影可能らしいからだ。
 ただ、これらのアダプターは市場価格がこのレンズの10倍くらいするから、ほかにも「蹴るん(仮名)」の「好いたー(仮名)」など、H8 RXマウントのレンズを複数所有していている人でないと、このレンズだけのためにわざわざアダプターを買うのは勿体なさすぎる。

 また、このレンズはおそらく環境が整えば「ペンテコステオバQ(仮名)」だけでなくマイクロフォーサーズのカメラに嵌めても撮影可能だと思う。
 誰かお金持ちの好事家がアクセサリーを作ってくれないだろうか。

カメラ河童のシネレンズ図鑑56-マイベストDマウントシネレンズ(暫定)-(愛すべき機械たち)

My best Dmount lens

 この連載も紹介しシネレンズが50個を超えたので、ここまでで私の考える「マイベストシネレンズ」をDマウント限定で考えてみたい。
 なぜ同じシネレンズでもCマウントは含まないかというと、これは偏に私の懐の体調の問題であって、Cマウントだとベストレンズとして紹介できるような銘品を入手することができないからだ。
 それと、私のコレクションはまだまだこの種々雑多なレンズの半分にも及んでいないから、これからどんな良いレンズに巡り合わないとも限らないので、2021.3.27現在での暫定のものとする。これも今後改訂の可能性大である。
 では、マイベストシネレンズDマウント編(あくまで暫定)、発表である。

IMGP6123

 まず標準レンズとして使う13mmのベストレンズはZUNOW-ELMO CINE 13mm F1.1である。

IMGP5339s


 全開放での暴れ馬ぶりと、

IMGP5826s

 絞った時のきっちりかっちりした描写の落差は「楽しみとしての写真」を撮るのに最も相応しい。

IMGP8453s

 かっちりといえばWollensak CINE RAPTAR 13mm F1.9(上写真は作例)と迷ったが、「先進国に追いつき追い越せ」と頑張っていた頃の国産品、「悲運のZUNOW」というストーリー、やはりZUNOW
推し、である。


IMGP8529

 広角である6.5mmは新参者であるがほぼ同格で特殊な焦点距離のZEIKA  NOMIGAR 7.5mm F1.4。
 無名で人気のないブランドだが、なんといってもこの焦点距離にもかかわらず「ペンテコステオバQ(仮名)」に嵌めてもケラレないという点が他を圧した。私の愛機は「Q10」だが、「Q7」や「Q-S1」でもおそらくケラレないか周辺減光程度で済むのではないだろうか。

IMGP8484s

 35mm相当では40mm強だから正確には広角気味の標準くらいの画角なのだが、6.5mmだとトリミングが必要となることを考えればDマウントとしては最も広い画角と言っていいのではないだろうか。ある程度絞れば隅から隅まで写るパンフォーカスレンズである。

IMGP7585

 激戦の望遠レンズはCINEMAX TELE 38mm F1.9。
 このクラスはほとんどのレンズが素晴らしい写りで、ZUNOW CINE 38mm F1.9やCINE YASHINON 38mmF1.4、Sun TELE 38mm F1.8など、銘玉が綺羅星の如く輝いている。
 実際、ZUNOWか、YASHINONか、と純粋に写りだけでこの2つに絞りかけていた。

IMGP8537

 しかし、私はカメラとレンズの5本(ここで紹介したものの他に花撮り用の自作Dマウントをもう1本)をダイソーで買った100円のポーチに入れて持ち歩くのである。
 このポーチがどれくらいの大きさなのか、銘玉「Super Akmar 50mm F2.5仮名」を付けた「ルーミックワールドGF1(仮名)」と一緒に撮ってみた。
 このポーチを見ればZUNOWやYASHINONは大きすぎることが分かるだろう。レンズは少しでも小さい方がいいのだ。また、Sunのようなオールクロームのものは大きさの割に重い。やや年代が新しく軽量の割に写りがよく、絞り羽根の多いCINEMAXに決めた。

IMGP7612s

 この小型軽量の38mmは突然現れた鳥を撮るのにも素早く対処できる。写りも他の38mmに遜色ない。

IMGP7073

 25mmはREXER TELE 25mm F1.9である。
 このクラスは3つしか持っていないが、他の2つはKernの25mmとKINO-SANYOでいずれも甲乙つけがたいがまず国産でないということでKernが脱落、KINOも本当に素晴らしい写りなので最後まで迷ったのだが、

IMGP7246s

 REXERで撮ったこの牛君の可愛さで決まり。

 KINOは38mmが揃ってからセットでベストレンズとして取り上げたい。

 ところで、ここまで読んで気付いた方はいないだろうか。

 冒頭の絵に登場しているZUNOW,CINEMAX,ZEIKA,REXERとも、レンズブランドとしては存続していないのだ。「オバQ」のマウントアダプターに嵌っている蓋のYASHINONもすでにないブランドである。
 ということで、今回はこのブログのいつもの趣旨に反し、レンズ名を全て実名で取り上げた。もはやこれらのレンズメーカーと私との間に利益相反が生じようがないのだ。

 栄枯盛衰盛者必衰は資本主義の習いとはいえ、こんな素晴らしいレンズたちが子孫を残していないとは。私だけでも彼らを愛でてあげることにしよう。



カメラ河童のシネレンズ図鑑55-Wide Angle Cine ZEIKA NOMIGAR 7.5mm F1.4-(愛すべき機械たち)

Cine ZEIKA 7.5mm F1

Wide Angle 
Cine ZEIKA  NOMIGAR 7.5mm F1.4

IMGP8532

製造:Zeicaオプティカル株式会社
製造時期:1950年代(推定)
レンズ構成:レトロフォーカス型(推定)
鏡胴デザイン:ビアグラス型・オールクローム
焦点距離:7.5mm
開放値:1:1.4
絞りリング(前):反時計回り:F1.4,2,2.8,4,5.6,8,11,16の8目盛り
絞り羽根:10枚
ピントリング(後ろ):時計回り:1.5feet(0.8m)~∞
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

IMGP8536

IMGP8529

IMGP8530

[レビュー]
 このレンズが嵌っていた8mmカメラは安いフレンチのランチくらいの値段で「家畜人オークション(仮名)」で売られていた。私としては少々無理をして落札した品である。
 この出品は嵌っているレンズが3個ともどこのものかよく見えず、この入札はやや無謀かなと思われたが、実際カメラが来てみると少しがっかりした。
 というのは、そのうちの2個は既に所有している「贅だ38mmF1.9(仮名)」と「メリケンサック13mmF2.5(仮名)」で、かつ、この2つとも愛機「ペンテコステオバQ(仮名)」では無限遠が出ない代物だったからだ。「贅だ」に至ってはDマウントの金具すらなく、ただターレットの穴に突っ込んであった。おそらく持ち主がそうやって無理に無限遠を出して撮影していたのだろう。

 もう1個は初めて見る「贅だ」の7.5mmで、これまた「オバQ」に付けてピントリングを回しても合掌せず、「あーあ、やっぱりちゃんと確かめてから買わなきゃだめだな」と自己嫌悪に陥ったのだった。

 ところが、落胆しつつマウントアダプターから外そうとしたとき、急にモニターの画像が変化したのが見えた。「あ! 合焦してる!」
 レンズをねじ込んだアダプターから少し緩めると合掌することを確認した私は、早速遠景を撮ってみることにしてベランダに出た。その写真は位置情報の点で問題があるので、その後行った近くの公園の遠景である。
 このレンズにはピントリングがあるから、スペイサーを挟めばわざわざねじ込みを緩めなくても無限遠は出せるが、適当なものがないのでとりあえず今回はアダプターがピント替わりである。

IMGP8441s

 F5.8くらいの映像である。隅から隅まで写っているのもさることながら、全くケラレがない。周辺減光と思われるものすらない。(画面下右あたりがボヤけているのは私のカメラのモニターが汚れていたからでレンズの問題ではない)。

 このレンズの焦点距離は7.5mm、「オバQ」だと35mmカメラ換算で41.25mm。広角レンズとまではいえないが、「広角気味の標準」くらいである。「オバQ」で撮影可能なレンズとしては最も画角の広いレンズではないだろうか。
 なにせ通常標準として使っている13mmは35mm換算だと71.5mmだから「望遠気味の標準」なのである。これはスチールカメラのレンズの50mmくらいのものに比べてやや画角の狭さが気になるのだ。
 数字上は6.5mmの方が画角が広いが、これは例外なく四隅がケラれてトリミングが必要だから、やはりこのレンズの方が実質的には画角が広く使える。

IMGP8450

 広角気味だからあまり意識せずに撮っても遠近感が出る。

IMGP8455

 F5.8くらいだと奥の方まで結構きりっと写り、

IMGP8456

 F2.9にすると一気に回転させることもできる。

IMGP8457

 F1.4だともう幻想の世界である。

IMGP8465

 ほかの6.5mmのように遠近感を強調した撮り方もできるし、

IMGP8484

 前方で収斂していく構図は広角得意のものである。

IMGP8486

 周辺減光によるトンネル効果はないが、その分画角が大きいので遠近感はより上かもしれない。

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 被写界深度が深いので遠くのものを強調して撮ることもできる。これなら「撮り鉄」も大丈夫だろう。

IMGP8500

 発色に移ると、白はほとんど滲まず合格範囲。

IMGP8469

 蒲公英の綿毛もシャープに捉えることができた。真昼間のF4である。相当描写力のあるレンズだ。

IMGP8524

 私の好きな紫は日向でも綺麗な発色である。それにしても空豆の花は美しい。

IMGP8470

 黄色も勿論大丈夫。緑もこの時代のレンズとしては十分鮮やかに発色している。

IMGP8471

 赤のあざとさもこの時代のレンズとしては許容範囲だろう。

 まとめると、「オバQ」で撮影しても全くケラれない広角(ぎみ)レンズである。他の6.5mmと同様の使い方が出来て、かつ画像をトリミングする必要がない。画角はその分実質他の6.5mmより広く取れるはずである。ピントは全開放では暴れるが、絞るとはっきりくっきり写る。とりあえず同種のものの中のベストレンズと称したい。

[駄文]
 「贅だ」のレンズで「オバQ」に嵌めてピントが合うものはないから、これはもしかするとこのブランドのレンズが嵌っていた「リバース'80(仮名)」という8mmカメラのフランジバックの問題なのかもしれない。
 つまり「贅だ」のレンズのバックフォーカスは他のブランドと同じはずだが、フランジバックが8mmに合わせてあるのだろう。今回一緒に入手した「メリケンサック」もピントが合わないことがそれを示唆している。同じタイプのものでもこの8mmでないカメラに嵌っていた「メリケンサック」は「オバQ」でピントが合うからだ。
 昔のカメラは会社によって結構部品の規格が違うから、レンズ会社もそれに合わせるのが大変だったようだ。
 何にせよ「贅だ7.5mm」はスペイサーを挟めば無限遠が出ることが分かったし、ケラレが出ないのは実に素晴らしい特徴である。ケラレが出ないということはトリミングする必要がないということだ。つまり撮ったままの構図の写真になるということである。やはり人間は自然が一番だ(だったら器械を使うなよ)。
 このレンズは希少なはずだが中古市場で意外に値段が安い。6.5mmもケラれなければ35mmで35.75mm相当だから、正真正銘のケラれないオバQ用広角シネレンズである。是非入手したい逸品である。
 それにしても7.5mmシネレンズで10枚絞りとピントリング付きとは。驚きの贅沢なレンズだ。

カメラ河童のシネレンズ図鑑49-FUJINON 13mm F1.1 D改 Ⅱ型 改訂- (愛すべき機械たち)

FUJINON 13mm F1

 FUJINON 13mm F1.1 D改 Ⅱ型

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製造:富士写真光機
製造時期:1970年代(推定)
レンズ構成:不明
鏡胴デザイン:筒型・黒
焦点距離:13mm
開放値:1:1.1
絞りリング:なし
絞り羽根:なし
ピントリング:なし
マウント:改造Dマウント
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。


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[レビュー]
 「家畜人オークション(仮名)」で3個1組、安いフレンチのディナー1回分という、随分高い値段で落札したのは、「藤(仮名)」のDマウントが存在したことに驚いたからだった。あったのだ、という驚きと喜びだった。
 ところが実際に家に来たのはガラス板の嵌った標準レンズの鏡胴と、後玉のない広角・望遠レンズの鏡胴だった。
 鏡胴の長さを考えればすぐ分ることだったのだが、よほど興奮していたのだろう。
 これらのレンズは取り敢えず「ノンプロ(仮名)」の同種のレンズのために作成したレンズ付きのアダプターに嵌めると取り敢えずの像は結んだものの、後玉が「藤」でなければこれは「藤」と名乗ることもできないレンズである。

 つい最近になって急に閃いた。
 私はレンズ固定式の「富士子シングル(仮名)」から取り出した「不治?Non!13mm」を幾つかレンズ箱で保管(放置)している。
 これをガラス板しか嵌っていない鏡胴のガラス板を外してその後に嵌め込んだらどうだろうか。
 こうした考えのもと誕生したのがこのレンズである。

IMGP8111

 勇んで遠景を撮ったものの、なにせF1.1固定だから、光が入り過ぎである。

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 多少陽光を避ける構図でもやはり明るすぎてピントがはっきりしない。

IMGP8105

 多少近景になると少しははっきりするか。それでもやはり明るすぎる。「日陰者」である。

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 近景だとどうにか見られるか。

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 赤の不自然な浮き上がりがないのは比較的新しいレンズだからだろう。

IMGP8108

 近景でも太陽の位置を気にしないとぼんやりしてしまう。

IMGP8117
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 本来2つのオブジェとも艶々した対象なのだが、ちっとも冴えない。

IMGP8121

 近景の植物は何とか見られるか。

IMGP8123

 構図次第では回転するが、割と珍しい現象である。

IMGP8125

 太陽を背にして、ちょっと陰った時にやっとすっきりした写真が撮れた。

 まとめると、光が入り過ぎて昼間の遠景撮影は厳しいレンズである。早朝などの近景撮影に使える程度か。期待外れであった。

[追記
IMGP8412

 光の入り過ぎをどうにかできないかと、レンズの前に突き出した部分と鏡胴との間を黒ゴムの接着剤で埋めてみた。これで外観はとてもみっともない代物になってしまったが。

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 だがこの改造で光の入り過ぎはかなり緩和された。相変わらず明るいがややすっきり感が出てきた印象である。
 是非プロの人の手で現代に蘇らせてほしいレンズである。

[駄文]
 「藤フイルム(仮名)」の設立は日本プロ野球の創立と同じ昭和9年(1934)だから随分古い会社である。
 現在のカメラ界ビッグ3の「加農(仮名)」「ニコニコ(仮名)」「藤」はいずれも戦前の創設で、戦時中は軍に製品を供給していたという点が共通している。つまり、戦後に勃興した会社と違い、戦時中に軍用器械を作ることにより戦後の発展のための資本や技術の蓄積が出来たわけだ。
 「わーい!バル行こ(仮名)」のHPには「戦争が我が社を発展させた」という旨のはっきりとした記述があるが、この点、日本の会社は沿革の部分で戦時中の自社の動きについてモゴモゴ口ごもった感じの記述をしているのは、日本の戦後が米軍の占領に伴って戦前をほぼ全否定する形で始まったからだろう。
 だが、技術は突然飛躍したり断絶したりするものではなく、連綿と続いていくものである。「我が社は戦争でボロ儲けした」などとは勿論書けないだろうが、技術的にどう進歩していったかということについてはもう少し率直な記述がほしいものだ。
 たとえば同じくらい歴史が古かった「頭脳」の戦後の素晴らしいレンズ群は明らかに戦前からの技術の蓄積が花開いたものである。
 私は「藤」の同種の技術をDマウントで体感することにはまだ成功していない。模索は続く。

カメラ河童のシネレンズ図鑑35-25mmDマウントシネレンズまとめ改定--(愛すべき機械たち)

25mmDマウントレンズ

[コレクション自慢]

 レンズ名をクリックすると各レンズの項目に飛びます。

KERN-PAILLARD 25mm F2.5
IMGP7081

REXER TELE 25mm F1.9
IMGP7073

 以下は25mmレンズおよびそれに準ずるシネレンズに関して知り得ることである。推測も多いのでシネレンズファンの御意見を取り入れて改定したいと思っている。

KINO-SANKYO 25mm F1.9
IMGP7602

【レンズの意義】
8mmフィルムカメラの望遠レンズ。

【25mmレンズの製造会社(Dマウントのみ)】
〈国産〉[五十音順「株式会社」除く]
瓜生精機(ブランド:CINEMAX)
オリンパス光学工業株式会社(ブランド:CINE-ZUIKO)
キヤノン株式会社(ブランド:CANON LENS C-8)
ズノー光学工業株式会社(ブランド:ZUNOW-CINE,ZUNOW-ELMO)
レクサー光器(ブランド:REXER)
〈舶来〉[アルファベット順]
Kern&Co.AG [瑞西](ブランド:Kern-Paillard YVAR,Kern-Swittar)

【鏡胴デザインの変遷】
〈形態〉
フジツボ型orバベルの塔型(1950年代)→筒型orアサガオ型型(1960年代)
〈色彩〉
オールクローム(1950年代前半)→クローム黒ストライプ(1950年代後半・1960年代前半)→クローム黒ゼブラ(1960年代後半)→ブラック(1970年代)

【マウント】
Dマウント:内径15.675mm (5/8inch)、ピッチ0.794mm(32山/1inch)、フランジバック12.29mmのねじ込み式マウント。
 またはカプラによりDマウント変換し得るマウント、たとえばバヨネットマウント(CANON)。

【ピントリング】
1.6feet~無限遠
1feet=0.3048m

【絞りリング】
F1.1~F28
F1.9~16のものが多い。
クリックするタイプと無段変換タイプがある。

【実用撮影可能なデジタル写真機】
PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。CANONのシネレンズにはDマウント変換するカプラが必要。

【判明している種類(Dマウントのみ)】
〈国産〉[アルファベット順'CINE'除く]
CINEMAX 25mm F1.4
CANON C-8 38mm  F1.8
REXER 25mm  F1.1
REXER 25mm  F1.2
REXER 25mm  F1.4
REXER 25mm  F1.5
REXER 25mm  F1.9
ZUNOW-ELMO 25mm  F1.1

【筆者が確認済みのバリエーション】
〈国産〉[アルファベット順'CINE'除く]
CANON LENS C-8 F1.8
:筒型ストライプ
REXER TELE F1.9
:筒型ゼブラ
ZUNOW-ELMO F1.1
:アサガオ型オールクローム、アサガオ型ストライプ
〈舶来〉[アルファベット順]
Kern-Paillard YVAR
:フジツボ型ストライプ

 [まとめ]
 25mmはCマウントシネレンズの標準レンズという位置づけで「アンニュイー(仮名)」のものなどは世界的に有名だが、Dマウントのものは望遠レンズになる。こちらは38mmと違って種類も数も少なく、マイナーなレンズである。
 実際画角が狭いのであまり多くの情報を一つの画面に入れられないし、かといって手元に見えるほど対象を拡大できるわけでもないので、ちょっと使い道に迷うレンズである。

 13mmとの比較でいえば、あとちょっと対象が大きいといいな、という場合であり、38mmとの比較でいえばもう少し画角が広いといいな、という場合であろう。後38mmにはDマウントにしては大きくて重いレンズが多いので、もう少し軽くて小さなレンズが欲しいという場合か。

 これらの条件を総合すると、「あまり近づけないもの」「動くもの」を「風景の中に入れたいとき」ということになる。

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 つまり、あまり近づくと危険のある大型動物や、

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 群れで上空を飛んでいる鳥や、

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 近づくと逃げてしまう中型~大型の鳥などがそれに当たるか。いわゆる「鳥撮り」には随分使った。

 本当はポートレート向きだとも思うが、これは肖像権やプライバシーの問題で公に出来ないのが残念である。

 いずれにせよあらゆる場面で使えるという万能レンズではない。

 6.5mm, 13mm, 38mm,と3本ポーチに入れていて後1本、というとき、25mmか135mmかということになると、国産の重い奴だったら135mmより軽くて小さい25mmということになるかもしれないが、「木星11号(仮名)」のようなアルミの削り出し鏡胴で軽い奴ならば私は135mmを選ぶ。
 事実そうやって私のポーチからは25mmが消えていったのだ。

 ただ、残っている写真を見ると意外に出来がいい。
 「これでしか撮れない」という条件ではこちらも頭を絞って考えるからだろう。

 もっといろいろ使い方を考えたいレンズではある。

 

カメラ河童のシネレンズ図鑑54-WALTZ WIDE ANGLE 6.5mm F1.4 改訂- (愛すべき機械たち)

WALTZ6.5mmF1

 WALTZ WIDE ANGLE 6.5mm F1.4

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製造:ワルツカメラ社
製造時期:1960年代(推定)
レンズ構成:レトロフォーカスタイプ(推定)
鏡胴デザイン:ビアグラス型・オールクローム
焦点距離:6.5mm
開放値:1:1.4
絞りリング:反時計回り:F1.4,2,2.8,4,5.6,8,11,16の8段階
絞り羽根:8枚
ピントリング:なし
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

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[レビュー]
 「メリケンサック13mmF1.9(仮名)」「贅だ38mmF1.9(仮名)」とともに1本が昼食1回分くらいの値段で我が家にやってきたレンズである。
 同じ「ヨハン・シュトラウス(仮名)」の6.5mmF1.9は既に持っているのだが、F1.4は初めてである。違う焦点のF1.4から考えても、相当暴れることは予想できた。
 この個体は保護フィルターが標準で嵌っているのだが、これは鏡胴を延長してケラレの原因になりそうだったので、この試写では外してある。

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 やはり。
 収差が物凄く中心に向かってぐにゃりと収斂していく画像である。

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 逆光になるとその絡繰りが明らかになる。光がこうやってセンサーに入ってきているのだ。

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 直立しているものはぐにゃりと曲がる。

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 ここは「オバQ」とDマウント6.5mmを組み合わせたときの得意技である「画面一杯接写」でレンズの実力を確認するしかあるまい。
 F1.4では「周辺の流れ」という状態になるが、ピント部分はなかなかしっかりと捉えている。

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 F5.6まで絞るとほとんど流れとまでいえる写りはなくなる。意外なことにケラレと云えるほどの周辺減光はない。

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 さすがにF11だとケラレらしきものが現れるが、それにしても目立たない。

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 次は発色。
 白は若干滲むか。

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 赤の浮き上がりはもう「想定内」である。

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 紫はやや弱い。白っぽすぎる。

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 Dマウントお得意の回転(グルグルボケ)は現れる時と現れない時がある。開放に近い絞りで中心に単独の被写体を置いた時に現れるようだ。

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 黄色やオレンジは上出来の発色か。

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 お地蔵さんを撮ってみたら、まあ、祠の収差が半端ない。
 どんな設計してるんだという状態である。
 ポートレートを撮ったらとても面白いか本人が激怒するような写真だろう。

 まとめると、ケラレと云えるほどの周辺減光はほとんどなく、常使いの広角レンズにしたいところだが、収差が酷すぎる。もう少しいろんな場面で使ってみて判断したいレンズである。

[駄文]
 「ヨハン・シュトラウス(仮名)」はどういう訳か私の持っている個体は状態が悪く、「これがシュトラウスだ!」と胸を張れるような写りをお目に掛けられなかったが、これはそれに近いものではないだろうか。何よりケラレがない(少ない)のが取柄である。絞ってもトリミングなしで済む6.5mmは初めて使った。「頭脳(仮名)」や「讃(仮名)」よりも周辺減光が少ない。
 これだと「べらりミーちゃん(仮名)」ならば隅々まで鮮明に写る広角本来の写りが期待できるのではないだろうか。
 最近無暗に「「べらりミーちゃん」が欲しい。6.5mmをストレスなく使いたいからだ。だが、中古市場では見ない。写真だけが残る「sold out」である。

カメラ河童のシネレンズ図鑑36-MAIKAR 6.5mm F1.9 WIDE ANGLE D 改訂-(愛すべき機械たち)

MAIKAR 6.5mm F1.9 WIDE ANGLE

 MAIKAR 6.5mm F1.9 WIDE ANGLE D



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製造:国際ホト(ユナイトカメラ社)
製造時期:1960年代(推定)
レンズ構成:レトロフォーカスタイプ(推定)
鏡胴デザイン:ビアグラス型(コカコーラボトル型)・オールクローム
焦点距離:6.5mm
開放値:1:1.9
絞りリング(前):時計回り:F1.9,2.8,4,5.6,8,11,16の7段階
絞り羽根:6枚
ピントリング:なし
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。


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 このレンズは3個1組でターレットに嵌って我が家に来た時、絞りリングが完全に固着して不動であることに気付いた。F5.6の目盛りのところである。
 これが13mmや38mmならば私もそこまで気にしなかっただろう。私はこれらのレンズを大抵F4かF5.6で使うからだ。

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 だが、6.5mmレンズでこれをやられると大いに困る。
 遠景を撮ったとき酷いケラレが現れるからだ。

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 これを周辺減光に気を遣ってトリミングすると、もう完全に構図が変わってしまう。上の写真など左下の自動車が消滅しかかっている。

 試写の日は生憎の雪だったが、これだけ周囲が暗いのにこれだけケラレが目立つのだ。
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 晴れた日だと殆ど潜望鏡である。

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 青空の写り込んだ写真だったら四隅の黒ずみを無くすためには「ウルトラズーム」してトリムしなければならない。もはや撮りたかったのと別の写真である。
 「雪の翌日で車が少なかった」という情報が完全に消えてしまった。

 仕方がない。風景写真は諦めるしかない。

 こういうレンズを生かす道は一つしかない。
 花や虫を接写して画面一杯を対象物で埋めることだ。

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 それでもなお四隅のケラレは目立つ。せめて全開放で固着していてくれたらどうにかなったのに。

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 もう少しトリミングすると、どうにか目立たなくなった。

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 これはここまでやってしまうと顔がデカく写った証明写真のようになってしまうので、真ん中の写真位が限度だろう。

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 もう少しケラレが少なければこういう構図では特性を生かせるのではないかと思えるのだが。

 まとめると(これだけでまとめられないが)、赤も緑も自然な色で、発色はおそらく良い。したがって絞りがちゃんと動くものであれば十分使えるのではないかと思う。

[駄文]
  「My Car(仮名)」というブランドに関しては「国際ポト(仮名)」または「トゥナイトレンズ(仮名)」という会社が製造したということ以外にネットに何の情報もなく、「国際」と「トゥナイト」がどういう関係かすら分からない。もとかするとOEMと言われる関係だったのかもしれないが、兎に角わからないというほかない。
 ただ、「My Car」の銘では色々な焦点距離と開放値のシネレンズが作られているから、当時は結構名の知れたレンズ会社だったのかもしれない。
 Cマウントの方は標準25mmが小さな会社の忘年会だったら賄えてしまえそうな値段で落札されていることがあるから、知る人ぞ知るユニークなレンズを作っていた可能性が高い。
 ただ、「頭脳」ほどには高くないからやはり現在では無名と言っていいだろう。
 私の個体はF5.6固定で、ピントリングは元々なく、合焦はアダプターのねじ込みでやるしかなく、試写は雪の日で、スポーツに喩えれば手足を縛られてボクシングの試合に出るような撮影条件だったのでまるで参考にはなるまい。
 ただ、山茶花の赤と葉の緑の発色はとても自然で良かったから、絞りが完全な物をお持ちの方は作品を提供していただくと幸いである。兎に角あまりにも情報のないレンズである。

カメラ河童のシネレンズ図鑑26-Sun WIDE ANGLE 6.5mm F1.9 D 改訂-(愛すべき機械たち)

Sun6.5mmF1.9

 Sun WIDE ANGLE 6.5mm F1.9 D


IMGP7047


製造:サン光機株式会社
製造時期:1960年代(推定)
レンズ構成:レトロフォーカスタイプ(推定)
鏡胴デザイン:ビアグラス型・オールクローム
焦点距離:6.5mm
開放値:1:1.9
絞りリング:反時計回り:F1.9,2,2.8,4,5.6,8,11,16の8段階
絞り羽根:6枚
ピントリング:なし
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

IMGP7040

IMGP7043

IMGP7044

[レビュー]
 入手経緯不明(記憶にない)のレンズである。おそらく8mmカメラのターレットに3個ひとからげで嵌っていたレンズなのだろう。
 こういう場合まず標準、次に望遠の状態を診る。
 はっきり言って広角にはあまり興味がない。

IMGP7338

 これは偏にこのレンズと我が愛機「ペンテコステオバQ」の組み合わせで発生するケラレによる。
 折角綺麗に撮れた写真も周囲をトリムしないと使えず、そうすると構図が変わってしまうのだ。
 さらに画面が荒くなる。

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 したがって、回転(ぐるぐるボケ)が気にならない人であれば思い切り接写するのもいいと思う。このレンズは6.5mmレンズの中では最もケラレが目立たたないレンズの一つだと思う。

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 陽光の中だと幻想的な写真になる。

IMGP7327

 また、空を撮る場合でも木陰などから見上げる構図だとこれまたケラレはほぼ無いに等しい。

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 ただし、この時代のレンズの通弊なのか白はやや滲む。

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 また、赤がどうも人工的で浮き上がる。

IMGP7328

 黄色もそういう状態になることがある。

 まとめると、近景で構図を十分配慮すればいい感じの写真が撮れるが、遠景、特に明るい場所ではケラレがあるから最初からトリミングを前提に十分構図を考えて撮るべきレンズだと思う。
 レンズそのものは非常にいいものではないか。

[駄文]
 「讃(仮名)」のレンズは望遠と広角の2つしか所有していないし、どちらのレンズもその入手について定かな記憶がない。
 しかし、どちらのレンズもなかなかの写りであることに気づいたのはかなり経ってからである。
 これはもしかすると過去の所有者もこれらにあまり関心がなく、あまり使用しなかったために状態が良いという皮肉な事情によるのかもしれない。

 このレンズを作った「讃光機」は私の生まれた1961年に創立され、大学の4回生だった1984年に倒産している。
 「讃」は出資者が3人いたからなのだそうで、ちょっとつまらない由来である。
 また、ネットで調べた限りではズームレンズがその主力製品で、シネレンズは片手間仕事だったようで標準の13mmレンズは市場で全く見ない。

 もし13mmの「讃」があったとしたら、レンズ1個には普通の勤め人の昼飯一杯分以上出さない、という自分ルールを破って手に入れたいレンズである。

カメラ河童のシネレンズ図鑑25-KINO-SANKYO 6.5mm F1.9 D 改訂-(愛すべき機械たち)

KINO-SANKO6.5mmF1.9

 KINO-SANKYO 6.5mm F1.9 D

IMGP7038

製造:市塚光学(三協精機株式会社製造の8mmフィルムカメラに供給)
製造時期:1950年代(推定)
レンズ構成:レトロフォーカスタイプ
鏡胴デザイン:ビアグラス型・オールクローム
焦点距離:6.5mm
開放値:1:1.9
絞りリング(前):反時計回り:F1.9,2.8,4,5.6,8,11,16の7段階
絞り羽根:8枚
ピントリング(後ろ):反時計回り:7inch~
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

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[レビュー]
 つくづく美しいレンズだと思う。
 我が家には「歩こう(仮名)」の13mm, 38mmと一緒に8mmカメラのターレットに嵌って3本で牛丼1杯分くらいの値段でやってきた。
 それがこの「紀伊國屋門左衛門6.5mmF1.9(仮名)」である。
 カチカチという絞りのクリック感、オールクロームのビアグラス型の鏡胴など、高級感溢れる外観はまだDマウント沼に足を踏み入れる前の私を魅了するに十分だった。
 6.5mmには珍しくピントリングを備えているのも好ましかった。

IMGP5951

 しかし、美しい風景を撮ってみると、がっかりした。
 画像の四隅が大きく黒く欠けていたからだ。写真ファンのいうところではこれは「ケラレ」というらしい。「ペンテコステオバQ」が登場するまでDマウントレンズが打ち捨てられて顧みられなかったのも、この現象のせいらしかった。

IMGP5951t

 もちろんデジタル写真であるからトリミングすればケラレ部分は取り除けるのだが、もともと自分が欲しかった構図とは違うものになってしまう。本当に撮りたかった構図から「ズームアップ!」して切り取った写真のようだ(ようだではなくそのままである)。
 画像の肌理も元のものより荒くなってしまう。

IMGP3660

 この弱点が特に目立つのは海や空などの明るい青を撮る時である。もはや20世紀初頭の写真をカラーに着色したもののようだ。

IMGP3686

 群生している花なども厳しい。これはこうしたものを日向で撮るときは絞る必要があるからだろう。ケラレは絞ると一層酷くなるのだ。

IMGP3686t

 トリミングするとどうしても写真の奥行きというか立体感が弱くなってしまう。この写真などは相当部分を切り捨てたがそれでも周辺の減光が分かる。

IMGP6811

 赤があざといのはこの時代のレンズにはよくあることだ。

IMGP6795

 薄暗いところから空を見上げるような構図だとケラレが目立たない。これを生かすしかないか。

IMGP6781

 たくさん撮っている間に気付いた。どうも白いものを撮るとトンネル効果で中心が浮き上がってくるようだ。

IMGP6792

 開放だと回転(ぐるぐるボケ)もありである。

IMGP5780

 とりあえず私がベストだと思うのはこの「昭和の路地裏」である。

 まとめると、暗いところで白っぽい物を構図の中心に置いて撮るとこのレンズの特性が生かせそうである。なかなか撮影条件の絞られるレンズだ。

[駄文]
 私は「KINO」銘の入ったレンズはつい最近まで存続していた同名の光学会社の制作したものかと思っていたが、Dマウントレンズの歴史について調べてみるとどうもこれは私の勘違いのようで、「一里塚(仮名)」という、60年代くらいまであった会社製らしい。
 それにしても、レンズとしての出来は私の持っているものはどれも素晴らしい。スペックとして高性能なだけでなく、実写してみても納得のいく写真が撮れる。
 したがってこの6.5mmと13mmはよく持ち歩くレンズである。
 「一里塚」は38mmも作っているようなので、そのうちに巡り逢えるのではないかと楽しみにしている。








カメラ河童のシネレンズ図鑑12-CANON LENS C-8 13mm F1.8 改訂-(愛すべき機械たち)

CANON 13mm F1.8 C-8

CANON LENS 13mm C-8 F1.8 


IMGP6318

製造:キヤノン株式会社
製造時期:1960年代(推定)
レンズ構成:ペッツバールタイプ4枚(推定)
鏡胴デザイン:アサガオ型・クローム黒ストライプ
焦点距離:13mm
開放値:1:1.8
絞りリング(前):時計回り:F1.8,2,2.8,4,5.6,8,11,16,22の9目盛り
絞り羽根:6枚
ピントリング(後ろ):時計回り:1.5feet~
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではC8→Dマウントのカプラを装着して更にD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機にはC8→Dカプラを装着した後装着。カプラが入手できない場合はアダプターを自作するしかないが、8mmごと入手した場合にはターレットのネジコミ部が取り外せるからその部分を加工してD→Qマウントアダプターに接着すればPENTAX Qシリーズに装着可能となる。


IMGP6304

IMGP6309

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 今をときめく「加農(仮名)」もシネレンズを作っていた。
 ただし、Dマウントではない。何とこの大きさでバヨネットマウントである。したがってこのままでは「加農」の8mmにしか付けられない。Dマウントのカメラに付けるためにはCANON→Dのカプラが必要である。

 このレンズはもう1個の望遠レンズと共に8mmに付いていたものを普通の勤め人の昼食1回分くらいの値段で手に入れた。件のカプラは通販などでも見たことがなく、希少性の高いものだと思われるから、本体よりずっと高くついてしまう。
 幸いこのレンズが付いているカメラのターレットのマウント部分は取り外しが可だから、これを加工してD→Qマウントアダプターに接着することでこのレンズ専用のアダプターを自製することができた。

 ただし、素人細工であるから無限遠が出ない。

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 かなり絞れば「無限遠もどき」は出るが、全開放だと遠景はボケたままである。
 金銭に余裕のある人はカプラを買った方がいい。

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 近景はちゃんと写る。白の滲みもない。

IMGP0657

 絞りがカメラの本体内になくて良かった。もしそうだと折角改造して「オバQ(仮名)」に嵌められるようにしても、常時全開放の「日陰者」のレンズになってしまう。
 こんな真夏の陽光の中でこんなキリッとした画像は到底覚束ない。

IMGP0678

 青空を写してみると周辺減光が僅かにあるが、気になるほどではない。
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 この特性は写し方次第では中心の対象を際立たせる効果がある。弱点は撮り方によって強みに変えられる。

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 光に強いレンズではない。


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 早朝の逆光での撮影だとハレーションが画像に対する感動を削いでしまう。右下の紫色のそれさえなければなかなか綺麗な映像なのだが。

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 早朝に向くレンズではないか。

IMGP0651

 赤が際立ち過ぎて人工的になる反面、

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 緑はとことん地味になる。この特徴を生かした素材はないものか。

IMGP0482

 ところで、Dマウント特有の「回転」は殆ど現れない。この項を書くためにこのレンズで撮った数百枚の写真を見たが、それが明らかに出現しているのはこの写真1枚きりであった。

 まとめると、「全体としては良い」という画像に仕上がっていると思う。結果としていえば、私は改造アダプターのために無限遠の出ないこのレンズでやたらと写真を撮っている。

 これが「加農」の特色であり、現在まで世界的なカメラ会社として生き残ってきた秘密なのかもしれない。

[駄文]
 「加農」は昭和8年(1933)、精機光学工業株式会社として設立された会社だから、もう87年の歴史を刻んでいる。創業者の一人が「ほのぼのライカ(仮名)」の模倣品を作ったところから始まるらしいから、最初からのカメラ会社である。

 これだけの古い歴史をもつ会社の常として、製品の博物館を持っているのだが、この博物館のネット版で検索しても、このレンズは見つけられない。

 これがシネレンズというものなのだろう。「加農」にしてみればスチールカメラのレンズに銘玉が幾らでもあるわけだから、ちっぽけなシネレンズになどいちいちかかずらわっていられないのかもしれない。しかし、今や静止映像よりより動画の方がよほどSNSなどで使われているのだから、「御先祖様」のお墓にもたまには参ってみたらどうだろうか。

 折角いいレンズなのだから。

カメラ河童のシネレンズ図鑑11-Kern-Paillard Switzerland YVAR 12.5mm F2.5 D 改訂-(愛すべき機械たち)

YVAR12.5mm

 Kern-Paillard Switzerland YVAR 12.5mm F2.5 D

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製造:Kern-Paillard Switzerland
製造時期:1950年代(推定)
レンズ構成:ペッツバールタイプ4枚(推定)
鏡胴デザイン:バベルの塔型・クローム黒ストライプ
焦点距離:12.5mm
開放値:1:2.5
絞りリング:時計回り:F2.5,2.8,4,5.6,8,11,16,22の8目盛り・無段変換
絞り羽根:6枚
ピントリング:なし
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。


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 私の持っているDマウント標準レンズでは唯一の舶来である。

 製造元である瑞西の「蹴るん社(仮名)」には超高級品である「好いた-(仮名)」があり、私のような貧乏人には一生縁がないが、Dマウントは「わーい!バル行こ(仮名)」というブランドで、こちらはたまに1日三食とも外食したくらいの値段で「家畜人オークション(仮名)」などに出ていることがある。

 この12.5mmも牛丼3杯分くらいの値段で入手できた。8mmカメラに嵌っていたからさぞ酷い状態なのだろうと思っていたが、来てみたらちゃんと写るレンズだったので驚いてしまった。

 ただしこの12.5mmはもっと高値で売られている13mmと違ってピントリングがない。したがってD→Qマウントアダプターのねじ込みを使ってピントを合わせなければならない。
 幸い私は「カリガリ博士市場(仮名)」でD→QとC→Qの「ちゃんとした奴」をたまたま入手することができたので、この作業にあまりストレスを感じない。これは元の値段の1/3くらいで出ていたので、本当にラッキーだった。きっとどこかの金満家がシネレンズ遊びに飽きたのだろう。
 もし某国製の安物アダプターだったらガタツキが出てイライラしたに違いない。

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 たまたまこのレンズが家に来た翌日が休日だったので、気晴らしがてら天草にドライブに行き、試写することにした。最近はこういう人と接触しない小旅行ばかりである。これは職業柄仕方がない。

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 まず第一印象。暗い。特に四隅が減光する。Dマウントは元々カタログ値より暗く感じるが、これは開放値が2.5だから一層暗く感じる。
 まあその分カッチリした印象にはなるが。

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 被写界深度やや浅めである。絞りF5.6でも奥がボケる。
 逆光の11時くらいだから人間の眼には眩しくて仕方がないのだが、その光はこのレンズには入って来なかったかのようだ。その分光に強いとも言えるが。

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 暗いレンズなのを逆手に取ってF8まで絞ると逆に陽光が強調された。こんなことって理論上あるのだろうか。

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 日に照らされた建物を撮るとやや収差が目立つ。これもF5.6だからもう少しキリッとしてもよさそうだが。


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 花壇一面の花を撮るとF4なのに回転する。やはり小さいレンズは回転傾向にあるな。

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 周辺減光も逆手に取れば中心の被写体を際立たせる効果がある。

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 まだ意識して撮るところまで行っていないのだが、このレンズは突然山水画並みの奥行きが出る。冒頭の絵の元になった写真はこの日一番の出来ではないかと思っているところだ。
 レンズを生かすも殺すも撮り方次第である、と最近思うようになった。

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 撮りたいものをドーンと目立たせるにはとても適したレンズではないだろうか。たぶんポートレートなどは地味めの人でも際立ちそうである。


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 開放で撮っても白の滲みもなし。ますますポートレート向きのような気がする。


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 ということで地蔵さんのポートレートを撮ってみた。やはりもう少し光が欲しいところか。

 まとめると、やはり舶来レンズは上等舶来であった。やや暗いものの、シャープな画像だし、周辺減光を逆手に取れば中央の被写体が目立つ。そして撮り方次第で山水画並みの奥行きが出る。旅の風景が脳裏に刻みつく。しかも小さいので邪魔にならないし、旅のお供にいかがだろうか。

[駄文]
 信じられないことに、このレンズを作った「蹴るん社(仮名)」について、日本語で検索してみても殆ど情報がない。1819年に創立された、ということと、Paillard-Bolexという1930年に創立されたシネカメラ会社にレンズを供給していた、くらいしか分からない。カメラマニアの間ではそのレンズが有名で、とんでもない高値で取引されているにもかかわらず、である。

 仕方がないので苦手な英語(私に英語を習った人たちごめんなさい)で検索してみると、もう少しわかった。独逸(瑞西と関連が深い)のとある会社のHPがヒットし、そこで「蹴るん」について書かれていたからだ。

 「蹴るん」のレンズ部門の創設はもう少し遅く、1914年、つまり第一次世界大戦の開戦の年である。近代戦争はレンズを必要とする。銃や砲などの飛び道具で殺したり破壊したりする対象をできるだけ遠くから鮮明に捉える必要があるからだ。
 その後、ケルン社は再び発展の機会を迎えるが、それは1940年、またも戦争中である。今度は第二次世界大戦である。
 このあたり、このHPの描写は臆面がない。私が因縁を付けていると思われると嫌なので、原文を掲げておく。
[原文]
 Research and improvements in optical engineering required from the demands of World War II resulted in the line of Kern Switar and Yvar lenses. 
[日本誤訳]
 第二次大戦によって喚起された需要への研究と改善は「好いたー」と「わーい! バル行こ」のレンズを生み出した。

 このレンズの独特の描写はこのような思考過程で生まれてきたものなのかもしれない。

カメラ河童のシネレンズ図鑑6-Cine-NIKKOR 13mm F1.9 D 改訂-(愛すべき機械たち)

Cine-NIKKOR 13mm F1.9

Cine-NIKKOR 13mm F1.9 D 


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製造:株式会社ニコン
製造時期:1950年代(推定)
レンズ構成:ペッツバールタイプ4枚(推定)
鏡胴デザイン:フジツボ型・オールクローム
焦点距離:13mm
開放値:1:1.9
絞りリング(前):時計回り:F1.9,2.8,4,5.6,8,11,16の7段階
絞り羽根:6枚
ピントリング(後ろ):反時計回り:1feet~∞
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

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[レビュー]
 「メリケンサック1/2フィート(仮名)」を除けば世界で最小級のガタイを持つ標準レンズである。
 「メリケンサック」は絞りだけでピントリングを持たないから、ピントリングを持つレンズとしては世界最小だと思う。
 我が家には普通の勤め人の昼飯1杯分くらいの8mmカメラにくっついてやって来た。結構汚れていたからかなりの手入れが必要だった。

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 「歩こう13mmF1.9(仮名)」と同じくフジツボ型の鏡胴を持つレンズは開放に近い絞りで撮ると強い回転(グルグルボケ)を見せる。 


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 ただ、それだけではない。
 このレンズはピントの合った対象物をシャープにとらえる能力がある。トマトの咢の綿毛を見て頂きたい。今から70年近く前のレンズとは思えないほどの描写力である。

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 さらに条件次第ではこんなお茶目な写真も製造する能力がある。



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 ただし名前が「日光る(仮名)」の癖に日光に弱く、F4のままで逆光になると(私の個体だけかもしれないが)すぐに右下の1/4ほどに収差による流れが現れてしまう。

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 ピントも緩いので天気がいい日の昼の遠景を撮るのには結構苦労する。また、小さいレンズにありがちな四隅の減光も気になるところだ。

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 このレンズはとても小さいので旅の友にという誘惑に駆られやすい。しかし、1年ほど前の韓国旅行ではこのレンズをお供に持って行った結果は、ほとんどすべての写真ががピンボケであった。もっとも人の顔を撮ってもいちいちボカシをかけなくて良かったので結果オーライだったが。少なくとも私の持っている個体は旅には向かない。これは入手した時の状態が悪く、かつ素人が手入れしたことも少なからず影響しているかもしれない。

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 しかし、黄昏時になると俄然元気が出てくる。昔「5時から男」というのがあったが、「5時からレンズ」である。


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 夜の街を撮るのには結構いい感じのレンズである。
 ちょうど酔客の眼が捉えた映像のようだ。

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 また、夜明けの空を摂る時には周辺減光が目立たず、むしろ中心部にスポットを当てて神秘的になる。

 まとめると、花を撮ったり、夜明けや黄昏の風景を撮ったりすると個性的な写真が出来上がる楽しいレンズだが、旅先にこれ1本だけ持っていくとちょっと後悔しそうだ。

 外見と同じく実に個性的な写りをする楽しいレンズである。

[駄文]
 「日光る(仮名)」は現在でも数多くのカメラ製品を世に送り出している「ニコニコ(仮名)」の代表的なブランドである。
 「ニコニコ」の歴史は古く、創業は大正6年(1917)まで遡る。露西亜革命が起こった年であるから、いかに長い間存続してきた会社かが分かる。
 したがって「日光る」銘で製造されたレンズは数多あり、伝説となったレンズもまた両手では数え切れない。
 戦争中に作られたレンズはなんと狙撃銃の照準用であり、旧軍に収められたというから、「頭脳(仮名)」のピンポン玉なみにドラマ性のあるレンズなのだ。
 また、6.25戦争中に「ニコニコ」のレンズを携帯した「ライブ誌(仮名)」の記者たちがその高性能を報告したという逸話も残っている(いずれもWikipediaによる)。
 しかし、多くのDマウントレンズと同じく、この13mmシネレンズについてはどんな経緯で作られたのか、どんなレンズ構成かなど、多くの情報が霧の中である。
 このレンズには鏡胴が筒型黒色のタイプもあるらしく、おそらくこちらはフジツボ型のものより新しいシリーズだと推測される(仮にTtpe2と呼ぶ)。ただし相当希少なものらしく私の買えそうな値段で市場に出たのを見たことがない。
 Type2には同じ筒型の25mm望遠とラッパ型の6.5mm広角もあるらしいが、これはもっと希少で、リアルタイムで売っているのを見たことがないから、一生縁がないだろう。まあ13mmがたまたま手に入っただけで満足である。

カメラ河童のシネレンズ図鑑3-Zunow-Elmo Cine13mm F1.1 D 改訂-(愛すべき機械たち)

ZUNOW-ELMO CINE 13mm F1.1 D

ZUNOW-ELMO CINE 13mm F1.1 D

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製造:ズノー光学工業株式会社(株式会社ELMO社製造の8mmフィルムカメラに供給)
製造時期:1950年代(推定)
レンズ構成:ペッツバールタイプ4枚(推定)
鏡胴デザイン:バベルの塔型・オールクローム
焦点距離:13mm
開放値:1:1.1
絞りリング(前):反時計回り:F1.1,1.4,2,2.8,4,5.6,8,11,16の9段階
絞り羽根:6枚
ピントリング(後ろ):時計回り:1feet~INF
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

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[レビュー]
 「クセ玉」としてシネレンズファンに愛されてきたレンズである。
 私が所有しているあらゆるレンズの中で最も価格が高い。安いフレンチ1回分くらいの値段で「カリガリ博士市場(仮名)」で入手した。
 人気のレンズなのできちんと整備されたものは小さな職場の飲み会の必要経費くらいの市場価格である。
 私は同じメーカーのF1.9(普及版)の写りからF1.1の「クセ玉説」を疑っていたのだが、実際に撮影してみると「クセ玉」どころか「暴れ馬」だった。

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 F1.1全開放のままうっかりピント合わせに失敗すると大爆発。

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 構図次第では眩暈のするような大回転。


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 だが、ピントの合った部分はくっきり捉える。

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 この回転はF4までは現れるが、F5.6でピタリと止まる。酔っぱらってヘロヘロになった人が職場の人に会った途端キリッとする感じである。

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 阿蘇のヨナ(火山灰)にかすむ空の色も忠実に再現している。

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 「瑞鷹(仮名)」の13mmに現れるような四隅の減光なども全くない。金属の光沢の質感も十分だ。

 まとめると、開放での暴れ馬っぷりと絞った時のサラブレッドぶりが1つのレンズに共存している、ワクワクさせてくれるレンズである。

[駄文]
 「頭脳光学工業(仮名)」は今から90年前の昭和5年(1930)創業し、昭和36年(1961)倒産しているから会社の存続はほぼ30年。「会社の寿命は30年」説を地で行ったような企業である。
 この会社とレンズを巡るドラマについては既に何度か取り上げた。

カメラ河童のジャンク道遥か30-レンズに歴史あり-(それでも生きてゆく私224)

カメラ河童のジャンク道遥か61-ZunowでないElmoの謎1-(それでも生きてゆく私249)

 それにしてもストーリー性に加えてこのクセ玉ぶりは、人気があるはずである。
 Zunow-Elmoには13mmの他に38mmと6.5mmがある。どちらも希少性のあるレンズらしく、特に6.5mmは殆ど見ない。したがって「貧乏人のオールドレンズ」であるDマウントにあるまじき高値が付いているが、私は購買意欲が湧かない。というのは、38mmは13mmほど写りに会社による違いが感じられない。「香具師呑んべえ(仮名)」の38mmなど極上の写りだし。また6.5mmのように「オバQ」ではケラれてしまうレンズに大金を出す気になれないのだ。

 さらに、13mm,38mm,6.5mmともにオールシルバーの鏡胴の他に黒とシルバーのストライプの鏡胴のものもあるようで、それは更に希少らしいが、レンズは同じもののようなので、これまた買いたいと思わない。

 どなたか図鑑の編纂に賛同してくださるお金持ちの方がレンズの写真だけ使わせていただけないだろうか。

カメラ河童のシネレンズ図鑑2-OLYMPAS Cine-Zuiko 13mm F1.8 D改訂-(愛すべき機械たち)

OLYMPAS Cine-Zuiko 13mm F1.8 D

OLYMPAS Cine-Zuiko 13mm F1.8 D

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製造:オリンパス光学工業株式会社
製造時期:1970年代(推定)
レンズ構成:ペッツバールタイプ
鏡胴デザイン:筒型・ゼブラ
焦点距離:13mm
開放値:1:1.8
絞りリング(前):反時計回り:F1.8,2.8,4,5.6,8,11,16,22の8段階
絞り羽根:6枚
ピントリング(後ろ):反時計回り:1feet~
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。


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IMGP6119

[レビュー]
 シネレンズ市場では「希少」「レア」などと称されて普通の勤め人の飲み代2回分くらいが相場で売られている、シネレンズファンには人気のレンズである。このレンズがお気に入りの人も多いらしく、SNSなどにもよく作例が挙げられている。
 私はたまたま「家畜人オークション(仮名)」で牛丼3杯分くらいの値段で入手した。
 何でこんなに安いのか、売り文句の「訳あり」で推測していたが、その通りだった。
 写真を見れば分かる通り、いわゆる「落下物」である。
 国産の13mmシネレンズ計8種類の中で最後に入手したレンズなので付き合いは一番浅い。したがってこのレンズの性質について書いた以下の文章は後から変更が相次ぐかもしれない。

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 上写真は午後2時ごろ快晴の下でF1.8全開放で撮った写真である。「頭脳(仮名)」のF1.1や「歩こう(仮名)」などだともの凄い回転が起こるのだが、極めて控えめの回転である。

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 F4だともはや完全にカッチリした写りとなる。「歩こう」だとこれくらいの絞りではまだグルグルしているのと比較すると、「DらしからぬD」と言えるかもしれない。


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 こうした構図だとこのレンズの特徴として多くの人が挙げている画面四隅の減光は目立たない。(絞りはF4)


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 太陽を背にして空を構図に加えると僅かに減光が現れるが、私は大陸的な性格なので一向に気にならない。(絞りはF4)

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 逆光で空に向かって撮影したが、この時代のレンズでこうした条件でよく現れるフレアやゴーストも全く出ない。


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 白はやや滲みが出る。(絞りはF4)


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 蜜柑の質感を出すには日向ではF11まで絞る必要があった。


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 芽の出た馬鈴薯はこんな感じ。

 まとめると、Dマウントにしては収差が少なく光に強いレンズといえるだろう。画像四隅のわずかな減光は私は気にならない。
 ただし、これは私の愛機が「ペンテコステオバQ(仮名)」のQ10だからで、もう少しイメージサークルの大きいQ7やQS-1などだと「ケラレ」レベルの減光になるかもしれない。

 また、落下物とはいえ、それが写りに影響しているとは感じられない。お買い得だった。

[駄文]
 「ケムンパス(仮名)」といえば現在58歳の私が物心ついたころから存在している写真機の会社である。Wikiなどで調べてみると、創立は大正8年(1919)だから、実に100年続いた企業なのだ。
 「ケムンパスペン(仮名)」はコンパクトカメラの代名詞だったし、「OH! M-1(仮名)」のCMで起用された京都の寺の坊さんの「ホンマやったら国宝もんや」という台詞は今でも覚えている。
 だから、このレンズを手に入れてからケムンパスについて調べようとググッた途端に出てきた映像部門からの撤退・売却のニュースは衝撃だった。
 もっともこの会社は胃カメラを日本で初めて開発した会社であり、現在では主力事業は医療用の内視鏡らしいから、時代の流れという事なのだろう。

 この図鑑は全国のDマウントファンのみなさん(推定100名)の意見や感想で編纂・改定していきたいと考えています。

カメラ河童のシネレンズ図鑑23-REXER TELE 38mm F1.9 D 改訂(愛すべき機械たち)

REXER38mmF1.9

 REXER TELE 38mm F1.9


IMGP6921

製造:レクサー光器
製造時期:1950年代(推定)
レンズ構成:不明
鏡胴デザイン:円筒型・クローム黒ストライプ
焦点距離:38mm
開放値:1:1.9
絞りリング(前):反時計回り:F1.9,2.8,4,5.6,8,11,16の7目盛り
絞り羽根:12枚
ピントリング(後ろ):反時計回り:3feet(0.8m)~
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

IMGP6923

IMGP6925

IMGP6929


[レビュー]
 確か「カリガリ博士市場(仮名)」で買ったレンズである。
 「訳あり」で出ていて、要はピントリングが動かないらしかった。私は骨董屋ではないので、通常は撮影に支障のあるレンズは買わないのだが、「D→Qアダプターのねじ込みでピント調整すればいいか」と甘く考えて買ってしまった。

IMGP6748

 ところがその日はたまたま人生初というくらいに鴨の群れに接近することができ、彼らが飛んで逃げた後にその撮影に遠景が欲しかったのだ。
 画角が狭い。なかなか阿蘇の外輪山と鴨の群れを同時に捉えられない。

IMGP6749

 無理やり入れてみたが、鴨の方がちゃんと写らない。

IMGP6746

 画像を縦にしてどうにか撮影。F4だが意外にキリッとしている。外輪山が何となくボヤっとしているのは被写界深度の問題ではなく、阿蘇の火山灰とPM2.5の所為である。肉眼で見ても変わらない。

IMGP6989

 しばらくしてもう一度試写してみた。
 まず近景。ピントが駄目になっているので全開放だと合焦させるのがえらく難しい。どうにか合ったか。小さな神社の水汲み場の風景なのに何だか大河の畔で撮っているようだ。

IMGP6994

 鳥居の下から遠景。まあまあか。冬だからか真昼間にF4で撮っても意外にキリッとしている。ただし、モニターにバーッと光が入ってきてまあピントの合わせにくいこと。

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 全開放では回転しなかったのがF4での近景では背景が少しだけ回転しそうになった。

IMGP7000

 F5.6だともう中近だとどこもボケない。

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 夜の空。明るいレンズである。F1.9というカタログ値以上の明るさを感じる。

IMGP7015s1

 笑ったのが夜景である。
 夜の国道に大量の青天白日旗が現れた。さすがは12枚羽根絞りである。やりすぎだろ。
 (上写真はPaint.NETでシャープ1回補正)

 まとめると、開放に近いとしっかりボケるが対象物ははっきり捉え、絞ると隅々までくっきり撮れる。しかし柔らかくて優しい感じがするのは昭和のレンズである。
 ただ、モニターに大量に光が入ってくる上にマウントでピントを合わせなければならなかったので、PCで見るまで写真の出来が分からなかった。
 せめてピントリングが動くやつが欲しい。まあ絞りが動かないよりはマシだが。
[駄文]
 「僕さあ(仮名)」は現在では数少ないDマウントファンの間でも無名のブランドだが、「隠れた銘玉」と言っていいと思う。少なくとも38mmはそうだと感じた。そもそも38mmは比較的写りのいいものがいいのだが、これは一つには画角が狭くて使用場面が限られ、その分使用頻度も低かったことが影響しているのだろう。状態の良いものが多い。
 ところが私の入手した個体はピントリングが完全に固着して不動であり、マウントアダプターのねじ込み部でピント調整しなければならなかった。にもかかわらずこれだけ写るのだから、状態の良いものは相当の写りをすることが予想される。
 「青天白日旗ボケ」には笑った。ボケもいろいろだが、変わったボケの見たい人は是非コレクションに加えてほしいレンズである。

カメラ河童のシネレンズ図鑑46-RESONAR-W 10mm F1.9 Qマウント改 改訂-(愛すべき機械たち)

RESONAR-W 10mm F1.9

RESONAR-W 10mm F1.9

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製造:株式会社セコニック
製造時期:1970年代(推定)
レンズ構成:鏡胴・レンズ分離型
鏡胴デザイン:筒型・ゼブラ
焦点距離:10mm
開放値:1:1.9
絞りリング(本体内):不明
絞り羽根:不明
ピントリング:なし
マウント:不明マウント(Dマウントより1mmほど径が小さい)
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1
装着方法:Qマウント改造した13mmレンズに10mmレンズを合体し、カメラに装着

IMGP7825

IMGP7827

IMGP7828

[レビュー]
 広角レンズだが焦点距離が10mmと通常より長いことから、ケラレが少ないのではないかと期待していた。

IMGP7932

 だが、実際には6.5mmと変わらないくらいにケラレが酷く、かつぼんやりとした写りである。

IMGP7932s4t

 画像編集ソフト(Paint.NET使用)でシャープ機能を4回かけて(これ以上かけると空に変な縞模様が現れる)トリミングしてこの程度の画像である。どうも光軸がズレているらしくよく見ると二重画像である。

 遠景を撮るレンズとしては完全に失格である。


IMGP7938

 また、どういう訳か近景だと中心部がボケてしまう。黄斑変性症の人の視野のようである。ケラレも目立つ。

IMGP7938s3t

 シャープを3回かけても中心部はボヤケたままである。周辺部ではなく中心部がボヤケ(ボケではない)るというのも珍しいレンズと云えなくもないが。
 (以下補正画像)

IMGP8037s4

 広角らしく奥行きを生かそうとしたのだが、ピントがあまりに甘いため何を強調したいのか分からない写真になってしまった。
IMGP8038s3

 もしかするとポートレートでは何か面白い効果が生まれるかもしれない。

IMGP7940s4t

 まとめると、像を結ぶ、という以上のものではない。
 画像を補正したらどうにかなるかと思ってやってみたが、補正で追いつくようなレベルの写りではなかった。

[駄文]
 「世故肉(仮名)」は現在では露出計等のカメラアクセサリーと監視カメラの会社として知られている。
 8mmカメラはこの「理想な、それ(仮名)」の嵌っていた標準レンズ・絞り・ヘリコイドが本体、鏡胴・広角レンズ・望遠レンズが別という、Dマウントからズームへの過渡的なものと、「デュアルマチック」という、これまたマニアックなシステムのものの2種類のようである。
 現在監視カメラを作っているということは、当時からレンズ製作の技術には相当のものがあったはずだが、デジカメでちゃんと写るDマウントかCマウントのレンズがない以上確かめようがない。なにせこの会社の8mmカメラに装着されたレンズはDマウントですらない(1mmほど径の小さい)マウントなのだ。
 このレンズ群に関しても何か智慧のある人がおられたら教えてください。

熊本とりどりの記1-雪の日のカワセミ-(Sea豚動物記)

雪中翡翠

 たまたまの平日の休み。
 妻は仕事である。
 時節柄人混みには行けない。
 急に思い立ってとある湖の畔に出かけた。急に鳥を撮りたくなったのだ。
 最近の私は小さなポーチに愛機「ペンテコステオバQ(仮名)」とDマウントレンズの13mm(標準)、38mm(望遠)、6.5mm(広角)の3本だけを入れて出かけることが多い。それだけ体力がなくなってきて大きなレンズを重く感じるようになったのだ。
 ただ、この日は鳥を撮るのが目的だから、もう1本、できるだけ邪魔にならない超望遠として「木星11号(仮名)」を携え、いつもより大きめのポーチを持ってのお出かけである。

 案の定ほとんど人影はない。知らない人同士だから喋ることもない。分かったか? ん? (誰に凄んでるんだ)

 知っての通り(誰も知らないが)、私の「鳥撮り」の究極の目的は「野鳥界の大スター」カワセミ君である。

 ※文中のカワセミの写真は全てPENTAXQ10,Jupiter11 135mm F2.5で撮影。
なるほどそういうことか

 私は苦心惨憺の挙句やっと6年前に熊本市内の江津湖でカワセミの撮影に成功したのだが、

代わった選手を打球が襲う

 居住する三角の町の波多川ではとうとう上の写真の大きさしか撮影することが叶わなかったのである。

IMGP5077

 だからこの日も翡翠を撮るなどということは予想もしておらず、鴨や、

IMGP5092
(以上2枚はPENTAXQ10,CINEMAX38mm,F1.9Dで撮影)

 椋鳥を撮って喜んでいたのだ。

 ところが、この撮影を二人組のおっちゃんが邪魔するのである。
 邪魔と言っても鳥を追い払ったり私を威嚇したりした訳ではない。
 ただ、私が撮影している傍らをバタバタ走り回っているのである。もちろんこれは私特有の誇張と比喩であって、この人たちが私に向かってエアロゾルを吐きかけたというような心配は全くない。分かったか? あんたもご苦労だな! (だから誰を威嚇してるんだ)

 ただ、この二人がその辺を走り回るものだから、鳥が逃げてしまうのである。
 どうも何かを追いかけているようだ。

 そのとき、私の視野の片隅をちらっと青い影が過った。

 あ、あいつだ。
 私もその二人の走る方向に駆けつける。そこには高そうなレンズの嵌った高そうなカメラが高そうな三脚にセットされていた。
 私も直ぐにスタンバイOK。何せ私のカメラは超軽量の「オバQ」、レンズはアルミの削り出しで135mmとは思えないほど軽い「木星」なのだ。

IMGP5096

 最初の1枚は焦って大失敗。
 もし三角の翡翠のように警戒心の強い奴だったらこの日の写真はこの1枚だけだったろう。
 だが、ここの翡翠は人に慣れているらしい。逃げない。急いでピントを合わせ直して、もう1枚。

IMGP5099

 やった! 成功。
 何となく丸いのはこの日が猛烈に寒い日だったからだろう。

 翡翠はこの写真をものにして0.5秒くらいで飛び立った。動きが素早いので完全に見失う。しかし、ほかの2人は慣れているらしく、「あ、あそこ」という感じで視線を向ける。そうだ、この人達の視線を見ていれば見失わない。

IMGP5109

 翡翠は10mほど離れたところにいた。
 またすぐに飛翔。また見失うが、もう見つけ方はわかっている。

IMGP5121

 ほら、いた。
 寒いからか何だか羽根がけば立っている。翡翠の羽根がこうなっているのは初めて見た。
 また移動。私はベテラン達の視線を視線で追う。
 専門用語でいうところのjoint attentionという奴である。

IMGP5126

 今度は木の枝に止まっている。
 翡翠がこういう水面から高いところに留まるときは捕食動作の前兆である。これから水に飛び込んで獲物をものにする可能性が高い。

 やった。ホバリング(空中静止)である。

 もちろん写真はない。私のような下手っぴいに撮れる訳がない。

IMGP5131

 また違う枝に移動。

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 またホバリング。今度も撮影失敗。私が辛うじて捉えたのは飛び立った瞬間のみで、しかもピンボケである。
 それにしても無茶苦茶に長いホバリングである。おそらく30秒くらいやっていた。それでも撮れないのだから下手の極みである。

 もっとも他の二人も「ちっ!」と舌打ちをしていたから撮影に失敗したらしい。「撮れんもんなあ、これは」という嘆き節が漏れる。

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 今度は花の枝に移って、またホバリング。

IMGP5142

 駄目だ。
 辺りは雪模様。周りが暗いのでシャッタースピードが上げられず、翡翠の素早い動きを捉えられない。

IMGP5167

 結局この写真を最後に、翡翠はどこかに行ってしまった。
 多分私がこの個体を撮影したあの場所に違いない。勿論それが何処かは感染拡大防止のために教えられないが(嫌な奴だなあ)。

 それにしても私の中には翡翠は夏の鳥というのがあって、冬は何処かに行ってしまうのだと思っていたから驚きだった。
 写真に写っている白い斜線は降りしきる雪である。

 「雪の中の翡翠」という熊本ではなかなか撮れない写真をものにするという幸運に恵まれた私だが、大満足、かというと、動いている写真を1枚も撮れなかったので少々不完全燃焼気味である。

 「這えば立て立てば歩めの親心」というが、「鳥撮り」の心もなかなか贅沢なのであった。

カメラ河童のシネレンズ図鑑55-ZEIKA Cine Tele 38mm F1.9- (愛すべき機械たち)

ZEIKA Cine Tele 38mmF1.9

 ZEIKA Cine Tele 38mm F1.9

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製造:Zeicaオプティカル株式会社
製造時期:1950年代(推定)
レンズ構成:不明
鏡胴デザイン:ビアグラス型・オールクローム
焦点距離:1.1/2inch(38mm)
開放値:1:1.9
絞りリング(前):反時計回り:F1.9,2.8,4,5.6,8,11,16の7目盛り
絞り羽根:12枚
ピントリング(後ろ):時計回り:3feet(0.8m)~∞
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。


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[レビュー]
 既にマウント部がない個体に「歩こう」の部品を合体させた改造もので試写したことのあるレンズである。
 そのとき私はレビューのまとめとしてこう書いた。

 誰かこのレンズのマウント部の部品を持っていませんか。普通の勤め人の昼食一回分(送料別)で買い取ります。

 ところが何という幸運か、ターレットに3本レンズが嵌っている8mmカメラが1本昼食分くらいの値段で手に入ったのである。完全体入手である。

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 喜び勇んで試写した結果は無残であった。
 このレンズは「オバQ(仮名)」では無限遠が出ないのだ。精一杯絞ってやっとこの程度の鮮明さで、かつレンズの中の埃や塵が写り込んでしまう。
 したがって前の個体で無限遠が出なかったのも私の改造の腕が悪かったからではないのだ。
 このレンズは「オバQ」に嵌めている限り中近距離撮影するしかないのである。

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 中近だと特に白いものが鮮やかに写る。これはこの時代のレンズの白が滲みやすいのとは対照的である。

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 私の好きな紫もいい感じだし、緑の発色もよい。

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 黄色もグーだ。

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 ただ赤は宜しくない。これはこの時代のレンズの多くに見られる欠点である。前の個体の時も同じ現象が見られたから、これはこのレンズの特徴の一つなのだろう。

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 一番の出来はいつものお地蔵さんの写真である。
 きっとポートレートを撮ったらいい写真ができるに違いない。

 まとめると、中近景では描写も発色も抜群にいいが、残念ながら「オバQ」に嵌めても無限遠が出ない。花やポートレート専門のレンズである。

 無限遠が出ないのにがっかりして夜の撮影などする気が失せてうせてしまったのだが、このレンズは絞り羽が12枚という贅沢な作りである。きっと面白いボケが出るに違いない。夜景の撮影を果たしたらまたこの項は改訂したい。

[駄文]
 残念ながら「がっかり銘玉」だった。
 「オバQ」との相性が悪すぎる。私の持っているDマウントレンズの中で、改造ものを除けば唯一無限遠が出ないレンズだ。
 無限遠が出ないと遠景を撮れない。遠景が撮れない望遠レンズを持っていけるほど私の旅支度は大きくないのだ。近景専門の「花撮りレンズ」は13mmの極小型のものを持っているので、ガタイの大きいこのレンズを旅行に連れて行くことはないと思う。
 このレンズは8mmに嵌めているときは無限遠が出ていたのだろうか。もしそうだとするとデジカメの中で相性のよいものがもしかするとあるのかもしれない。たとえば「べらりミーちゃん(仮名)」とか。
 中近での描写と発色を知っているだけに諦めきれない1本(というか2本所有しているが)である。



カメラ河童のシネレンズ図鑑53-CINE ELMO 13mm F2.5- (愛すべき機械たち)

世界最小Dマウントレンズは

 CINE ELMO 13mm F2.5

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製造:ELMO株式会社
製造時期:1950年代(推定)
レンズ構成:ペッツバールタイプ(推定)
鏡胴デザイン:フジツボ型・オールクローム
焦点距離:13mm
開放値:1:2.5
絞りリング(前):反時計回り:F2.5,2.8,4,5.6,8,11,16の無段変換
絞り羽根:4枚
ピントリング:なし
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

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 [レビュー]
 「ベル&グラハム」の8mmカメラに嵌って普通の勤め人の昼食1回分くらいの値段で我が家にやってきたレンズである。とにかく小さい。

IMGP8225

 正直ここまで小さいとまともな写真は期待していなかったが、とりあえず見られる写真である。周辺減光が全くないのはこの大きさのレンズとしては素晴らしい。奥の奥まで隅々くっきりという訳にはいかないが。

IMGP8226

 逆光ではモロに弱点が現れた。F2.5と比較的暗いレンズだが、光によわそうである。

IMGP8227

 中景はそれなりにきりっとしたか。同じくらいの焦点距離のものと比較すると、私の改造レンズよりはずっと写りがいい(当たり前だ)。

IMGP8262

 近景での発色は、まず白が若干滲むが、レンズの大きさと形状からすると上出来かもしれない。

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 私の好きな紫は冴えない。

IMGP8264

 F4くらいで撮っているのだが、どうも光が入り過ぎてはっきりしない。

IMGP8265

 赤はかなり悲惨である。浮き上がった上に滲んでいる。

IMGP8267

 緑の発色はまあまあか。もっと色の悪い13mmはある。

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 まとめると、とりあえず一通りの写真は撮れるレベルだが、F2.5の割にくっきりした写りが期待できない。ただ、周辺減光が全く感じられないのは素晴らしい。ガタイの大きさから考えて旅のポーチに1つ忍ばせておくと楽しいレンズではないだろうか。

[駄文]
 私は長いこと(といっても私がカメラに凝り始めたのはせいぜい6-7年だが)、世界最小のDマウントレンズは「日光る(仮名)」13mmF1.9だと思っていた。
 そしてそのライバルは舶来の「メリケンサック(仮名)」13mmF2.5(未入手)であり、これは似たような大きさだがピントリングがないから「日光る」の勝ち、と勝手に判定していたのだ。
 この印象は「蹴るん(仮名)」の「わーい! バル行こ !(仮名)」12.5mmF2.5(冒頭写真真ん中)が我が家に来た瞬間、もっと膨れ上がった。というのは、このレンズはピントリングがないのに「日光る」とほぼ同じ大きさだったからだ。「メリケンサック」もこの大きさに違いない。
 さらに、どういう幸運か、「メリケンサック」のピントつき13mmF1.9(冒頭写真一番左)を入手できたとき、これは確信となった。というのは、「メリケンサック」のピントつきはもう「頭脳得るものあり(仮名)」13mmF1.1と大して大きさが変わらなかったからだ。「歩こう(仮名)」13mm初期型(冒頭写真左から2番目)と比べても明らかに大きい。ピントリングなしのものは小さくてもせいぜい「わーい! バル行こ!」程度の大きさに違いない。知らんけど。
 私の中では「メリケンサック」ピント有>「わーい! バル行こ!」ピントなし>(おそらく「メリケンサック」ピント無)>「日光る」ピント有であって、「日光る」が世界最小Dマウントであることはゆるぎない事実だと思われた。
  だから、この「Elbow」の小さな小さなレンズが我が家にやってきたときは心から吃驚した。それは「ベル&グラハム」の小ぶりなカメラに付いていたために小ささが目立たなかっだか、明らかに「日光る」より小さかったからだ。

 私はここに宣言する。
 世界最小Dマウントレンズはピントリング無が「Elbow」13mmF2.5であって、ピントリング有が「日光る」13mmF1.9である。たぶんそうだと思う。そうなんじゃないかな。まっ、違うかもしれんな。知らんけど。(あくまで卑怯)





カメラ河童のシネレンズ図鑑52-WOLLENSAK CINE RAPTAR 13mm F1.9 D- (愛すべき機械たち)

Wollensak 13mm F1.9

WOLLENSAK CINE RAPTAR 13mm F1.9 D

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製造:Wollensak Optical Co.
製造時期:1950年代(推定)
レンズ構成:ペッツバールタイプ4枚(推定)
鏡胴デザイン:バベルの塔型・オールクローム
焦点距離:13mm
開放値:1:1.9
絞りリング(前):反時計回り:F1.9,2.8,4,5.6,8,11,16,22の8段階
絞り羽根:6枚
ピントリング(後ろ):時計回り:1feet~
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

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[レビュー]
 私が現在所有している唯一の舶来Dマウントレンズである。
 「家畜人オークション(仮名)」で普通の勤め人が3食外食したくらいの値段で売られていた8mmカメラのターレットに3本一からげて嵌っていた。一瞬「頭脳(仮名)」のF1.1かと思って写真を拡大して見てみると、「メリケンサック(仮名)」と英語で書いてあるので吃驚した。
 どうせ締め切り直前になってとんでもない値段に跳ね上がるのだろうと思って手をこまねいていたのだが、思い切って入札してみるとそのまま値上がりもせずにあっさり私の落札となった。関係諸氏は「あっ、忘れとった! しまったあー!」という感じだったのではないだろうか。
 もっともこの「しね・ラップだー」は大抵Cマウントで、こちらは色々なカメラで使えるから大人気なのだが、Dマウントは「オバQ(仮名)」か「べらりミーちゃん(仮名)」でしか使えないから、意外と気付いていたが誰も手を出さなかったのかもしれない。
 このカメラにはほかに「ヨハン・シュトラウス(仮名)」の6.5mmF1.4と「贅だ(仮名)」の38mmF1.9といういずれも珍品が嵌っていたのでお買い得であった。

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 まずF4で遠景。
 奥の方が鮮明に写っているのに対して四隅は回転というより流れた感じである。レンズの大きさからして2段絞ればカッチリした雰囲気になるかと思ったが、このあたりも「頭脳」13mmF1.1の写りにちょっと似ている。

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 逆光で撮っても同じ感じだが、奥の方が想像以上にカッチリ写るのは嬉しい。

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 いつもの鉄塔も金属の触感がよく出ている。

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 赤はそれほど酷くないがやはり若干浮き上がりがある。

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 白の滲みもご同様で、この時代のレンズにはよくある現象である。

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 紫の発色が自然なのはこの色が大好きな私にはとても嬉しい特徴である。

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 黄色やオレンジも合格だろう。

IMGP8201

 四隅の流れが止まるのは大体F5.6あたりのようだ。このあたりも「頭脳」に似ている(しつこい)。

 まとめると、全開放に近い部分では四隅が流れた独特の写りになるが、ピントの合った部分はかっちり写っている。流れは3段絞ると消え、どんどん画面全体がかっちりした感じの写りになっていく。発色はどれも素晴らしいが、開放に近いと赤の浮き上がりと白の滲みが出る。

 F1.9でこの個性は凄い。
 しばらく常使いの標準にしてみようかと思う。

[駄文]
 「メリケンサック社」は1890年代に創設された会社だから日本のカメラ会社とはその歴史が桁違いに古い。残念ながら1972年に廃業していて今はない。したがってこのレンズの子孫は現在存在していない。会社名を見て独逸系の人が創設したのだろうと思っていたが、案の定そうであった。
 私はネットでこの「しね・ラップだー」13mmの写真を見て勝手に「日光る(仮名)」13mmの初期型と双璧の世界最小レンズだと思い込んでいたのだが、「歩こう(仮名)」13mmの初期型くらいの大きさは優にある。

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 それにしてもこのレンズと「頭脳」13mmF1.1初期型は似ている。特に鏡胴の形状は同じバベルの塔型で、違いは大きさだけのようにも見える。ほとんど兄弟のようである。
 レンズの形式もペッツバールタイプ4枚で同じだが、これは口径が全く違い、「頭脳」の方がずっと大口径である。
 絞り羽根も6枚で同じ。
 写りにも若干共通点があるような気がするのは私の僻目かもしれない。
 ただ、少なくとも形も写りも「頭脳」のF1.1とF1.9よりはこの両者の方が似ているような気がする。

カメラ河童のシネレンズ図鑑51-CANON-AKAI ZOOM 11.5-90mm F2.1 C- (愛すべき機械たち)

CANON-AKAI ZOOM 11.5-90mm F2

 CANON-AKAI ZOOM 11.5-90mm F2.1 C

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製造:キヤノン株式会社(赤井電機の8mmビデオカメラに供給)
製造時期:1980年代(推定)
レンズ構成:不明
鏡胴デザイン:ビアグラス型・クローム黒ストライプ
焦点距離:11.5~90mm
開放値:1:2.1
絞りリング(後ろ):時計回り:F2.1,2.8,4,5.6,8,11,16,Cの8目盛り(2.1-5.6-Cの3段クリック)
絞り羽根:6枚
ピントリング(前):時計回り:4feet(1.2m)~
ズームリング(中):反時計回り:11.5~90m
マウント:C
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではC→Qマウントを介して装着。CHINON機にはCマウントアダプターを介して装着。

[レビュー]
 どんな素性のものかよく分からなかったが、ズームのシネレンズが欲しくて普通の勤め人の昼飯1杯分で落札したレンズである。私以外に落札者がなかったから、「無限連環」に入っていたのかもしれない。
 Dマウントはズーム以前の技術だから、このレンズはその後も生き延びたCマウントである。
 後に判明したがこのレンズはOEM生産で「赤身(仮名)」の8mmビデオカメラに供給されたレンズだから、正確にはシネレンズではなく、ビデオレンズである。

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 まずいつものように遠景。隅から隅まで綺麗に写る。もはや現代レンズに属するものだから当たり前と云えば当たり前だが。

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 光には弱いのかもしれない。逆光でハレーション全開である。私の撮影技術が拙いだけという話もあるが。

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 遠く阿蘇の噴煙も捉えた。さすがズーム90mmである。

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 だが神髄は中景である。鳥の羽根の質感などかなり遠い距離からでも描写できる。

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 対象が多少小さく写る距離でも周囲の同色に埋没しない。

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 早朝の曇天に50mほど離れた川の中の鴨を撮っても大丈夫である。

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 次は近景。大きなものならば2mほど離れて捉えられる。

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 1mまではどうにか大丈夫。

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 だが、接写は悲惨である。小さなものには寄れない。赤の不自然な浮き上がりは私の自製レンズより酷い。

IMGP8178

 10cm以上の大きさのものならばどうにかピントが合わせられるが、

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 それ以下の大きさだと豆粒くらいの大きさに写る距離までしか寄れない。白の滲みも酷い。焦点距離が11.5mmだからもう少し寄れるかと思っていたのだが。

 まとめると、中遠景、特に中景に強みがある。近景はある程度離れないとピントが合わないのである程度大きなものを撮るほかない。接写はできない。
 要するに、人を撮るレンズだということだろう。これは8mmビデオの使われ方から考えれば当然である。「運動会や学芸会で子供を撮るレンズ」なのだろう。

[駄文]
 「赤身電機(仮名)」は昭和21年(1946)、つまり終戦直後に創業。昭和29年(1954)には日本初のテープレコーダーを開発するなど、独自の技術が世界的にも高く評価されていた会社である。
 主力はオーディオ機器だが、VHSビデオデッキを作っていた関係で8mmビデオカメラにも進出していたようだ。
 このレンズは「加農(仮名)」がOEMしていたもののようで、鏡胴の目立つ位置には「AKAMI」の文字しかないが、底の目立たない部分には「加農」の文字が入っている。
 「赤身」はその後もオーディオ機器の分野で独自の地歩を築いていくが、デジタルへの対応が遅れたためか徐々に業績不振となり、2000年遂に倒産する。
 それでもその技術は日本よりもむしろ海外で評価されていたようで、何度か分社化や外国企業の傘下に入ったり破綻したりの紆余曲折を経ながら、現在も「赤身」ブランド自体は存続している。

カメラ河童のシネレンズ図鑑48-FUJINON 13mm F1.1 D改 Ⅰ型- (愛すべき機械たち)

回る回るよ世界は回る

 FUJINON 13mm F1.1 D改 Ⅰ型

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製造:富士写真光機
製造時期:1970年代(推定)
レンズ構成:不明
鏡胴デザイン:筒型・オールクローム
焦点距離:13mm
開放値:1:1.1
絞りリング:なし
絞り羽根:なし
ピントリング:なし
マウント:改造Dマウント
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

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 前玉後玉分離の過渡的レンズである「CINE-ELBOW13mmF1.8(仮名)」(上写真)が本体から外せなかったため、その鏡胴に「富士子独身8mm(仮名)」の固定式レンズの「不治?Non! 13mm F1.1」を外して取り付け、更に状態の極めて悪く実用撮影不能の「歩こう38mmF1.8(仮名)」から外したDマウント金具を合体させてDマウント改造したレンズである。レンズ本体は「不治」だからこのレンズは「不治」の名を冠するのが相応しいだろう。

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 このレンズの試写は何時もの通り早朝に始まった。
 当時の謳い文句「ろうそくの光でも写る」という言葉通り、まだ夜明け前なのだが昔のレンズにしてはよく写っている。

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 無限遠が出たかどうかの指標にしていた三角のテレビ塔にもピントが合った。

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 まだ夜明け前の晴天の空を写したが、手前の木が完全なシルエットではなく緑を残している。当時としては極限の明るいレンズではなかろうか。IMGP3131

 当時のレンズを全開放で撮ると赤が不自然に浮き上がることが多いのだが、このレンズは大丈夫である。

IMGP3129

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 黄色や緑もなかなかいい感じの発色である。

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 ただ、回転(グルグルボケ)は相当のものである。
 早朝なのにこんなに回転するものなのだろうか。

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 嫌な予感は当たった。
 陽の光が強くなりはじめると、遠景すら回転することを発見。

IMGP3504

 奥行きを強調する構図だと群衆すら回転してしまう。

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 明るい場所だと中心部以外にはピントが合わず、なんとなく間の抜けた写りになる。

 まとめると、薄暮撮影には強みがあるが、昼間にスチール写真を撮るのは厳しいレンズである。

[駄文]
 「不治?Non! 13mm」は歴史に名を遺す銘玉である。
 ところが、「藤(仮名)」はこのレンズについて前玉後玉分離型の過渡的なDマウントレンズしか作っていない。したがってこれを「ペンテコステオバQ(仮名)」に装着して実用撮影するためには何らかの改造が必要となる。
 当初私は8mmカメラを解体(破壊)して取り出したレンズを自製の鏡胴に取り付けたQマウント改造レンズを製作していたが、これはどれも「写る」という以上のものではなかった。
 このレンズは既成のDマウント鏡胴を利用して作った初めてのレンズである。
 絞りを付けられなかったため薄暮撮影専門の「日陰者のレンズ」だが、どうにか実用レベルの画像が得られたといっていいだろう。 
 「不治?」は比較的新しいレンズであり、本体内に固定されていたため、状態の良いものが多い。これを何とか絞り付きのレンズにできないか。模索は続く。

カメラ河童のシネレンズ図鑑47-RESONAR-T 32mm F1.9 Qマウント改-(愛すべき機械たち)

RESONAR-T 32mm F1.9

 RESONAR-T 32mm F1.9 Qマウント改

IMGP7971

製造:株式会社セコニック
製造時期:1970年代(推定)
レンズ構成:鏡胴・レンズ分離型
鏡胴デザイン:筒型・ゼブラ
焦点距離:32mm
開放値:1:1.9
絞りリング(本体内):不明
絞り羽根:不明
ピントリング(本体内):なし
マウント:不明マウント(Dマウントより1mmほど径が小さい)
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1
装着方法:Qマウント改造した13mmレンズに32mmレンズを合体し、カメラに装着

IMGP7830

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[レビュー]
 「世故肉(仮名)」の過渡的8mmカメラのターレットに3本1組で嵌っていたレンズのうち望遠に当たるレンズである。
 「世故肉」の8mmは普通の勤め人の昼飯1杯分くらいで手に入れたから、1個は国産の牛肉切り落とし100gくらいの値段だ。

IMGP9334

 試写してみると「写る」以外の何も感じられなかったので「レンズ箱(釣り道具入れ)」の中でうっちゃっていたが、今回改めて試写してみた。

IMGP8024


 随分調整してみたのだが、これが精一杯である。
 冬とはいえ午後3時の晴天の日とは思えない。画面が暗い。

IMGP8028

 そのはずで、雲一つない晴天を写していると、望遠なのにケラレがある。そして暗い。

IMGP7988

 発色も暗いが、全開放の悪いところである「浮き上がり」は一丁前にある。

IMGP7993

 撮影中たまたま鶺鴒が現れたので撮ってみたが、辛うじて鳥だと判る程度である。

IMGP7975

 何故か鶫も現れたので撮ってみたがこれまた鳩と見分けがつかない。

 まとめると、やはり「像を結ぶ」という以上のものではない。

[駄文]
 写真を見ると判るようにこのレンズ群はなかなかスマートで格好がいい。
 したがってこの写りは至極残念としか言いようがない。
 特に32mmの大口径レンズがなぜここまでケラレるのか、また、画像がなぜここまで暗いのか、全く不明である。
 肉眼で確認したところでは中に大量の埃や塵が混入しているというようなこともない。

IMGP8024

 この写真を見ると、どうも光軸がズレており、ピンボケなのはこれが原因のようだ。つまり私の所為である。しかし、光が入らないのには別の原因がありそうだ。

 このレンズ群がちゃんと写るような知恵を是非お借りしたい。

カメラ河童のシネレンズ図鑑45-PRONON 13mm F1.8 D(SANKYO 13mm F1.4 D)-(愛すべき機械たち)

PRONON13mmF1

 PRONON 13mm F1.4 D(SANKYO 13mm F1.4 D)

IMGP7959

製造:三協精機
製造時期:1970年代(推定)
レンズ構成:鏡胴・レンズ分離型
鏡胴デザイン:アサガオ型・黒
焦点距離:13mm
開放値:1:1.8(または1.4)(いずれも推定)
絞りリング:なし
絞り羽根:なし
ピントリング:なし
マウント:改造Dマウント
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

IMGP7964

IMGP7966

IMGP7969

[レビュー]
 「不治?Non!(仮名)」の「後玉なし3兄弟」をうっかり落札してしまったために生まれた改造レンズである。「ノンプロF13mmF1.8(仮名)」の鏡胴に「協賛(仮名)」の固定ズーム式カメラの後玉を嵌め込んだ。私は全東亜にこのレンズの愛称を付けてもらうよう呼び掛けたが、何時もの如く無視された。
 だが、よく考えてみると、「ノンプロ」は「協賛」のブランド(またはOEMか)なのだから、要は同じ会社の13mmレンズなのである。したがってこれは「ノンプロ13mm」と呼んでも何も差し支えないレンズなのだ。
 ただ、「協賛」はDマウントではF1.4のものを作っているから、本体に固定されていたこのレンズの開放値がF1.8なのかF1.4なのかは不明である。ただ、写真を見ても分かる通り「頭脳得るものありF1.1(仮名)」並みに相当の大口径であるのと、写りの特性から、F1.4である可能性が高いように思う。

IMGP2252

 まずはいつものように朝焼けの遠景。
 うすぼんやりとした写りがかえっていい味を出しているように感じるのは自製という欲目かもしれない。

IMGP2264

 別に霧の日だったわけではない。遠景を撮るのには完全に失格である。

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 ただ、近景で花を撮ると柔らかい感じに発色する。
 私はこの写りに魅了されてしばらく花を撮るときにはこのレンズばかり使っていた。
 この時代のレンズは全開放で撮ると赤があざとく浮き上がるものが多いのだが、これは柔らかく発色している。

IMGP2270

 青も同様である。

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 私の好きな紫はやや青が勝っているか。

IMGP3035

 さぞ白が滲むだろうと思っていたのだが、F1.4ということを考えればこちらは意外にくっきり写っている。

IMGP3393

 遠近感は標準というより広角レンズのようだ。

IMGP2334

 構図次第では回転したり(グルグルボケ)するし、

IMGP4183

 光源次第では玉ボケ(バブルボケ)も出現する。
 が、殆どはトロリと溶けたようなボケである。というより被写体も溶けている。

IMGP2274

 被写体が虫の場合には相当接近しなければならないので逃げられないようにするのが結構大変である。

IMGP2325

 モニターに光が沢山入ってくるのでシャッタースピードは速く、動くものでも意外に静止させて撮れる。この蝶など相当激しく羽根を動かしていたから、レンズによっては羽根がブレてしまうのだが。

IMGP3269

 メダカくらい動きが素早いともう残像しか写らない。

IMGP2329

 奥行きを強調した広角的撮り方もできる。もしかすると自製レンズなので実際の焦点距離はカタログの13mmより短くなってしまったのかもしれない。この写りは焦点距離8mmくらいの印象である。

 IMGP3283

 花や虫以外のものを撮ると単に映りのボーッとしたレンズに成り下がる。

IMGP2323

 ベストショットは花と虫のコラボか。なかなかメルヘンチックになる。

[駄文]
 「協賛」の13mmは保存状態が悪いものが多い。
 これは前玉の素材がプラスチックで経年劣化により白濁しやすいという特性によるから、殆ど宿痾と言っていいだろう。
 このレンズは本体内の後玉で素材はガラスだし、肉眼では黴も存在していないから状態的には比較的良いものなのだろう。
 D→Qアダプターのねじ込みを緩めてピントを合わせなければならないので、どうかすると緩めすぎてポロリと取れて喜悲劇がたびたび発生した。
 きちんとした絞りとヘリコイドが付いていたらもっといい写りになるはずである。
 発色はとても良いのでそうした環境を整えてやりたいレンズである。

カメラ河童のシネレンズ図鑑44-PRONON 25mm F1.8 Qマウント改-(愛すべき機械たち)

PRONON25mmF1

 PRONON 25mm F1.8 Qマウント改


IMGP7787

製造:三協精機
製造時期:1970年代(推定)
レンズ構成:鏡胴・レンズ分離型
鏡胴デザイン:アサガオ型・黒
焦点距離:38mm
開放値:1:1.8
絞りリング(本体内):不明
絞り羽根:不明
ピントリング:時計回り:2m(0.8feet)~
マウント:Dマウント
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1
装着方法:Qマウント改造した13mmレンズと合体させ、カメラに装着

IMGP7783

IMGP7784

IMGP7785

[レビュー]
 3個一からげで「協賛」の8mmレンズに嵌って我が家にやってきた後玉なしレンズの1つである。

IMGP8910

 試写は夕方から始めた。
 とりあえず近景でのピントは合った。

IMGP8891

 一応無限遠らしきものは出たが、何せ大口径の全開放レンズであるからはっきりしないことこの上ない。

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 赤があざとく浮き上がっている。

IMGP8879

 黄色にも同じ傾向があるのはやはり光の入り過ぎだろうか。

IMGP8883

 何かうすぼんやりした感じの近景である。

IMGP7917

 このうすぼんやりした感じは遠景では一層酷くなる。ピントが合っていないわけではないのだが、どこかはっきりしない。

IMGP7901

 こんな状態だから動くものを撮るのは無理である。

IMGP7944

 この鶺鴒などは極近くまで寄ってきたのに居るのかいないのか分からないような写りである。

 単に「写る」というだけのレンズになってしまった。

 後玉にした13mmはここまではっきりしない写りではないから、これは前玉の問題というより自製レンズの構造の問題だろう。

 誰か前後玉分離型レンズを現代に蘇らせる知恵をお持ちではないだろうか。

[駄文]
 せっかくの大口径なので何とかかつての写りを蘇らせたかったのだが、力及ばず、である。
 それにしてもレンズ単体としては使えないDマウントとはまた何と中途半端なものを作ったことか。もうズームレンズの時代は間近、Dマウント末期の変態的レンズである。

 「オバQ」の製造停止と共に再び長い眠りにつこうとしているDマウントレンズたちに最後の花道を飾らせたかったのだが。60歳になったニグロリーグの伝説サチェル・ペイジを無理矢理引っ張り出して投げさせたような結果になってしまった。

カメラ河童のシネレンズ図鑑44-PRONON 6.5mm F1.8 Qマウント改-(愛すべき機械たち)

PRONON6.5mmF1.9

 PRONON 6.5mm F1.8

IMGP7790

製造:三協精機
製造時期:1970年代(推定)
レンズ構成:鏡胴・レンズ分離型
鏡胴デザイン:アサガオ型・黒
焦点距離:6.5mm
開放値:1:1.8
絞りリング(本体内):不明
絞り羽根:不明
ピントリング:なし
マウント:Dマウント
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1
装着方法:Qマウント改造した13mmレンズと合体させ、カメラに装着


IMGP7791

IMGP7792

IMGP7793

[レビュー]
 前玉は鏡胴の中、後玉はカメラの中で13mmの本体という、変態的な進化を遂げたダブル8末期のレンズである。
 望遠も広角も後玉を2個節約できるから完全体のDマウントを3個製造するよりは随分コストが抑えられたろうが、それならばもうズームレンズを1個開発した方が合理的な気がする。

IMGP9745

 ただ、私はこのレンズを製造した当時、相当気に入っていたらしく、大量の写真が残っている。しかしそれは、上の写真のように何となくぼんやりした写りのものが殆どである。

IMGP3234

 私がこのレンズを気に入った理由は、ケラレがないことだろう。私はDマウント6.5mmのケラレにうんざりしていたのだ。

IMGP2455

 このレンズは広角レンズが得意の構図、つまり建造物を下から見上げて撮るという構図でも何となくボンヤリしていてパッとした写真は撮れない。

IMGP3435

 青空を構図に入れても周辺減光程度で済むのは6.5mmにはあるまじき特長だが。

IMGP3449

 遠くに向かって収斂されて行くような構図も、近景から中景にかけてならばなかなかのものを見せる。ただ、遠景が駄目なのはこのレンズの特性ではなく、私が全開放でしか撮れない改造をしてしまったからだろう。光が入り過ぎればどうしてもピントは甘くなる。

IMGP3442

 だから近景で花を撮ったりすれば柔らかい感じになる。早春らしい雰囲気を演出している。

IMGP2390

 薄暮の方が光を強調した画像になるのも全開放の故か。

IMGP3440

 Dマウント名物の「回転」も構図によっては現れる。これも6.5mmには珍しい。

 まとめると、何となくピントがはっきりしなくてボンヤリした写りのレンズだが、ケラレがないのは6.5mmとしてはとても嬉しい。

 ただ、結局13mmQマウント改造レンズあってのこのレンズである。いちいち2個1組で持ち歩くのも面倒くさい。もう少しカメラに詳しい人によい知恵を出してほしいものだ。

[駄文]
 Dマウントの6.5mmレンズはバックフォーカスと「オバQ」のイメージサークルの関係上どうしてもケラレが出る。
 このレンズがケラれないのは偏に私の改造レンズだからだろう。
 カタログ上は6.5mmでも実際のバックフォーカスは10mm以上あるのに違いない。
 ただケラレはバックフォーカスとイメージサークルの関係だけでなく、レンズの鏡胴の形状も関係しているようだ。
 経験から云うと縦径と横径の差が大きいレンズはケラレやすく、それが小さいレンズはケラレにくいような気がする。また、バベルの塔型のように先に向かって窄まっていく鏡胴のレンズはケラレやすく、アサガオ型に広がっていくレンズはケラレにくいようだ。
 「ケラレのないDマウント広角レンズ」はどれか、暗中模索は続く。

カメラ河童のシネレンズ図鑑43-PRONON 13mm F1.8 Qマウント改-(愛すべき機械たち)

PRONON13mmF1.9

 PRONON 13mm F1.8 Qマウント改

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製造:三協精機
製造時期:1970年代(推定)
レンズ構成:鏡胴・レンズ分離型
鏡胴デザイン:アサガオ型・黒
焦点距離:13mm
開放値:1:1.8
絞りリング(本体内):不明
絞り羽根:不明
ピントリング(本体内):不明
マウント:不明マウントをQマウントに改造
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1
装着方法:Qマウント改造したレンズに鏡胴を装着し、カメラに装着

IMGP7780

IMGP7781

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[レビュー]
 我が家に来てみたら標準の本体(望遠と広角の後玉)、絞り、ヘリコイドがカメラの中だった、というレンズの一つである。普通の勤め人の昼飯一杯分くらいの値段だった。
 仕方がないのでQマウント改造し、Dマウントの鏡胴をねじ込む形にした。

IMGP9496

 かなり苦心して無限遠を出したが、常時全開放ということもあって遠景がはっきり映らないレンズになってしまった。

IMGP6685

 上の写真などは砂紋で有名な御輿来海岸で畝雲も同時に現れているという絶好の構図なのだが、昔の雑誌のような仕上がりになってしまっている。

IMGP9509

 人工的な構造物を撮ってみるとピントの甘さがよく分かる。

IMGP6679

 青の発色は決して悪くないと思うので、ピンボケが残念である。それと全開放の割には暗い。

IMGP6634

 次に発色。全開放だと白が滲むのはこの時代のレンズにはよくあることだ。

IMGP6638

 赤の不自然な浮き上がりもご同様である。

IMGP6625

 陽光に溶けてしまいそうな描写はかえってこのレンズ特有の味か。

IMGP6628

 黄色も少しあざといのは元々の特性ではなく素人細工の悲しさかもしれない。

IMGP6633

 このレンズは基本的に回転しないが、入る光と構図によっては稀に回転することがある。

IMGP6646

 解像度を端的に示す蒲公英の綿毛はこれくらいの描写力である。まあまあか。近景は遠景に比べればくっきり写る。

[駄文]
 「ノンプロ(仮名)」は謎のブランドである。
 「協賛(仮名)」のブランドは会社名そのままだと思うのだが、8mmカメラからの撤退寸前には「ノンプロ」銘のレンズを作っていたのか。あるいはどこかの別会社にOEMさせていたのか。
 そんな分からなさがあるうえに、このレンズには現代のデジカメに装着して写りを確かめるための著しい制限がある。
 つまり、単純にD→Qアダプターに嵌めて「ペンテコステオバQ(仮名)」で撮影できないという事情だ。これは「べらりミーちゃん(仮名)」でも同様で、いきなりこのカメラのDマウントにこのレンズをねじ込んでも肝心の「本玉」がない。本来のこの13mmに嵌っているのはただのガラス板である。
 3本ターレットに拘らなければ現在の眼から見たら奇異に感じるこうした無駄な技術は最初から生まれる余地がなかったのだろうが。
 現在の日本の工業技術がこんな虚しい努力をしていないことを祈りたい。


カメラ河童のシネレンズ図鑑42-RESONAR-S 13mm F1.9 Qマウント改-(愛すべき機械たち)

入札者は俺だけ

 RESONAR-S 13mm F1.9 Qマウント改


IMGP7773

製造:株式会社セコニック
製造時期:1970年代(推定)
レンズ構成:鏡胴・レンズ分離型
鏡胴デザイン:筒型・ゼブラ
焦点距離:13mm
開放値:1:1.9
絞りリング(本体内):不明
絞り羽根:不明
ピントリング(本体内):不明
マウント:不明マウントをQマウントに改造
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1
装着方法:Qマウント改造したレンズに鏡胴を装着し、カメラに装着

IMGP7775

IMGP7819

IMGP7821

IMGP7822

[レビュー]
 レンズ3本嵌ったターレット式の8mmカメラのつもりで普通の勤め人の昼飯1杯分くらいの値段で落札した。ところが実際に来てみると標準レンズは本体内にあり、絞りやヘリコイドも本体内で、ただのガラス板が嵌った鏡胴のみがターレットに装着されていた。しかも、ターレットはDマウントなのにレンズはそれより小さい径の不明マウントで、ターレットの後ろ側からナット様の金具で留めてあった。

IMGP7772

 そのままでは「ペンテコステオバQ」で撮影できないので、D→Qアダプターを2枚重ねた自製鏡胴のQマウントレンズに改造し、元からあった鏡胴をねじ込んで使用する形にした。絞りは構造上付けられなかったので全開放レンズである。また、ヘリコイドも構造上付けられないので無限遠で焦点が固定された固定焦点レンズとなる。
 この改造の詳細についてはカメラ河童のジャンク道遥か43-遂に難易度は究極に-(それでも生きてゆく私238)という題名で既に書いた。
 私はこれを最後にレンズの改造を止めた。
 何だか貴重な文化遺産を破壊しているような気になってきたからだ。

IMGP7751

 全開放、無限遠固定焦点だから夕暮れの遠景以外はぼんやりした映像にしかならない。雪の翌日の阿蘇の遠景である。霞んでいるのは火山灰のせいで、肉眼で捉えたとおりである。

IMGP7755

IMGP7760

 スチール写真としては夕焼けを撮る以外には使い道がないレンズである。

 ただ、この時代の8mmカメラには固定焦点のものも多い。したがって動画撮影機器としては使えるのではないか。



 ということで動画を撮影してみた。
 当時の撮影機材としては十分高性能だったことが伺える。

[駄文]
 近年オークションやフリーマーケットで8mmカメラを購入する人のかなりの部分はDマウントレンズ欲しさではないかと思う。
 そんな人のために注意すべき点である。
 8mmカメラはDマウントレンズの装着されたダブル8から固定式(ズーム)レンズのシングル8に変遷していった。その中間の過渡的な機種が存在し、その機種に嵌っていた特殊なDマウントレンズがある。
 過渡的な機種とは、標準レンズ兼望遠・広角の後玉が本体内に固定され、その鏡胴および望遠と広角の前玉がターレットに嵌っているものである。
 これらの過渡的な機種として以下のものを確認している。ほかにもあるかもしれない。
 また、これらの機種の専用レンズは一見他のDマウントレンズと似たような外見だが、これをD→Qマウントアダプターにねじ込んで「オバQ」や「べらりミーちゃん(仮名)」に装着しても像を結ばない。
 本体と一緒だとまだ使い道があるが、レンズだけだとどうにも使い道がない。たまに「普通の」Dマウントレンズと同等の値段で売られているので気を付けられたし。

〈カメラ〉
CINEMAX-8 TRIAUTO
〈レンズ〉
CINEMAX 6.5mm F1.9(前玉のみ)
CINEMAX 13mm F1.9(鏡胴のみ)
CINEMAX 25mm F1.9(前玉のみ)

〈カメラ〉
ELMO 8-V
〈レンズ〉
CINE-ELMO 10mm F1.8(鏡胴のみ)
CINE-ELMO 25mm F1.8(前玉のみ)

〈カメラ〉
FUJICA8 T3
〈レンズ〉
FUJINON 6.5mm F1.9(前玉のみ)
FUJINON 13mm F1.9(鏡胴のみ)
FUJINON 26mm F1.9(前玉のみ)

〈カメラ〉
SECONIC ELMZTIC8
〈レンズ〉
RESONAR-W 9mm F1.9(前玉のみ)
RESONAR-S 13mm F1.9(鏡胴のみ)
RESONAR-T 32mm F1.9(前玉のみ)

〈カメラ〉
SANKYO MOVIMAT8
〈レンズ〉
PRONON 6.5mm F1.8(前玉のみ)
PRONON 13mm F1.8(鏡胴のみ)
PRONON 25mm F1.8(前玉のみ)

〈カメラ〉
YASHICA8-EⅢ
〈レンズ〉
未確認(YASHINONNと推定)








カメラ河童のシネレンズ図鑑41-KINO-SANKYO 25mm F1.9 D-(愛すべき機械たち)

KINO-SANKO 25mm F1.9

KINO-SANKYO 25mm F1.9 D

IMGP7607

製造:市塚光学(三協精機株式会社製造の8mmフィルムカメラに供給)
製造時期:1950年代(推定)
レンズ構成:不明
鏡胴デザイン:バベルの塔型・クローム黒ストライプ
焦点距離:25mm
開放値:1:1.9
絞りリング(前):反時計回り:F1.9,2.8,4,5.6,8,11,16の7段階
絞り羽根:8枚
ピントリング(後ろ):反時計回り:2feet~
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

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IMGP7602

IMGP7603

[レビュー]
 かなり以前からウチにあったのに図鑑に登場させるのを忘れていたレンズである。
 何と一度も試写すらしていない。早速試写してみた。

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 まずF1.9で近景撮影。
 回転しない。明るい時間だったのでDマウントとしては珍しい。

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 黄色の発色がいい。
 柑橘類の凸凹した質感もよく表現されている。

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 緑の発色はやや地味である。これは日本のレンズの特色かもしれず、舶来のものはもっと派手である。
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 綿毛も綺麗に表現できている。白の滲みもない。

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 私の好きな紫の発色も赤青どちらにも傾いていない。

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 遠景は昔のレンズだからこんなものか。中景より遠い自動車はナンバーをボカさなくていいから楽である。

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 空を見上げながら花を撮る構図は好きなのだが、花が暗くなってしまった。もう少し明るく映るといいのだが。

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 絞るのを忘れると緑から黄色が浮き立たなくなる。玉ボケ(バブルボケ)が現れているが意識したものだはない。

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 雲一つない青空が周辺減光なしに撮れた。まあ25mmだから当然か。

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 試写中偶然ヒタキに遭遇したので撮ってみたが、小型軽量なので撮影のストレスはない。
 ただ鳥がこの大きさだと25mm望遠はちょっと厳しいかもしれない。やはり38mmは欲しいところだ。

IMGP7693

 画角の狭さは構図を工夫することで情報量を増やすことが出来る。

 まとめると、くっきりすっきり写るレンズである。発色もいい。被写界深度が深いので鳥などの動き回る被写体にも向いているのではないか。ただ開放近くで撮ってもあまりボケないのでそういう写り方が好きな人は25mmには別のレンズを選んだ方がいいかもしれない。

[駄文]
 「よっ、紀伊国屋門!」と叫びたくなった。
 私は「紀伊国屋(仮名)」のレンズを5個持っているが、どれも頗る写りが良い。
 しかも、鏡胴のデザインがよい。一旦窄んでからシュッとあまり大げさでなく開いたエッジに斜めにエンブレムが入っているのが堪らなくカッコいいデザインである。
 今のところオールクロームの6.5mmと13mm、ストライプの13mmと25mmを持っている。どちらかの鏡胴デザインで6.5mm,13mm,25mm,38mmと4種類そろえてそれらをお供に旅に出たいものだ。
 写りが良い割に大して人気のあるレンズではないから、そのうちにシリーズが私の下に勢ぞろいするに違いない。知らんけど。その日が来るのを楽しみに待っていよう。

カメラ河童のシネレンズ図鑑41-CINEMAX TELE 38mm F1.9 D-(愛すべき機械たち)

CINEMAX 38mm F1.9

CINEMAX TELE 38mm F1.9 D


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製造:瓜生精機
製造時期:1960年代(推定)
レンズ構成:不明
鏡胴デザイン:バベルの塔型・クローム黒ストライプ
焦点距離:38mm
開放値:1:1.9
絞りリング(前):反時計回り:F1.9,2.8,4,5.6,8,11,16の7目盛り
絞り羽根:12枚
ピントリング(後ろ):時計回り:3feet(0.8m)~
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

IMGP7583

IMGP7585

IMGP7586

[レビュー]
 正月気分で私としてはかなり高い値段で入手したレンズである。回転寿司に一人で入ってちょっと喰いすぎたかなというくらいの値段だ。

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 家に届いたのがもう夕方近かったので試写は夕陽になった。
 夕陽はレンズの七難隠すが、それにしても明るいレンズである。冬の17:00頃であるからもう周囲はすっかり暗いのだが、手前の木などもシルエットでなく色が微かに映り込んでいる。

IMGP7567

 夕陽の反対側を映しても曇天の昼間のような明るさである。ただし全開放だからややピントが甘い。

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 空の色も保存状態が悪いと昼間でもこれくらいの明るさなのだが、相当いい状態のレンズなのだろう。

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  翌日同じ構図で撮ってみると、やはり明るいレンズであると判明。F4だが他のレンズのF4より明るくすっきり写っているように感じる。

 ただ、ヘリコイドはスムーズに動くが絞りが固い。私はあまりカチカチ絞りを動かさずにF4くらいで撮ることが多いので困りはしないが。

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 全開放の近景は若干回転気味である。

IMGP7573

 これはF2.8で一応止まるが、まだ「何時でも回転してやるぞ」という雰囲気である。

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 F4だと完全に落ち着く。
 これはビアグラス型や筒型などの縦長の38mmでは定番の写りである。

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 カメラを持ってウロウロしているところにメジロが登場したが、素早くピントを合わせて撮ることができた。ガタイの小さなDマウントならではである。被写界深度が深いので動くものを撮るのに躊躇わずに済む。

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 阿蘇の風景もF4で隅から隅まで写る。奥が霞んでいるのは火山灰の所為で、これは肉眼でも変わらない。

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 まとめると、被写界深度が深くて明るくくっきりと写るレンズである。F4くらいだとほとんどボケない。保存状態がいいのか、構成が現代レンズに近いのか。記録として当たりはずれのない写真が撮れそうなレンズだ。

[駄文]
 「ウリャー精器(仮名)」の作った「フェローMAX(仮名)」は国産初の8mmカメラだということだ。
 「ウリャー」の創設は古く昭和5年(1930)。民間航空機の計器を作っていたのが医療機器を作るようになり、同時に8mmカメラの製造も手掛け始めたそうだ。
 「フェローMAX」の銘の入ったカメラは市場でもよく見るが、同じ銘のレンズはあまり見ない。「ウリャー」に嵌っているレンズは大抵他社のものである。
 そして残念ながら私の知る限り同社の作った標準13mmレンズは存在しない。 
 ただし、10mmという半端な焦点距離のレンズはある。広角と標準のちょうど中間位の値だ。
 もしこのレンズを「オバQ」に嵌めてもケラレが出ないとしたら…
 望遠の写りから考えてこの10mmも良い写りをするに違いない。すると、広角気味の標準という理想的なレンズを得られることになる。13mmはフルサイズセンサーに換算すると約70mmだから望遠気味の標準なのだ。
 「椰子菓(仮名)」当たりの8mmにひっそりと嵌って無限連環している「フェローMAX10mm」に出逢えないものだろうか。

カメラ河童のシネレンズ図鑑37-WALTZ TELEPHOTO 38mm F2.5 D 初期型-(愛すべき機械たち)

WALTZ TELEPHOTO 38mm F2

 WALTZ TELEPHOTO 38mm F2.5 D 初期型

IMGP7504

製造:ワルツカメラ社
製造時期:1950年代(推定)
レンズ構成:不明
鏡胴デザイン:ビアグラス型・オールクローム
焦点距離:38mm
開放値:1:1.9
絞りリング(前):反時計回り:F2.5,2.8,4,5.6,8,11,16の7段階
絞り羽根:8枚
ピントリング(後ろ):反時計回り:Close Up,Medium,Distantの3段階でクリック・色分け:3.5feet~
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

IMGP7494

IMGP7497

IMGP7499

[レビュー]
 私が最も新しく手に入れたシネレンズである。
 8mmカメラに1本だけ付いて牛丼2杯分くらいで「家畜人オークション(仮名)」に出ていた。随分割高のようだが、オマケとしてキャップやフィルターなどの小物が沢山付いていたので、それに惹かれて買ったのだ。純正品の小物はDマウントレンズではレンズ本体より入手困難だったりするのである。

 小物には大満足。ただ、覚悟はしていたものの実際に来てみると、レンズの状態は想像以上に悪い。「落下物」らしくフレームが歪んでいる。埃の付着、ゴミの入り込みが半端ではない。
 ピントリングや絞りも一応動くが、ガタツキが酷い。

IMGP7477

 雪の降った翌日の試写。
 やはり何となく暗い。雪の翌日の晴天と云ったら照り返しで物凄く明るいものなのだが。空が何となく緑が勝ってくすんでいる。

IMGP7478

 古いレンズにしては解像度は悪くないと思うのだが。この暗さはF2.5という全開放値に由来するのか、それとも個体の保存状態の悪さの所為なのか。「昭和の風景」を通り越して「明治の着色写真」である。

IMGP7489

 取り敢えず黄色の発色はいいか。


IMGP7487

 赤もわざとらしくなくていい。

IMGP7490

 白の滲みもない。

 まとめると、元々はとてもいいレンズなのではないだろうか。ただ、やはり暗い。開放値以上に暗く感じるのはやはり保存状態の悪さによるのだろう。

IMGP7505

 折角カッコいいキャップも付属したハイセンス(古いなあ)なレンズなので、是非状態の良いものを手に入れたいものだ。 

カメラ河童のシネレンズ図鑑34-ZEIKA Cine Tele 38mm F1.9改-(愛すべき機械たち)

ZEIKA38mmF1.9

 ZEIKA Cine Tele 38mm F1.9

IMGP7114

製造:Zeicaオプティカル株式会社
製造時期:1950年代(推定)
レンズ構成:不明
鏡胴デザイン:ビアグラス型・オールクローム
焦点距離:1.1/2inch(38mm)
開放値:1:1.9
絞りリング(前):反時計回り:F1.9,2.8,4,5.6,8,11,16の7目盛り
絞り羽根:12枚
ピントリング(後ろ):時計回り:3feet(0.8m)~
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。


IMGP7104

IMGP7107

IMGP7110

[レビュー]
 このレンズは「訳あり」ということで牛丼1杯分くらいの値段で我が家にやってきた。

 到着してみると、マウントのねじ込み部分がなかった。
 ちょうどその頃「歩こう(仮名)」の38mmが2本あり、1本はまったくピントが合わない極めて状態の悪いものだったので、そのレンズのマウント部分をこのレンズに合体させたのだ。

IMGP9743

 試用期間は僅か2日、花の写真しか残っていない。しかも近景ばかりである。
 これは偏に無限遠を出すのに失敗したためで、この項を書くために試写しようとしたら50cm~2mくらいの範囲でしかちゃんとした撮影ができないレンズであった。

 このレンズの「写り」をこの個体で論じるのはあまりにもフェアさに欠けるだろう。
 したがって発色のみ論じることにする。
 絞りはすべて全開放、早朝の撮影である。 

IMGP9752

 とりあえず私の好きな紫の発色はいい。

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 白は少しだけ滲んでいるが、この時代のレンズとしてはすっきり出ている方だろう。

IMGP9782

 赤は何だかゴテゴテと人工的で浮き上がってしまっているのはこの時代のレンズの殆どお約束である。

IMGP9780

 黄色はすっきりした良い色ではないだろうか。

IMGP9759

 オレンジはいい色が出ているのだから赤のあざとさが不可解である。
 もしかすると素人細工で光軸がズレてしまっているのが原因かもしれないが、それだったら他の色も浮き上がってしまいそうだが。
 写真に詳しい人に教えていただきたいものだ。

 まとめると(本当はこれだけではまとめられないが)、赤以外の発色はいいし、近景とはいえくっきりと写っているので、いいレンズの予感はする。全開放だから少し収差(回転)もあるが。
 
 絞りは「僕さあ(仮名)」の38mmと同じく贅を尽くした12枚。夜間に撮影したら面白いハレーションが見られるに違いない。

 誰かこのレンズのマウント部の部品を持っていませんか。普通の勤め人の昼食一回分(送料別)で買い取ります。

[駄文]
 「贅華(仮名)」は「アイン・ツヴァイス(仮名)」の'Zeiss'と「ほのぼのライカ(仮名)」の'Leica'を合体させた造語だという。なかなか稀有壮大な社名だが、残念ながら現在まで存続していない。
 おそらく例によって「加農ネット(仮名)」のカノン砲に木端微塵にされたのだろう。

 「僕さあ」もそうなのだが、こんな小さなレンズに12枚羽根絞りが採用されているというのが信じがたく、私は「僕さあ」と「贅華」の絞った時に羽根が作り出す図形の角の数を何回も数え直した。しかし、やはり角は12あるから、12枚羽根としか思えない。あの「頭脳」の38mmF1.9ですら10枚羽根なのだ(F1.1については手元にないので数えたことがない)。

 12枚羽根といえば、シネレンズ(Cマウント)として世界的に有名な「アンニュイー(仮名)」がそうだと云われている(私は手元にないので確認はしていない。私は貧乏なのだ)から、あるいは「アンニュイー」の真似をしたのかもしれない。当時の日本人にとって欧州は完全コピーするに値するお手本だったからだ。
 それにしても、本格的な映画撮影のカメラではなく8mmカメラに装着するレンズにこんな高級な機構を付けてしまうとは。だいいちCマウントより更に小さなDマウントである。

 「会社が潰れるはずだな」と云えなくもない。
 何より「コスパ」が重視される現代にこんなことをする会社はないだろう。最近のレンズの絞りは7~9枚が圧倒的に多い。
 しかし、このレンズを覗きながらカチカチとクリック音をさせて絞りを回していると、当時の「世界に負けるな」「大手に負けるな」という中小企業の技術者の意地のようなものが伝わってくる気がする。

カメラ河童のシネレンズ図鑑33-REXER TELE 25mm F1.9 D(愛すべき機械たち)

REXER 25mm F1.9

 REXER TELE 25mm F1.9

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製造:レクサー光器
製造時期:1950年代(推定)
レンズ構成:不明
鏡胴デザイン:円筒型・クローム黒ストライプ
焦点距離:25mm
開放値:1:1.9
絞りリング(前):反時計回り:F1.9,2.8,4,5.6,8,11,16の7目盛り
絞り羽根:8枚
ピントリング(後ろ):反時計回り:1.3feet~
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

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[レビュー]
 よく覚えていないが少なくともこのレンズが欲しくて積極的に動いた経緯ではなく我が家に来たレンズである。
 「蹴るん(仮名)」のような良いレンズですら25mmは何時しか使わなくなるのだから、ましてや国産、かつ無名のレンズをや、と思っていた。
 しかし、同じ製作会社の38mmがピント不動なのに意外と良い写真が撮れたので、このレンズも試写してみる気になったのだ。

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 生憎赤い花が撮れなかったが、黄色と紅色はわざとらしくなくて自然な発色である。緑も自然だ。

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 心配していた白の滲みもない。
 私は試写がてらの阿蘇へのドライブにこのレンズを連れて行くことにした。

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 根子岳を撮ると十分な立体感を示した。

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 実際の噴火口付近はもう少しえげつない変な緑色だったのだが、無難な色に変わっている。赤以外のトガった色は本当のものであっても予定調和的に地味にしてしまうのは昭和のレンズの特徴である。

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 色を無難にまとめてしまうので冬の米塚などは今一つである。肉眼ではもっとドーンとした存在感なのだが。

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 ちょっとがっかりしたが、帰り道に鳥を撮ってみたらガタイが13mmと変わらないくらいに小型軽量なので楽に振り回せる。「振り回す」などという言葉が単なる比喩になってしまうほどだ。これが同時代の「ペンテコステ(仮名)」の135mmなどだと文字通り振り回すという感じになるのである。

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 池を飛び立って上空まで急上昇した鴨の群れも素早く捉えられる。

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 38mm以上のレンズに比べて被写界深度が大きいので、動物を風景の中に収めるような撮り方は向いているのではないか。止まっていた動物がいきなり動き出しても、

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 すぐ付いていける。

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 遠ざかっても、

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 近づいても大丈夫である。

 まとめると、すっきりくっきり写るが、あまりボケず、発色が地味である。ただ小型軽量なので近づいてくれないような中距離くらいの動物などの動き回るものを撮るのにはいいレンズである。

[駄文]
 「僕さあ(仮名)」は現在では全くの無名で、ネットで検索しても殆ど情報が得られないが、当時は標準13mmや望遠25mm, 38mmはもちろん5.5mm,6.5mm, 7mm, 7.5mm超広角~広角まで実に多彩なラインナップを揃えていたようである。
 私はそのうちの2つしか所有していないが、両方ともちゃんと写るレンズである。
 色も立体感も奥行きも人間の眼なみにメリハリをつける(誇張する)現代レンズからすればいかにも「昭和のレンズ」ではあるが。
 今回撮ってきた阿蘇の風景など、まるで当時の観光パンフレットの写真のようだ。
 牛や馬の写真など、「ああ、あの頃飼っていたベコ助や馬之助を思い出すなア」という感慨に浸れる。もっとも牛や馬を飼ったことのある人などあまりいないと思うが。もちろん私も飼ったことはない。
 稀少なはずだが市場価格は高くないので、じっと待っていたら13mmも私の手元に来るにちがいない。
 その頃にはCOVID-19の感染も収まって大っぴらに旅行に出かけられる世の中になっていると思うので、このレンズと広角、標準、38mmの「僕さあ四兄弟」を連れて趣味の韓国旅行に旅立とうと思う。

カメラ河童のシネレンズ図鑑32-Kern-Paillard Switzerland YVAR 25mm F2.5 D-(愛すべき機械たち)

KERN-PAILLARD 25mm F2

 Kern-Paillard Switzerland YVAR 25mm F2.5 D

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製造:Kern-Paillard Switzerland
製造時期:1950年代(推定)
レンズ構成:不明
鏡胴デザイン:フジツボ型・クローム黒ストライプ
焦点距離:25mm
開放値:1:2.5
絞りリング(前):時計回り:F2.5,2.8,4,5.6,8,11,16,22の8目盛り・無段変換
絞り羽根:6枚
ピントリング(後ろ):時計回り:1.1/2feet~
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

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IMGP7082

[レビュー]
 25mmといえばDマウントでは望遠に当たるが、既にこの任務には38mmレンズがあり、一体何時何処で使うのか、という感を免れないレンズである。
 私が「家畜人オークション(仮名)」でこのレンズを得たのは、持病の心房細動のアブレーションをして帰ってきて術中の体力消耗と鎮静剤の所為でヘロヘロになっているときであった。入札はその前で、この時私はこのレンズと「縁だすなー22(仮名)」という、およそ私には分不相応のレンズを入札しており、「死ぬかもしれない」という恐怖でヤケクソになっていたことが伺われる。

 それでもこのレンズは当時私の持っていたレンズたちの中でもずば抜けて写りがよかったから、このレンズで撮った写真はやたらと多い。

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 三角に居た頃には新しいレンズを手に入れると薄暮のうちに高野山のテレビ塔を撮影して無限遠撮影の出来を確かめていたのだが、合格の写りであった。

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 赤の発色が自然で全開放で撮ってもこの時代のレンズによくある浮いた感じがない。
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 白の滲みもまるでない。

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どころか、半透明の花の質感がよく表現されている。

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 私の好きな紫の花の発色も抜群である。赤ッぽくなく、青っぽくなく、「紫っ!」という感じである。

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 こういうレンズで桜を撮ると綺麗なのだが、この日は生憎の曇天だったようだ。

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 こういう良いレンズは鳥や動物が撮りたくなる。

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 目にピタッとピントが合って可愛く撮れる。

IMGP3370

 動くものもその一瞬を止めて切り取ることができるのもいいレンズの証拠である。40年前のレンズとは思えない。

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 撮り方次第では玉ボケ(バブルボケ)のような面白いボケ方もさせられる。

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 一面の同色の中でも被写体が埋没しないのもこれまたいいレンズの証拠である。本当に40年前のレンズとは思えない(しつこい)。

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 レンズの七難隠す朝焼けや夕焼けもすっきり写る。

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 逆光でもそう簡単にはハレーションが現れない光に強いレンズである。

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 被写界深度が大きいので近景と遠景を同時に入れた広角っぽい撮り方をしても不自然にならない。

IMGP3178

 冬山と海のような「どこからどこまでがどっち」になりがちな構図もすっきりとまとまる。惜しむらくは25mmのため画角が狭い。13mmでこれだったらもっと雄大な感じで撮れるだろう。

IMGP3198

IMGP2998

 船や鳥などの動く近景と山などの遠景を同じ構図の中に入れるのはDマウントには結構難しいのだが、なんなく熟せている。

 まとめると、くっきり、すっきり、ボケるところはボケ、深い所まで鮮明に撮ろうと思えば撮れ、「オバQ」の純正レンズよりよほどいいレンズなのではないかと思えるほどだ。
 ただ、焦点距離が25mmというのが残念至極である。どうしても画角が小さいため、構図が限られる。

[駄文]
 このレンズは私にしては随分高く買ったものだが、それでも確か夫婦2人で回転寿司に行って「今日はちょっと抑えめに」というくらいの値段だったと思う。
 手術室に入る直前には同種の13mmにも入札していたが、病室に帰ってきたときにはその3倍くらいの値段で既に落札されていた。このレンズを落札できたのはやはり焦点距離が半端というのが幸いしたのだろう。
 この頃はまだ「上等舶来」という言葉が比喩でなく生きていた時代だと痛感する。
 私の持っている「蹴るん(仮名)」の2つのレンズは世間の基準から云えば「ジャンク」そのものなのだが、それでも沢山持っている国産のそれらと比べると白眉といえる。レンズの出来だけでなく、持ち主も大切に使い、保存状態も良かったのだろう。
 「蹴るん」の13mmを手に入れたらそれしか使わなくなるかもしれない。

カメラ河童のシネレンズ図鑑30-CINE-ARCO 6.5mm F1.8 後期型(ゼブラ) D-(愛すべき機械たち)

CINE-ARCO6.5mmF1.8後期型

 CINE-ARCO 6.5mm F1.8  後期型(ゼブラ)  D

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製造:アルコ写真工業
製造時期:1956年~1961年
レンズ構成:不明
鏡胴デザイン:筒型・ゼブラ
焦点距離:6.5mm
開放値:1:1.8
絞りリング:反時計回り:F1.8,2.8,4,5.6,8,11,16の7段階
絞り羽根:6枚
ピントリング:なし
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

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[レビュー]
 他の「歩こう」のレンズと同様、同社の8mmカメラのターレットに嵌って三羽ひとからげで我が家に来たレンズである。
 13mmで「ゼブラになってもアルコはアルコ」という話をしたが、6.5mmも同じく「ゼブラになってもアルコはアルコ」であった。

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 鏡胴が違ってもレンズは同じだからケラレも同じだろうなと思っていたら、やはり全開放でも周辺減光程度では済まない見事なケラレである。
 やはり「歩こう」のレンズと「オバQ」は相性が悪いのだ。

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 更にF16まで絞るとゴミの写り込みまで出現した。
 機構上の問題だけでなく、個体の保存状態にも問題があるということだ。

 こういうレンズは夕陽を撮るのに使うというテがあるのだが、試写の日は生憎の雨。ブログを更新するギリギリになるまでこのレンズで試写する気がしなかったのはこうした事態が予想できたからである。

IMGP7226

 夕陽が駄目なら接写。
 これもなかなかピントが合わず、ボヤンとしている。
 ただしこの構図だとケラレは目立たない。
 白の滲みがあるが、これはこの時代のレンズによくあることだ。

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 花ではなく葉っぱにピントが合ってしまった。

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 ちょっと周囲が明るいと回転するのは標準・望遠・広角問わず「歩こう」の特徴である。これを面白いと感じるかどうかがDマウントファンの素質があるかどうかの試金石だと私は思っている。

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 私は何とか単なる花の写真ではなく、花の写った風景写真にしようと努力した。

 どんな努力をしたかは次回「6.5mmまとめ」で詳しく述べようと思う。今はただピントを手前に合わせることでケラレを軽減し、背景も構図の中に入れようとした、とだけ言っておく。

 しかし、ピントの甘さと被写界深度の浅さは如何ともし難かった。皮肉な話だが、他社の普及版(F1.9)より0.1明るいレンズであることが仇となったとしか思えない。

 まとめると、ストライプの「歩こう」と同じく「夕陽でも撮るか」というレンズである。鏡胴は違うがレンズ構成は同じなのだろう。「オバQ」との相性が悪すぎる。「知能(仮名)」の「べらりミーちゃん(仮名)」は中古市場でも全く見ないが、これを手に入れて真価を発揮させたいレンズである。

[駄文]
 「歩こう」は終戦直後の昭和41年(1961)創業。カメラのアクセサリー会社として発展したが、多くの同業者がそうだったように、周辺部品に飽き足らずカメラの製造を開始する。特に「歩こう35」はその独創的な機構が当時は天と地ほどの技術力差のあった米国企業に興味を持たれたという。
 だが、「加農(仮名)」が満を持して市場に投入した「加農ネット」は中小企業のそうした努力を吹き飛ばしてしまった。
 「歩こう」は8mmカメラに転進。3本ターレットのダブル8の技術を究極まで追求してゆく。同社の作った一連の8mmカメラは現在でも技術的に高く評価されている。これらのカメラの3本ターレットに嵌っていたのは勿論Dマウントの標準13mm、望遠38mm or 25mm、広角6.5mmである。
 だが、矢継ぎ早な製品開発と市場投入は実らず、同社は昭和36年(1961)に倒産。アオリイカを喰って、じゃなかった、煽りを喰ってあの「頭脳(仮名)」まで倒産してしまったのはオールドレンズファンの間では有名な話である。

 こうした歴史を振り返れば、「歩こう」こそがDマウントを愛しDマウントに殉じたと言えなくもない。
 にも関わらず「歩こう」製のDマウントの評価が今一つ低く、実物を手に入れて撮影してみても写真の出来が今一つなのは実に残念だ。カメラに力を入れすぎてレンズが疎かになっていたのだろうか。

 そうではなく、愛されよく使われたからこそ状態が悪いのだろう。 
 現在の評価の低さは偏に「オバQ」との相性の悪さに由来するに違いない。知らんけど。

 「歩こう」に限らず6.5mmの価値を一気に復権させるようなDマウントカメラが出てほしいものだ。まあ見果てぬ夢だが。

カメラ河童のシネレンズ図鑑29-CINE-W. ARCO 6.5mm F1.8 前期型(ストライプ) D-(愛すべき機械たち)

CINE-W. ARCO 6.5mm F1

 CINE-W. ARCO 6.5mm F1.8 D

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製造:アルコ写真工業
製造時期:1956年~1961年
レンズ構成:不明
鏡胴デザイン:アサガオ型・クローム黒ストライプ
焦点距離:6.5mm
開放値:1:1.8
絞りリング:反時計回り:F1.8,2.8,4,5.6,8,11,16の7段階
絞り羽根:6枚
ピントリング:なし
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

IMGP7174

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IMGP7178

[レビュー]
 「歩こう(仮名)」の8mmレンズに付いて牛丼1杯分くらいの値段で我が家にやってきたレンズである。
 ご覧の通り前玉の周囲のプラスチック部分がどういう訳か気泡化してブツブツになっている。見ただけで気持ちが悪く、使う気を失くしてしまった。
 このすぐ後に素晴らしい外観の「紀伊國屋門左衛門6.5mm」がやってきたのでレンズ箱(釣り道具箱)の中で熟成されてしまったレンズである。

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 それでも旅のお供に引っ張り出したこともあったようだが、ケラレを気にして全開放で撮ると広角にあるまじきぼんやりした写りである。

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 かといって画面を鮮明にしようとして絞ると、もはや発明初期の写真のようである。ポートレートでも撮ってロケットの中に入れるか。しかも個体の保存状態が悪く、ゴミが映り込む。

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 夕陽でも撮るしかないか。これならば全体が暗いので減光が目立たないし、中央部に被写体があるのでむしろ強調される。

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 絞ると六角形の夕陽が出現した。
 周辺減光はもうケラレというレベルではない。前縁が写り込んでいるのがはっきりわかる。

IMGP0156t

 トリミングするとオモシロ写真ではあるな。

IMGP6393

 曇天の日に花を撮るくらいの用途しかないと判断したのだろう。

 この写真を最後に私はこのレンズを使っていない。
[追記]
 と書いたが、私が最後に韓国旅行をした昨年の年末年始に「歩こう3兄弟」をお供にしたことを思い出した。

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 夜の飲食店などで手元を撮るのには適しているか。しかしこれでもケラレは目立つ。

  まとめると、「オバQ」との相性が悪すぎてこの組み合わせで撮影するのはカメラにとってもレンズにとっても可哀想である。Dマウント専用カメラに装着して名誉回復させたいレンズだ。

[駄文]
 「歩こう(仮名)」は現存するDマウントレンズの中で一番個体数が多いような気がする。そして、大抵の場合3個1組で牛丼1杯分くらいの値段(送料除く)で売られているが、買う人もいないようだ。
 これはやはり殆どの人がDマウントの撮影に使用する「ペンテコステオバQ(仮名}」との相性の悪さからだろう。
 13mmはF5.6まで絞っても回転することがあるし、発色が悪い。6.5mmは私の知っている限りでもっともケラレの酷いレンズである。

 私はいいレンズを使い飽きてDマウントに走った人間ではなく、ド素人のときからジャンクレンズに憑りつかれてしまった男なので、このような「歩こう」の特質をこそDマウントの特質として考えている。したがって世間一般の(といってもDマウントファンは全国でも100名程度と推定されるが)人よりはこのレンズ群にずっと甘いと思う。

 もう少し状態のいい個体を手に入れたらどうにかその特質を生かした写真を撮ろうと思っている。

 あるいは「知能(仮名)」の「べらりミーちゃん(仮名)」で撮影してみるとこれはセンサーが8mmカメラと同じ大きさだから、ケラレがなくまた違った印象になるのだろう。

カメラ河童のシネレンズ図鑑28-WIDE ZUNOW-CINE 6.5mm F1.9 D-(愛すべき機械たち)

ZUNOW-CINE 6.5mm F1.9


WIDE ZUNOW-CINE 6.5mm F1.9 D

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製造:ズノー光学工業株式会社
製造時期:1950年代~1961年(推定)
レンズ構成:不明
鏡胴デザイン:バベルの塔型・黒
焦点距離:6.5mm
開放値:1:1.9
絞りリング(前):反時計回り:F1.9,2.8,4,5.6,8,11,16の7段階
絞り羽根:6枚
ピントリング(後ろ):時計回り:0.6feet~INF
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。

[レビュー]
 「レンズ代には普通の勤め人の昼飯1回分の金しか掛けない」というのが私の「ジャンク道」における信条なのだが、この信条を破ったことが何度かある。このレンズもその1つで、たしか安いフレンチのランチくらいの値段で買った覚えがある。「カリガリ博士市場(仮名)」だったと思う。
 13mm,38mmと「落下物」で既に揃えていたので、集大成として6.5mmが欲しかったのだ。
 だが、来てみたら随分と古ぼけた外観だったので、あーあー、「がっかり銘玉」かと思ってしばらく放置していた。どうせケラレのある6.5mmだし。
 初めて撮影したのは「ZUNOW3兄弟と行く豊肥線の旅」と銘打った撮影旅行だった。

IMGP4768

 しかし、この旅では標準では画角の関係で一つの画面に収められないビルを撮った写真くらいしか残っていない。後はトンネル効果を期待して長い廊下など。それだけ私の6.5mmに対する期待が薄いということだろう。
 この時はF4で撮っているのでケラレが酷い。

 せっかく図鑑と銘打った連載を始めたのだから、1つ1つのレンズで撮影して特性を明らかにしなければ。頑張って試写してみた。

IMGP7137

 まずは6.5mmが苦手の風景写真から。広角なのに風景写真が苦手というのも変な話だが。やはり全開放で撮ってもケラレがある。

IMGP7137t

 だが、意外に周辺減光が少なく、トリミングの量が少ないのでかなり元の構図に近い。遠くに見えるビルの大きさをトリミング前と後で比べていただきたい。

IMGP7139

 さらに6.5mmがもっと苦手な空の撮影。やはりケラレが出た。

IMGP7139t

 しかしこれも周辺減光が意外に少なく、トリミングしても元の構図がどうにか残せているようだ。

IMGP7140

 構図の中を対象物で一杯にして全開放で撮影すればもはや周辺減光は全く目立たない。多少空白があっても大丈夫である。そして赤と緑の発色がなかなかいい。

IMGP7147

 接写は全く問題なし。くっきりすっきり、立体感のある広角らしい写真である。

IMGP7161

 こういう構図で白を撮って滲まないのもいいレンズの証拠である。

IMGP7165

 Dマウント名物の回転(ぐるぐるボケ)も撮影条件次第では出るようだ。

IMGP7164

 お地蔵さんも綺麗に撮れたから、ポートレートにも使えるかもしれない。

 まとめると、やはり「広角でも頭脳」である。ケラレは全開放で撮ればトリミングして使える程度。発色が自然でいい。中近景ならばくっきりすっきり立体感のある画像に仕上がるだろう。

[駄文]
 正直な話、私はオールドレンズファンが「頭脳が」「頭脳が」というのを「うるせー」と思っていた。
 しかし、自分がコレクションして撮影してきたレンズたちについてその特性の1つ1つを振り返ってみたら、やはり「頭脳」は凄い。
 私のコレクションにある4本の「頭脳」の保存状態は最低に近い。2つは「落下物」で、酷いものは中玉が割れているのだから。
 それでも、自分が、「こういう写真を撮りたい」と思った写真をPCで確認してみると、「ああ、これが撮りたかったんだよな」という写真が僅かながら撮れていたり、「こんな風に撮りたかったんじゃないんだけど、でも、面白いな」という写真が撮れている確率が一番高いレンズはやはり「頭脳」なのだ。

 何故この会社は現在残っていないのか。こんな素晴らしいレンズを作っていたのに。

 結果論的な話をすれば、レンズを含む素晴らしいアクセサリーを作っていた会社がカメラ本体の製造に進出し、それが大手カメラ会社に押しつぶされてしまったということだろう。

 教科書を作っていた会社が学校を作って潰れた、という喩えは少々不謹慎か。

 「分相応」とか、「分不相応」とか、私の嫌いな話になりそうなのでこれくらいにするか。
 

カメラ河童のシネレンズ図鑑22-SANKYO 38mm F1.4 D-(愛すべき機械たち)

SANKYO 38mm F1

 SANKYO 38mm F1.4 D


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製造:三協精機
製造時期:1960年代(推定)
レンズ構成:不明
鏡胴デザイン:円筒型・クローム黒ゼブラ
焦点距離:38mm
開放値:1:1.4
絞りリング(前):反時計回り:F1.4,2,2.8,4,5.6,8,11,16,22の9目盛り・無段変換・距離計と連動
絞り羽根:10枚
ピントリング(後ろ):反時計回り:2.5feet(0.8m)~
マウント:D
実用撮影可能なデジタル写真機
:PENTAX Q,PENTAX Q10,PENTAX Q7, PENTAX Q-S1,CHINON Bellami HD-1
装着方法:PENTAX機種ではD→Qマウントアダプターを使用。CHINON機には直接装着。


IMGP6938

IMGP6941

IMGP6942

 「協賛13mm(仮名)」と一緒に同社の8mmカメラに嵌って普通の勤め人の昼飯1回分くらいの値段で「家畜人オークション(仮名)」で売られていたレンズである。
 13mmの前玉がプラスチックだったことにショックを受けたのか、入手当時にこのレンズで撮った写真はない。13mmの状態が悪すぎるために同じようなカメラを2つ買ったため、我が家にはこの写真を撮った事のないレンズが2つある。

 この連載のために急遽試写してみた。

IMGP6950

 まず全開放で青空。
 周囲の減光もなく完璧。明るいレンズである。この構図では収差もこの明るさにしては目立たない。

IMGP6951

 近景はピントくっきり、しっかりボケる。

IMGP6953

 中景。ちょっと周囲が流れるか。この時代のレンズでF1.4ということを考えれば上出来である。

IMGP6959

 赤の発色もよい。全開放にしては被写界深度も深いのではないか。

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 4種類の葉っぱの色を写し分けている。

IMGP6978

 F4での遠景。もう少しすっきりした仕上がりになるかと思ったが、ピントがちゃんと合わなかったか。どうも四角い物を移すと結構樽型の収差がキツいレンズのようだ。

IMGP6973

 そう思って見ると雲も何となく歪んでいるような。

IMGP6987

 夕暮れ時にもう一度持ち出して撮ってみる。やはりこのレンズは相当明るい。

IMGP6981

 カメラを行き交う車に向けると、何じゃこりゃ。変なハレーションである。

IMGP6983

 ところが、黄昏時になると、10枚羽の絞りの威力である美しいスターが現れ始めた。

IMGP6985
 ストロボは一切焚いていない。
 何だか「薄暮撮影用」という語が浮かんできた。

 まとめると、くっきり写り、しっかりボケ、何よりも明るいレンズである。この時代のDマウントに特有の回転(ぐるぐるボケ)はほぼない。ただ、あまりに大きく重い。

 それと、大口径だからなのか、昼間の撮影で「オバQ」のモニターが異常に見にくい。光がドーッと入ってくるのかもしれない。やはり薄暮に良い味が出せそうだ。

[駄文]
 映像をPCで確認した時、急にあるレンズのことが思い浮かんだ。「あれ」にそっくりの画像だ。
IMGP4183

 それはこの「Elbow 25cm F1.8」Qマウント改造レンズである。
 これは「Elbow」の8mmカメラに嵌っていた後玉は本体にあるレンズを改造して「オバQ」に装着できるようにしたものだ。

IMGP3568

IMGP3572

 私はこの「Elbow」銘のレンズを作ったのは「頭脳」ではないかと勝手に思っている。
 前玉のピンポン玉のような丸さが「頭脳」の有名なレンズに似ているからだ。

 そして「協賛38mmF1.4」とこの改造レンズもよく似ている。これは改造に「協賛38mm」の鏡胴を使ったからだけではない。この2つの前玉の曲面は瓜二つの「ピンポン玉」なのだ。

 だとするとこのレンズは「頭脳」の「ピンポン玉」の子孫ということになる。

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