NHKの朝の連続ドラマ「おひさま」。毎朝私を泣かしているドラマである。
 主人公は昭和10年代後半の小学校教員である。この設定、私の母と同じである。母も戦時中熊本県のA小学校というところで教員をしていた。
 ドラマのほうは来週戦争が終わるようだが、戦時中あれだけ「御国のために」と教えていて、先生たちはどうなるのだろう。
 私の母は戦後教鞭を執っていない。そのことについて母は多くを語らないが、軍国主義教育により教え子を戦場に送ったことへの慙愧の念かららしい。
 だが、「手の平を返した」人の話は子供のころから面白おかしく話してくれた。
 A小学校の校長B先生。ビルマ(現ミャンマー)のラングーンを日本軍が陥落させたときには全校生徒への訓示で「ラングーンは陥(お)ちたり!」と叫んだという。そのあとの小国民としての心構えを説く訓示は感動的だった。B先生の眼には涙がにじんでいたそうだ。そのB先生、終戦の翌週の生徒への訓示で、「今日から日本は民主主義の新生日本です!」と叫んだそうだ。やはりB先生の眼には涙がにじんでいた。
 私が「おひさま」を気に入っているのは戦時中の登場人物が変に「反戦」でないところである。いままでの戦争中を描いたドラマでは主人公やその親しい人はお約束のように「反戦」なのだが、当時「反戦」だった人がどれだけいるというのだろう。おそらく1万人に1人もいなかっただろう。それでも、B先生のようにこれだけ見事に手の平を返せた人はあまり多くなかったに違いない。
 そういえば終戦直後に
「一億総懺悔」と書いた新聞記者もいたそうだが。
 私はもともとこだわりが強いほうだから、以前はこういう人たちに怒りしか感じなかった。
 だが、自分も大した人間ではないということを骨身にしみてわかってきた30代半ばくらいから、肩を「ポン」と叩いて声をかけたくなるようになった。
「大変だねえ!」