ジュース

  キリシタンの足跡を訪ねて天草の小旅行を続けている私たち夫婦である。

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 大江天主堂から、近くにあるキリシタン資料館「クルス館(仮名)」に移動する。
 クルス館は天草市の施設である。市の施設は大抵月曜日が休みである。案の定、今日は閉館であった。 

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 駐車場に以前はなかった木下杢太郎の詩碑ができている。 
[碑文]
   あまくさ
天草高来の民こそは 耶蘇の外法を伝えぬれ
港に入れる、やあら、いよ、勇魚追いこしみやびとは
さみどりの胸いとかたき 無花果樹島の 少女らに
あらら、キリシタン伴天連の 恋の秘法ぞ伝えぬる
[現代誤訳]
天草の高来の人々こそはキリストの秘法を伝えているのだ。
港に入った、ああら、魚や鯨を追っかける漁師は
無花果の生え盛る天草の 青い果実のような乙女たちに
あらら、クリスチャン神父の恋の秘法で思いを伝えて心を奪ったよ

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 裏には濱名志松という人が書いた碑文がある。この濱名という人名にはこの数十分後再度巡り合うことになる。

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 隣には平野万里の歌碑も。

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[碑文]
赤葡萄たわわにみのり風かをる 南の島をけふもさまよう
[現代誤訳]
赤ブドウがたわわに実って風が香る南の島天草を今日も彷徨う私である。

 この碑も10年前、天草に来てすぐにはなかったものである。
 「五足の靴」は一部の文学者以外ではほとんど忘れ去られていたのだが、ある人の長年にわたる地道な研究によってやっと脚光を浴びることになった。その人こそが濱名志松という人なのだ。
 「ここにしかない搾りたてのジュース」という看板がある。
 何のジュースか書いてないのが妖しい。
 私は「ミカジュー」などと言われると「美香ちゃんのジュース」かな、などといかがわしいことを考えてしまう性質だから、何だかおどろおどろしい感じがしたのだが、妻は「わさもん(熊本弁で「物好き」)」で地域限定や期間限定が大好きだから、「飲んでみようよ」と言って店に向かう。
 目ざとく客を見つけた店のおばちゃんがささっ、と出て来る。

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 どうもオレンジジュースのようだ。1本買って、「写真撮っていいですか」と聞くと、

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 わざわざ出してくれた。サービス満点である。
 柑橘のジュースだが、季節によってものが変わるからただ「ジュース」とだけ書いているらしい。
 今は温州ミカンジュースなわけだ。
 飲んでみると無茶無茶美味い。柑橘好きには堪えられない。
 今度はデコポンのときにまた飲もう、などと皮算用をしている私であった。