はた迷惑な喧嘩
 
 先日家で昼寝をしていると、家の前で笑い声が聞こえ、目が覚めた。
「うっせーな! もっと小さな声でしゃべれよ…」 
 まだ半分眠りながら人一倍話し声も大きく馬鹿笑いする私は自分のことは棚に上げて眉を顰めた。 
 男2人は久しぶりに会ったらしい。どうも幼馴染みらしい。中学のときの思い出だの、それらしい話をしている。
 2人ともトラック野郎らしい。
 私の家の真ん前にデカいトラックを2台違法駐車して喋っている。
「早くどっか行けよ…」と思いながらまどろんでいると、雲行きが怪しくなってきた。
 だんだん2人の声が怒気を含んできた。
 しまいには罵り合いである。
 どうも2人は対立するグループのリーダー同士だったらしい。
 突然、
「ようし、今日こそ決着つけちゃる!」「 望むところよ!」
という声が聞こえ、 一瞬の静寂が訪れた。
 その直後、トラックのエンジンがかかる音が聞こえ、一旦エンジン音が遠ざかった。
「ドゴーン!」
 大音響が起こった。 
 トラック同士が家の前で激突したのだ。
 だが、2人はそれぐらいでは気が済まなかったらしい。
 すぐに2台ともバックすると、再び、
「ドゴーン!」
 みたび、
「ドゴーン!」「ドゴーン!」 「ドゴーン!」
 私は1階の窓から息を潜めて固唾を飲んでこの対決を見ていた。
 なんてはた迷惑な喧嘩だろう。 
 そのうちにひときわ大きい音がしたと思うと、トラックが二台とも私の寝ている1階に向かって倒れてきた。
 逃げようとするのだが体が動かない。
「もう駄目だ…」と観念したとき、意識が戻ってきた。
 目が覚めると汗をぴっしょりかいていた。 
 夢の中に限らず、喧嘩は他所でやってほしいものだ。 
 それにしてもこの何日かはよく夢を覚えているな。睡眠の質が落ちているのだろうか。
 仕事を適当にやっているからかもしれない(冗談ですよー。上司にメールはやめてくださいねー)。もっとしっかり仕事をして体を疲れさせると夢なんか覚えていなくなるに違いない。