以下の文章は「気持ち悪いもの」が嫌いな人は読まないでください。また、読者のトラウマを避けるために現場写真は掲げませんが、すべて現実に起こったことです。
見たくないものを見てしまった。
我が家の猫の肉球ほどの畑には昨年の春から苺が植えられている。
しかし、昨年この苗から収穫された実はほんの数個で、しかも顔がゆがむほど酸っぱかった。
「これは来年に期待だな」と思っていたのだが、どんどんランナー(分株)が伸びてきて狭い畑を占拠してしまいそうな予感がしたので、鉢に植え直した。
気長に待った甲斐があってこれらの株は狭い生育地の中ではずいぶんと大きくなり、
たくさんの実をつけ始めた。
最初の収穫は順調だった。これらの苺は売っている物には到底及ばないような小粒だったが、甘酸っぱくて爽やかな風味で私を楽しませてくれた。
妻は最初からこれを食べなかった。どういうわけかこれらの実には小さな穴が開いていることが多かったからだ。
たわわに成った実が赤く色づき、収穫が増えるとともに、その小さな穴はほとんどすべての苺に開くようになり、しまいにトンネル状の穴さえ発見されるようになった。
私はある早朝、そのトンネルの正体を知ってしまった。
早速「最終兵器」の使用が検討され、実行に移された。
これは昨年私に大罪を犯させてしまった恐るべき兵器である。
詳細を知りたい人、ナメクジの害に困っている人は「私の犯してしまった罪」を参照してほしい。
昨年のものも十分恐るべき威力だったが、今年のものはこれにナメクジに食害されてトンネルだらけになって到底食べられない苺の実を入れていたので、ビールの水面が浸透圧の関係で膨張した大量のナメクジの死骸で盛り上がるほどの威力だった。
しかしこれはあまりにもおぞましいので写真の掲載は控える。
ところが、その翌日の夕方、仕事から帰ってきた私は、兵器の中のナメクジの骸がえらく減っているのに気付いた。
ビールと苺の化学作用はナメクジを溶かすのだろうか。
さらにその翌日。
私はその真相を知ってしまった。ああ、気持ち悪い。
私はこの出来事で烏が心底嫌いになってしまった。
だが、よく考えてみたらこの兵器の中で醸成されているものは「ナメクジのビール漬け」なのである。
なんだかフランス料理に「エスカルゴのビール漬け」というのがあったような気がする(今思いついたものであるはずもないので調べないでください)。
「サザエのビール漬け」を作ってみたくなった私であったが、その製作の動機を知っている人は絶対に手をつけないだろうな。