
今回より「カメラ河童の望遠道遥か」は「カメラ河童のジャンク道遥か」に改名します。
また、このブログは特定商品の宣伝やレビューではなく、単なる自慢話です。
ブログの更新が滞っているので「体調が悪いんですか」と心配してくれる人が多いが、最近すこぶる元気である。
ほかに凝っているものがあって手が回らないのだ。
それはカメラ、というより、ジャンクなレンズである。

最近私の撮影技術は自分としては相当進歩している。月の写真もご覧のとおり。

鳥の写真についてはまた報告したいが、少なくとも熊本市の江津湖のように鳥が人馴れしているところだったら上のサギ程度の写真は撮れるようになった。

所有するレンズの数も随分増えた。
ただし、手前の中央2本と左の後ろ2本以外はすべて1本300円以下のジャンク品だから、全部合わせても5000円にもならないが。
ジャンク品だからといってバカにはできない。
上の月と鳥の写真は1本250円(税抜き)のレンズで撮ったものである。

ただし、愛機「ペンタコステオバQ(仮名)」とレンズのバランスはご覧のとおりである。
いかにも「時代遅れのカメラマニア」という感じで、少々みっともない。
私は以前から憧れの「ほのぼのライク(仮名)」っぽいカメラとレンズのバランスで「ひょい!」とカメラを片手に写真を撮れないか、と思っていた。
「だったら純正つけろよ」という声が聞こえてきそうである。

「オバQ」の純正レンズというのは実に小さくて高性能で、望遠ズームで80mm相当のレンズが眼鏡の片方の玉ほど小さいのである。

写真もバッチリ綺麗なものが撮れる。
しかし、「オバQ」の8本あるレンズをすべて揃えるとなると、とうてい私のようなド素人の道楽に使うような金額ではなくなってしまう。
そんなとき、私は「8mmムービーカメラ用のレンズが『オバQ』にぴったり合う」という噂を聞いた、というより、私はカメラに詳しい人と全く付き合いがないのでネットで読んだだけだが。しかも、8mmのレンズは今では使い道がなく、素晴らしい高性能のレンズがジャンク品として投げ売りされているらしい。
8mmのレンズは「Dマウント」という規格らしい。

もともと私は「オバQ」の純正以外のレンズを使い始めたとき、K→Qというアダプターを買ったのだが、この商品と一緒に紹介されているアダプターでK→Qの1/10くらいの値段で出ているアダプターが脳裏に残っていた。

それがこのD→Qのアダプターである。
ある日私はこれを通販で衝動買いした。1000円くらいである。よく考えてみると高い。
しかも、注文してから気付いたのだが、Dマウントのレンズは安い物でも10,000円近くするのである。
既に気付いていたことだが、カメラマニアの「安い」はそれに興味のない人の常識とは少々違うのである。
このD→Qアダプターは、肝心のレンズがないので宙に浮きそうだった。
そんなとき、いつものごとく悪魔が私に囁いた。
「Dマウントのレンズがなければ作っちまえよ…」
Dマウントのレンズは8mmムービーのレンズだという。だったら、よく「ハートオープン(仮名)」などの中古屋で見かける8mmムービーを分解してレンズをこのアダプターに接着すればいい。そうすればDマウントレンズの出来上がりである。

早速私はジャンクコーナーに500円で放り込まれていた「不治?Non!(仮名)」の「独身8(仮名)」を分解、というか、構造がまったく分からないので破壊してレンズを取り出し、組み直した。
後から知ったのだがレンズの組み直しというのは相当詳しい人でないとできないらしい。
写真を見るといかにもいい感じだが、実はアダプターにレンズを両面テープで張り付けただけである。
しかもこれが全くピントが合わない。
さらに、これも後から知ったのだが、8mmレンズの規格はDマウントとは限らないらしい。

このレンズの付いていたカメラ以外に私にもバラバラにされてしまった気の毒な8mmムービーカメラは後2つあったのだが、いずれもDマウントアダプターに接着しても、どれもこれもモニターに形のある像を結ばないのだった。上のレンズなどもなかなかの銘品に見えるが、実は「映らないレンズ」である。

一番マシだったのがなんとファインダーに付いていたレンズで、これは台湾製のカメラの鏡筒(レンズの付いている部分は専門用語ではこう呼ぶらしい)につけるとどうにか像らしきものを結んだ。
「あーあ、1000円損した…」と思った。
まあ、「ほのぼのライク」のM42マウント→Qのアダプターを買うよりはマシだった。この組み合わせはアダプターの値段こそD→Qと変わらないが、レンズはン10万円である。
「そのうちに懐の体調がよくなったら(おそらくもう一生涯ないが)、Dマウントのレンズを買ってこのアダプターで『オバQ」につけよう。それまでの辛抱だ。」
そう思っていたとき、職場で飲み会があった。
久しぶりに友人のA君に会い、実家に泊めた(泊めたのは母であるから不遜な発言だが)。
実は同じ飲み会が去年もあり、やはりA君を実家に泊めたのだが、そのとき、私はよほど妻の待つ我が家に早く帰りたかったらしく、A君を最寄りの駅に放り出して早々に立ち去ったらしい。ろくすっぽ別れの挨拶もしなかったそうだ。
ところが今年は宴会でA君に会った瞬間に「そういえばB市には『ハートオープン』あったな…」と閃いた。
「A君、家に送るよ。」
A君は去年とのえらい違いに驚いたらしい。
私はA君を隣県のB市まで車で送っていった。50km以上の道のりである。
2人でラーメンを喰って、いよいよ「ハートオープン」へ、と思ったら、A君も行くという。
「ちっ、早く一人になりたいのに…」と思いつつ、2人で店に向かう。
店に着いてからしばらく、私は記憶がない。
ふっ、と気付いたとき、私は「掘り出し物」がなかったという落胆の気持ちとともに、はじめてA君はどこにいるのか気になり始めた。
A君は別のコーナーにいた。
「何もないけん帰ろうか。」というと、
「Sさん、ここにもなんかあるけど、見らんでいいと?」と、A君が「特集」という感じで棚に並べてあるカメラを指さした。
あ、気付かんかった、と思って改めて見ると、「香具師乎(仮名)」のえらく古い8mmムービーカメラが一番奥にあるではないか。

ズームレンズのない時代、リボルバー式に6本のレンズを交換する方式である。
1本だけ欠品だったが、5本のレンズが嵌っていた。
欠品は後で調べると人気の広角レンズだと思われる。

「香具師?Non!(仮名)」の標準レンズと、

「ヨハン・シュトラウス(仮名)」の望遠レンズである。
残りはDマウントよりもっと小さいレンズで、すぐには使えそうもなかったので後で方策を考えるとして、とりあえずD→Qマウントアダプターで「オバQ」に装着して試写してみる。

まず標準だが、ボヤーっとしてピントが合わない。
よく見るとレンズをバラした跡があって、どうも組み立ての仕方が悪かったようである。
このレンズについての報告は次回に回すとして、次に望遠で撮ってみる。

おお、ピントが合った。

しかも、ハコベを撮っているときに気付いたのだが、ピントが合っている以外の背景の部分(ボケ)が回転して見える。

この「ぐるぐる」は特に丸いものを上から撮っているときに逆光気味だと激しく現れるようだ。
少なくとも撮影しようとするときのカメラのモニターにはまったく表れていず、写真になって初めて出てくる現象だからとても面白い。
「不意打ち」である。
「Dマウントは『ぐるぐるボケ』が出る」と噂では聞いていたのだが、実際に見ると実に楽しい。

さて、手前の標準もなんとかしなければならない。
次回はこのレンズが実は「爆発レンズ」だったことについてである。