大袈裟なんだよ

 今回の釜山では、何日目には何をするという大まかな計画は立てていた。

 何せ丸々2日間は時間を気にせずに遊べるのである。

 1日目はホテルに着くだけでもう夜だろうから、夕食と少しだけの夜遊び。
 2日目は少し遠くに行く。具体的には今まで行ったことのなかった甘川文化村と、釜山の新中心街といわれる西面。 
 3日目は南浦の旧市街と韓国最大の海産物市場であるチャガルチ市場。
 4日目は買い残しの土産をホテル周辺で買ってから釜山港に直行。

 2日目の朝、まずは腹拵えである。

 前回、私達は前々回の釜山行で感動するほど美味かった鮑粥と海胆汁を食べ、妻の頼んだ鮑粥は変わらず美味かったのに、私の頼んだ海胆が苦かったので落胆したのだった。

 今回も行く気になったのは、美味しかった時の味が舌の上に残っているからで、前回の海胆は何かの間違いに違いないと思ったのだ。

 店は早朝だというのにもう客で一杯である。前回と違うのは、あの時は地元の人らしき人も半分くらいは居たのに、今回はおそらく客全員が日本人であろうことだ。
 ちょっとだけ店先で待って、一席だけ出来た席に座り、何時ものように(といっても3回目だが)鮑粥と海胆汁を注文する。

IMGP3693

 まずは海胆汁を味見。良かった。美味い。ただし、えらく値上がりしている。最初に食べた時のほぼ倍である。もしかすると海胆が高騰して前回`(2年前)は価格を維持するために品質を落とさざるを得なかったのかもしれない。

IMGP3692

 次は妻の鮑粥を味見。いつも(しつこいが3回目)通りの味である。美味い。

IMGP3694

 完食。 

 よかった。これからも釜山に来たらワクワクしながら朝食を食べに行ける。

 これからも贔屓にしますから美味しい食べ物を作り続けてくださいね。贔屓も何も3回目だけど(本当にしつこい)。

 どうも10年前が「この間」になったり、1年前が「昔」になったり、つい1週間前に会ったのに「久しぶり」になったり、1年振りに会ったのに「よく会うね」になったりするのは老化によって時の見当識が失われつつあるのかもしれない。

 朝食に大満足して、そのまま駅に、向かわずに、一旦ホテルに帰って一休みしてから地下鉄の駅に向かう。一遍に二つのことが出来なくなったのもこれまた老化なのだろう。

 南浦の駅で交通カードに料金をチャージする。

 前回の旅行で余った小銭を全部入れてやろうと思っていたのだが、敵もさるもの(`別に敵ではないが)、1000ウォン単位でしかチャージできないという。
 仕方がないのでそうしたが、それでも随分小銭が少なくなった。

 私は古銭の蒐集家なので旅行で余った小銭も綺麗な奴はできるだけアルバムに入れるようにしているのだが、何せ韓国にはもう11回も行っているのでこれ以上アルバムにも入れようがないのである。

 目的地の甘川文化村の最寄りの地下鉄駅は南浦から2駅のところにある土城という駅である。

 土城に着いたら地上に出てタクシーに乗る。
 本当は「マウルバス」というバスが一番料金が安いのだが、バス停がどこか分からなかったのだ。

 私は韓国語の「ㄴ(ニウン=n)」と「ㅎ(ヒウッ=h)」の間のリエゾンを発音するのが下手である。
 だから、私が「銀行(은행=ウンヘンとウネンの間くらいの音)」と発音したり、「電話(전화=チョンファとチョナの間くらいの音)」と発音したりするとまず通じない。

 おそらく地元だから「甘川」は発音しなくても「文化村」で通じると思うのだが、私の「文化(문화)=ムンファとムナの間くらいの音)」の発音が通じるだろうか。

 しかも、文化村といっても広い。散策コースの最初は何と言えばいいのだろう。あ、「入口(イプク)」だと通じるかもしれない。
 私が「文化村入口に行ってください」と言うと、一瞬間があったが、「ネー」という返事と共に車が動き出した。通じたのだ。
 今から考えれば「村=マウル」という固有語に反応したのだろう。これは発音が簡単である。そしておそらく大都会である釜山市街には「村」と呼ばれる場所は他にない。

IMGP3698

 タクシーに乗ってからすぐ気づいたことは、文化村はとんでもない坂の上にあるということだ。
 車はどんどん登っていく。さすが「韓国のマチュピチュ」である。ちょっと大袈裟だが。

IMGP3700

 散策コースのスタート地点らしきところに着くと、運転技師さんが「ここがイプク(入口)だよ」と言った。やはり「入口」でよかったのだ。俺ってすげー! (初歩の初歩ね。あんたの方が大袈裟だろ)
 
 いよいよ本日のメインイベント、甘川文化村の散策である。