Dマウント国産標準レンズ一応完集


 私のカメラ趣味は父から買ってもらった「椰子かEZ-MATIC(仮名)」から始まった。

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 ちょうどギャングエイジと呼ばれる小学校の高学年である。

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 それから約40年後、自力で購入したカメラとしては初のレンズ交換式1眼「ペンテコステオバQ」を購入したことで、本格的なカメラ生活が始まったといってよい。

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 最初の1年間くらいは標準レンズを使って撮影していたのだが、これにアダプターを付けて「ペンテコステ」の古いレンズであるKマウントで撮影する技を覚え、「望遠道」を突き進んだ。

 つもりだったのだが、望遠レンズは常に懐の体調が悪い私には高価過ぎた。
 月の写真を撮ったくらいから、この道は私の歩む道ではないことに気付いた。

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 そんな私が偶然出会ったのが「シネレンズ」と呼ばれる一連のオールドレンズだった。
 シネレンズの「シネ」は「シネマ」の「シネ」である。つまり、映画撮影用のレンズである。

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 シネレンズには16mmフィルム撮影機器にマッチするCマウントと8mmフィルム撮影機器(上写真)にマッチするDマウントがあるが、私にマッチしたのはDマウントであった。

 なぜマッチしたかといえば、「安いから」であって、なぜ安いかといえば、Cマウントレンズはいろいろなタイプのカメラにアダプターを介して装着できるのに対し、Dマウントレンズは昔の8mmフィルムカメラ以外には、「オバQ」しか実用的な撮影ができるカメラがないからである。

 つまり、Dマウントレンズを使い続けるということは、ほぼイコールで「オバQ」を使い続けることでもある。

 では、なぜ私が「オバQ」を使い続けるつもりなのかといえば、これまた「安いから」である。
 「オバQ」はレンズ交換式のデジタル1眼としては世界最小のボディだが、同時に定価が世界最低でもあるのだ。現在では製造停止になってしまったが、それでも中古市場で飲み会を2回我慢すれば買える程度の値段で取引きされている。

 「オバQ」は「貧乏人の1眼」であり、Dマウントは「貧乏人のオールドレンズ」なのだ。

 閑話休題(かめらのはなしというよりびんぼうじまんだな)。

 さて、大抵のレンズはコレクションに加えてきた私だが、どういう訳か縁のないレンズがあった。 
 「縁がない」というのはこの場合「高い」というものは含まない。それは単に「手が出ない」というに過ぎないからだ。
 これまで何度も「家畜人オークション(仮名)」で「あ、手頃な値段だな」と思って入札するのだが、後一歩のところで及ばない。「カリガリ博士市場(仮名)」で「あ、買い頃だ」と思ってポチろうとすると、もう「SOLD」の赤札が付いている。

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 それが「ケムンパス瑞鷹13mmF1.8D(仮名)」であった。

 私はなかなか(安くは)手に入らないと評判の世界最小Dマウント「日光る13mmF1.9(仮名)」や、幻の銘玉と謳われる「頭脳得るものあり13mmF1.1(仮名)」ですら1回の食事代程度の安値で手に入れてきた男である。

 それなのに、「瑞鷹」だけはどうしても手に入らず、殆ど諦めかけていた。

 だが、私の慧眼から逃れられるレンズは(国産では)ない。
 私はこれがたまたま昼飯1回分くらいの値段で「カチオク」の片隅でひっそりと売られているのを見逃さなかった。

 この商品はなかなか買い手がつかず既に「無限連環」に入っていると推測されたので、私は一計を案じることにした。
 それは全く音沙汰なく終了5分前くらいに突然開始値より結構高めに入札する、という荒業である。
 「カチオク」で「無限連環」に入っている商品はたまーにこれでとても安く手に入ることがある。おそらく売り手も狙っている人も「あ、忘れとった」という瞬間があるのだろう。

 成功。無事落札である。

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 遂に私は確認されている限りでの国産の標準(13mm)レンズは一応完集したのだ。

 上の写真の最前列に並んでいる10個のレンズのうち8種類がそれに当たる。

 左から「日光る13mmF1.9」「頭脳13mmF1.9」「頭脳得るものあり13mmF1.1」「紀伊国屋門左衛門13mmF1.9」「歩こう13mmF1.9(その左も同じ「歩こう」で鏡胴のデザインが違うがレンズは同じ)」、そして今回ようやく入手した「瑞鷹13mmF1.8」、「協賛13mmF1.9」「得るものあり10mm(Dマウント改造なのでこれはカウントしない)」「椰子呑んべえ13mmF1.4」である。

 私の知る限りこれ以外の国産メーカーでDマウントの標準レンズである13mmレンズを出しているところはない。
2020.12.21追記:これはとんでもない勘違いであって、判明しているだけで後6社が13mmレンズを出しているらしい。ただ、どれも極めて希少であって「カチオク」などには出てこないだけのようだ。

 今回国産Dマウント標準レンズ一応完集を記念して「カメラ河童のシネレンズ図鑑」を編纂することを厳かに宣言する。

 などと調子に乗って「ケムンパス」のことを調べていたら、何とこの栄光に満ちた伝統あるカメラ会社が映像部門を売却して撤退したというニュースを発見した。

 諸行無常は世の習いとはいえ、寂しい話である。しばらく茫然としてしまった。

 したがって「シネレンズ図鑑」第1項は「ケムンパス瑞鷹13mmF1.8(仮名)」とする。
 
 あ、そうだ。「ケムンパス」ブランドもなくなるらしいから実名でいいのか。
 オリンパス Cine-Zuiko 13mm F1.8です。