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菊スカ札リアル河童

第1HP「天草の海風」を全面リニューアルしました。
 もたもたしているうちにとうとう菊の時期が過ぎてしまった。
 既に述べたように、菊そのものは何時でも幾らでもあるのだ。

菊スカ

 しかし、花札の菊札のような大輪の紅と黄の混じった菊は、古今東西ないのである。
 ただ、このままだと牡丹のように全ての札が欠品になってしまう。
 そんなことになったら我が「リアル花札本舗」は信用失墜である。企業の存続に関わる(もともと存在しないけどね)。

 IMGP2100

 ということでやってきたのは熊本県北のとある神社。
 毎年菊祭りが行われていることで有名だが、私が札化する品種の選定に迷っているうちに行事は終わってしまった。

IMGP2101

 実施中なのはウイルス対策のみ。これはどこの施設でも年中行事になってしまった。

IMGP2107

 ところが幸いなことに、祭りは終わっても菊の方はまだ展示中である。
 どれを花札化しようか、物色する。

IMGP2111
PENTAXQ10+CINE YASHINON38mmF1.4

 色が一番近いのはこれか。黄色がベースで紅色が入っている品種が和菊にもあったのだ。でも形がちょっと違う。

IMGP2110
PENTAXQ10+CINE YASHINON38mmF1.4

 形が近いのはこれか。色は黄色一色だから花札と違うが。
 ということで、不本意ながらこの2品種の写真に決定。

菊スカ札01
菊スカ札02

 菊スカ札2種完成。勿論暫定である。

 さて、次は「菊に青短」と「菊に盃」である。
 青短と盃は既に用意してある。神主さんと交渉して写真を撮らせてもらうだけのことだ。
 私は脳内でこの交渉をシミュレーションしてみた。
 私は特に不審者に見られやすいから、いきなり「写真を撮らせてください」では駄目だろう。これは身分を明かして趣旨をきちんと説明する必要がある。
 ということは、まず名刺を渡さなければ。名刺は尻のポケットに入っている財布に数枚用意してある。私のケツ圧に押しつぶされて少し反ってはいるが。
 だが、この名刺の肩書と今私がしようとしていることには少しの関連もない。私はコミュニケーションや食事に問題がある人のサポートをする言語聴覚士という仕事で、主な業務は後輩たちにその知識や技術を教えることなのだ。その職業と、「菊を写真に撮って花札にする」という行為はベクトルの方向も長さも全く交わるところがない。
 「私、言葉と飲み込みに障害のある患者さんの手助けをする言語聴覚士というリハビリテーション専門職を養成する学校である〇〇学院の教員をしておりますSと申します。」ここまではいい。問題はここからである。「ところで現在、写真を使ったリアルな花札を作ろうと思っておりまして、その写真に貴社の菊の写真を使わせていただきたく、撮影させていただけないでしょうか。その際にこれ(自製の青短)を菊の枝に掛けたり、これ(盃)を菊の近くに置いたりさせていただきたいと思っております。菊に傷をつけないように十分注意したいと思いますのでどうかよろしくお願いいたします。」

 どうしても前半と後半が結びつかない。

 だいいち、神主さんは言語聴覚士を知っているだろうか。言語聴覚士はある程度の規模の病院や施設には必ずといっていいくらいに配置されているリハ職なのだが、世間一般の知名度はほぼゼロに近い。
 なにせ私がポイ活で答えているアンケートの職業欄の選択肢に「言語聴覚士」が出てきた試しがない。「医師」「看護師」「理学療法士」「作業療法士」の後に「言語聴覚士」の選択肢のあるアンケートは1000に1つもない。私はもう3年以上ポイ活をやっているが、この選択肢のあるアンケートに出逢ったのは数回である。言語聴覚士よりずっと数が少ない「視能訓練士」すら選択肢にあることが多いのに。だから私は忸怩たる思いのうちに「その他の医療技術職」にチェックを入れる日々なのだ。
 「言語聴覚士」と聞いた神主さんから「は?ゲンゴキンカクシ?ですか?」などと言われてしまいそうである。

 「こんな分かりにくい職種名を付けた奴出てこーい」と叫びたくなった。
 まだ「リアル花札本舗」という私の創り出した架空の会社名の方がよほど信用されそうである。

 しかも、撮影の趣旨がどうにか分かって貰えても、青短や盃で菊が痛む恐れもあるから、実際に許可してもらえるかどうかも分からない。

 「これは自分で菊を栽培するしかないな」と決意し、一旦は取り出した名刺を再び財布に戻した私であった。