昨日、今日と、広島県三原市の事業レビュー。三原市としては4年目、構想日本が関わり始めて3年目、私が関わり始めて2年目。

構想日本が初めて協力した2年前は、市役所内での事業レビューを実施することの意識共有ができておらず、当日の議論やその後の見直しなどがあまりうまくいかなかった。その反省を踏まえ、昨年度から職員との接触を大きく増やした。

まずは、全職員向け研修そして事業評価事業レビューをする意味を説明。そして事業レビューの対象事業担当課向け研修、市民判定者(無作為で選ばれた市民)向け研修。さらにもう一つ、対象事業担当課と個別にヒアリングをし、事業シートの記載の修正や補足資料のアドバイスなどを行った。このプロセスによって、ある意味「怖い」と感じられていた事業レビューの印象を大きく変えることにつながったのではないかと思う。

そして今年。

全体的には去年同様にとても良かった。一番は、説明した職員が「対話」をしようという意識で議論に参加してくれたこと。この雰囲気はここ数年の事業仕分け・事業レビューの中でも随一と言える。

そして、市民判定者の皆さんの満足度の高さ。
市民判定者の感想を聞くと、
「来年も是非参加したい」
「市のことを自分の事として感じることができた。三原市の見方が変わった」
「このような良い取組みを終わらせてはいけない」

これに呼応するように、事務局となっている職員や、評価者役を務めた三原市の審議会の委員からも、「この方式は続けた方が良い」との声が。これは、当初来ることができないことになっていた天満市長がほんの10分でも傍聴に立ち寄られたり、副市長が空いている時間はすべて傍聴していたことも影響しているのではないかと感じる。

構想日本が関わり始めて3年間、ずっとうまく進められたわけではない。事業レビュー自体の進め方の課題もあったところを、一つずつ真剣に解決することを心掛けた。それだけに、上記の感想はとにかくうれしい。いつまでも三原市に関わり続けたい。
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以下は、2日間議論した事業の一言論点。

●防犯灯維持管理事業
 市内に7300ある防犯灯の管理は市が行い、電気代は町内会が負担、その一部を市が補助。
<論点>
・この事業の目的である犯罪の防止に効果があるかどうかの検証をより詳しくすべき(現在は刑法犯認知件数を成果指標としている。減少はしているが県内では多い方に位置する)。
・現在転換率が約30%であるLED化を一気に変えることによるメリットをより深く分析すべき。そのうえでメリットが大きいと判断した場合に、一括のリース化などの検討が必要。
・この事業は町内会と密接につながっている。そもそも防犯や防災と地域は切れない関係にあるが、防犯灯管理は生活環境課、町内会の対応は地域調整課、防災は危機管理監と分かれていることによる非効率が生じている可能性がある。
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●安心・安全事業
 町内会が設置する防犯カメラの補助、防犯連合会への補助。
<論点>
・担当課(生活環境課)が管理する防犯カメラは市が設置している全74台のうち10台程度。市全体の設置計画や設置基準があるわけではないため、他の課が管理する防犯カメラも含めて全体として設置計画を作るべき。
・刑法犯の中心が自転車窃盗と万引きであるという実態に応じたカメラの設置になっているか。
・防犯連合会への補助額(357万円)の根拠が不明確(現在、補助要綱策定の検討中、概ね人件費相当を出しているとの回答)。人件費相当を出すとしても、本当にそれだけの補助額が必要なのか活動のチェックをもっとすべき。
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●マイナンバー活用事業
 マイナンバーの申請者への交付事務、交付のための啓発、住民票や印鑑登録証明等のコンビニ交付にかかる経費。
<論点>
・交付率が現在12%(全国でも9%)。どこまでを目標とするのか。
・まだ交付が進んでいない段階でコンビニ交付を開始した理由(コンビニ交付の目的は、1.利便性の向上、2.業務効率化)。
・コンビニ交付開始により、市役所に設置していた住民票や印鑑登録証明の自動交付機を廃止。自動交付機を使用実績は昨年度6758件、比べて今年3月から開始したコンビニ交付の実績は634件。半年で比較しても5分の1程度に減少。そもそも、自動交付機を利用できる対象者(市民カードを持っていてパスワード設定をしている人)は23000人であったことに比べて、コンビニ交付を利用できるマイナンバーカード保持者は11000人。果たして、利便性向上につながるのか。
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●三原地域連携推進協議会補助
 市内にキャンパスがある県立広島大学(保健福祉学部)、商工会、行政が連携をして市民講座を開催したり、産業界と大学が連携をしての商品開発などを実施する協議会への補助。
<論点>
・目的が産学官の連携により「地域の発展を目指す」とされているが、目的が大きすぎて実際に協議会が行っていることと乖離している。
・市民講座の開催が中心にように見えるがそれが目的ではないし、さらに連携することも目的ではない。連携をして講座などを開いた先の成果を考えるべき。本当に目指しているのは、大学や産業界や地域に根差していることを認知してもらうことではないか。
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●障害者就労体験事業
 障害者の就労体験(数日程度)の受入可能企業を探し、さらに体験を受け入れてくれた企業に対して1企業当たり1万円の謝金を支払う。
<論点>
・1万円の謝金の有無によって企業が受入の意思を変えるわけではない(1万円には効果がない)。
・受入可能企業を探すことももちろん必要であるが、別事業で障害者の就労に関するコーディネートをNPO法人に委託している。そちらに統合すべきではないか。
・法律により障害者の雇用人数が決まっている(法定雇用率)。民間企業の法定雇用率は2.0%のところ、三原市の平均は1.94%、法定雇用に達していない企業は全体の47%(法律の対象は従業員100人以上の企業)。もっと重要な市の役割は、法定雇用率に達していない企業への指導やその実態調査・分析ではないか。
・就労体験受入企業を公表することにより、企業イメージのアップにつながらないか。
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●障害者優待乗車証・優待乗船券交付事業
 障害者の外出支援・社会参加を目的として、障害者のバスへの乗車運賃及び鷺島からの乗船料を無料にする。
<論点>
・バスの乗車証について、交付している2148人のうち何人が利用しているのかが不明。その実態調査ができていないため、この事業が障害者の外出支援・社会参加に効果があるのか不明。
・障害者のバス乗車料を市がバス事業者に補助をしているが、補助金額に決定手法が、年に2回の調査のみ。天候や曜日によって障害者の乗車数は大きく変化すると思われるため正確性に欠けるのではないか。
・乗船券と同じくバス乗車についてもチケット制にすることを検討すべきはないか。
・障害者の外出支援は船やバスの他に、福祉タクシーや自家用車のガソリン補助などがある。どれか一つに決めるというだけでなく市内の各地域で組み合わせることも検討すべきではないか、いずれにしてもそのための実態調査が必要。
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●消費生活相談センター事業
 インターネット通販や架空請求などの市民のトラブルに対して無料での相談窓口。
<論点>
・「解決提示割合」が99%ととても高いが、この割合は完全に解決した案件だけでなく助言をしただけのもの含まれるため、本当に解決に至っているのかフォローアップが必要。
・消費生活安全法により、個々の市町村で消費生活センターの設置が努力義務とされているが必ずしもすべての市町村ということではなく、近隣の市町村との広域設置の選択肢もある(全国的には事例あり)。消費生活に関する相談内容は市町村によって差異はないこと、また消費生活相談員のなり手が少ないことなどもあるため、広域化の検討も必要。
・広域化とは別の観点で、市民にとっては相談内容によって窓口が違うことよりも市役所に相談するレば解決の糸口が見つかるという安心感を持ってもらうことが重要。その意味で、三原市が行っている他の相談業務(市民相談や法律相談など)との一元化も検討すべき。現在は課が異なる。
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●国際化推進協議会
 国際交流事業(ニュージーランドへの訪問団派遣や受け入れ)、多文化共生事業(在住外国人と市民との交流)、インバウンド観光事業(訪日外国人への支援や情報誌への広告掲載)を行う協議会への補助。
<論点>
・補助事業ではあるが、国際化推進協議会の事務局は市役所で会長は市長。実質は直接実施になっている。現時点においては補助事業にすることの方が職員の業務量も多くなっている。
・市民意識調査による「国際交流ができる機会が充実していると感じる」割合が3.5%と極端に低く、事業の効果が出ていないと言える。
・多文化共生の観点では、約2000人いる在住外国人が住みやすいと感じているかどうかも重要。意識調査をすべき。

これらの論点が次に活かされればこれまたうれしい。

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