November 19, 2009

十時半に餃子を食べて

十時半に餃子を食べているとき

僕は全ての言葉も味も失って

漬け物のある場所をぼんやりと眺めていた

僕は僕の中の湖が荒れ、あてどなく揺れ動き始める感情達を眺めていた



いつも自分を遠くから眺めることで

暗闇でさえも小さな一つの部屋にすぎないのだと知った

でも僕は今、光でさえも小さな一つの部屋にすぎないことを知ってしまった



手に入れる度 何かを失った
成長する度 どこかは退化した




小学校3年生の夏のある日

坂道を自転車をこぎ猛スピードで下っていたら
太い雑草が前輪に絡まって
自転車は前輪を支点に前転し
僕の体は宙に投げ飛ばされ
僕は宙で回転し
その時に見えた逆さまの風景が
今も鮮明に想いだせる


クラッシュしている


あの時も
今も



無重力状態で
何も掴めないまま
僕は風景を眺めていた
そしてその風景は
今も昔も 僕を人ごとのように冷たい目で眺め返している






僕は今という安定したスペースに体を移動させようとする
その僅かな面積になんとか乗っていようと試みる

力の入らない指で箸を持ち
餃子を一つ掴み
タレにつけ
口の中に運ぶ

一回咀嚼し、二回咀嚼し、三回、四回
オートマチックに繰り返す
その味気ない行為を繰り返すことで
僕は少しずつ舌のここそこに味を取り戻していく

ニンニクの香り
ニク汁のしたたり

餃子の味だ
餃子の触感だ

食事の観念だ

生命の基礎活動だ

僕だ

今だ

僕は今餃子を食べている



僕は故障したサイボーグのようだった自分の幻覚を
少しずつまともな現実の姿に書き換えていく




僕は十時半に餃子を食べている。

shinagawahiroshi at 00:45|PermalinkComments(7)TrackBack(0)この記事をクリップ!

November 17, 2009

八時半に餃子を食べて

夜の八時半に餃子を食べているとき

頭の中に哀愁のようなものがたちこめて

今まで書いたことのないような

フレーズが抽象的に浮かんで

後で書き残しておこうと思い

そのまま餃子を食べていたら、いつのまにか忘れていて



今さっき、書き残しておこうとしていたんだと思いだし

その抽象的なフレーズを呼び起こそうとしたけれど

もう脳の迷宮に入り込んで、どこにも見あたらなかった



探しても探しても見あたらなくて

自分の頭がなんだかしょうもないモノであるような気がしてきて

一瞬へこみそうになったが

そんな経験はしょっちゅうなので

いちいちへこむのも面倒なので

あっけらかんとすることにした


あっけらかんと楽観的に無思考になってはみたものの

夏の小学校の校庭で打ち上げられたホームランボールのように

空中に舞い上がってはみても、さりげなくどこかの現実世界の地面に

落ちていくという、窮屈だが無理のない自然な法則に従って

小池真理子の欲望をちょっと小難しく読んで

寝る事にする。


グッナイ、餃子とフレーズとホームランボール。

shinagawahiroshi at 02:28|PermalinkComments(2)TrackBack(0)この記事をクリップ!

November 12, 2009

せめて空がありますように

彼女は愛した人の永遠の不在を今日も抱いている

不在と語り合い

不在とソファに座り

不在とベッドの中でキスをする



人から見れば、彼女は孤独以外の何者でもない



でも僕が見た彼女の孤独は

妙に愛嬌があって、ある面では気高く美しい





彼女は闇の中、想い出を守り続けている

もう誰も彼女を愛していないのに

彼女は想い出に愛され続けている

彼女にとっては愛され続けていることが真実で

彼女は闇の中で、どんなときよりも素敵に笑う




誰が彼女を救えるだろう

誰が彼女の大事な闇を足蹴にし

見慣れない光を押しつけることができるだろう





彼女の闇は

彼女の心臓に深くこびれついてしまっている



それをはがせば、彼女は死んでしまうだろう





彼女は時折、死にたいとこぼす

でもまだ遠いと洩らす




僕は彼女を見て、胸が痛いけれど

彼女を救う気持ちにはなれない

彼女の悲しみは、同時に彼女にとっては喜びなのだから



だからといって、そのままでいいとも言えない

彼女に寄り添い続ける痛みを、肯定する残酷さも持ち合わせていないから







だから僕は、せめて、こう思う


どうか、空がありますように


昨日と同じように、空があり続けますように


いつまでも変わらずに大きく静かに、空がそこにあって


彼女の悲しみも、喜びも


ただただ、いつまでも


見守ってくれますように


と。

shinagawahiroshi at 01:27|PermalinkComments(7)TrackBack(0)この記事をクリップ!

November 09, 2009

小さな薔薇の干し花 終了。

本日のライブに
来て下さった皆様

これなかったけれども
距離をこえて応援して下さった皆様

皆様のおかげで
素敵な夜にすることができました


小さな薔薇の干し花
咲き誇ることができたと思います


本当にどうもありがとうございました。




感想などございましたら
こちらのコメントの方などにお寄せ下さい。





品川洋

shinagawahiroshi at 01:10|PermalinkComments(5)TrackBack(0)この記事をクリップ!

November 06, 2009

品川 洋 soloLive 『小さな薔薇の干し花』

へおこしの皆様へ

普段musica hall cafeは 美味しい飲み物や美味しい食べ物で満ちているのですが
当日の本番中は、美味しい飲み物のみのメニューとなっております
席の関係でテーブルが十分に用意できないので。
けれども、本番終了後は通常営業となりますので
ライブ終了後にお残りいただいて
美味しい食べ物等、堪能いたすことは可能でございます。
ご了承願います。



    at
musica hall cafe
札幌市中央区南3西6丁目10-3 長栄ビル3F
http://www.musica-hall-cafe.com/


2009/11/08 17:00open 17:30start
 2000円(1ドリンク付)

問い合わせ
musica hall cafe
http://www.musica-hall-cafe.com/
(H.P.トップメニューからaboutへ)
info@musica-hall-cafe.com
011-261-1787

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November 05, 2009

散文

朝起きたら11時だった

なんだか今日は起きた時からだるくて

体がなにかしらの疲労と、その為の休息を求めているのだろうなと思った

カーテンの隙間から見える光が

いつもより薄暗くて

それが現実的な天候によるものなのか、自分の精神状態によるものなのかしばし考えた


シャワーを浴びて

それから昨日焼いた、バナナ入りパンケーキの残りとハーブティーを朝ご飯に食べ

それからスティングの新譜を聞きながら、よしもとばななのイルカという小説を読んだ



妊婦が主人公の話しで

妊婦の気持ちがリアルに主観的に書かれていて

とても興味深かった

妊娠、出産を体験できる可能性を持った女性が羨ましくなった





夜に銭湯にいった

名も知らないおっさん達が

裸で、皆それぞれにお湯と静かに戯れていた

不思議だなぁと思う

路上で、こんだけの裸のおっさん達がいたら

世界的大(珍)事件なのに

壁とお湯があるだけで

どんな露出も許容されてしまう。

きっと何千年も前から、どこかの温泉等で

人類はこうして湯気の中に寄り合ってきたんだろう。

今自分が見ている風景が

原始的なもののようで

心が古い古い故郷に帰っていくような気持ちになり、妙に癒された。



銭湯から帰るとき

雲の間に月が見えた

去年の冬のある夜中に同じように月を見上げた記憶が不意に

意識の枠内に入り込んできて

その時の月の輝きと、今の月の輝きは

随分と違うように思えた


僕はこれから一体何度月を見上げ

そしてその月の輝きは、どのくらい変わっていくのだろう

そんな事を思うと、期待と不安を感じた


でも結局、月は月なんだろうなと思い

少し笑った。

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October 26, 2009

扉のむこう側で

扉の向こう側では

いつも君は笑ってる


映画をみたり

友達と話したりして

君はいつも笑ってる


苦手な同僚のいる職場でも

帰りがけによるスーパーの中でも

一人の家に帰っても

一人でつまらないテレビを見ながら食事をしていても

君はいつも笑ってる



ま夜中にだけ、君は扉のこっち側にくる

夢の中に

怖い動物がたくさんでてきて

時々君は目を覚ます

汗をかいた背中

静かで暗い部屋の空気

間延びしていく時

どこにも逃げ場がないような気がする

いい加減にして欲しいと願う

そしてまた目を閉じる

何かを必死で眠らせようと

目を閉じる




でも朝になればまた君は

扉の向こう側にいって

曇り空のむこうから遠慮がちに照らす太陽に

笑ってる



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October 24, 2009

37%の輝き

新しい一日がはじまっていたのに

僕は、こないだ枯れた花を窓から眺めてた



家の中にはあったかいココアや

君の気のきいた冗談なんかがあって

煌めく空気が成長期の少年の細胞のように

健全に増殖し時を満たそうとしているのに



僕は窓の外に目をやって

人知れず胸を潰していた





100%の輝きに

僕はもう染まれないだろう

どんなに純粋な光が降り注いでくれたとしても

僕は足下をうろつく影を可愛がるだろう、

汚れた野良猫に餌をやる、貧乏な老婆のように。






でも君が僕を見つめたら

僕は笑う

光を浴びきって100%の輝きに染まっているようなフリをして


君の瞳に

僕の影が映ってしまわないように気をつけながら





本当は50%にも満たない

37%くらいの輝きに染まった心で。

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October 13, 2009

その湯気は、天国の甘い霞のようだった。

今日は祝日で
でも祝日だからと言って何か遊ぶ予定があるあるわけでもなく

潜在的な自由力をもった今日という日を
僕は日常というカゴの中から出さないように
日々の延長上におしこめることにした

それは少し窮屈で
でも穏やかで
決して悪くはないと思った

歌って
曲作りに少し頭を投入して

飽きて外にでた

公園を散歩する

今朝みた天気予報では
晴れ間が続くので
紅葉を観賞するのに良いでしょう

公園の木々は、7割くらい紅葉していた

芝生の上では
犬を連れたありふれた人々が
ありふれた笑顔で
ありふれた知人達と
ありふれた会話をしていた


そのありふれた幸福に
僕はなんだか目を背けたくなった



イヤホンを耳に入れても
感動の泉はあまり満ちなかった



公園をでて、いくつかの通りを歩いた
日が暮れてきた

財布の中の現金が少なくなっていることを思い出し
北洋銀行に寄った

2万円おろして
105円の手数料を失った
僕は、僕の2万円の為に犠牲になった105円の為に
ATMに小さな舌打ちを捧げた



少しお腹が減っていることに気づいた
どこかで食べていこうかと考える

しばらく近所の飲食店のリストを
頭の中で眺めたけれど

何だかどれも食べたいと思えず
家に帰って何か適当に作ろうと思う


家路で、面倒くさい気分になる
特に何も食べたいものがないのに
腹が減っているから 何かをつくらなきゃいけない
食べなければいつか死んでしまうだろうから。
僕は生の奴隷なんだなぁと思う
どんなに自立しても、どんなに自由の旗を掲げたとしても
結局は自分自身の奴隷として
一生を生きなければならないのだろうなぁと思う


家に帰ると
親父がキッチンにいて
『おぉ、おかえり。うどん食べるか?』
という

部屋の中にうどんのダシの良いにおいが充満している

僕は
『あぁ、食べるよ』という



僕はすぐに差し出されたうどんの湯気を前に
少し泣きそうな微笑みが
僕の顔の表面に浮かんでくるのを見た。

shinagawahiroshi at 16:29|PermalinkComments(7)TrackBack(0)この記事をクリップ!

October 10, 2009

品川洋チケット予約について

お騒がせ、ご迷惑をおかけしました。

無事、復旧作業が済み

先ほど、予約メールを頂いた方に

先着順でメールを返信させて頂きました。



予約が成されたお客様からキャンセルの連絡がきた場合
キャンセル待ちの方へ、先着順に随時お知らせいたします。


たくさんの予約メールを頂いたみたいで
大体予約開始から30秒以内で定数を超えてしまったみたいです
皆さんありがとうございます。

予約が成されなかった皆さん、申し訳ないです。




品川。




shinagawahiroshi at 00:50|PermalinkComments(1)TrackBack(0)この記事をクリップ!