さいたまワールド、アイスダンスは、かなだい11位と大健闘。昨年末の全日本選手権を越える良い演技に会場を大いに沸かせました。しかしながら最終グループの演技は何じゃコレは!!としか思えないほど凄みがあった。では具体的に何がどう違うのか、素人には言葉にすることが難しい。朝日デジタルの有料記事(3/30 9:13まで)がプレゼントされたので、木戸先生記事を読んでみた。そしたら「進化と課題点」が、ストンと胸に落ちたので書き残しておこうと思う。
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リフト:(高橋が村元を)すごく軽々と持ち上げていた。筋トレの成果というわけではなく、2人の位置関係がすごく近くなった。男性が自分の重心を女性の真下に入れ、そのまま立ち上がることによって持ち上げる、というのが一番理想的で、軽やかに見える。ただ、全日本までは位置関係が遠かったため、筋力で上げている印象があった。それが今回、すごく上達していた。

エッジワーク:カーブも、これまでは「(エッジを)深く(倒して)描けているけど、無理やりやっている」という感じがあった。ただ今回見た限りでは「体重をエッジに乗せることそのもので、勝手にカーブが描かれる」という感覚が少し身についてきた、と思った。粗削りな感じが見えなくなってきた。「スピードを出して、深いエッジでガンガン行く」というより、「正しい体の使い方、動き方をすれば、自然とスピードが出て、エッジも深くなる」という思考に、本人たちの中でシフトしたような上達に見えた。

ホールド:課題は以前と変わらず、2人が一つの物体として滑る「ホールド」の部分。男性が相手に向かって進む、という原理原則がある。相手はそれを受け止めながら一体となる。乱暴な表現ですが「二つの物体が衝突して一個の物体になる」という感じ。

2人の滑れるシングル選手がジャンプを跳ばず、一緒にステップを踏んでいる――では、アイスダンスはダメなんです。誤解を恐れずに言えば、村元、高橋組もこのホールドや、ユニゾン(調和)の合わせ方は、まだ半人前だと思う。「2人が合わせて滑る」のではなく、「一体になって滑る」。これは、本当に時間をかけてやっていかなければいけない。

さらに、少しマニアックな指摘をすると、「頭を上から引っ張られているような感覚」がもうちょっとあると、2人の存在感がもっと大きくなってくると思う。「背中を真っすぐに」「体の軸を真っすぐに」という言い方もできる。バレリーナや、社交ダンスの選手はきっと「ああ」と言ってくれると思う。

グッと体重を乗せるってところまでは、よくできている。ここにプラスして、スケートの軽やかさを自然な感じで出すためには、強く乗せた力の感覚をコントロールしなければいけない。つまり、下向きのベクトルに対し、上向きのベクトルももうちょっと意識した方がいい。体幹の部分から、頭を少しスッと上に向けるイメージ。これがあると、演技全体がしまってくる。

上と下、両方のベクトルを意識することで「強さ」のコントロールが利いてくる。これが自在にできるかどうかが、今後世界で上位を狙っていく上で一つの鍵にはなると思う。
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キーワードは「エッジ」「ユニゾン」「ホールド」「ベクトル」。木戸先生の言葉、すんと入ってきました。2人が合わせて滑るのではなく、2人が一体となって滑ってるのがトップグループなんだと分かります。下位グループだと、どちらか片方に目が行くこともあるけど、トップグループはそれが殆どない。2人で1つに見えるからです。2人で1個体になるには時間がかかる。今回アイスダンス表彰台は全員、オーバー30歳でしたものね。木戸先生は最後にこのように述べています。私の願いも同じ。アイスダンスをもっと盛り上げ隊!
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私たちもアイスダンスの人気をもっと高め、さらに固めて、次世代を育てる努力をしないといけません。

アイスダンスは、シングル選手もできることをもっともっと緻密(ちみつ)に、深く突き詰め、究めていかないといけない種目。そのためには、地味でつまらない練習を延々と積み上げていく必要がある。しかも、すぐ結果として出てくるものでもない。2年後、3年後にやっと成果が表れる種目でもある。ある意味、究極的に知的なスポーツ。そういうものを純粋に面白いと思ってくれる子を見つけ、この世界の素晴らしさと技術を教えていかないといけない。

アイスダンスを盛り上げていく上で、あの2人からバトンを渡されているような気持ちの指導者、関係者は少なくないはずです。頑張らないといけない。難しくて、すてきな課題を与えられ、頭を抱えながらうれしい思いがこみ上げています。
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20230329かなだい
Photo by https://www.asahi.com/articles/photo/AS20230326003209.html

#GoShinGo #西山真瑚 #アイスダンス

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