本日待ちに待った平成29年度与党税制改正大綱が発表されました。



 配偶者控除の改正など世間で注目される改正項目もありましたが、当ブログで注目するのは医療法人の事業承継に大きく影響を与える下記の3つの改正項目になります。
 当改正項目によってもたらす影響額は非常に大きいため、承継を検討している医療法人は承継時の納税等を改めて試算(シミュレーション)する必要がありそうです。
※今回の記事は税制改正大綱について記載していますので、実際の税制改正では変更がある可能性がありますのでご注意ください。


1.医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予・免除制度の延長
(大綱P.49)


 これはいわゆる認定医療法人制度と言われる制度です。
 平成26年10月からスタートし、当初は平成29年9月までの制度の予定でしたが今回の大綱で3年間の延長と記載されていますので平成32年9月まで延長されることになります。
 持分あり医療法人が認定医療法人と認定されていれば、「出資者死亡時の相続税」および「一部出資者の持分放棄・低額払戻し時の他出資者へのみなし贈与に係る贈与税」が納税猶予されることになっており、医療法人にとって出資者死亡時などの対応に貢献しています。
 当制度が延長されない場合、平成29年9月に向けて駆け込みの認定需要が発生すると考えられていましたが、今回の延長で安心できる医療法人も多いのではないでしょうか。


2.非上場株式の相続税評価額の計算方法の改正
(大綱P.61)


 非上場株式の相続税評価は財産評価基本通達に定めれていますが、その計算方法が大きく変更になりそうです。詳細は割愛しますが、その計算のうち類似業種比準価額の計算に使用する数値割合に変更が生じます。
 具体的には、株価にあたえる「配当:利益:純資産」の3要素の影響割合が「1:3:1」から「1:1:1」となります。
 医療法人の場合は医療法第54条において配当が禁止されていますので「0:3:1」から「0:1:1」となります。(医療法人についての具体的記載はないため予測)

 その結果として内部留保の多い医療法人は出資持分の相続税評価額が高くなる可能性が高く、また、赤字決算後の出資持分相続税評価額が下がりづらくなる可能性が高くなります。

 出資持分の相続税評価額は医療法人の事業承継において非常に大きな影響を与えるので承継予定の医療法人は注意が必要です。


3.持分なし医療法人移行時に医療法人に係る贈与税の非課税化
(大綱P.48)


 これは過去から日本医師会が要望を続けていた項目です。
 持分なし医療法人へ移行時、相続税第66条第4項により一定条件を満たせない場合、医療法人に対して贈与税が課税されることになっていました。
 今回の大綱では、この贈与税を非課税化するという衝撃の内容になっています。

 ただし、これには条件が2つあります。
・移行計画の認定要件を満たし認定を受けること
・持分なし医療法人へ移行後、上記の認定要件を6年間維持すること


 この認定要件については大綱に具体的には記載されておらず、追って平成18年の「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律(以下、平成18年医療法等改正法)」を改正することでここに要件が記載されるようです。
 上記の平成18年医療法等改正法とはいわゆる第五次改正医療法になりますが、改めてこの改正を改正するということも記載されている点は注目です。
 この認定要件が、社会医療法人や特定医療法人並みの要件であれば実質的にこれまでとあまり変わりはありませんが、それよりも緩い要件であれば医療法人業界にとって非常に大きな改正になると考えられます。

 当認定が1の認定医療法人制度と同様の要件であれば持分なし医療法人への移行が加速的に進む大改正となりますが、そのように考えると「6年間の維持」という文言との矛盾が生じるため、どのような要件が定められるか今後の情報に注目です。





<コンサルティング、講演、執筆のご依頼はこちら>
 昨今では、医療法人の事業承継に関するご相談が非常に多くなっております。
 医療・介護業界においては、経営者が高齢になっている場合も多く、「財産権+経営権」の相続・承継が大きな課題となっています。

 円滑円満な相続・承継を実現するためには、「持分なし医療法人への移行」、「認定医療法人制度の活用」、「出資金評価の引き下げ」、「医療法人の設立」、「MS法人の活用」、「事業承継型M&A」などの様々な対策がありますが、各医療機関の将来の展望や登場人物の人間関係、そして何より経営者の「想い」によって、スキームの組立てが異なります。

 事業承継等でお困りの方は、ご相談いただければ詳細を確認の上、対策をご提案させていただきます。また、コンサルティングや講演、執筆のご依頼も常時受付けておりますのでご希望の方はご連絡ください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
名南コンサルティングネットワーク
税理士法人 名南経営
株式会社 名南メディケアコンサルティング
中村 慎吾
〒450-6333
愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番1号
JPタワー名古屋33F
TEL:052-589-2301
FAX:052-589-2326
E-mail:s-nakamura@meinan.net
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━