2014年08月

日経電子版のダブルプラン、要は紙面プラス千円で電子版もという契約をしている人に、電子書籍を一冊無料というキャンペーンをしているというので、何がいいか眺めていたら、特に読みたいものがないなと言うなかで、本書を見つけた。

内容やボリュームなど気にせずに、著者とタイトルで決めてしまった。

読み始めるとそれなりのものではあるのだが、日経電子版に寄稿したコラムなどを単にまとめただけのものであることが判明。

だから、内容に重みや深みが足りない印象。

あっという間に読み終えたので、実はすごく薄かったのかと思って、あとで値段を調べてみると、300円台。

だから、紙の本にすると100ページもない本だということがわかり、ちょっと残念。

無料版にはもっとまともな本もあったのではなかろうかと残念な気分に。

無料だから文句は言えないのだろうが、読む時間もコスト。
どうせ読むのに時間を使うなら、読んだあとに満足感のあるものがよい。

そういう意味では30分くらいではあったが、後味の悪い時間であった。

一冊無料で取り込んで、さらに有料書籍和勝手もらいたいというフリーミアムの手法なのか知らないが、アプリもKindleなどには足元にも及ばないレベル。

アプリも中身もいまいちで、お金を払ってまで読みたいと思うものではない。

確かに日経はいいコンテンツをたくさん持っている。
やりようによっては魅力的なものを作ることができるはず。
もっと工夫した方がいいね。

相変わらず孫さんは素晴らしい人だと思えたが。

夏井睦氏の『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限から見た生命の科学』を紙の新書で読了。

読みたいと思っていた本をブックオフで見つけたので購入し、読んだもの。


軽い新書にありがちな糖質制限ダイエットについてのことを書いたものかと想像していた。

そのわりには厚い本だと思った。

読んでみると、糖質制限によるダイエットについては最初の方だけであり、後半は農耕の起源や生命の起源、進化など、壮大なものである。

動物、人間がどのように栄養素を取り入れていくのか、草食動物、肉食動物など、それぞれの体の作りを解説している。
パンダの進化は面白い。

とはいえ、あとがきで著者も認める通り、大胆な仮説に基づくものであることは否定できない。

しかし、今言われていることを当たり前と思わず、仮説に基づき現代の常識を疑うことも大切であろう。

その重大な一つが糖質について。
これは単なるダイエットの話ではない。
現代医学に対する挑戦でもある。

そういう点では以前書いた下記の本も同じ。

ーーーーーーーーーー
過去ブログ
近藤誠先生の『「がんもどき」で早死にする人、「本物のがん」で長生きする人』読後感 : こーぞーの金融日記
http://blog.livedoor.jp/shinkozo/archives/37150708.html
ーーーーーーーーーー

本書において、その典型例は糖尿病について。

糖尿病と診断されるとまずは食事制限となる。
本来の目的は血糖値を下げることであるのに、食事制限はカロリーベースで行われるため、糖質を相対的に多くとることになり、解決にならない。

そして、インシュリン投与による治療。
それにより血糖値が下がるとよかったと言われるが、そんなことはない。
「治った」というのはもう治療が必要なくなった状態をいう。
しかし、糖尿病や高血圧など、薬をのみ続けなければならないものは、数値が正常化していても、治ったとは言わない。

では、これは本当にな治らないのであろうか。

少なくとも糖尿病についてはそれはなさそうである。

糖質、炭水化物を採らなければ、多くのケースについて血糖値は下がる。

では、どうしてそう治療されないのか。

そこには医学界の深い問題がありそうである。

下記一部引用。
ーーーーーーーーーー
「患者を守るか、治療法を守るか」という二者択一。
「患者を守るのではなく、自らが提唱する治療法を守る」というようなことは、医学の歴史を振り返ると何度も何度も繰り返され、枚挙にいとまがないくらいだ。

根本から治療法が変化する場合、従来の治療のスペシャリストにとって、その変化は飯の種を失うことにつながってしまう。
だからこそ、・・・スペシャリストほど「治療法を守って患者を守らず」を選択したわけである。
ーーーーーーーーーー

盲腸を例にあげているが、糖尿病はこの典型例。

食事制限、インシュリン投与という確立された「治療法」とそれに伴うインシュリンの販売というビジネスを守るために、患者の負担を軽減するとか完治させるとか言うことは無視されている。


このようなことは、下記の本でも書かれている。

ーーーーーーーーーー
過去ブログ
和田秀樹氏の『医学部の大罪』読後感 : こーぞーの金融日記
http://blog.livedoor.jp/shinkozo/archives/35656184.html
ーーーーーーーーーー

これは日本だけの問題なのであろうか。
必ずしもそうでないかもしれない。

そこを根本的に変えようではないか。


本書では、穀物を消費すること、穀物を餌にした家畜を人間の食料にすることに対して、持続不可能であるとしている。

医療という世界だけの話ではない。
人類が滅びないためにも根本的に変えないといけないのか。


大きな話は置いておいて、ダイエットの話をしたいと思うが、これは以前流行った「低インシュリンダイエット」と共通するところか。

ダイエットの基本はカロリーではなくGI値によるというもの。
炭水化物自体を否定するものではないが、特に炭水化物、白いものはGI値が高く、太るというもの。

これも糖尿病の治療から来ているもの。

そもそもカロリーというやつも怪しい。
本書でもその根拠を説明している。

ここまで言われているのに、低インシュリンダイエットも糖質制限ダイエットも広まらないのはどうしてか。


そして、著者の体験であるが、炭水化物をとらなくなったら、昼の眠気がなくなったと。
そして、夜はすぐによく眠れるようになったと。
睡眠時の無呼吸もなくなったと。

これはどこまで検証できるのかわからないが、検証に値するものである。


TPPにより、日本の米を守ろうとしているが、日本人の将来のためにそもそも米はそんなに重要なのか。
本当に炭水化物が人類によろしくないのであれば、そこまで考える必要があるのであろうか。

これは本当に大きな問題である。

しかし、世界の人口が増えていき、食料問題が深刻になるなか、人類のために本当に必要なものはなにかを考えるのは大切である。


などと、ダイエットにとどまらず大きなことを考えさせる本であった。

先日の税金に関する気になる判決。

ーーーーーーーーーー
日本経済新聞
ホンダ、課税訴訟で勝訴 東京地裁 追徴75億円取り消し
http://s.nikkei.com/1tfgkgL

移転価格税制とは
http://s.nikkei.com/1tfgkgT
ーーーーーーーーーー

当時の新聞記事は見つからないが、ホンダの公表内容は以下の通り。

ーーーーーーーーーー
ホンダ
2004年6月29日 ブラジル二輪事業に対する移転価格更正 について
http://www.honda.co.jp/news/2004/c040629.html
ーーーーーーーーーー

元々は2004年の課税に対するもの。
移転価格税制は予測不可能であり、税務当局の裁量で、課税処分が多く出ている。

ホンダもその一例。
ほとんどの企業はあまり争いたくないためか、見解の相違ということで従うことが多い。

しかし、ホンダは異議を申し立て、訴訟にまでいった。

途中の経緯は知らないが、ようやく一審判決が出た。

どうしてこんなに時間がかかったのか。

検察は控訴する気なのかどうかわからないが、仮に確定したとしよう。

そうすると納められた税金に金利をつけて返さないといけなくなる。

今は下がったが、5%とすると、約10年で30億円くらいの金利となる。

財政が厳しい中で、この無駄金を払わないといけない。

しかも、この手の裁判では、検察は英語の資料を解読するために、翻訳コストなども相当かけているはずである。

最終的にどうなるかはわからないが、これが無理筋のものであったとしたらどうだろう。
多少無理なことをいっても、ホンダが逆らうことはないだろうと無理なことをいってしまったとしたらどうだろう。

官僚の無謬性のために、間違っていたと認められなくて、無駄に戦っていたとしたらどうだろう。

明らかに国家財政に対する背信行為である。

つい最近、武田についても課税の取り消し判決があった。

ーーーーーーーーーー
過去ブログ
申告漏れと所得隠し : のとみいの日記 http://blog.livedoor.jp/shinkozo/archives/33384597.html
ーーーーーーーーーー

実際のところはわからないが、もうこんなことはやめよう。

役人の裁量によって課税するのはやめよう。

解釈の相違がしばしば起きるのは、法律が間違っているのである。

役人は裁量を効かせる余地を持っておきたいのかもしれないのであろうが、それでは租税法定主義は成り立たない。

見解の相違が起きないように、しっかりしていただきたい。

無駄な裁判はすべきではない。

そろそろ本気で気づいてもらいたいのだが。

最近の気になる判決に関するニュース。

ーーーーーーーーーー
日本経済新聞
メリルリンチ逆転敗訴 旧武富士に145億円支払い命じる http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG27H0Q_X20C14A8CC1000/
ーーーーーーーーーー

どんな金融商品に関するものかと言うと、当時の記事が参考になる。

ーーーーーーーーーー
2008年3月 東洋経済 
武富士に巨額損失!メリルの「責任」とは武富士・巨額損失の真実
http://toyokeizai.net/articles/-/350
ーーーーーーーーーー

数年後に訴訟となる。

ーーーーーーーーーー
2010年4月 ブルームバーグ
武富士:メリルリンチに290億円損賠請求-SB絡みのデリバティブ取引
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-L1NYIH0D9L3501.html
ーーーーーーーーーー

果たして、どちらが悪いのか。

東洋経済の記事しか詳細はなく、判決文も手元にないので断定的なことは言えないが、果たして、この判決のひっくり返しは適切だろうか。

この仕組みには明らかな目的がある。
バランスシートを縮小したいという明確な目的が。

そのためにメリルが(おそらく他社も)いろいろなスキームを考えて提案したのだろう。
そして吟味した結果メリルのスキームが選ばれたのだと想像できる。

そして、その際にはメリルは文字のたくさんある契約書を用意して、少なくとも形式的には説明しているはずである。

そういう意味では一審の判決は適切だったのではないかと思う。

それが、二審で説明義務違反の判決である。
過失相殺が五割とはいえ、これで負けてしまっては、なかなか難しい。

本件は2007年始めの取引である。
2007年9月30日施行の金融商品取引法では武富士ほどの会社は特定投資家である。
特定投資家にたいしては適合性や説明義務は免除される。
もちろん真義則上の説明責任はあるものの、業法上の説明義務はない。

そういう点からすると、果たして、どこまでの説明責任があったのか、一審では認められた程度の説明に関して二審ではどうして否定できたのか。

疑問の多い判決である。

おそらく上告であろう。

金融商品販売の最高裁判決としては楽しみなものである。

いつなのかな。
まだまだ先であろうが。

本日金融庁が国民銀行に業務停止命令と言う厳しい行政処分を出した。

ーーーーーーーーーー
金融庁
國民銀行在日支店に対する行政処分についてhttp://www.fsa.go.jp/news/26/ginkou/20140828-1.html
ーーーーーーーーーー

以前のブログにも書いたことのある韓国の銀行の東京支店の不祥事に関するもの。

ーーーーーーーーーー
過去ブログ
韓国の銀行の東京支店 : こーぞーの金融日記 http://blog.livedoor.jp/shinkozo/archives/37361513.html
ーーーーーーーーーー

金融庁の処分の発表の直前に日経が見込み記事として掲載。

ーーーーーーーーーー
日本経済新聞
韓国最大手銀支店に一部業務停止命令へ 金融庁方針
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF28H0I_Y4A820C1I00000/?dg=1
ーーーーーーーーーー

そして、公表直後に正式報道。

ーーーーーーーーーー
日本経済新聞
韓国最大手銀支店に一部業務停止命令 金融庁発表 信用リスク管理に「基本的な問題」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL28H9D_Y4A820C1000000/
ーーーーーーーーーー

処分の内容は厳しいが、その処分の理由を見ると仕方がない。

リスク商品の販売などの付随業務に関する失敗ならともかく、銀行の本業の一つである融資業務で支店長が関係しての不祥事。
融資の見返りをもらったりするなど、銀行としてはあってはならないことが並べられている。

本気で処分を受けるときには、事実ではないことも悪意をもって書かれるものであるが、火のないところに煙はたたない。

しかも、本件は韓国で刑事事件にまでなっているわけであるから、日本も厳しく対処せざるを得ない。

おそらくここは日本の支店業務を建て直すことはできないだろう。

遅かれ早かれ日本支店閉鎖の決断を下すだろう。

また外銀がひとつ減る。
韓国の他の銀行も長く検査を受けていたので、何らかの処分が出るかもしれない。


それにしても、上にあげた日経の記事も不思議である。

公表直前に記事にすると言うのはどういうことであろうか。
行政処分については金融庁と当の銀行しか知らないはずである。

当の銀行がわざわざ新聞社に知らせることはないから、金融庁のリークだろうか。

秘密保護が叫ばれるなか、いつまでこんなリークを続けるのであろうか。

リークする方もする方だし、それを喜んで記事にする方もする方である。

社会としてもうそういうことはやめた方がいいと思う。

健全な社会に戻そう。


(関連新聞記事追加)
ーーーーーーーーーー
日本経済新聞
国民銀以外の2行も検査 金融庁 http://s.nikkei.com/1tfgvJ3
ーーーーーーーーーー

↑このページのトップヘ