この前は、川のぎりぎり手前で踏ん張っていたまで書いていたので、その続きを書こう。

 私は右腕で相手の肘の裏側付近の服を思いっきり握っていた。
 そりゃそうだろう、そのまま突き落とされれば、コンクリートにヘディングは免れない。

(イタイどころではない!即死もありえる!まっぴらごめんだ!!)
 落とされてもいいように、絶対放す気はなかった。

 しかし893の攻撃は勢いを増し、つづく。
 「何がおかしいんじゃっ、893なめとったらイテマウゾ、オウ、われっ、どこのもんじゃ」の繰り返しである。(どこのもんて・・・)

 そうしてる間にも、どんどん人は増えていく。

(たぶん周りで見ていた人は、あーあ、田舎もんがやられてる〜)とか思っていたに違いない。

 なぜなら、そのときの私の服装は、下はブルーのジャージ、上は、胸に「高知」と漢字で書いた真っ赤なユニフォームを着てたのだ。(国体の時のユニフォームで、しかも縦書きだ。)
 この上なく恥ずかしい。

 たのむ早く終わってくれー、と思っていた。
 変な話しだが、私は昔から、もういかんと思ったら妙に落ち着くタイプだった。
 もう、どうにでもなれと思うのだ。

 (俗に言う、開き直りだ!)

 そして、そのとき思ったのが、こいつは絶対落としはしないだろうと・・・。
 これだけ人が見ているなかで、私を落としたら絶対警察に捕まるだろう。
 また、組員だったら組にも迷惑がかかるので絶対ないはず。
 そんな感じで、内心は大丈夫、大丈夫、とりあえず、これ以上怒らせないようにすれば、なんとかおさまる。
 そんなこんなで、2、3分いやもっと長かっただろうか、だいぶ勢いが弱ってきた。このぶんならもうすぐおわるって思った瞬間、横から一台のクラウンが来た。(プァプァッ・・とクラクションを鳴らしながら・・・)
(うそみたいだがほんとてある。)

 ウインドウがウィーンと開く。

そして・・・「アニキーどうしたんや〜」って、(このうえなく、絶妙のタイミングだった。)

シンクロ度100パーセント!
 おさまりかけていた893が、「オウ、○○〜。」・・・
 「この馬鹿たれが、俺にケンカうっとんねん。」・・・やと。
(おー前に売るもんなんかあるかっ)

 しかも、なんでこんなにタイミングがいいねん。
 もうちょっとで終わってたのにっっ・・・。
 するとその片割れは、車に乗ったままで、私に向かって、「オ〜ばかたれ〜、そこで死ンドケヤ〜・・・」
 シ・ン・ド・ケ・ヤ・・・・(涙涙涙)

 この手の893は仲間がいると気が強くなる。

ほんとにやりかねない。(悲しいかぎりだ。)

続く・・・・

 人生とは、ふとした出会いによって描き出される、ドラマである。