やられっぱなしの私も、いままでおとなしくしていたが、こうなっては、もう仕方ないと思い、奥の手(伝家の宝刀)を出す決意をしたのだ。
この奥の手は、大勢の前では非常に勇気がいるので、あまり出したくはなかったが、この状況下、そうもいってられず、使う事を決意した。
それはどんな「奥の手」かというと、そう、言わずと知れた、(すいません攻撃である。)
とにかく謝った!(すいません、スイマセン、スイマセン、すいません・・・・かんにんしてーや)
すると、893は、わたしのあまりの攻撃に、心打たれたのか解らないが、周りの雰囲気もあり、
「今度俺の前チラチラしとったら、コロスゾー」って、私をねじ上げながら、捨て台詞を吐いて、ガソリンがもったいないのに、急発進でその場を去った・・。
私は身も心も、おまけに服もぼろぼろだ。
(思い出のユニフォームが・・・涙。ちなみに縦書きで高知と書いている)
あれほど集まっていた人たちも、みな去っていった。
普通なら、大丈夫?怪我はなかった?助けに入れなくてごめんねー等の声がけがあってもいいものなのだが、一言もなしである。
(何が人情の町、大阪やねん)
それが女性で声でもかけてくれていたら、そこから恋が芽生えてたかも知れないのに・・・(ムリ!)笑
そして疲れきって私は、トボトボト自転車をつきながら寮に帰った。
すると、一緒にいてにげたやつが寄ってきて、僕に向かってこう言った。
どうやった・・・・?【どうやったってか?】
私は、「どうやったもくそもあるかっ」っと言い、迷わずインステップキックをお見舞いした。
普通はこれで話しが終わるのだが、まだまだ、悪夢はまだ続くのだ。
その夜、いつもいく野崎温泉へ出かけた。(名前はいいが、ただの銭湯だ。)
売ってるジュースは、なんか懐かしいパレードやみかん水といったものを売っている、凄くレトロな銭湯である。
いつものように服を脱ぎ、タオルで股間を隠し(隠すほどのモノではないが)、かけ湯をするため、湯船のそばへ行き、洗面器でお湯をすくいながら、なにげなく湯船の中に浸かっている人を見回した。
すると、42度あるお湯の中で、なんと黒鯉が泳いでいるではないか?、私は顔が青ざめた・・・。
洗面器はお湯に入っているっ。
しかも勢いよくいれたので、お湯が跳ね、少しだがコイの飼い主である男のパンチパーマにお湯がかかっていた。
すかさずこっちを向く男、(明らかに気にくわない時の顔だ。)
そして、目が合った。・・・・・・・・・・・・・・・2秒なのか10秒なのか覚えていないが、私は、フリーズしていた。
【この道を行けばどうなるものか、・・・・迷わず行けよ、行けばわかるさ。】
アントニオ猪木の詩にこんな詩がある。
行けるかっ!!!
絶対死ねると思った。しかも即死!
そして男がこう言った。
「またオドレかーーー・・・」
その声は風呂場なので、エコーがかかっていて、ものすごく響いた。
その叫んだ男は、な、なんと、私が夕方やられた893だったのだ。(やはりドラマだ。)
私は、まだ固まっていた。(もうおしまいだ)
しかし、男は固まる私を見て、かわいそうと思ったのかどうかわからないが、半笑いで、こう言ったのだ。
「お前なーこんなことしとったら、命がいくつあってもたらへんぞ〜」って・・・。
俺は何にもしてないやん。
お前がおるからいかんのじゃ〜。
何やねんその背中の鯉はっ!風呂で泳がすなや、川行けや!滝滝!滝でも登っとけ。
大迷惑なんじゃーーー!!!!
ほんとに、こう言いたかった。
さすがに、それからの展開はなかったが、超最悪の一日だった。
人生とは、度重なる出会いによって描き出される、悪夢である。