June 12, 2009

国際的研究者が集まりたくなる大学

あることをきっかけに,「海外で研究職についている国際的日本人研究者が日本の大学に戻りたくなるためには,どのような条件が必要か」という生の声が,約10名の在外日本人研究者達から集まった.

自分の求めるものに敏感で海外に飛び出した方々から様々な生の声が届いたが,主要な点をムリヤリまとめた結果,以下のような改善点が指摘された.

大学として改善できる可能性のある点

・国際性(国際的知的リソースの充実)
 「日本人による日本人のための大学」から「日本にある国際大学」という感覚へ
・開放性(国外のみならず国内,学内での開放性が重要)
・若手の独立自由研究サポート(時間,お金,場所,設備の確保)
・実力成果主義=公平性/透明性(採用,昇進,権限など)

日本の学術界として改善してほしい点

・研究助成金審査の国際化,複数回化
・若手の起用

これらは,昨年私が記した「頭脳国際循環時代に若手研究者が育つための基本三要素:職務と時間と刺激」(学術の動向9月号60-62, 2008)と重複する部分も多く,感じることは同じなんだ,と再認識した.

さて,このような欧米的感覚に対し,日本の大学からは,こう反論されるかもしれない.

「そんな欧米の真似をしなくても,立派な研究成果は出せるし,実際に出ている」

そう,もちろん,欧米風にしなくても,論文の発表数や引用数,研究費の獲得額,特許数,学術受賞など,国際的に立派な成果が出ているかもしれない.

しかし,海外でそれなりの研究職についている人達からは,「日本の大学に戻りたい」という雰囲気は微塵も感じられない.なぜか?

「国際的な研究成果が出る大学」=「国際的な研究者が働きたい(集まりたい)大学」
では必ずしもないからである.

一体どんな大学像を求めるのか,まずは,そこから考え始めないと.



shinojpn at 00:00│Comments(4) プロフ生活 

この記事へのコメント

1. Posted by 何でもアメリカ式にすれば良いとは思っていない研究者   September 15, 2009 22:23
日本に戻りたくないなら、戻らなければ良いんじゃないかなあと思います。なぜ、日本の大学を海外の人が戻りたいような大学にしなければ成らないのか理解できません。海外が良くてでていったんだから戻ってこなくたって代わりの人材は毎年輩出されるんじゃないですか?アメリカが何故正解なんですか?

と意見すると、アメリカにいる研究者からはだからダメなんだと言われるのでしょうがね。結局イタチごっこ。

それに、アメリカの大学は凄いから人が集まってくるというよりは、経済や軍事などがアメリカにリードされているから、研究以外の部分で世界のリーダー的存在だから、研究者もアメリカに集まってくるんじゃないですか?ブログの著者がまとめた要点は別に学術がそういう事なんではなくて、政治経済がそうだからでしょう。私は給料は大学からもらいたいし、ポスドクという不安定な職に人をあふれさせたくないし、教育と研究を両方できる限りやっていきたい。研究費だって、そんなにいらない。そもそも本当にあなたは米国民から聴取した研究グラント分に見合ったの研究成果を出していると言えるのですか?
2. Posted by Ryohei   September 17, 2009 00:57
昔ポルトガル、スペインは世界を支配したが、その際に、競争を好みリスクをとる人たちは新世界に出て行ってしまい帰ってこなかった。そしてリスクをとらない、変化を好まない遺伝子のみが内部にのこり、今のような社会となった、らしいです。(又聞きです)

どちらがよい悪いでなく、どういう人が出て行き、どういう人が残るかを考えると、上の人の意見とShinoさんの意見の差が面白いですね。

でも、サイエンスに関しては国際性は大事なんじゃないかな。
3. Posted by Ken   September 17, 2009 23:47
日本流の良さは守るべきだ、という趣旨には大賛成です。(Ryohei さん、面白い例を持ち出しましたね)私は、「市場は何でも開放すれば良いわけではない。日本の携帯電話みたいに特殊な市場で鎖国することでより特殊化して良い方に発展することもある」と思っています。

しかし Ryohei さんが言われるように、研究の価値はより広い(世界中の)同業者に影響してなんぼかと。なので、世界中の優秀な人を仲間に引き込める環境(=出戻り組にとって魅力的な大学)ってのは大事かな、と思います。それが、国外の研究者に、同じコミュニティの一員として認知されることにつながる、という気がします。
4. Posted by Shino   September 23, 2009 08:19
みなさま,貴重なご意見,ありがとうございます.色々な国から優秀な研究者が集まりたくなる大学,という姿をイメージしています.言葉や文化の障壁も考慮すると,「日本人の出戻り」にも魅力が欠けるようでは,他国人にとってはなお,と思う,ということの例えでした.

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