老年学者 澤岡詩野のつれづれblog

「高齢期のゆるやかなつながりづくり」に取り組む楽しむ事が大好きな研究者が、毎日の生活で発見した諸々を綴る・・・

2015年08月

「ヒトリヨガリ」は不幸の元

ここ数ヶ月間、ご縁を頂いて、団地の新たな50年を創り上げる動きに加わらせて頂いている。
その名も「70歳からの未来塾」!

築45年程経つ横浜市戸塚区の丘の上にあるドリームハイツ。
当初は、ドリームランドという遊園地に隣接し 、モノレールが開通する予定もあり、たくさんの子育て世帯が移り住んできた。
駅から少々離れた立地だった事もあり、より良い子育て環境を創り上げるべく、住民同士の支え合い活動も盛んであった。
時間の経過と共に、 ドリームランドが廃園になり、その跡地には野球場や散歩コース、美しい墓地も備えた公園、住民の憩いの場ができあがる。
 団地内の緑も成長し、支え合いも子育てから高齢者世帯を支えることに目的が代わりつつあるも、成熟した住まいとなっている。

 ここで今、課題になっているのは団地住民の高齢化。
65歳以上の占める割合が50%に迫るなかで、支え合い活動の最前線を担ってきたメンバーも高齢化し、活動規模を縮小したり、後継者探しに頭を悩ませたりしている。
さらに、助けを必要とする人は増加していく現状に立ちはだかる絶対的な担い手不足の壁。
それを解決すべく、老舗の支え合い団体「夢みん(む〜みん)」が企画したのが未来塾。
70歳からのと銘打ったのは、これまで地域に関わってこなかった、まだ元気な住民に働きかけたいから。
塾としたのは、特に男性たち(松陰塾、政経塾など、知的好奇心に訴える)に来てもらいたいから。

6回の講座は、この地に安心して、豊かに住み続けるために必要な医療や介護の現状をご自身に照らし合わせて考えて頂き、最後には、地域でつながることの意味考えてもらう構成。
1回目は私、2回目は地元の医師、3回目はケアマネージャーさんと回を重てきた。
4回目となる先日は、終末期のケアに取り組む介護支援センターの所長さんが、病院に簡単には入院できない現状や、緩和ケアやホスピスについては早い段階で準備しておくことの重要性、自宅で死ぬことの難しさを講演。
こに中では、どの様に過ごしたいのか「自ら」考えてみることや、「納得のいく決断」をする為に常に情報を集めておくことなど、終末期に、元気なうちから、受け身ではなく主体的に向き合うことの意味が繰り返された。

参加者よりも若い私の心に大きく響いたのは、講演の最後に語られた、考えていることを大事な人に「伝え」、「相談」しておく事の重要性。
そう、私には苦い記憶がある。
それは20代の頃。
いきなり全部の臓器を提供するとサインをした臓器提供カードを見せた際にみせた母の悲しそうな顔。
さらに得意気に、もし脳死になったら、とっとと臓器を提供してね!と母に満面の笑顔でお願いする娘に言葉を失う母。
心臓の疾患で2歳で最初の子を亡くした母からすれば、いい事とはわかりながらも、心中は複雑。

あの時の私に必要だったのは、少しづつ思いを共有すること、相談をすること。
今ならわかることが、二十歳そこそこの私には全く理解できなかった。
終わり方を自分で決めておくこと、認知症や事故などで判断ができなくなった時への事前指示はもちろん大事。
でも、一番大切なのは、大事な人とそれを共有すること。
大事な人だからこそ、ヒトリヨガリの自己満足は許されず、自分が亡くなった後の気持ちを思い計ることが本当の愛情なんだな〜と。
あの日の母の顔を思い出しながら、それを再認識した未来塾でした。

一周まわっての原点回帰

介護の現場、子育ての現場に関わる人には、自身の体験から、その道に入る方が少なくない。
それもあり、介護や祖父母との同居経験のない私がよく聞かれるのが、なぜに高齢者に関心を持ったのか?

その大きなきっかけとなった大好きな祖父の話はここでも何度か書かせて頂いたのだが…。
確かに、心筋梗塞からの片足の麻痺をきっかけに、ダンディで社交家の男性(祖父)が一気に引きこもり、老人になっていく姿は、二十歳前後の私にやるせなさを感じさせた。
同時に、一人の人間を一瞬に無力な老人にしてしまう見えない何かを垣間見た。
その何かを知るべく、今の自分がいる。

きっかけは確かにそうなのだが、もっと深く遡ってみると、保育園時代の記憶には、離れて暮らす祖父以外に、常にジィジとバァバがいたことに気づかされる。
仏教系の保育園で、毎週水曜には、保育園と軽費老人ホームの真ん中に建つ本堂でホームの方々と一緒に読経。
その後は、庭で思い思いに過ごす。

特に何をするわけではなく、気が向けば話しをするし、中には無茶をする子どもにやんわり注意をする高齢者もいる。
そんな付かず離れずな一体感。
時には保母さんに内緒で飴や作った手芸品をくれたり、私はこの時間が大好きだった。
同時に、一年に数人、入院や亡くなられたりで姿が見えなくなるジィジとバァバがいて、そこに怖さを感じたりもした。

こんな沢山のジィジとバァバ達の影響か、超高齢社会の地域づくりに取り組んできた私の目下のテーマは、程よい距離感で多世代が支え合える居場所、地域のあり方。

久々に尋ねた保育園で、3歳から6歳まで、私の遺伝子レベルに染み込んだジィジとバァバとの記憶を思い起こした時間。
数十年の月日と、原点回帰した自分の立ち位置を再確認した週末でした(*^◯^*)

老いと甥・滅入(めい)と姪

うちの母方の実家は,とにかく一族で大集結するのが大好き.
お盆と年末は必ず千葉県船橋の祖父の家に集まり,多い時は30名以上,少なくても20名弱で大宴会.
はじめて夜更かししたのも,お酒の味を教えてもらったのも,お兄ちゃんやお姉ちゃんがいる楽しさを知ったのも,全てここだった.
今思い返しても楽しい思い出が沢山つまっているのが「おじいちゃんち」の時間だった.

それがちょっと苦痛の時間になったのが20代後半から30代.
結婚して家族を連れてくるいとこがちらほら.
そこに愛情からの伯父や伯母のコメント「詩野ちゃんは結婚しないの?」.
30代後半で結婚してからは「子どもが欲しいなら早くしないと大変よ~」.
心配してくれているのはわかるのだが,言われるたび言葉と心はバラバラな反応に.
言葉「ありがとうございます,そうですよね~」と笑顔.
心「結婚したくないわけでまたむ,欲しくないわけではないし…,これってある意味のハラスメントだよ~」と涙がポタリ.

30代後半から今に至るまで,慣れと愛情からという気持ちも理解できようになり,それなりの対応ができるようになった.
ではあるが,ちょっとはオトナになった私にも超えられない悲しい出来事がちらほら.
脳梗塞で倒れて3年間意識のないままの伯母.
その伯母を遺して亡くなった伯父.
お酒がめっきり弱くなった伯父たち.
そうなのである,かってはオトナの世界を垣間見させてくれた伯父・伯母.
時にはイラッとすることがありつつも,困った時にはアドバイスをくれたり,自分のことの様に喜んでくれたり.
そんな一緒に年を重ねてきたオトたちに見え隠れする「老い」の影.

さらには,交わされる会話もなんとなく後ろ向き.
かっては,こういう場でそんなタブーな話はしなかったであろう伯父が,平気でそこに触れてきたり.
そこから拗れて,後にちょっとした遺恨が残ったりすることも.
幸い,我が一族内では,兄弟の縁を切るという事態には発展していない.
だが,直面するたびに次の世代である我々の気持ちは「滅入る」一方.
これを救うのが,「甥」や「姪」の存在.
今年が集まりデビューの甥が泣き出すだけで雰囲気が明るく一変する.
小学生になった姪が,慣れない手つきでビールをつごうもんなら,伯父も伯母も溶けそうな位の笑顔になる.

お節介な親戚にイラッとしても,親世代の老いを感じて気が滅入っても,なぜに一族で集まるのか?
皆が持ち寄る珍しいお酒や料理を楽しめる,大玉のスイカを食べる醍醐味が味わえる,仕事や友人とは違う関係で色々な話ができる.
これだけではシェアハウスやサークル活動でも代替できてしまうわけで.
一族で集まることの良さは,多分,着かず離れずに共に長い時間を過ごしてきたことの心地よさ.
加えて,2世代だけではなく,3世代で,新たな世代に継がれていく力のバトンが見えることなのかな~と.

このblogでも何度か書かせて頂いているが,面倒臭くても愛おしい存在が親戚.
そろそろ,親の世代から渡されたバトンをしっかりと引き継いでいく自覚を持たねばと感じたお盆でした.

百人の「オトン」と「オカン」がいる幸せ

土いじりや農業好きなシニアが,地域の小学生をの農育,食育するチームグランパ.
手仕事,子育て経験を活かした女性達が,就労という形で孫育てグッズを開発したり,正しい孫育て学を普及していくBABAラボ.
子どもに夢を与え,貧困の連鎖を断ち切る為に,社会経験の豊富なオトナが,子ども達のキャリア教育や学習支援を行うキーパーソン21.
次の時代のコミュニティ,社会を創る為に,高齢世代が知識や経験を活かし地域の孫育てを行う.
先週のblogでは,こんな先駆的な取り組みを紹介させて頂いた.

これを書きながらふと気づいたのは,小学生や中学生達をシニアが支えるだけではなく,アラフォーの私も沢山のオトナ,大先輩にに支えて頂いているということ.
40才の私と80才という組み合わせだと,さすがにジィジとバァバではなく,オトンとオカン未満の関係性になるのかとは思われるが.
研究を通じて出会う沢山の上は90代までの多様なシニアの皆さま.
テーマに応じた様々な知見を頂けるのはもちろんであるが,時には暴走する私の働き方,体調管理,キャリア形成,働く女子の夫との関係性などなど.

おそらくは,本当のオトンやオカン,叔父や叔母といった血縁に言われると,カーッとして素直に聞けない事.
多分,いくら経験抱負といえども,上司などには相談できない事.
これが,血縁や職場以外の距離を置いた関係性だから,素直に受け入れられたりするわけで.
頂いたアドバイスに,時には違うかなと思う事もあるが,そこはほど良い距離感のなせる業.

これを再確認したのが,ここ数週間.
ずっと続く体調不良を心配した多くのオカンとオトン(お付き合い頂いているシニア世代のみなさま).
ご自身の経験から,健康や医療,ワークライフバランスの在り方などなど,本当に多岐にわたる視点からアドバイスを下さる.
ネットで色々と調べ過ぎて,情報過多で疲れた私には,本当にありがたい存在.

これこそ,自分が自分らしく年を重ねていく為の百の多種多様なつながり「百人力」!
(お手伝いさせて頂いている荻窪家族プロジェクトがめざすつながりの在り方 → http://www.ogikubokazoku.org/)
などと,百人のオトンとオカンに恵まれた幸せに感謝する週末.
そんなオトンとオカンに頂いた「百人力」に恩返しすべく,今度は皆さんの百人力の100の1になるべく精進せねばと.

次世代を育む地域のジィジとバァバの力.
次世代を育む地域のオトンとオカンの力,
色々と暮らしにくい日本社会ですが,多世代がゆるやかに交じり合うことが,凄く重要なことなんだと.
そんな想いを強くしています.
「高齢者のせいで,若者の負担が増える」なんていう世代間抗争の火種を失くすためにも…

写真は,お付き合いのあるシニア団体の皆さまからの結婚祝いのプレゼント.
この鉢植えを下さった時に皆さんが下さった沢山のアドバイスは,今の私の心の支えになっています.
ありがとうございます.

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ジィジとバァバの力は無限大!

老年学の研究者というと,調査研究の対象は高齢者だけ.
そう思われることが多い.
だが,老年学は「最後まで幸せに年を重ねることを追及する」学問なので,実際には,生活の場である地域の多様な世代の人々に関わらせて頂いている.
その一つ一つから沢山の気付きを頂き,その後の新たな研究テーマが見えてくることも少なくない.

2年前,ある地域づくりの重鎮から紹介されたのが,出産を機に仕事を休職・離職したママたちを組織し,ママ目線の地域情報の発信を行うKさん.
バリバリの編集者さんというキャリアを捨て,今の道を選んだKさん.
そんな同年代の輝く素敵な女性の生きざまに,仕事の時には絶対に口にしない自分の悩みがポロリ.
Kさん「これからは地域で子育てを考えていかないといけない.私の今の取組は,その仕組みづくりの一つなの」
澤岡「そうですよね.でも,私の様に子どもがいない人間はどう関わればいいのか….子どもがいないということで,すごく肩身の狭い思いをすることがある」
Kさん「自分の子どもと考えるのではなく,澤岡さんが地域の子ども達のお母さんになればいいのよ」
あの瞬間,追いつめられるような劣等感に似た感情が凄く和らいだことを今でも忘れない.

そこから常に考え始めたのは,「どうしたら,地域の子どものオカンになれるのか?,その先にはバァバになれるのか?」.
次世代が育たなければ地域社会は崩壊していく一途.
「孤育て」とも言われる位にお母さん達は追い詰められ,経済格差の拡大からくる「子どもの貧困」,深刻ないじめなど,子育てを巡る環境は悪化する一方.
これを救えるのが地域のオトナ.
働き盛りの中年は難しいにしても,知識や経験も豊富な高齢世代が,自分の孫だけではなく,地元の子ども達のジィジとバァバになって頂く為にはなにが必要?

防災,高齢者の見守りなど,地域づくりには沢山のキーワードがある.
でも,そこに関わる人は限られており,今や限界がきている.
高齢者と子どもがお互いに刺激し合い,得意をシェアする,この循環こそが新たな地域づくりのポイント.
当たり前のことではあるが,これを改めて多くの人と考え,共有したい!
数年来の想いを形にする機会を狙っていた私に与えられたのが内閣府の高齢社会フォーラムの企画委員.

さっそく,この意図をお伝えするのに最適なカリスマにお声掛けをして「次世代を育むジィジとバァバの力」を企画.
そして,先日には,夢の様なパネリストをむかえ,フォーラムの分科会として想いを形にさせて頂いた.
コーディネーター(私)の力量不足は否めないものの,来場者が何かを感じ,これを一つのきっかけに,新たな動きに広がっていくとよいな~.
などと振り返る日曜の午後でした.

パネリストの団体(以下)では,新たに関わって下さるメンバーや連携先を絶賛募集中です.
◆キーパーソン21  http://www.keyperson21.org/
子どものキャリア教育,学習支援に関心をもつ川崎周辺のシニア男女(学生さん,現役世代も大歓迎)

◆BABAラボ  http://baba-lab.net/
ジジラボを立ち上げる予定があり,企画・営業などが得意なシニア男性

◆チーム・グランパ (HPがないので,興味のある方は澤岡に連絡を下さい)
農業,子どもが好きな横浜市戸塚区鳥が岡周辺にお住いのシニア男女
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