2014年08月18日

ゼミ論文紹介(M2 馬場)

こんにちは。
修士2年の馬場です。

みなさん、お盆休みはいかが過ごされましたでしょうか?
私は地元の熊本に帰省し、スイカやら桃やら食べて元気を充電してきました。
やっぱり、地元はよいものです…(*´▽`*)
まだまだ暑さも続きますが、また元気を出して乗り切っていきましょう!

それでは、前回のゼミで発表させていただきました文献についてご紹介させていただきます。
今回ご紹介するレビューは、キノコを含む、真菌の多糖類について報告したものです。

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Bioactive fungal polysaccharides as potential functional ingredients in food and nutraceuticals.(Review)
食品や機能性食品における機能性成分としての真菌多糖類
著者:Ioannis Giavasis
出典:Current Opinion in Biotechnology 2014, 26:162-173

【緒言】
 真菌は、様々な活性を示す多糖類を多く含んでいることが知られている。これらの多糖類は、古くから、特にアジアで、お茶や漢方薬として親しまれてきた。このレビューでは、真菌多糖類の最も重要な特性や機能をまとめ、これらの利用に関する最新の動向について報告する。

【活性を持つ主な真菌多糖類】
 真菌多糖類でよく知られるものとしては、シイタケ(Lentinula edodes)から産生されるlentinan、スエヒロタケ(Schizophyllum commune)によって生成されるschizophyllan、レイシ(Ganoderma lucidam)の水溶性画分から分離されるganoderanなどが有名である。生理活性を示す多糖類の大部分は、β-(1,3)-D-グルカンに分類される。

【真菌多糖類の効果】
免疫賦活性と抗ガン活性

 生理活性を持つ真菌の多糖類は、しばしば、「生物応答調節物質(BRM’s)」と呼ばれる。これらの多糖類は、ガン細胞、ウイルスおよび細菌の感染、炎症に対する免疫系の非特異的反応を誘発し、ホルモンや免疫系の細胞の合成を促す。加えて、肝臓を保護し、解毒作用をもつだけでなく、非消化性食物繊維として働くことでコレステロールおよび血糖値を低下させる、あるいは抗酸化剤およびフリーラジカル捕捉剤として作用する機能も存在する。
 これらの特性は、生体高分子の構造や分子量のような物理化学的特性に大きく依存している。 また、二重または三重らせんまたはランダムコイルの存在、分岐の程度、糖または非糖の構成要素(特にタンパク質複合体、または硫酸基など)の種類や組成は、これらの高分子の薬効に大きく影響する。最後に、分離プロセス(子実体の水またはアルカリによる抽出、液体培養した菌糸や多糖類のアルコール沈殿の濾過など)は、これらの生体高分子の組成や機能性に影響を及ぼす可能性がある。
 上記真菌の大部分において、免疫促進活性および抗ガン活性は、可溶性グルカンの分解を促進するもの、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、樹状細胞、好中球等を特異的に刺激するもの、グルカン、免疫グロブリンおよびサイトカイン(例:インターロイキン)および食作用の増加に係るものなど、様々なメカニズムの組み合わせの結果である。

抗微生物活性
 真菌の生体高分子の中には、in vivo およびin vitroにおいて、細菌およびウイルス感染症に対して抗微生物活性を持つものがあることが知られている。これは、好中球およびマクロファージによる微生物の食作用を促進するためである。真菌グルカンの抗ウイルス活性は、インターフェロン-γの放出、および末梢血単核細胞(PBMC)の増殖の促進によるものと考えられている。

コレステロール、血糖の低下およびプレバイオティクス効果
 真菌の多糖の大部分はヒト腸管内で消化されないため、血液中のグルコース放出率及びコレステロール蓄積率を低下させる。
血中グルコースレベルの調節は、通常は腸の表面に消化されにくい高分子が付着し、グルコースの吸収を遅くするためであるが、脂質低下効果は、糞便中に排泄される量を増加させる胆汁酸の腸肝循環の中断によるものである。 食用キノコの多糖類の中には、グルコース吸収の減少、または炭水化物代謝およびインスリン合成の調節を介して、血糖低下作用を示すものがある。

抗酸化活性
カワラタケ、シイタケやアガリクス類から抽出した多糖類からは有意な抗酸化活性が報告されている。 これらのバイオポリマーは、脂質酸化を阻害するキレート作用を持っている。 この効果は、共有結合によって、β-グルカン主鎖に結合したβ-グルカンとフェノール類(主にチロシンおよびフェルラ酸)と関係していることが分かっている。
 また、レイシ及びGanoderma tsugae由来のグルカンとプロテオグルカンのメタノール抽出物は抗酸化特性を有しており、ガンの発生に関与している酸素種、ならびに食品中の脂質の酸化物を捕捉することができる。また、レイシの多糖は、フリーラジカルの産生を減少させる等の効果から、抗老化において重要な役割を果たしている。

【食品や機能性食品における菌の多糖類】
 今日では精製した多糖類、部分的に精製された子実体エキス、またはキノコの菌糸体や子実体を乾燥して使用した栄養補助食品が、比較的一般的に利用されている。
 しかし、食品加工の過程や食品成分との相互作用は、多糖類の生理活性作用を妨げることもある。したがって、生体高分子を食品に加える際には、事前にin vivo試験を実施する必要がある。
 真菌多糖類の食品用途に関するもう一つの問題は、食品が毒性は示さず、機能性は示す適切な用量の設定である。 シイタケ由来のグルカンは、焼いて作る食品を低カロリー、多繊維質に作るために、小麦粉の代替物として使用されている。最大2%までグルカンの含有率をあげた場合、製品の空気保持能力や硬さを損なうことなく、粘度と弾力性が改善した。同様の研究で、抗酸化・コレステロール低下効果を持つ麺の開発に、小麦粉の代替としてシイタケのβ-グルカンが使用された。 
 最近では、機能性スナック食品の製品化の基礎として、乾燥したキノコまたはキノコ多糖類の利用を報告した例もある。 ヒラタケ粉末は、栄養価と繊維含有量の改善のためにインドのスナック(パパド)に組み込まれている。また、アガリクスの抽出物は、高い抗酸化活性とフリーラジカル除去能を持つスナックの開発に利用されている。その他には、でんぷんの代替品(最大15%)として、チェストナッツ・マッシュルーム(Agrocybe aegerita)の抽出物から作った粉末を豊富に含むスナックがある。このスナックは、食べたあと血糖が下がる反応を示した。

【まとめ】
 菌類から得られる多糖類は、栄養補助食品や機能性食品と同様に、医薬品において有用な機能を持つことが期待されている。これらが持つ様々な健康維持に役立つ特性は広く研究されている。また、ヒトの健康を強化する食品を規定化するにあたって、これらの生体高分子を利用できる可能性は大いにある。
 しかし、生体高分子ベースの栄養補助食品や機能性食品を工業生産するには、いくつか欠かすことの出来ない点がある。それは、安定・標準的な品質、組成、純度、均一性を持つ多糖類を経済的に実行可能なレベルで生産すること、生理活性作用を持つ多糖類と他の食品成分の相互作用、そして食品加工がこれらの機能性に与える影響を理解することである。また、ヒトでの研究も必要である。

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 キノコの多糖類は様々な活性を持つことが分かっていますし、レンチナンなどは実際に薬として用いられていますが、ヒトの体内でどのように働いているかについては、まだはっきりとは分かっていません。天然物について勉強すると、「なぜ効果があるかは分からないけれど、とりあえず効く」というものがとても多く感じます。こんなに化学が発達しても、自然界にはまだまだたくさん謎が残されているのですね… 自分も在学中に、この謎を一つでも多く解明していきたいものです。



shinrabanshougaku at 19:16│Comments(1)TrackBack(0)

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この記事へのコメント

1. Posted by kata kata galau   2015年04月11日 07:38
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