人も森も地球も健やかになっていくことを
目指すヨーガセラピーです。
古典にみる森林ヨーガ
近

一方、ヨーガの始まりは、4000年前あるいはそれ以前とも言われています。インドヨーロッパ最古の文献とされる「ヴェーダ」に始まり、今日のヨーガは、このヴェーダの後期に編集された「ウパニシャッド」の知識を基に今日に伝えられてきたものです。
この最古のヴェーダの梵書「ブラーフマナ」に続き、森林の中で伝授され学習されるべき経典や、森林書「アーラニカ」として、また『リグ・ヴェーダ』に属する「カウンシータキ梵書」の終わりにも「カウンシータキ森林書」という経典があり、インド哲学はこの梵書と森林書を母体として伝えられています。また、これらの奥義書である最後の巻にもまた森林書「ブリハド・アーラニャアカ・ウパニシャッド」が収められています。
これらのことからもわかるように、古代インドの聖者たちは、これらのヨーガの伝統的体系を「森」での修行によって確立し今日に伝えてきたのがわかります。
そして、これらのヴェーダには、医学のなかった太古に解剖医学的知識や経験法則による合理的要素、また病気の症状別に薬草の知恵などを伝えています。WHOが認めた世界最古の最も古い伝統医学であるアーユルヴェーダはこのヴェーダをもとに確立されました。古代インドの聖者たちはこれらの医学教育を聖なる木の下、森で行っていたといわれています。
また、古代ギリシャの医学者ヒポクラテスは、“自然はすべての病を癒す”という言葉を残し、当時のギリシャでも森の中で医学の教育が行われていたそうですが、アレクサンダー王が到達していた北インドを歴訪したヒポクラテスがそれらを編纂したのが、現代の西洋医学の原点になっているということも考えられるのではないかという説もあります。
このように、人は古代から自然に癒されてきたことがこれらの歴史からもよく分かります。
森林で行なうヨーガの効果
私達は便利な生活を得るのと引き換えに環境破壊とストレス社会を負の遺産として背負っています。心への大きなストレスは私達の本来持っている自然治癒力や潜在能力のメカニズムを狂わせてしまいます。そして心と体のバランス恒常性が崩れたとき、心と体が病気になります。
日本では、ヨーガは代替医療として位置づけられています。しかし、インドではアーユルヴェーダとともに正統医学として認められ、現代医学と共に病院で実践されています。
代替医療は「現代医学の代替」の医学と言う意味です。近年医学は目覚ましく進歩してきました。しかし、その反面病気は増加の一途をたどっています。
また、ストレス要因の病気が増加していることからも、セラピーなどリラクゼーション効果や免疫機能の改善など予防医学的効果を期待する代替療法が近年注目されてるようになりました。
さて、『ヨーガ』の意味の語源は「馬(牛)を車につなぐという意味から、サンスクリット語で「結合」「合一」「調和」などを意味します。
これは、“心と身体“すなわち「心身の統一・調和」をヨーガの目的としているのが分かります。
そして、これらは万物と一体になるための方法でもあります。
そこでヨーガのエクササイズは下記の3つを主に練習していきます
①呼吸法(プラーナヤーマ)
②ポーズ(アーサナ)
③瞑想法(ディヤーナ)
ヨーガが体操、エクササイズと違うのは、動きとともに呼吸を合わせることによって、筋肉や血液の流れを活性化させ身体能力を向上させる肉体の強化だけではく、呼吸法や瞑想法によって意識を内に向け心身の調和と、心や感情面へのアプローチを可能にすることです。
これらの、ヨーガの効果は近年エビデンスなど多くの科学的データーがヨーガ療法学会で報告されています。
では、森でヨーガをおこなうとさらにどのような効果がもたらされるのでしょうか。
ヨーガでは呼吸法のことをプラーナヤ―マといいます。
ではプラーナとは何でしょうか…。
元来プラーナというのは「息」のことではなく、身体の中や大気の中にある“生命の素”を意味します。
ヨーガではあらゆる創造された生命の基本構造は「生気(プラーナ)」であると考えられています。
森の全ての命には、生命エネルギーが満ち溢れています。
食べものも”質“の高い食べ物を取るのが望ましいように、
森でヨーガをすることによって、“質”の高いプラーナを呼吸とともに体内に取り入れるとことができます。
最近では科学的データにより、例えば森の樹木、草木類などほとんどの植物成分には、フィトンチッドといわれる香り成分が含まれ、血圧低下、集中力増加、鎮静、α波増加、落ち着き、興奮作用、食品への防腐や殺菌、カビ・ダニへの防虫、殺虫、病原菌への抗菌、自律神経の安定、肝機能改善、快適な睡眠などが報告されています。
しかし、薬がない大古から科学的分析データーがなくても、ヨーガではこれらの智慧は伝承され活用されてきました。
樹木や植物、ハーブ等それぞれの効果については、有史以前には生薬として、近年においては、薬草・生薬の有効成分から合成薬として今日の医療や治療にも大きな一翼を担っています。
このようにヨーガ修行者は森でヨーガを行うことによって、目に見えないプラーナを操り微細な霊的身体を覚醒していきました。
そして、今日のヨーガの体系ができました。
ヨーガのエクササイズを実習していくと、自身の身体を通してこれらのエネルギーの流れを知ることができます。
そして、エネルギーの流れをブロックしている身体の不調な部分に、呼吸とともにプラーナを送り肉体的苦痛をとり除き、急速な浄化を促すことができます。
また、森でアーサナやプラーナヤ―マ、瞑想をおこない自然界の全ての命とのつながりを経験することは、すべての執着から逸脱して、自然への愛、すべてへの思いやりや揺るぎのない心の平和を感じることが出来ます。
ヨーガは大いなる創造物の基本構造となる高次の次元との架け橋となってくれます。
そしてこれらは、ヨーガの意味する、最終目的が小我から大我へ“梵我一如”という大宇宙も、私たちの中に存在する真の自己は同一のものという考えに到達するための方法でもあります。
森で行なうヨーガの効果、それは体験しなければわかりませんが、小宇宙が大宇宙と一体になったとき、皆さんが光となり輝き、愛情に満ち溢れ、分かち合い、人生の楽しみ、深さを増幅させ、命を若返らせてくれることでしょう。