March 02, 2009

Tchaikovsky:Symphony No. 5   Vol. 6

 Gennady Rozhdestvensky
   / London Symphony Orchestra 1987

  なんとも破天荒な演奏。’72年モスクワ放響盤とは明らかに異なるアプローチだと
  思うが、ロジェヴェンが何をしたかったのか一介のアマチュアには理解できない。
  ただオケの調子が悪くアンサンブルに破綻を生じたとは思えず、どちらかと言うと
  棒に乗り切れずに空中分解してしまった感がある。赤裸々な記録として捉えると
  ある意味聴きどころ満載ではあるが、他人様にお薦めしようとは思わない。
 お薦め度:☆☆☆
 マニア度:☆☆☆☆☆

 Eliahu Inbal
   / Rundfunk-Sinfonieorchester, Frankfurt 1989

  インバルの演奏を聴くたびに「『きっと超』が付くほどのアナリーゼおたく
  なんだろうな」と感じる。いわゆる「作品の本質を追求する」といったアプローチ。
  この演奏を初めて聴いたときも、あまりに純音楽な透徹した音の流れに
  「チャイコでこれは無いだろう」と、身体が拒否反応を示したように覚えている。
  ただ、楽曲というものが作曲者にとって表現の一手段に過ぎないとしたら、
  指揮者や奏者が喜怒哀楽を満面に浮かべているような演奏よりも、単なる
  再生装置の一部として、楽譜を音として可聴化することに徹している演奏のほうが
  理に適っているとも思える。その結果生まれた演奏から何を感じるかは全くもって
  聴き手次第だ。演奏の完成度はすこぶる高く、一つ一つのフレーズ、いや一音一音
  までもが精気に溢れた響きを持っている。熱のこもった、あるいは感情のこもった
  演奏こそ良しとする人には全くお薦め出来ないが、アンサンブルの完成度の高さを
  求める人にはまず最初にお薦めしたい。
 お薦め度:☆☆☆☆☆

 Seiji Ozawa
   / Berliner Philharmoniker 1989

  この演奏を聴いて、まず「当時のボストン響との録音があればいいのに」と
  思った。’86年BSOとの『悲愴』はこのコンビの最高峰とも言える名演と
  信じて止まないので、単純に5番もBSOで聴きたいと思った。小澤は
  チャイコフスキーとすこぶる相性が良いと思っているが、それはこの演奏を
  聴いても確かに伝わってくる。ただオケがBPOだとどこかに余裕が感じられて
  迫真の演奏になりきらない。特に小澤のような燃焼度の高い棒振りの場合、
  一緒に髪を振り乱して昇天してくれる様なオケの方が、「らしさ」がより鮮明に
  なるというもの。
 お薦め度:☆☆☆☆☆

 Yuri Temirkanov
   / Royal Philharmonic Orchestra 1989

  テミルカーノフならば‘92年サンクトペテルブルグ・フィル盤を推す。やはり
  オケの能力差が如実に表れてしまい、RPO盤は分が悪いと言わざるを得ない。
  RPOは大健闘しているし、決して拙いわけではないのだが如何せん線が細い。
  テミルカーノフらしい色彩の鮮やかさは巧みに表現できているが、どうしても
  厚みとかパワーの点で物足りなさを感じてしまう。交響曲全集として考えれば
  テミルカーノフらしいチャイコフスキーが、総じて高水準な演奏で聴けるので
  なかなか良いものだと思う。当然全集で買ったほうが安上がりだ。
 お薦め度:☆☆☆
 全集で購入なら:☆☆☆☆
  
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March 01, 2009

Tchaikovsky:Symphony No. 5   Vol. 5

 Gary Bertini
   / Bamberger Sinfoniker 1980

  クルツ盤、ザンデルリンク盤に続き、いわゆるドイツ的解釈のチャイコフスキー。
  その設立背景もありドイツのオケの中でも特徴的な響きを持つバンベルク響を
  稀代のマーラー指揮者と目されるベルティーニが率いて、チャイコフスキーを
  録音していたなんてそれだけでも貴重なもの。若干大味に聴こえる部分があり
  アンサンブルにも物足りない点があり、完成度としては今一歩か。
 お薦め度:☆☆☆☆
 レア度:☆☆☆☆☆☆

 Karl Böhm
   / London Symphony Orchestra 1980

  某サイトのレビュー欄で「LP時代に・・・」「初めて聴いた・・・」など、「懐かしの
  名盤」的コメントが並んでいて微笑ましく思った。なんといっても独墺系の楽曲で
  その懐の深い解釈による名演を残しているベームだけに、あるいは民俗楽派でも、
  と期待したものだが、やはりロシア的ロマンティシズムとは方向性が違うようで
  喜怒哀楽という面で迫力に欠けるチャイコになってしまっているのは事実。
  LSOも緊張感に欠けたミスを散発しどこかしらけた演奏に聴こえる。4〜6番の
  セット物を購入したがあえて勧められるのは4番だろう。
 お薦め度:☆☆☆
 懐古:☆☆☆☆☆

 Evgeny Mravinsky
   / Leningrad Philharmonic Orchestra 1983 Live

  冷戦がピークを向かえ社会情勢的には東側の勢いにかげりが見え始めた頃か。
  帝政ロシアの時代から国際的玄関口として西欧色の強い街であったという
  現サンクト・ペテルブルグのオケが、一番ソビエト色の強い響きを放っていたのは
  なにか不思議な巡り会わせを感じる。’60年の録音と比べ大筋では変わりない。
  録音はずいぶん良くなった。そのおかげでディナーミクの彫りがより一層深くなり
  陰影の濃い演奏になっている。逆に刺すような緊張感は薄れ、なんと言うか
  「ぬるい」印象を受ける部分もある。ライブ録音だからよりテンションが高いか
  と言うと、そうでもない演奏もあるということ。
 お薦め度:☆☆☆☆

 Claudio Abbado
   / Chicago Symphony Orchestra 1985

  このコンビの『幻想交響曲』、『マーラー1番』はそれぞれの録音の中でも
  抜群の名演だと思う。アバドの棒からは、それほど自己顕示を感じないのに
  演奏はそこはかとなく個性的で印象深いものに仕上がる。常に楽譜の中から
  なにか新しいものを汲み出そうという意欲を感じる。総じてオケのテンションは
  高く、かつ楽しんで奏しているように聴こえる。結果として、新鮮で完成度の
  高い演奏の出来上がりというわけだ。ただし、この一連のチャイコ録音では、
  アバドの姿勢こそ変わらないが、オケの演奏に粗さが目立ち物足りなさが残る。
 お薦め度:☆☆☆☆
  
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February 09, 2009

Dvorak:Symphony No. 9   Vol. 4

 Seiji Ozawa
   / San Francisco Symphony 1975

  小澤征爾の標題音楽は面白い。いわゆる『交響詩』の録音で、ときに素晴らしい
  名演を聴かせてくれる。この演奏でもドヴォルザークが楽曲に込めたであろう
  メッセージを鮮やかに再現してくれる。小澤のアメリカ・デビュー以来の
  名コンビであるSFSも実に瑞々しく活き活きとした響きで心地好い。
  小澤は情熱的に巧みにドライブしており、オケはときおりアンサンブルにぶれを
  生じながらも充分にそれに応えており、とても息の合ったコンビであったことを
  垣間見せる。埃に埋もれさせてはいけない、やはり日本人としては一度は
  聴いて欲しい演奏だと思っている。
 お薦め度:☆☆☆☆
 お国贔屓で:☆☆☆☆☆

 Zubin Mehta
   / Los Angeles Philharmonic 1975

  ロサンゼルス、サンフランシスコというアメリカ西海岸のメジャー・オケが
  同時期にそろって異国、それもアジアの若手指揮者と蜜月を築いたことは、
  アメリカ西海岸の社会的背景を垣間見せるようで実に興味深い。形骸化した伝統や
  悪しき慣習に捉われず、常にチャレンジ精神を持ち変革を生み出していく
  そんな風土のもと、演奏においても当時の若きマエストロ達による実に意欲的で
  エネルギッシュな名演が残されている。メータ/LAPによるドヴォルザークは
  チャイコフスキーで受けたほどのインパクトには欠けるが、刺激的で乗りが良く
  充分に聴き応えのある演奏だ。7〜9番を聴いたが8番は特に素晴らしい。
 お薦め度:☆☆☆☆

 Rafael Kubelík
   / Berliner Philharmoniker 1973

  バランスの良い解釈に余裕のある演奏。これぞゴールデンスタンダード。
  クーベリックが当時グラモフォンに残した演奏は、ある意味どれも似ている。
  感情に偏りすぎず、意外とあっさりした表現で、淀みなく音楽が流れていく。
  無難なようで、ときにみせるデフォルメがぴりりと効いていて印象深い。
  オケは幾分冷静で余裕のある演奏。緊張感やハイテンションは感じられない。
  つまるところこういう録音は売り物なので、万人に受け容れられることを前提に
  「作られた」スタンダード、名演はあるわけで、当時のクーベリックに
  求められていたのはそういう演奏だったのかもしれない。
 お薦め度:☆☆☆☆
 いわゆる名盤:☆☆☆☆☆

 Václav Neumann
   / Česká filharmonie 1972

  この演奏を聴くたびに、「過度に演出することは無い、楽譜と真摯に向き合い
  隅々にまで意識を張り巡らせて丁寧に演奏すれば、情感が溢れ出し、いわゆる
  民俗の香りも醸し出されるものだ」と思い知らされる。一聴すると至って自然で
  滑らかなフォルムであるため、あるいは印象の薄い演奏と感じるかもしれない。
  しかし、噛めば噛むほど味が出るというのは、当にこういう演奏を言うもので
  聴けば聴くほどフレーズの端々から指揮者、オケの奏者の楽曲へ対する静かに
  燃えるような愛情が感じられ、聴き手の心にも響いてくる。完成度もすこぶる高く
  真に渾身の一撃といったところ。いろんな意味で安心してお薦めできる超名演。
 お薦め度:☆☆☆☆☆☆
  
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February 08, 2009

Dvorak:Symphony No. 9   Vol. 3

 Lorin Maazel
   / Vienna Philharmoniker 1982

  なにより音色の美しさと高度なアンサンブル。VPOの美味さを実感する。
  マゼールの棒は、如何にも大衆受けを狙ったかのようなドラマティックな展開。
  いわゆる「お約束芸」みたいなもので、意地悪く言えばチープ。超一流の人々が
  「どうぞ感動してくださいませ」と、ほどほどに手を抜きながら流しているよう。
  完成度は高いけど、聴けば聴くほど「商売」の臭いを感じてしまう。
 お薦め度:☆☆☆☆
 ある意味でのプロらしさ:☆☆☆☆☆☆

 James Levine
   / Chicago Symphony Orchestra 1981

  サッカー、フィギュアスケート、柔道などなど、テクニックより運動能力が
  重要視されることにより、魅力を殺がれていく傾向にあるという。音楽も同様、
  アスレチックという面で高度な演奏も凄いとは思うが、好きにはなれない。
  CSOの録音の中には、時にそういうアスレチック一辺倒の演奏があり、この演奏も
  その一つに思える。ダイナミックでスケールが大きいと捉えるか、騒々しいと
  捉えるかは、あるいは聴き手次第なのかもしれないが。
 お薦め度:☆☆☆

 Otmar Suitner
   / Staatskapelle, Berlin 1981

  スウィトナーは好きな指揮者だ。派手な自己顕示は無く実直に粛々と進めるが、
  時に劇的な展開をみせ、しかもそのバランスが見事。SKBもあたりはずれが
  あるものの、ほの暗く滋味深い響きはとても魅力的。それを踏まえて、
  このコンビのベートーヴェンは☆5つ。ブラームス、シューマンは☆4つ。
  ドヴォルザークは☆3つ。存在自体知らないがおそらくチャイコも☆3つだろう。
 お薦め度:☆☆☆

 Kirill Kondrashin
   / Vienna Philharmoniker 1979

  まるで別人のようなVPOの響き。こんなに猛々しい音もだせるのかと舌を巻く。
  コンドラシンと言えば『シェヘラザード』が“超”のつく名演だが、この演奏も
  それには及ばないものの聴き応え充分の名演である。及ばない理由として
  曲との相性がいまひとつなのだろうかと思う。ただ、振幅の大きいアゴーギク、
  ディナーミクは非常にドラマティックであり、細部にシビアに切り込み新鮮な
  驚きを聴かせてくれるあたりもお見事。さらにオケのテンションをここまで高める
  カリスマ性にも感服する。
 お薦め度:☆☆☆☆☆
 オケの燃焼度:☆☆☆☆☆☆
  
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February 07, 2009

Tchaikovsky:Symphony No. 5   Vol. 4

 Zubin Mehta
   / Los Angeles Philharmonic 1977

  メータはこの時代に輝かしい名演奏をデッカ・レーベルに残したが、チャイコの
  交響曲全集もそれを代表する一つと言えよう。総じて生気溌剌、自由闊達といった
  言葉が似合う魅力的な演奏であり、音楽を奏でる喜びをそのまま音として
  表したような躍動感がある。それが聴き手にも心から音楽を楽しませてくれる
  要因となっているように思われる。
 お薦め度:☆☆☆☆☆
 幸福感:☆☆☆☆☆☆

 Siegfried Kurz
   / Staatskapelle, Dresden 1978

  指揮者がマイナーなだけに(とは言っても当時のSKDの首席指揮者ではあるが)
  どうしても世間の認知度は低い録音のようだが、その演奏は間違いなく一級品。
  ある意味では当時の東独が国家を挙げて遺した録音であり、SKDの重厚かつ柔和で
  仄暗い響きや、残響を巧みに活かした録音など、非常に特徴的で味わい深いもの。
  単純にこれより聴き応えのある演奏も少なくないので万人にお薦めとは言わないが
  ドイツのオケらしいチャイコを聴きたいと言うのであれば断然この演奏を推す。
 お薦め度:☆☆☆☆
 贔屓目で:☆☆☆☆☆☆

 kurt Sanderling
   / Berliner Sinfonieorchester 1979

  上の演奏と類似点は多い。東独を代表するオケ、当時の首席指揮者の棒、
  東独シャルプラッテンによる録音。指揮者の自己顕示をあまり感じない点も
  似ているし、華やかさには欠けるが密な響きを聴かせるオケも然り。演奏の
  完成度という点でもあるいは大差ないかもしれない。ただ、こちらはDENONが
  録音に関わっているため当時より知名度は高かったようだ。そんな巷の評価ほどは
  比較的に優れた演奏とは言い切れないと感じている。
 お薦め度:☆☆☆☆
 ある筋の評価:☆☆☆☆☆
  
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February 06, 2009

Tchaikovsky:Symphony No. 5   Vol. 3

 Igor Markevich
   / London Symphony Orchestra 1966

  現在我が家にはこの演奏を含め6種のLSO盤があるが、いろんな意味で
  オケが一番引き締まっているのはこのマルケヴィチ盤だと思う。厳しく拘束されて
  余裕が無いようにも聴こえるが、整然と組み立てられたマルケヴィチのロジックを
  音楽にしようと必死になった証左であろう。『悲愴』ほどのインパクトは無かったが
  楽譜を丸裸にするような生々しいアプローチは同様である。
 お薦め度:☆☆☆☆
 マニアック度:☆☆☆☆☆☆

 Claudio Abbado
   / London Symphony Orchestra 1972

  マルケヴィチ盤とは反対に自由と余裕を感じさせる演奏。音楽が自然なうねりを
  もって流れていて、アゴーギクにしろディナーミクにしろ「これこそが正解」と
  思わず納得してしまう。また、奏者間で意識のアンテナを張り巡らし、フレーズの
  受け渡しやニュアンスの統一をアドリブ的に図っている様子が垣間見えて面白い。
 お薦め度:☆☆☆☆☆

 Gennady Rozhdestvensky
   / Russian Radio Symphony Orchestra, Moscow 1972

  金管の鳴りっぷりやアンサンブルのいい加減さはいかにもソ連のオケらしい。
  聴かせどころは決してはずさない、手を抜けるところでは手を抜く、そんな
  割り切りの良さが痛快と思える。ロジェヴェンの妙な細部へのこだわりも
  さほど違和感なく受け入れられるもので、意外と真剣にチャイコフスキーが
  表現されていて興味深い。
 お薦め度:☆☆☆☆☆
 ロシア臭:☆☆☆☆☆☆☆
  
Posted by shinsaqu at 22:52Comments(0)TrackBack(0)  交響曲 

February 05, 2009

Dvorak:Symphony No. 9   Vol. 2

 Kurt Masur
   / New York Philharmonic 1991

  個人的にマズアには良い印象が無い。この録音からも感じたり考えさせられたり
  といったものがあまりなかった。バーンスタイン時代よりも格段に洗練された
  NYPには感心するし、その点では充実した演奏だと思うのだが・・・。
 お薦め度:☆☆☆

 André Previn
   / Los Angeles Philharmonic 1990

  プレヴィンらしいお洒落でチャーミングな演奏。ボヘミアの土臭さよりも
  新世界アメリカの輝かしい未来を感じさせるような味わい。機能的でいささか
  無機質な響きを持つロス・フィルもプレヴィンの音楽観に合っているよう。
  そしてTELARCの優秀録音もこの演奏の価値を高める要素の一つだと思う。
  ただし、プレヴィンらしい軽さは如何ともし難いということも書き添えておく。
 お薦め度:☆☆☆☆
 軟派:☆☆☆☆☆☆

 Libor Pešek
   / Royal Liverpool Philharmonic Orchestra 1988

  交響曲全集+管弦楽曲おまけ付で購入。チェコ・フィルとリヴァプール・フィルで
  演奏を分け合う全集で、当然チェコ・フィルの演奏が目当てだったのだが・・・。
  そもそもリヴァプールは私にとってはサッカーの街でしかなく、まさか当地の
  オケがこんなにハイレベルだとは知る由も無かった。英国オケ独特の音色の癖が
  あまりなく、なかなか巧みなアンサンブルでペシェクの民俗臭が強い棒にも
  しっかり応えており、充実した演奏を聴かせてくれる。
 お薦め度:☆☆☆☆
 嬉しい出会い:☆☆☆☆☆

 Klaus Tennstedt
   / Berliner Philharmoniker 1984

  独墺の本流を歩む指揮者が、ドイツ随一の超一流オケと真面目に音楽造りした
  成果を聴く、そんな演奏。心を揺さぶるような情熱には薄いが、真摯に楽譜に
  取り組み、音符が織り成す音世界をつまびらかに音楽として表出したもの。
  この手の解釈はオケの力量が充分でかつ演奏そのものの完成度も高くないと
  そうそう説得力を持った仕上がりにはならないと思うが、この演奏は
  その域にあるいは達していると思われる。
 お薦め度:☆☆☆☆☆
 真摯度:☆☆☆☆☆☆
  
Posted by shinsaqu at 20:15Comments(0)TrackBack(0)  交響曲 

February 04, 2009

Dvorak:Symphony No. 9   Vol. 1

 Colin Davis
   / London Symphony Orchestra 1999 Live

  LSOの自主制作シリーズ。6番〜9番のセットで購入。このLSO Liveシリーズは
  録音が良くない、というか好みに合わない。とにかく音場が狭い。しかも残響が
  ほとんど無いので音響としてはいわゆる超デッド。これだけ生々しい録音も珍しい。
  演奏自体はライブにしては目立ったミスも無く完成度は高い。
  でも「本当に指揮者はいるの?」ってくらいあっさりしている。これを
  「楽譜を忠実に音として再現した」と受け取るかどうかで評価は分かれると思う。
 お薦め度:☆☆☆☆
 録音:☆☆

 James Levine
   / Staatskapelle, Dresden 1994

  レヴァインは‘81年にCSOと同曲を録音しているが、同じことをただ別のオケで
  再現しただけという印象。レヴァインの筋骨隆々といったダイナミックな棒は、
  CSOのようなパワフルなオケではそれなりの面白さを生むが(例えば『惑星』は
  このコンビの代表作だと思う)、SKDには明らかに合わない。茶道部の女の子に
  無理矢理トライアスロンをやらせているかのよう。SKDも巧いとは思うが
  例えば’70年代の味わいは感じられない。
 お薦め度:☆☆☆

 Václav Neumann
   / Česká filharmonie 1993 Live

  初演100年記念コンサートのライブ録音。’72年の録音の方が完成度という点で
  数段高いので個人的にはそちらを推すが、これもまた聴き応え十分の価値ある演奏。
  歳をとったぶん感情的に深い表現になっているように感じるのは、
  あまりに短絡的だろうか。
 お薦め度:☆☆☆☆☆
 記念碑的価値:☆☆☆☆☆☆☆

 Mariss Jansons
   / Oslo Filharmoniske Orkester 1992

  複数オケによる詰め合わせ全集の中の一曲。安さに惹かれて買ったのだが、
  思いのほか素晴らしい演奏。オスロ・フィルは迫力には欠けるけどアンサンブルは
  とてもハイレベルで澄んだ音色が心地好い。ヤンソンスは興味深い仕掛けを
  こっそり忍ばせているが、鼻につかないバランス感覚のおかげで
  すんなり受け入れられる。例えば『幻想交響曲』でもそうであったが、
  和音の作り方がときに個性的で面白い。
 お薦め度:☆☆☆☆
 マニア度:☆☆☆☆☆
  
Posted by shinsaqu at 17:41Comments(0)TrackBack(0)  交響曲 

February 03, 2009

Tchaikovsky:Symphony No. 5   Vol. 2

 Antal Dorati
   / London Symphony Orchestra 1961

  交響曲全集を購入。なんといってもMercuryによるLIVING PRESENCE録音の
  素晴らしさに驚嘆。もう少しホールトーンが含まれていれば、と思わないことも
  ないが、前から5列目くらいで聴いていると錯覚してしまうくらい自然でクリアな
  音の広がりは秀逸。ドラティの自在なアゴーギクと余裕たっぷりに演奏するオケの
  相性も抜群。演奏の完成度もすこぶる高く、けちを付けるところが見当たらない。
  この録音に出会えたことにただただ喜びを感じています。
 お薦め度:☆☆☆☆☆☆
 録音優秀度:☆☆☆☆☆☆☆

 Lorin Maazel
   / Vienna Philharmoniker 1963

  なんとも捉えどころのない演奏。オケの美音とそれを余さず収めた録音は良い。
  若きマゼールの真面目な指揮ぶりも今とは違う味わいがあって興味深い。でも
  聞こえてくる音楽はどこかちぐはぐ。気ままで大雑把に過ぎる箇所が散見されます。
  マゼール今昔物語に興味があるならそれ相応の価値があるかと。
 お薦め度:☆☆☆
 マニア受け:☆☆☆☆☆

 Pierre Monteux
   / London Symphony Orchestra 1963 Live

  ウィーンでのある一晩の演奏会を録音したもの。オール・チャイコ・プログラムで、
  他は『ロメオとジュリエット』、ピアノ協奏曲第1番という豪華3本立て。
  録音環境、録音状態はあまり良くないけど、こんな素晴らしい演奏会があった
  という事実と、その実録を聴けるという現実に素直に感動。
 お薦め度:☆☆☆☆
 録音が良ければ:☆☆☆☆☆☆
  
Posted by shinsaqu at 14:19Comments(0)TrackBack(0)  交響曲 

February 02, 2009

Tchaikovsky:Symphony No. 5   Vol. 1

 Leonard Bernstein
   / New York Philharmonic 1960

  当時のこのコンビを象徴する演奏の一つだと思います。テンションの高さは
  群を抜いている。レニーの熱く昂ぶる情熱が全てで、オケは必死でそれに
  付いていくという図式。聴き終えた後に残るのは心地好い疲れと、なんだか
  分からないけど明日への活力のようなもの。
 お薦め度:☆☆☆☆☆
 青春度:☆☆☆☆☆☆☆

 Lovro von Matačić
   / Česká filharmonie 1960

  すでにレビューをアップしているマタチッチ盤。とにかく美しい演奏。
  特に2楽章の美しさにかけてはこの演奏を超えるものは無いのではないでしょうか。
  録音によって、また一曲の中でも結構波のあるチェコ・フィルも乗りに乗っていて、
  非常に完成度の高い演奏です。ロマンティックでどこか切ない、心にくる名演奏。
 お薦め度:☆☆☆☆☆☆
 甘美度:☆☆☆☆☆☆☆

 Evgeny Mravinsky
   / Leningrad Philharmonic Orchestra 1960

  ものの本で名盤第1位になったり、巷でも名盤の誉れ高き演奏ですが・・・。
  存在価値ということでは確かに孤高とも言える録音でしょうが、単純に演奏の
  完成度としてみるとそれ程高くないと思っています。あまりの快速にオケが
  付いていけない箇所もあるし、響きも荒い。ただ、指揮者の意思が隅々まで
  行渡っていて全くぶれが無い点や、厳しい統率力のもと集中力を切らさず
  高い緊張感を維持し続けるオケの気魄は凄いの一言。これを生で聴いてしまうと
  心も身体もどうにかなりそう。こういうのがいわゆる「録音に収まりきらない」
  演奏なのでしょう。
 お薦め度:☆☆☆☆
 生で聴くなら:☆☆☆☆☆☆
  
Posted by shinsaqu at 13:24Comments(0)TrackBack(0)  交響曲 

February 01, 2009

趣向を変えて


 お給料なるものを貰うようになり早10ヶ月、我が家のCDの数も日に日に増え、
 同曲異演盤が20種を超えるものもちらほら出てきました。ということで今後は
 それらの整理の意味も含め、“簡単”なレビューとお薦め度やらなんやらを
 アップしていこうかと思います。ジャケット写真は面倒くさいので止めにします。
  
Posted by shinsaqu at 11:20Comments(0)TrackBack(0)雑記 

July 08, 2008

気持ちも新たに


 昨日から麻酔科での研修が始まりました。

 手術に際して数分単位で状況判断し行動決定するという、これまでの内科とは
 全く違う時間の流れに戸惑いとプレッシャーを感じますが、いろいろと手を使って
 することも多いので、気をもんでいる暇も無くとても充実感があります。
 しかもオンタイムの充実度は高いもののオフタイムがちゃんと確保出来るので
 メリハリが利いていて良いですね。

 動・静脈の確保や挿管も、今のところは(たったの4人分ですが)成功率100%なので
 気持ちも乗っており出だしは好調です。
 今後、一つの成功・失敗に一喜一憂せず、気持ちはのんびりと、手許はてきぱきと
 やっていこうと思います。

 これまでの3ヶ月で感じたこと、後悔していることを踏まえて、より良い研修が
 出来るように、くれぐれも過ぎた時間をリセットせぬよう・・・。
  
Posted by shinsaqu at 22:05Comments(0)TrackBack(0)雑記 

July 06, 2008

R. シュトラウス:交響詩《ドン・ファン》5

ドンファン カイルベルト

  J. カイルベルト指揮ベルリン・フィルハーモニー 1967

 この週末はかなりのんびり出来たので久々のレビューです。
 今回はなんとなく歴史の闇に葬られてしまいそうな演奏を紹介します。
 ちなみにこちらの演奏のカップリングです。

 もう十年ほど前になると思いますが、カイルベルトの録音が複数のレーベルから
 多数リリースされたことがありましたが、当時あまり話題にはならなかったように
 記憶しています。そもそもインパクトはそれほど高くない芸風なので、どうしても
 地味な印象は拭えず、このまま人目につかずに消えていきそうな・・・。

 カイルベルトの演奏は一言で言えば「劇的」。それでいて決して「激」にはならない。
 楽曲自体が振幅の大きいドラマティックなものなので、そこに過度な演出は加えず
 じっくりストーリーを抽出して音楽に仕立て上げた印象です。曲が持つ予定調和的な
 部分を、さらにメリハリを利かせて聴かせてくれる、まるで「お約束芸」を
 見ているような安心感が良いですね。ともすると「ありふれた」、「ごく一般的」な
 演奏に思われますが、同様のコンセプトの演奏の中でも、より綿密に造り込んだ
 強固さが印象深いです。

 私的にはカイルベルトは結構お気に入りなので、もっと多くの曲で推したいところ
 なのですが、いかんせん質の高い演奏が少ないのです。ここで言う「質」とは
 録音とオケの演奏力のこと。カイルベルトのディスコグラフィを見ると、
 超一流オケとメジャーレーベルに残した録音はほんの少ししかなく、
 それも大半はオペラなので私の守備範囲では「オケ良し」「録音良し」という
 彼の演奏には滅多に出会えないというわけです。

 以前もこの業界の商業的な側面について少し触れたことがありましたが、
 やはり商売としての演奏であり録音なので完成度や良し悪し以上に
 「売れるか否か」ということが重要視される世界なのだな、と感じます。
 これは現在の日本の音楽業界でも同じことでしょうね。
  
Posted by shinsaqu at 21:25Comments(0)TrackBack(0)  管弦楽曲 

May 03, 2008

医者の不養生2



 風邪をひきました。
 自分には薬を処方できないので市販の風邪薬をのんでいます。

 今日の朝、同じ病棟の先生に「目が赤いよ」と言われました。
 さすがお医者さん。視診だけで風邪は判るものなのね。

 連休中で良かった。どうせ遠くまで遊びには行けないし、ゆっくり寝て
 しっかり治せということか。
  
Posted by shinsaqu at 23:14Comments(0)TrackBack(0)雑記 

April 14, 2008

初心

 新天地での新生活がスタートして早1週間がたちました。
 自分なりには覚悟を決めて社会での第一歩を踏み出したつもりでしたが
 早速社会の一員として働くことの厳しさを思い知らされました。

 手続き上の記載の不備が原因だったのですが、看護師長さんに
 「なんのために給料を貰ってると思っとるんか、適当に済ますな」と、罵声を
 浴びせられてしまい・・・。

 確かに一言看護師に声をかけ確認を取っていれば回避できるミスだったわけで。
 生来、弱虫で引っ込み思案な性格が、多くの人間とコミュニケーションをとりながら
 働くという場では、やはりマイナスに作用してしまうんですね。
 ただ、性格はそんなに変えられるものでもないので、常に患者さん、職場の皆さんに
 誠意を尽くすということだけは肝に銘じて、職務として必要な部分に関しては
 積極的に行動していこうと思いました。

 で、今日はまた別の病棟の患者さんを受け持ったので、上の教訓を活かして
 いつもより溌剌度を2割り増しで新しいナースステーションに入っていったら
 とてもスムーズに受け入れていただきました。

 人との交流をほとんど絶って引き籠っていた時期もあっただけに、どうしても
 新しい人とのコミュニケーションは苦手なのですが、それを克服あるいは上手に
 付き合うことが、自分の最初の課題かなと思います。

 それにしても患者さんとは全く壁を感じず接することが出来るのはなぜなんでしょう。
 やはり、「助けを求めている患者」と「手を差し伸べる医療者」という暗黙の関係が
 あるからなのでしょうか。

 取るに足らない様な小さな失敗でかなり凹みはしたけど、患者さんの
 「先生が出してくれた薬のおかげでずいぶん楽になった、ありがとう」といった
 言葉が本当に嬉しくて、これからも何度も挫けそうになるとは思うけど、そういう
 感謝の言葉のためにも、勉強、手技、実務、コミュニケーション能力、全てにおいて
 向上させる努力を続けていこうと思います。

 やっぱり、今はこんな青臭い自分が大好きです。
  
Posted by shinsaqu at 19:36Comments(0)TrackBack(0)雑記