2007年01月19日

建造物の現住性2(80事件)

最決平成9年10月21日(刑集51−9−755)
(一)本件家屋及びその敷地は、被告人が転売目的で取得したものであるが、風呂、洗面所、トイレ、台所等の設備があり、水道、電気、ガスが供給されていて、日常生活に最低限必要なベッド、布団等の寝具のほか、テーブル、椅子、冷蔵庫、テレビ等の家財道具が持ち込まれていた。
(二)被告人は、本件家屋及びその敷地に対する競売手続の進行を妨げるため、人がそこで生活しているように装うとともに、防犯の意味も兼ねて、自己の経営する会社の従業員五名に指示して、休日以外は毎日交替で本件家屋に宿泊に行かせることとし、本件家屋の鍵を従業員二名にそれぞれ所持させたほか、会社の鍵置き場に鍵一個を掛けて、他の従業員らはこれを用いて本件家屋に自由に出入りできるようにした。
(三)その結果、平成三年一〇月上旬ころから同年一一月一六日夜までの間に十数回にわたり、従業員五名が交替で本件家屋に宿泊して、近隣の住民の目から見ても本件家屋に人が住み着いたと感じ取れる状態になった。
(四)他方、被告人は、本件家屋及びこれに持ち込んだ家財道具を焼燬して火災保険金を騙取しようと企て、甲が本件家屋に放火する予定日前の同年一一月一九日から従業員五名を二泊三日の沖縄旅行に連れ出すとともに,その出発前夜に宿泊予定の従業員には、宿泊しなくてもよいと伝え、留守番役の別の従業員には、被告人らの留守中の宿泊は不要であると伝えたが、これらの指示は、本件家屋への放火の準備や実行が従業員らに気付かれないようにするためであった。
(五)また、被告人は、従業員らに対し、沖縄旅行から帰った後は本件家屋に宿泊しなくてもよいとは指示しておらず、従業員らは、旅行から帰れば再び本件家屋への交替の宿泊が継続されるものと認識していた。また、被告人は、旅行に出発する前に本件家屋の鍵を回収したことはなく、その一本は従業員が旅行に持参していた。 
(六)甲は、被告人との共謀に基づき、被告人らが沖縄旅行中の同月二一日午前零時四〇分ころ、本件家屋に火を放ち、これを全焼させて焼燬した。
2 以上の事実関係に照らすと、本件家屋は、人の起居の場所として日常使用されていたものであり、右沖縄旅行中の本件犯行時においても、その使用形態に変更はなかったものと認められる。そうすると、本件家屋は、本件犯行時においても、平成七年法律第九一号による改正前の刑法一〇八条にいう「現ニ人ノ住居ニ使用」する建造物に当たると認めるのが相当であるから、これと同旨の見解に基づき現住建造物等放火罪の成立を認めた原判決の判断は正当である。

shinshihou_keizi at 02:04│Comments(0)TrackBack(0)clip!判例・各論 

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