宮城県石巻市は29日、同県内で初めて、看護師1人のみの訪問看護事業所の開設を認めることを決め、市内の看護師の申請を受理した。
事務手続きなどに1週間ほどかかるため、早ければ来週にも開業できるという。
訪問看護事業所は、常勤換算で2・5人以上の看護師などを配置しなくてはならないが、震災後の特例措置として人員基準が引き下げられ、現在は宮城、岩手、 福島の3県についてのみ、市町村が認めれば看護師1人で開設できる。特例措置は当初、昨年2月末までとされていたが、2度延長され、現時点では今年3月末 までとなっている。
申請が受理されたのは石巻市の看護師佐々木あかねさん(28)。一昨年8月に最初の申請を行ったが、同市は「既存の事業所でサービス提供が可能」として受理せず、その後の2回の申請も不受理とした。
4回目の申請で受理した理由について、同市介護保険課は、「訪問看護の需要の高まりで、既存の事業所では人手が足りないと判断した」と説明する。
佐々木さんは「地域に根づくよう、頑張りたい。特例措置がまた延長されることを期待している」と話している。
岩手、福島両県ではこれまで、看護師1人の訪問看護事業所の申請は計6件受理されており、そのうち岩手県一関市と福島県南相馬市の2人が現在も訪問看護を続けている。
(2013年1月30日 読売新聞)