2013年08月

研究開発の司令塔として「日本版NIH」を/予算の概算要求

 政府は30日、成長戦略の柱に掲げる医療分野の推進に向け、研究関連費用1382億円を2014年度予算の概算要求に盛り込み、13年度から約37%増やすことを決定した。

 研究開発の司令塔として14年度にも発足する「日本版NIH」が一元的に管理する予定で、がんや認知症、再生医療など7分野を重点的に据え、国際競争力の底上げを図る。

 日本版NIHが担う予算に、理化学研究所や産業技術総合研究所など国所管の研究機関が実施する研究費も合わせると、要求額は計2260億円に上り、13年度から31%増となった。

  重点的に進める7分野の一つ、がん研究では211億円を投入し、13年度に決定する10か年戦略に沿って早期診断技術や治療薬の開発を進める。認知症研究 は98億円で、画像診断技術や根治治療に向けた原因究明を進める。さらに世界初の薬や医療機器を創出するための拠点整備には、161億円を盛り込んだ。

関節リウマチの治療中に患者10人が死亡/医学部教授ら計8人を処分

学校法人産業医科大学(北九州市八幡西区)は29日、関節リウマチの治療中に悪性リンパ腫を発症するなどして患者10人が死亡する事例があったと発表した。

  医療行為としては問題なかったが、うち5人で患者へのインフォームド・コンセント(十分な説明と同意)として求められるカルテへの記載が不十分だったとし て、診療責任者の医学部教授ら計8人を28日付で処分したことを明らかにした。教授は学内のセクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)とパワーハラスメ ント(職権による人権侵害)の問題と合わせ、9月11日から3か月の出勤停止処分とした。他の処分対象は、主治医4人と担当医3人で、いずれも口頭で厳重 注意した。

 発表によると、患者10人が死亡したのは2009年6月~昨年9月。いずれも産業医科大学病院で抗リウマチ薬の標準治療薬であ る「メトトレキサート(MTX)」を使用した。専門医や弁護士ら5人による第三者委員会が5月10日付で同大に提出した調査報告では、「悪性リンパ腫発症 の主たる原因は、免疫異常に起因するもので、MTXの影響は付随的なものに過ぎず、今回の使用は標準的治療の範囲内で、医療行為として不適切にはあたらな い」とされた。

手術ミス「空気塞栓症」

 大阪府箕面市の同市立病院で昨年6月、肺がん手術中に男性患者(当時71歳)が死亡する医療事故があり、同病院は27日、遺族側に約3600万円の示談金を支払うことで和解が成立した、と発表した。9月4日開会の市議会に示談金支払いに関する議案を提出する。

  発表によると、昨年6月26日、男性の左肺の一部を切除する手術で、担当医が肺に空気を送るために気管支に針を刺した際、誤って針が気管支を貫通し、肺静 脈に刺さった。しかし、ミスに気付かず、そのまま肺静脈に空気を送り、数秒後、男性は全身の血管内に空気が入り血流が止まる「空気塞栓症」を発症。約2時 間後に死亡したという。

貼るタイプの高血圧治療薬、発売へ

貼るタイプの高血圧治療薬が、来月にも発売される。  高血圧治療薬としては国内で初めての貼り薬となる。厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)で薬の価格が決まった。  のみ込む力が衰え、飲み薬の服用が難しい高血圧患者などが対象で、1日1回、胸や上腕、背中のいずれかに貼る。薬は皮膚から吸収され、心臓の興奮を抑えることで血圧を下げる仕組み。  薬剤の用量に応じ、4ミリ・グラム(約4センチ×約4センチ)と8ミリ・グラム(6センチ×6センチ)の2種類ある。価格はそれぞれ1枚89・3円と123円で、保険がきくため患者の負担はこの3割~1割になる。

2次救急患者の受け入れ停止時間が急増/神戸市立医療センター中央市民病院

神戸市内で救急搬送数が最も多い市立医療センター中央市民病院(神戸市中央区)で、2次救急患者の受け入れ停止時間が急増していることが読売新聞の情報公開請求でわかった。

  昨年の停止時間は計2718時間と2011年から5倍に増えており、特に昨年11月は計423時間と1か月の約6割を占めた。運営する神戸市民病院機構は 「緊急時に十分役割を果たせない恐れがある」と危機感をあらわにし、市も民間病院を含め、入院患者の受け入れ調整の検討を始めた。

 開示資 料や同病院機構によると、中央市民病院が昨年、市消防局に2次救急患者の受け入れ停止を事前に知らせた時間は、11年の計534時間から大幅に増えた。丸 1日停止した日数は計32日に上り、11年の3日から10倍以上。特に11月は、11年の24時間から約18倍に増えており、連続112時間に及んだ時も あった。10年の1021時間と比べても昨年は約2・7倍だった。

 同病院は県の災害拠点病院の一つ。地上9階、地下1階建てで敷地面積は4万3885平方メートル。約1700人が働く。11年7月に人工島・ポートアイランド2期に移転、病床が以前の831から700床に減った。

がん細胞の増殖を阻害する化合物発見

群馬大生体調節研究所の久保原禅(ゆずる)准教授の研究グループは22日、細胞性粘菌由来の化合物がミトコンドリアの機能を妨害することを発見したと発表した。

 今後、がん細胞のミトコンドリアを狙い撃つ抗がん剤の開発が期待できる。この研究成果は米電子版科学誌プロスワンに掲載された。

 従来の研究で、細胞性粘菌由来の化合物が、がん細胞の増殖を阻害することは分かっていたが、その詳細な仕組みは不明だった。

 研究グループは、細胞性粘菌由来の化合物に蛍光発色体を結合させて可視化し、がん細胞に添加して動きを調べた。その結果、化合物ががん細胞内のミトコンドリアに蓄積し、その機能を妨害することを突き止めた。

睡眠外来を受診する人が急増

お盆休み中の夜更かしで生活のリズムが乱れたり、連日の暑さで寝つきが悪くなったりして、病院の睡眠外来を受診する人が増えていて、医師は、生活のリズムを直して、よく眠るための環境を整えるよう呼びかけています。 このうち、東京・三鷹市にある杏林大学医学部付属病院の睡眠障害治療センターでは、例年、お盆からお盆明けにかけて予約でいっぱいになり、特にお盆明けの20日には、初診で訪れた人が12人と、通常のほぼ2倍に上りました。 患者の多くは、日中も眠気が続くとか、だるさが取れないといった症状を訴えていて、連日の暑さに加えて、休み中に夜更かしをしたり昼すぎまで寝ていたりして、生活のリズムが乱れた影響が出ているということです。 睡眠外来を受診した男性は、「寝ている間に足がつって目が覚め、その後は寝つけないの繰り返しで、睡眠不足が続いてきついです」と話していました。

被災地特例/看護師1人の訪問看護事業所、存続危機

 被災地の特例措置で、看護師1人での開業が認められた宮城県石巻市の訪問看護事業所の存続が懸念されている。  9月末に期限を迎える特例措置の延長が、21日に東京で開かれる有識者の会議で了承されなければ、事業打ち切りを迫られる可能性がある。関係者は、地域で働く看護師を後押しできるとして、特例措置の継続を求めている。  介護保険で訪問看護を行う場合、事業所には常勤換算で2・5人以上の看護師を置く必要がある。だが、震災後、1人で開業できる特例措置が設けられ、石巻市の看護師佐々木あかねさん(29)は今年1月、県内で初めて特例措置による開業が認められた。  現在の利用者は9人。独り暮らしや、高齢の夫婦のみの家庭など「老々介護」も多い。佐々木さんは「被災し、うつの症状に苦しんでいる人もいる。震災で市立病院が病床を失い、訪問看護の必要性は高まっている」と語る。

重症やけど、当初は意識があっても命を落とすケース は珍しくない

 19日に10歳の男児と35歳男性が死亡し、犠牲者が3人となった京都府福知山市の花火大会での露店爆発事故。男児は全身にやけどを負ったものの、事故 発生直後は受け答えもしっかりしていたが、その後に容体が急変した。医療関係者によると、重症やけどの場合は当初は意識のあった患者でも命を落とすケース は珍しくないといい、「治療の焦点は水分補給と患部の感染防止」と指摘する。

 これまでの事故の犠牲者は、19日に死亡した同府京丹波町の小学5年、山名空(そら)君(10)と大阪府高槻市の黒田直希さん(35)、17日に死亡が確認された同町の竹内弘美さん(44)の3人。

 山名君は事故直後に京都府綾部市立病院に搬送され、頭部や背中など体表面の55%が2~3度のやけどと診断された。

 皮膚に付着した衣類の洗浄や軟膏(なんこう)を塗布する処置を受けたが、外科医の問いかけにも冷静に受け答えしていたという。

 やけどは深さにより1~3度に分類され、3度が最も重い。真皮に達する2度では全身の30%以上、さらに下の組織に達する3度では、10%以上のやけどで重症とされる。

 大阪府立急性期・総合医療センターの藤見聡救命救急センター長(48)は、「頭部にダメージがないやけどの場合は事故直後は意識がしっかりしているが、時間の経過とともに血液の循環が悪化し死亡するケースは珍しくない」と説明する。

 広範囲で重度のやけどを負った場合、血液の水分が急速に失われ、うまく循環しなくなり、栄養分や酸素を供給できなくなる。臓器へ流れる血液が不足し、臓器不全を引き起こし、死亡してしまうという。

「お薬手帳」の機能をカードに/ソニー

ソニーは19日、薬局で処方された薬を記録する「お薬手帳」の機能をカードに収めるシステムを発表した。財布などに入れて簡単に持ち歩け、家族のデータをまとめて確認できる。秋から川崎市の調剤薬局約400店で試験的に導入する。  利用者はまず、名前や性別、生年月日を暗号化して記録したICカードを薬局で受け取る。薬局に置かれた専用の端末にカードをかざせば、薬剤師が過去の履歴を見たり、新しく処方した薬のデータを書き込んだりできる。利用者自身も、スマートフォンからデータを確認できる。

猛烈な暑さ 熱中症による死者や患者が相次ぐ

 猛烈な暑さで熱中症による死者や患者が相次ぐ中、東京消防庁などがあらためて、熱中症の予防を訴えた。

 東京消防庁の大江秀敏消防総監は16日、熱中症予防ポスターに起用した女子アイスホッケー日本代表の足立友里恵選手に、感謝状を渡した。今後も猛暑が続 く見通しの中、足立選手は「とにかく水分を取るということと、無理しないでクーラーを使うなどして、体調を一番に考えて、皆さんも体調に気をつけてくださ い」と熱中症への注意を呼びかけた。

 10日の関東地方は高気圧に覆われ、各地で猛烈な暑さとなり、群馬県館林市では40.1℃を観測した。

 気象庁の観測によると、館林市で40.1℃、埼玉県熊谷市で39.3℃、東京都心で37.4℃など、広範囲で厳しい暑さとなった。

 東京消防庁のまとめによると、この暑さで都内では少なくとも77人が熱中症とみられる症状を訴え、病院に搬送された。江戸川区では野球をしていた小中学生7人が熱中症とみられる症状を訴え、病院に搬送された。

 この暑さは11日も続く見込みで、気象庁は水分を取り、適切に冷房を使うなど熱中症に注意するよう呼びかけている。

USJのアトラクションに字幕を/聴覚障害者ら

「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(大阪市此花区、USJ)のアトラクションに字幕をつけてほしい。聴覚障害者らが、そんなバリアフリー対応を求めて署名を集めている。「健常者と同じように楽しみたい」と願う。  活動しているのは、聴覚障害者に手話通訳者などを派遣するNPO法人LIC(兵庫県西宮市)のスタッフら。USJのアトラクションには音声案内があるが、字幕表示などのバリアフリー対応がなく、聴覚障害者からは「状況がつかめない」などの声がある。  LICは2年前、聴覚障害者を集めたツアーを企画。アトラクションの音声案内を事前にスタッフのスマートフォンに入力したり、セリフ集を作ったりして、音声が流れるタイミングにあわせて参加者に見てもらった。おおむね好評で、20~50代の参加者19人のうち15人が、「バリアフリー対応があれば、また行きたい」と答えた。

経済産業省は、iPS細胞関連製品を作る国内メーカーの支援に乗り出す

 経済産業省は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)などの実用化が進む再生医療で、関連製品を作る国内メーカーの支援に乗り出す。

 再 生医療では細胞を増やしたり変化させたりして患者に移植するが、細胞加工をする培養装置や試薬は大半が欧米製。長く使われてきた実績から、細胞を培養する 企業などが感染症の問題などが起きにくいとみて、後発の日本製に切り替えたがらない。しかし、欧米製は現地で購入する価格の数倍にも上り、治療費を押し上 げる要因になっている。

 このため経産省は、目の難病治療のためにiPS細胞を網膜細胞に変える臨床試験(治験)に国内製の培養装置を使う 企業や、心臓病治療のための移植用細胞シートを作る治験に日本製の試薬や培地を使う大学など8団体に年間計10億円を助成する。応募のあった15団体から 8団体を選んだ。各団体は来月以降、日本製の装置や試薬を購入して利用を始める。

がんのビッグデータを世界で共有し、解析

 世界7か国のがん約7000症例の遺伝子をしらみつぶしに調べ、がんでよく見られる22種類の遺伝子の変化を発見したと、国立がん研究センターなどの国際チームが15日、英科学誌ネイチャー電子版で発表する。
  がんのビッグデータを世界で共有し、解析した新しいがん研究の成果として注目される。  解析したのは同センターの柴田龍弘・がんゲノミクス研究分野長ら、日欧米とオーストラリアの計7か国の研究チーム。肺がんや胃がんなど代表的な30種類のがん7042症例の遺伝子を網羅的に調べ、見つかった約500万個の遺伝子の変化の中から、各部位のがんに特徴的な遺伝子の変化を特定した。  ほとんどのがんは、今回見つかった22種類中、いずれか2種類以上の遺伝子の変化が起きているという。肝臓がんと胃がん、子宮がんでは、主に6種類の変化が重なることがわかった。

不正アクセスで日本医療機能評価機構の医療事故情報がダウン

 日本医療機能評価機構は14日、同機構のウェブサイト上で医療機関から医療事故情報の報告を受け付けるシステムが、第三者の不正アクセスを受けて先月下旬から停止していると発表した。サーバーに使用しているプログラムの脆弱性を突かれたとみられるが、非公開のデータの流出は、今のところ確認されていないという。同機構では、原因究明とシステムの復旧を進めている。

 不正アクセスを受けたのは、医療事故情報収集等事業と薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業に使っているシステムで、同機構のウェブサイト上などからアクセス可能。医療事故情報などの分析結果の公表や、医療機関や薬局から報告を受ける機能を担っている。同機構職員が先月22日、システム上の不具合を発見。同日から利用できない状態が続いている。

苦痛のない内視鏡、経済産業省が後押し

 鳥取大病院の植木賢(まさる)・次世代高度医療推進センター准教授(41)が進めている大腸がん検診用の新型内視鏡の研究が、経済産業省の課題解決型医療機器等開発事業で今年度、採択候補とされた。

 植木准教授は、4年後の商品化に向けて技術開発が加速するとし、「安全で苦痛のない内視鏡の完成や普及に向け、大きな一歩になる。世界に誇れる製品にしたい」と話している。

  開発中の内視鏡は、先端付近に取り付けた2個のゴム風船を片方ずつ膨らませたり、しぼませたりして大腸の中を自走させる「先端駆動式」と呼ばれる機器。従 来の内視鏡は医師が押し込むため腸壁の曲がった部分が刺激されて苦痛を感じ、力の入れ具合では腸壁を損傷させる恐れもあった。

 新たな内視鏡では、先端に取り付けた触覚センサーで動きの強弱も判断できる。レンズの視野もほぼ全周囲が見られる320度あり、がん細胞など病変部の見落としがかなり防げるという。

介護保険の「要支援」サービスを市町村事業に移す改革案、懸念も

介護保険の「要支援」向けサービスを市町村事業に移す改革案について、田村憲久厚生労働相は11日、移管後も財源は今のままとし、市町村に新たな負担が生 じないよう配慮する考えを示した。NHKのテレビ番組で「財源は介護保険の財源を使う。変わらないように議論する」と述べた。

 政府の社 会保障国民会議は、介護を必要とする度合いが低い「要支援」向けサービスを介護保険から外し、2015年度から段階的に市町村の独自事業に移すべきだと提 言している。ボランティアなども活用し、コストを抑えるねらいだ。ただ、関係者からは「財政が厳しい市町村ではサービスの質が下がり、地域格差が広がる」 との懸念も出ている。

「医薬品副作用被害救済制度」とは

薬の服用で副作用が出た場合に被害者に給付金が支払われる、国の「医薬品副作用被害救済制度」を知っている人は2割にとどまることが、医薬品医療機器総合機構の調査で分かった。  知名度不足が、制度の利用が進まない原因になっており、同機構は「万が一、副作用被害にあった時に思い出せるよう、名前を知ってほしい」とPRしている。  救済制度は製薬会社からの拠出金を財源に、被害者からの請求に基づき給付される。制度を運用する同機構は今年3月、20歳以上を対象にインターネットで、制度について質問した。3114人が答えた。

10代前半の少女の臓器摘出→10代少年に移植

 長崎大病院で脳死と判定された10代前半の少女の臓器摘出手術が10日行われ、心臓は東京大学病院で10代少年に移植された。東大病院によると、手術は成功し、少年の容体は安定しているという。肺、肝臓、膵臓(すいぞう)、腎臓も摘出され、移植する医療機関に運ばれた。

 東大病院によると、少女から摘出した心臓はチャーター機と消防ヘリなどで、10日午前8時半すぎ、病院に到着。拡張型心筋症で入院中の10代の少年に移植され、手術は午後2時過ぎに終わった。
http://www.dental-revolution.com/clinic_info.php?id=1319

脳死と判定された15歳未満の少女からの臓器摘出/長崎大病院

 改正臓器移植法に基づき、脳死と判定された15歳未満の少女からの臓器摘出が10日、入院先の長崎大病院で無事終了した。

 日本臓器移植ネットワークによると、心臓が東大病院の10代男性、肺が東北大病院(宮城)の30代女性、肝臓が慶応大病院(東京)の30代女性、膵臓(すいぞう)と腎臓が名古屋第二赤十字病院の40代女性、もう片方の腎臓が国立病院機構長崎医療センターの50代男性に移植される。

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