2013年10月

「特定看護師」制度

 看護師が医師の具体的な指示なしで、高度な医療行為(特定行為)ができる「特定看護師」制度について、厚生労働省の検討会「チーム医療推進会議」は29日、最終的な具体案をまとめた。

 同省は来年の通常国会に保健師助産師看護師法の改正案を提出し、早ければ2015年度からの制度施行を目指す。

  最終案では、気管挿管や抗けいれん薬の投与など、これまで多くの場合に医師が行ってきた41種類の医療行為を「特定行為」に選定。厚労省が指定した研修機 関で、研修を受講した場合に、あらかじめ医師が指示した手順に従い、看護師が患者の容体を判断しながら特定行為を実施できるとした。

 同案は、法案通過後に設置される審議会で改めて議論され、最終確定する。

九州国際重粒子線がん治療センター、好調

九州・山口では初の重粒子線がん治療施設としてオープンした「九州国際重粒子線がん治療センター」(佐賀県鳥栖市原古賀町)で、8月から始まった前立腺がん治療の利用者が当初予想を大幅に上回っている。

 初年度の見込みは年間200人だったが、25日現在、患者はすでに150人。通常の放射線治療に比べ、治療時間が短く、副作用も少ないことが利用者増につながっているようだ。

 センターは5月29日、国内4か所目の重粒子がん治療施設として開業し、8月27日から、前立腺がんの患者に限って治療を始めた。

 治療は、光速の70%まで加速させた炭素イオンを集中的に照射して、がん細胞を死滅させる。事前に病巣の深さを詳しく調べ、効果的な照射により、ピンポイントでがん細胞をたたくため、正常な細胞へのダメージを最小限に抑えることができる。

 患者はまず、3、4回受診して、センターの医師と治療計画について話し合う。センター側はがん細胞に正確に重粒子線を照射するために必要な器具を個別に作り、重粒子線を12回照射する。一連の治療期間は約1か月程度という。

  患者のうち、すでに16人が治療を終えており、センターが感想を聞いたところ、「1回当たりの治療が短時間で終わるため、仕事への影響は少なく、普段通り の生活を続けることができた。副作用もなく、本当に楽だった」(40歳代男性)、「大好きなテニスやゴルフも続けることができた。重粒子線治療を選んでよ かった」(70歳代男性)といった声が寄せられている。

「PM2・5」の汚染を調べる研究

中国から飛来する微小粒子状物質「PM2・5」への懸念が高まるなか、PM2・5に含まれる黄砂がどれほど汚染されているかを調べる研究を、国立環境研究 所(茨城県つくば市)などが進めている。国境をまたいで設置した装置で汚染を計測、健康被害の防止策にもつながると期待されている。2015年春には実用 化にめどをつけたい考えだ。

 日本上空に飛んでくるPM2・5には、微小な黄砂も多く含まれている。黄砂が風に乗り、中国の工場地帯や都市部を通る際、黒色炭素や硫酸塩といった有害物質を付着させながら飛来する。

 ただ、気象庁気象研究所(つくば市)や九州大などが行っている黄砂の飛来予測は、硫酸塩などによる汚染状況までは考慮していない。これに対し、国立環境研などでつくるチームの研究は、微小な黄砂の汚染の状態をつかみ、将来予測に生かそうというものだ。

日本初の「母乳バンク」

病気や早産で母乳が出ない母親に代わり、別の女性の母乳を提供する日本初の「母乳バンク」が、昭和大小児科(東京)に誕生した。小さく生まれた赤ちゃん は、免疫の働きが不十分で、様々な病気のリスクを避けるには母乳が効果的だ。高齢出産や不妊治療による多胎などで、小さい赤ちゃんの割合は増えており、5 年以内にNPO法人化して普及を目指す。

 学内の倫理委員会の承認を得て、スタートした。

 同大小児科の水野克己准教授 によると、早産では、赤ちゃんが2500グラム未満の低出生体重児になるだけでなく、母親も母乳を出す準備ができていないことがある。早産で小さく生まれ た赤ちゃんは体の働きが未熟で、腸に穴があく壊死(えし)性腸炎や未熟児網膜症、慢性的な肺の病気などのリスクが上がる。母乳にはこれらのリスクを下げる 成分が含まれているため、出産から2~3日以内に飲ませることが有効だ。粉ミルクでは、こうした効果は期待できず、赤ちゃんの腸に壊死などのトラブルが起 きやすくなる心配もある。

薬剤師が患者の自宅を訪問し、薬を管理する取り組み

在宅で医療を受ける患者をサポートしようと、薬剤師が患者の自宅を訪問し、薬を管理する取り組みが広まっている。

 より多くの患者や医師らに知ってもらおうと、和歌山県薬剤師会などは今年度から、県内で訪問管理を行う薬局をまとめた一覧表やパンフレットなどの作成を始めている。

 訪問管理は、薬剤師が医師の処方箋に基づいて薬剤を患者宅に持参し、服薬の指導などを行う。主な利用者は高齢者や末期がんの患者ら在宅治療を続ける人たちで、介護保険や医療保険を適用できる。

  今月上旬、和歌山市の80歳代の夫婦の自宅に、同市禰宜の「中央薬局」を経営する薬剤師の金子雅好さん(51)が顔を出した。妻は寝たきりで夫が看病して おり、金子さんは2週間に1回訪問する。家に着くと、2週間分の薬を曜日ごとに分けられたポケット付きのラックに入れた。

 前回入れた薬がなくなっていることを確認し、「調子良さそうやね」と声をかけると、夫は笑顔で応えていた。「飲む時ごとに薬を置いてくれるので、飲み間違える心配がなく助かる」と夫は感謝する。

 金子さんは、和歌山市や岩出市の個人宅や老人介護施設を訪問し、患者に処方された薬剤の管理を行う。同薬局のほか5人の薬剤師と合わせ、計約70軒を回っている。

脳死の臓器提供者からの肺移植で、体外臓器維持装置を初使用

 岡山大病院は23日、脳死の臓器提供者からの肺移植で、脳死者から摘出した肺を良好な状態にする体外臓器維持装置を国内で初めて使用したと発表した。

 装置は摘出した肺につなぎ、人工呼吸器で空気を送り込み、血液代わりの特殊な液体を循環させることで、呼吸機能が正常かどうかを確認したり、肺に水がたまる肺水腫の状態を改善したりできる。スウェーデンで開発され、欧米では既に導入されている。

 同病院はこの日、呼吸不全が進行していた30歳代の女性に、東京都内の病院で22日に脳死と判定された女性の肺を移植する手術を実施。手術に先立って、この装置を使った。

「首相はたばこを吸うのか」「24、25歳ぐらいまで」

「24、25歳ぐらいまで(たばこを)吸っていて、その後やめた」。安倍晋三首相が24日の参院予算委員会で喫煙歴を明かした。受動喫煙防止を訴えるみんなの党の松沢成文氏から「首相はたばこを吸うのか」と問われて答えた。

 首相が「24、25歳」の頃は、大学卒業後に民間企業に就職した前後の時期。首相は「吸っている時には、受動喫煙の立場に立たされる人が不愉快だとは気づかない。やめたとたんに、これがよくわかる」とも述べた。

 同様に質問された麻生太郎副総理は「葉巻は吸う。40歳から吸っていると記憶している」と述べ、こう続けた。「(たばこが)嫌な人がおられたら、なるべくその人と付き合わないか、吸わないかのどちらかだ」

市販薬のインターネット販売

安倍政権は22日、医療用から切り替わったばかりの一部の市販薬(一般用医薬品)について、市販後の調査で安全性が確認されるまではインターネット販売を 認めない方向で調整に入った。全面解禁を求める業者などから「不合理な差別だ」と批判が上がっていたが、安全性を重視した。開会中の臨時国会に関連法案を 提出する見通し。

 医療用から切り替わったばかりの薬は、医師らの管理下と違う使われ方をし、新たな健康被害が生じるおそれがある。政府 の規制改革会議は、ネット販売と対面販売に合理的根拠のない差を設けないよう要求。一方で、厚生労働省の専門家会議はネット販売に慎重な報告書をまとめ、 政府内で調整が続いていた。

 医療用から切り替え直後で安全性を調査中の市販薬は現在、ロキソニンS(解熱鎮痛薬)、エパデールT(高脂 血症治療薬)など23品目。今後は、4年かけていた副作用などの調査を3年程度に短縮。問題がなければ速やかに解禁する方針。現在約1万1千品目ある市販 薬の99・8%が解禁されることになる。

製薬業界から医師や医療機関への資金提供、総額4700億円

 製薬業界から2012年度に国内の医師や医療機関に提供された資金の総額は4700億円を超えることがわかった。

 国の医療分野の研究開発予算1700億円の2・7倍に上る。

 医学研究の発展のためには産学連携が不可欠だが、高血圧治療薬「ディオバン」の研究データ改ざん問題では、背景に企業との不透明な関係が指摘された。専門家は「資金提供の透明化が必要」と指摘する。

 主要な製薬企業70社で作る日本製薬工業協会の指針に基づき、10月上旬までにホームページで初めて金額を自主公表した65社分を読売新聞社が集計した。

 公開された金額は、各社が大学などの研究機関や医師に支払った〈1〉共同研究などに使われる研究・開発費〈2〉寄付金などの学術研究助成費〈3〉講師謝礼や原稿料など〈4〉医師向けの講演会、説明会などの情報提供関連費〈5〉飲食や中元歳暮などの接遇費。

 項目別で最も多かったのは研究・開発費で計2438億円。その4分の3は、薬の承認を得るために行う治験などの臨床試験費(1840億円)だった。

  寄付金などの学術研究助成費は計532億円。うち、指定した研究者が自由に使える奨学寄付金は340億円、研究者を指定せずに大学などに提供する一般寄付 金は84億円だった。ディオバン問題では、臨床研究の事実上の見返りとして、販売元のノバルティスファーマから多額の奨学寄付金が支払われていた。

カネボウ化粧品美白化粧品の被害者が1万5192人に

 カネボウ化粧品は21日、美白化粧品で肌がまだらに白くなる「白斑(はくはん)」の被害者が1万5192人(13日時点)になったと発表した。9月29日時点より1233人増えた。

 被害者らの申し出に基づいてカネボウの社員らが初めて訪問した時点で、「最も重い」と分類する「顔や手など広い範囲に白斑がある」人は956人に達した。「3カ所以上」や「5センチ以上の大きさ」「明らかに顔にある」は4244人にのぼる。

 今後、原則として毎週月曜日にホームページで情報を更新するという。

大気汚染そのものに発がん性がある/世界保健機関

世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は17日、大気汚染そのものに発がん性があるとする見解を発表した。人口が多い新興国で大気汚染が進み、戸外で汚れた空気を吸い込む機会が増えているとして、警告を発した。

  IARCはこれまで、ディーゼル車の排ガスなどに発がん性を指摘してきたが、大気汚染全体に発がん性を認めたのは初めて。フランス・リヨンで開いた専門家 会合で、百万人規模の疫学調査を精査し、1千以上の科学論文を検討した結果、「汚れた大気に触れると肺がんになる」とするのに「十分な科学的根拠がある」 と判断、五つある発がん性分類で一番危険な「発がん性がある」(グループ1)に位置づけた。アスベスト(石綿)やたばこと同じ分類。2010年は、大気汚 染が原因の肺がんで、世界で22万3千人が死亡したとのデータも示した。

 さらに、中国・北京の大気汚染で注目された微小粒子状物質PM2・5などにも発がん性があると認定した。大気汚染の主な要因として、交通や発電所、産業活動、家庭の暖房や調理を挙げた。

脳死の家族の臓器提供

 家族が脳死になり、臓器提供の意思表示をしていなかった時、あなたはどうするか――。4割が提供に「承諾する」と考えていることが、内閣府の「臓器移植に関する世論調査」で分かった。自分が臓器提供するか否か、意思を示している人は1割程度だった。

 調査は、全国の20歳以上の3千人を対象に今年8~9月に行い、1855人から回答があった。

 2010年の臓器移植法改正で、書面での意思表示がなくても、家族の承諾があれば、小児を含む脳死の人から臓器提供ができるようになった。法改正後、初の調査で、こうした内容を約7割が「知っている」と回答した。

子どもの定期予防接種、接種の期限を緩和

厚生労働省は、自治体が実施している子どもの定期予防接種について、接種の期限を緩和する検討を始めた。接種しなければならないワクチンが増える一方で、 決められた期限内に受けないと全額自己負担となるため、改善を求める声が上がっていた。期限を過ぎても問題がないかをワクチンごとに検討し、公費で負担で きるようにする。
 17日の厚労省審議会で方針を提案、了承された。

 予防接種法に基づく子どもの定期接種は主に7ワク チンで、接種する年齢が決まっている。複数回接種する5ワクチンは「6~28日の間隔をおいて2回」(日本脳炎)など具体的な間隔が決められ、期限外に受 けると、子どもが熱を出すなど「やむを得ない事情」の場合を除き、原則として自己負担になっている。

大阪の医療法人「恒昭会」、約28億円の所得隠し

大阪府内で病院などを運営する医療法人「恒昭会(こうしょうかい)」(同府茨木市)をめぐり、理事長の小山郁夫氏とその兄弟計3人が大阪国税局から計約 28億円の所得隠しを指摘されたことがわかった。傘下の病院から配当金を受け取る際に関連会社を介在させ、所得として申告しなかったと認定された。関連会 社分も含め申告漏れの総額は昨年3月までの約5年間で約50億円に上り、重加算税などを含め計十数億円を追徴課税されたとみられる。

 ほ かに所得隠しの指摘を受けたのは、大学や高校を運営する学校法人「藍野(あいの)学院」理事長の小山英夫氏と高齢者や障害者の福祉施設を運営する社会福祉 法人「藍野福祉会」理事長の小山康夫氏。3人は課税処分を不服として国税局に異議を申し立てている。代理人の弁護士は「何も答えられない」としている。

中国で新たに鳥インフルH7N9)感染を確認

中国の浙江省政府は15日、同省紹興市に住む35歳男性の鳥インフルエンザ(H7N9)感染を確認したと発表した。男性は重症という。

 中国で感染が公表されたのは、8月10日の広東省の女性以来。H7N9型ウイルスが初めて人に感染したことが明らかになった3月31日以降、中国本土での感染者は計136人(うち死者は45人)となった。

新型コロナウイルス感染を防ぐたんぱく質

 中東を中心に感染が広がる新型コロナウイルスによる「マーズ(MERS)」の感染を防ぐたんぱく質を、森本幾夫(ちかお)・順天堂大客員教授らのグループが見つけたと発表した。

 有効な治療に道を開く成果で、米ウイルス学専門誌(電子版)に掲載された。

 マーズは、2002~03年にアジアで流行した新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)と同じコロナウイルスの一種で発症する。マーズウイルスは、人の気管支の粘膜細胞などにある受容体「CD26」に結合して感染する。

  森本客員教授らの研究グループは、CD26の表面の特定部位を認識して結合する6種類のたんぱく質を開発。これらを使って、人の細胞でどの部位からウイル スが感染するか調べた。その結果、そのうちの一つのたんぱく質が、ウイルスがCD26と結合するのをブロックし、感染をほぼ100%防ぐことがわかった。

70代の体力、ここ12年で5歳ほど若返る

70代の体力は、ここ12年で5歳ほど若返った――。文部科学省が13日に発表した「体力・運動能力調査」で高齢者の体力の向上ぶりが分かった。健康への意識が高まり、スポーツクラブなどで定期的に運動する人が増えたためとみられる。

 調査は昨年5~10月に、全国の6~79歳の約7万4千人を対象に実施した。65歳以上は、調査を始めた1998年度以降、「握力」「上体起こし」「6分間歩行の距離」などほとんどの項目で、記録が伸びているのが特徴だ。

 なかでも70~74歳、75~79歳は、男女とも全6項目の得点合計で過去最高を更新し、70~74歳は2000年の65~69歳、75~79歳も00年の70~74歳の水準に並んだ。65~69歳の男性の得点合計も過去最高だった。

町・町議会と事務局長人事の意見対立で、町立松前病院の医師6人辞職の意向

 北海道松前町の町立松前病院の医師6人が2014年3月末で辞職する意向であることが10日、分かった。

 同病院の前事務局長の人事を巡り、町・町議会と医師側の意見対立が先鋭化したことが原因。同病院は渡島西部の拠点病院で、現在、常勤医10人態勢となっている。このまま6医師が退職すると、来年度からの病院運営に支障が出かねない情勢だ。

 辞職の意向を抱いているのは木村真司院長(49)ら6医師。木村院長は05年11月に同院の院長に就任し、08年から内科や整形外科といった診療科の枠を超えて患者を診る「全科診療医(家庭医、総合医)」制度を導入して注目を集めた。

  木村院長は今年3月末で定年退職となった前事務局長の雇用継続を求めて町や町議会と対立。道が仲裁役となり、石山英雄町長と木村院長との間で前事務局長を 「経営アドバイザー」として雇用することなどを柱とした条例改正を行う内容の覚書が4月に交わされた。しかし、6月定例町議会で条例改正案は否決され、前 事務局長はいったんは臨時職員として再任用されたが、9月末に6か月の任期切れによって退職した。

 木村院長は「覚書すら十分に履行されなかった」と、9月27日に石山町長に年度末で辞職することを伝え、10日までに副院長や内科部長ら医師5人が木村院長に追随して辞職願を提出した。

水銀を使った体温計と血圧計の使用を2020年までにやめる

世界保健機関(WHO)は11日、水銀を使った体温計と血圧計の使用を2020年までにやめるとする指針をまとめたと発表した。10日に熊本で採択された「水銀に関する水俣条約」の趣旨に合わせ、世界で「水銀を使わない医療」の確立を目指すという。

 水俣条約は水銀を使った計測機器の製造、輸入、輸出について、20年までの原則禁止を定めた。途上国にはさらに10年間の延長が認められるが、WHOは条約で各国が作成するよう定めた水銀規制計画で、電子式体温計などに切り替える施策を盛り込むよう求めるという。

 水銀の計測機器は安価で信頼性が高いため病院などで幅広く使われ、特に途上国では主力だ。WHOのマーガレット・チャン事務局長は「条約の署名で水銀の悲惨な健康的影響から世界を永遠に守る長い道のりに立った」と述べ、各国の協調した取り組みを促した。

一酸化窒素が大腸がん一因に

 潰瘍性大腸炎(国内患者約6万4000人)など炎症性腸疾患の組織から出る一酸化窒素(NO)が、大腸がんの原因となっていることを解明したと、田澤大・岡山大助教(消化器外科学)らの研究グループが8日、発表した。

 将来的に、NOを抑制して発がんを予防する薬の開発が期待されるという。研究成果は8月13日付の米国科学雑誌「Experimental Cell Research」電子版に掲載された。

 NOは、炎症細胞などから作られるガス状の分子。細菌やウイルスの感染から守るが、慢性的に炎症が続くとNOが過剰に作られ、正常な細胞の遺伝子やたんぱく質の機能を失わせるなどの悪影響がある。

 田澤助教らは、ヒト大腸腺種(せんしゅ)(大腸ポリープ)細胞にNOを与え続けると、大腸がん細胞になることを確認。また、ヒト大腸腺種細胞をマウスの背中に移植して慢性炎症にし、NOができにくくする薬剤を投与したところ、大腸がんになるまでの期間が延びたという。

記事検索
最新記事
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ