公的な医療保険では混合診療は原則として認められず、自由診療と併用した患者は、保険適用部分も含めて費用を全額負担しなければならない。ただ、一部の先進医療で、将来保険診療に移行することを前提に混合診療を認める「保険外併用療養制度」がある。
討論会では規制改革会議の民間委員から、「患者に最適と考えられる治療が制約されている」といった批判が相次いだ。厚労省幹部は「国民が一定の負担で必要な医療を受けられるのが皆保険の本質」として、混合診療の全面解禁に反対する立場を改めて強調した。
厚生労働省は、難病患者の医療費助成制度見直しに関し、患者の1か月の負担限度額を最大2万円程度とする方針を固めた。
10月末にまとめた素案で最大4万円超とした限度額を引き下げ、患者の経済的負担を軽くするものだ。同省は2015年1月からの新制度実施を目指しており、政府・与党内の調整を経て、14年の通常国会に新法を提出したい考えだ。
これに関連し、田村厚生労働相は24日、訪問先のソウル市内で記者団に対し、素案で年収に応じ6段階に分けた負担限度額について、「上限は自立支援医療制 度並みにしていくことで最終調整している」と述べた。自立支援医療制度は、障害者の1か月の医療費負担限度額を2500~2万円(生活保護世帯は免除)と 定めている。田村氏の発言は、これと同様に、難病患者の医療費の負担限度額も最大2万円程度としたい意向を示したものだ。
2018年度中に予定されている岩手医科大学付属病院(盛岡市内丸)の矢巾町移転に伴い、医療関係者が今後の市内の救急医療体制に危機感を募らせている。
同病院が受け入れている救急患者が、他の病院に集中し、十分な診療ができなくなる恐れがあるためだ。和田利彦・盛岡市医師会長は21日、谷藤裕明市長に体 制維持の協力を求める提言書を手渡し、同市内丸に新たな夜間・休日の救急患者受け入れ拠点の設置を検討する考えを明らかにした。
和田会長はこの日、谷藤市長に「何も手を打たずに5年後を迎えると、市内の救急体制が壊れてしまう」と述べ、今後の市内の救急医療体制について危機感をあらわにした。
救急医療は、比較的軽症の「1次(初期)救急」、手術や入院が必要な「2次」、命に関わる重篤な「3次」に分かれる。
盛岡市、八幡平市、葛巻町、矢巾町、紫波町など計8市町村で構成される「盛岡地区2次救急医療圏」では、岩手医大付属病院、県立中央病院、盛岡赤十字病院などの12病院が輪番態勢で夜間や休日の救急患者を受け入れている。
市医師会によると、12病院が昨年受け入れた2次救急患者は6万2061人で、岩手医大付属病院が37・2%にあたる2万3092人を占めている。この8 割以上が盛岡市以北の患者で、同病院が約10キロ南の矢巾町に移転した場合、多くは矢巾町の新病院に向かわず、市内の別の病院、特に県立中央病院に集中す ることが懸念されるという。
同大では病院移転後、同市内丸の付属循環器医療センターなどの建物を「内丸メディカルセンター」とし、外来診 療にあたる方針だが、市医師会は、夜間や休日、同センターに医師を派遣し、1次、2次救急に対応できないか検討する考え。同会や岩手医大などの関係者でつ くる盛岡地区二次救急医療対策委員会で議論するという。
徳島県は、津波被害に備え、高台へ移転する牟岐町の県立海部病院の基本設計を発表した。
110人以上の患者を受け入れられる「災害病棟」や、2か所のヘリポートを備え、県南部の医療拠点として、災害時にも機能する病院を目指す。
移転先は現在地(牟岐町中村)の約500メートル西の海抜15・6メートルの高台で、県の津波浸水予測でも、浸水の恐れはないとされる。敷地面積は約9000平方メートルで、鉄筋6階建ての免震構造。延べ面積は現在の約2倍の1万550平方メートルになる。
4、5階に設ける病床数は、現在と同規模の110床で、1床あたりの面積は約1・5倍に増える。災害時には入院患者を5階に集め、「災害病棟」と位置づけ る4階で110人以上の負傷者を受け入れる。4階には、非常用電源が使えるコンセントなどを備えた集中治療室も設置する。
また、屋上には、県のドクターヘリ用のヘリポートを整備。立体駐車場の最上階にも海上保安部や自衛隊などの大型ヘリが離着陸できるヘリポートを備える。自家発電用の燃料や、飲料水も7日分、備蓄する予定。
16日、神戸市で開かれる日本生殖医学会で発表する。妊娠前の女性はワクチン接種で抵抗力をつけることが推奨されており、今後、さらなる検証が必要になりそうだ。
調査は高崎ARTクリニック(群馬県)、岡山二人(ふたり)クリニック(岡山県)が実施。ウイルスへの抵抗力を示す血中物質の量の指標(抗体価)が、日本産科婦人科学会が定める基準値以下の女性受診者を対象にワクチンを接種してもらい、4~8週間後の変化を調べた。
1回で結論が出ず、薬の効果を巡り、中医協の議論が継続されるのは極めて異例。
この薬は「セチリスタット」(商品名オブリーン)。武田薬品によると体内で脂肪を分解する酵素が働かないようにし、脂肪の吸収を抑えて体重を減らす効果が ある。肥満で、糖尿病と脂質異常症の人に適用される。約200人を対象に1年間行った試験では、体重減少の効果が2%程度だった。今年9月、厚労省から製 造販売承認を取得した。
製造販売が認められた薬は、中医協で薬価を決めるかどうか議論し、承認されれば保険適用される。しかし、13日の 中医協では、「体重100キロ・グラムの人なら2キロしか減らない。必要ない」「(関連学会は『病気』としているが)そもそも肥満症は病気なのか」などの 意見が相次いだ。
フィリピン中部の台風被害を受けて、愛知県内からも13日、病院看護師長や陸上自衛隊の医療チームが同国に向けて相次いで出発した。
名古屋市昭和区の名古屋第二赤十字病院では、関塚美穂看護師長を現地に派遣することを決め、同病院で出発式を行った。
日本赤十字社は、全国の医師や看護師らによる本格的な支援を前に、現地調査を行う先遣隊のメンバー(5人)として関塚さんを選んだ。2010年のハイチ大 地震の際に、保健要員として参加するなど実績が評価され、抜てきされたという。関塚さんは成田空港からフィリピンに向かい、約6週間にわたり、本格支援を 行うための場所の選定などを行う。
この日の出発式で、関塚さんは「たくさんの被災者が出ている中で、より効率的な支援が出来るように視察していきたい」と話した。
航空自衛隊小牧基地(小牧市)では、陸上自衛隊の医療チーム10人が、同基地所属の空中給油・輸送機(KC767)でマニラ空港に向けて飛び立った。成田から出発した37人の本隊と現地で合流し、被災地での医療活動にあたる。
派遣されたのは医師や看護師、薬剤師の資格を持つ男性7人と女性3人の隊員。輸送機には応急措置用の医療資機材など約1トンも積み込まれた。
乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症の患者が全国で増えていて、これから年末にかけて流行のピークを迎えるとみられることから、国立感染症研究所は手洗いなど対策の徹底を呼びかけています。
RSウイルス感染症は、発熱やせきなど、かぜに似た症状が出る病気で、秋から冬にかけて乳幼児を中心に流行し、初めての感染では肺炎や脳炎を引き起こして重症化することがあります。
国
立感染症研究所によりますと、今月3日までの1週間に、全国およそ3000の小児科の医療機関で新たにRSウイルス感染症と診断された患者は4195人
で、前の週から490人余り増えました。都道府県別では、最も多いのが大阪府で323人、次いで東京都が291人、兵庫県が224人、埼玉県が210人な
どとなっていて、都市部を中心に感染が広がっています。
RSウイルス感染症の流行は例年、12月ごろにピークを迎えることから、患者数は今後さらに増えるとみられています。
国立感染症研究所の木村博一室長は「乳幼児以外でも、ぜんそくの持病がある高齢者などは重症化するおそれがある。自分だけでなく周りの人を守る意味でもインフルエンザと同様、手洗いやマスクなど対策に努めてほしい」と話しています。
青森県は8日、「新型インフルエンザ対策推進本部」(本部長・三村知事)の会議を開き、新型インフルエンザが発生した場合の行政や医療機関などの対応をまとめた行動計画を正式決定した。
行動計画では、「国内発生早期」や「国内感染期」などの5段階に区分し、対策を講じるとした。「国内発生早期」では、知事が外出自粛の要請を行うことや、不特定多数の人が集まる施設の使用制限を要請するなどし、被害拡大の防止を図ることを盛り込んだ。
三村知事は会議で「新型インフルエンザの対策は何よりも県民の生命を守ることを第一に考え、油断なく準備を進めることが重要だ」と強調した。
政府は6日、一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売を来春から原則解禁する法改正を行うことを踏まえ、無届けのネット販売業者や、偽造医薬品の販売サイトの監視態勢を強化する方針を固めた。
これまで厚生労働省の担当職員が行っていた販売サイトの監視を民間業者に委託し、問題のあるサイトの発掘に集中的に取り組んでもらう。省令を改正し、市販薬を扱うすべてのネット販売業者には都道府県への届け出を義務づけ、問題のある業者への指導も行う。
厚生労働省は「ネット販売は対面販売より安全性に問題がある」との立場で、安全対策を充実させる必要があると判断している。
これに関連し、市販薬のネット販売の全面解禁を求めてきた楽天の三木谷浩史会長兼社長は6日、東京都内で記者会見し、政府が「劇薬」5品目の販売を禁止し たことなどについて、「ネット販売を規制する科学的根拠はなく、時代錯誤も甚だしい。(首相には)期待していたが、立法化されるなら司法の場で争う」と述 べ、新ルールが法制化される場合、政府の産業競争力会議の民間議員を辞任するほか、裁判で争う考えを表明した。