2013年11月

「混合診療」規制改革会議で厚生労働省が反論

医療保険が使える診療と、使えない自由診療を組み合わせる「混合診療」について、政府の規制改革会議は28日、公開討論を行った。大幅拡大を求める会議側 に対し、厚生労働省は「医療は安全性が確認された保険診療が基本」と反論。だれもが必要な医療を受けられる「国民皆保険」をめぐる考え方の違いが浮き彫り になった。

 公的な医療保険では混合診療は原則として認められず、自由診療と併用した患者は、保険適用部分も含めて費用を全額負担しなければならない。ただ、一部の先進医療で、将来保険診療に移行することを前提に混合診療を認める「保険外併用療養制度」がある。

 討論会では規制改革会議の民間委員から、「患者に最適と考えられる治療が制約されている」といった批判が相次いだ。厚労省幹部は「国民が一定の負担で必要な医療を受けられるのが皆保険の本質」として、混合診療の全面解禁に反対する立場を改めて強調した。

HIV感染者の血液を2人に輸血、感染


 エイズウイルス(HIV)に感染した男性が献血した血液が、患者2人に輸血されていたことが26日、分かった。感染初期だったために検査をすり抜けたと みられ、男性も献血前の問診でHIV感染の危険がある性的行為について事実と異なる申告をしていた。厚生労働省と日本赤十字社は、患者が感染していないか 調べている。

 2004年に検査を強化して以降、感染者の血液の使用が判明したのは初めて。田村憲久厚労相は26日の閣議後の記者会見で 「遺憾だ。感染の初期は検査で分からないので、正直に申告してもらうことを徹底したい」と述べた。厚労省は検査目的の献血はせず、保健所などの無料検査を 受けるよう呼びかけている。

 同省によると、男性が今月献血した血液でHIVを検出。このため同じ男性が今年2月に献血し、日赤が保管していた血液を詳しく調べたところ、HIVが検出された。この血液は患者2人に輸血されていた。

 献血された血液のHIV検査は、感染直後などウイルス量が少ない時期は検出できないことがある。このため問診で直近の性的行為などを確認し補っている。今後、20人分まとめて検査しているのを個別にするなど態勢強化も検討する。

 献血を通じてHIVに感染した事例は2003年にも発生。検査が強化された経緯がある。

医療費助成制度見直し、1か月の負担限度額を最大2万円程度に

 厚生労働省は、難病患者の医療費助成制度見直しに関し、患者の1か月の負担限度額を最大2万円程度とする方針を固めた。

 10月末にまとめた素案で最大4万円超とした限度額を引き下げ、患者の経済的負担を軽くするものだ。同省は2015年1月からの新制度実施を目指しており、政府・与党内の調整を経て、14年の通常国会に新法を提出したい考えだ。

  これに関連し、田村厚生労働相は24日、訪問先のソウル市内で記者団に対し、素案で年収に応じ6段階に分けた負担限度額について、「上限は自立支援医療制 度並みにしていくことで最終調整している」と述べた。自立支援医療制度は、障害者の1か月の医療費負担限度額を2500~2万円(生活保護世帯は免除)と 定めている。田村氏の発言は、これと同様に、難病患者の医療費の負担限度額も最大2万円程度としたい意向を示したものだ。

日中韓の保健担当相会合

日中韓の保健担当相会合が24日、ソウルで開かれ、田村憲久厚生労働相が出席した。新しいタイプの感染症が発生した場合、患者やワクチン開発の状況などの 情報を共有し連携することで合意、共同声明を採択し、覚書に署名した。これまで新型インフルエンザへの対応で協力を進めてきたが、対象を広げる。

  想定するのは、昨年から中東などで発生し、約70人の死者が出ている中東呼吸器症候群(MERS)のような新興の感染症など。具体策として、患者の状況や 治療方法などの情報交換▽連絡を取り合うための体制整備▽流行を想定した訓練などを柱とする共同行動計画もまとめた。田村厚労相は共同会見で「(感染症へ の)備えをより強固なものにしたい」と述べた。日本と中国、韓国との外交関係が冷え込んでいることについて会見後、「こういうところで信頼関係を結んでい くことは大変重要であろうと思う」と記者団に話した。

 日中韓の保健相会合は2007年に新型インフルエンザ対応のために始まった。尖閣諸島をめぐる問題で日中間の対立が激しくなった昨年は、中国から欠席連絡があり、開催を見送っていた。

救急医療体制に危機感

 2018年度中に予定されている岩手医科大学付属病院(盛岡市内丸)の矢巾町移転に伴い、医療関係者が今後の市内の救急医療体制に危機感を募らせている。

  同病院が受け入れている救急患者が、他の病院に集中し、十分な診療ができなくなる恐れがあるためだ。和田利彦・盛岡市医師会長は21日、谷藤裕明市長に体 制維持の協力を求める提言書を手渡し、同市内丸に新たな夜間・休日の救急患者受け入れ拠点の設置を検討する考えを明らかにした。

 和田会長はこの日、谷藤市長に「何も手を打たずに5年後を迎えると、市内の救急体制が壊れてしまう」と述べ、今後の市内の救急医療体制について危機感をあらわにした。

 救急医療は、比較的軽症の「1次(初期)救急」、手術や入院が必要な「2次」、命に関わる重篤な「3次」に分かれる。

 盛岡市、八幡平市、葛巻町、矢巾町、紫波町など計8市町村で構成される「盛岡地区2次救急医療圏」では、岩手医大付属病院、県立中央病院、盛岡赤十字病院などの12病院が輪番態勢で夜間や休日の救急患者を受け入れている。

  市医師会によると、12病院が昨年受け入れた2次救急患者は6万2061人で、岩手医大付属病院が37・2%にあたる2万3092人を占めている。この8 割以上が盛岡市以北の患者で、同病院が約10キロ南の矢巾町に移転した場合、多くは矢巾町の新病院に向かわず、市内の別の病院、特に県立中央病院に集中す ることが懸念されるという。

 同大では病院移転後、同市内丸の付属循環器医療センターなどの建物を「内丸メディカルセンター」とし、外来診 療にあたる方針だが、市医師会は、夜間や休日、同センターに医師を派遣し、1次、2次救急に対応できないか検討する考え。同会や岩手医大などの関係者でつ くる盛岡地区二次救急医療対策委員会で議論するという。

診療報酬のの引き上げをめざす考えを示す、厚生労働相

政府が12月に決める診療報酬の改定率をめぐり、田村憲久厚生労働相は22日、薬価部分を除いた「本体部分」の引き上げをめざす考えを示した。民放のテレ ビ番組で「診療報酬を一定程度上げないといけない」と強調。その後、記者団に「薬価は下がるので、ちゃんと本体に乗せないといけない」と述べた。

  診療報酬は、医師の技術料などに当たる本体部分と薬価部分に分かれる。田村氏は来年4月の改定で、医薬品の実勢価格に合わせて薬価が下がる分を、本体部分 の財源に充てたい考え。ただ財務省や経済財政諮問会議の民間議員は、このやり方を批判し、本体部分の引き上げに反対している。

IT企業など目を酷使する人向けの眼鏡「ウインクグラス2013」

パソコン画面などを見て作業をしていると、10秒に1回、0・2秒だけレンズが曇ってまばたきを促す――。IT企業などで目を酷使する人向けの眼鏡を、福井市今市町の「増永眼鏡」が開発した。眼科医からも「ドライアイの緩和に役立つかも」と注目されている。

 製品名は「ウインクグラス2013」。見た目はおしゃれな黒縁フレームだが、左側面のテンプル(腕)にボタン型電池が入っている。右側面のスイッチを押すと自動的に10秒に1回、0・2秒だけ通電が止まり、レンズ表面の液晶シートが一瞬曇る。

 パソコンや携帯電話などの画面を長時間見ていると、まばたきの回数が減ってドライアイになりやすい。レンズが曇ると反射的にまばたきをするため、目の乾きを防ぐことができる。曇る時間を0・1秒にも調整できる。

県立病院の「災害病棟」機能

 徳島県は、津波被害に備え、高台へ移転する牟岐町の県立海部病院の基本設計を発表した。

 110人以上の患者を受け入れられる「災害病棟」や、2か所のヘリポートを備え、県南部の医療拠点として、災害時にも機能する病院を目指す。

 移転先は現在地(牟岐町中村)の約500メートル西の海抜15・6メートルの高台で、県の津波浸水予測でも、浸水の恐れはないとされる。敷地面積は約9000平方メートルで、鉄筋6階建ての免震構造。延べ面積は現在の約2倍の1万550平方メートルになる。

  4、5階に設ける病床数は、現在と同規模の110床で、1床あたりの面積は約1・5倍に増える。災害時には入院患者を5階に集め、「災害病棟」と位置づけ る4階で110人以上の負傷者を受け入れる。4階には、非常用電源が使えるコンセントなどを備えた集中治療室も設置する。

 また、屋上には、県のドクターヘリ用のヘリポートを整備。立体駐車場の最上階にも海上保安部や自衛隊などの大型ヘリが離着陸できるヘリポートを備える。自家発電用の燃料や、飲料水も7日分、備蓄する予定。

iPS細胞治療を規制する再生医療安全性確保

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)など細胞を使った治療を規制する再生医療安全性確保法と、細胞シートなどの再生医療製品や医療機器の承認手続きを簡素化 する改正薬事法が20日、参院本会議で可決、成立した。安倍政権は医療分野を成長戦略の柱に掲げており、規制を整えることで、より早く安全な治療を受けら れるようにする。

 公布から1年以内に施行、薬事法は改称し「医薬品医療機器法」になる。今国会には市販薬のインターネット販売を解禁する薬事法改正案も別に提出されており、同日、衆院厚生労働委員会で審議が始まった。

  これまで再生医療や細胞治療の法規制はなく、効果や安全性が不明な治療が広がっていることが問題視されてきた。再生医療法では、すべての再生医療に国への 計画提出や安全性などの事前審査を義務づけ、監視できるようにする。iPS細胞などリスクが高い治療は国も直接確認する。

 改正薬事法では、一定の安全性を確認した再生医療製品の条件付き承認や、薬の副作用を記した添付文書の国への届け出義務づけなどが盛り込まれた。両法案は5月に国会に提出、継続審議になっていた。

働く女性をターゲットにした女性専用 のおひるねカフェ、10分150円

心地よいアロマオイルの香りに包まれ、ちょっと眠りませんか――。本の街・東京都千代田区神田神保町2丁目に19日、働く女性をターゲットにした女性専用 の「おひるねカフェcorne(コロネ)」がオープンする。店には、睡眠関連の企業が協賛し「睡眠ビジネス」のショールームの要素も兼ねるという。

 多くの出版社がある神保町。新店舗は編集者など忙しく働く女性を狙い、仕事の合間の利用を見込む。

  料金は10分150円。仮眠室に入ると、さわやかな香りが漂う中、天井からつるされた白いレースのカーテンで囲まれたベッド八つが並ぶ。照明は落とされ、 枕も硬さや高さが違う14種類から選べる。「ちょっと一休み」するため、カフェも併設。営業時間は午前8時から午後6時で、出社前に一休みし、朝食をとる こともできる。

風疹予防ワクチン、4~8割で十分に抵抗力がついていない恐れ

昨年から流行が続く風疹予防のワクチンを接種しても、4~8割で十分に抵抗力がついていない恐れがあるとの調査結果を、国内二つの不妊治療クリニックがまとめた。

 16日、神戸市で開かれる日本生殖医学会で発表する。妊娠前の女性はワクチン接種で抵抗力をつけることが推奨されており、今後、さらなる検証が必要になりそうだ。

 調査は高崎ARTクリニック(群馬県)、岡山二人(ふたり)クリニック(岡山県)が実施。ウイルスへの抵抗力を示す血中物質の量の指標(抗体価)が、日本産科婦人科学会が定める基準値以下の女性受診者を対象にワクチンを接種してもらい、4~8週間後の変化を調べた。

2011年度に使われた医療費、1人あたり30万1900円

2011年度に使われた医療費(確定値)は、前年度より3・1%多い38兆5850億円だった。5年連続で増え、過去最多を更新した。1人あたりの額も 30万1900円と、初めて30万円を超えた。厚生労働省が14日に公表した。医療費が速いペースで膨らんでいることを示すデータで、医療の公定価格であ る診療報酬の見直し論議にも影響しそうだ。

 発表されたのは「国民医療費」。公的な医療保険が使われた費用の総額に当たる。保険外の自由診療分などは含まない。全体の5割弱が保険料、4割弱が税金、残り1割余りが患者負担でまかなわれている。

武田薬品工業の新しい肥満症治療薬、薬価を決める判断を持ち越し

 武田薬品工業が製造販売の承認を受けた新しい肥満症治療薬に対し、中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関、中医協)は13日、「効果や必要性が乏しい」などとし、薬価を決める判断を持ち越した。

 1回で結論が出ず、薬の効果を巡り、中医協の議論が継続されるのは極めて異例。

  この薬は「セチリスタット」(商品名オブリーン)。武田薬品によると体内で脂肪を分解する酵素が働かないようにし、脂肪の吸収を抑えて体重を減らす効果が ある。肥満で、糖尿病と脂質異常症の人に適用される。約200人を対象に1年間行った試験では、体重減少の効果が2%程度だった。今年9月、厚労省から製 造販売承認を取得した。

 製造販売が認められた薬は、中医協で薬価を決めるかどうか議論し、承認されれば保険適用される。しかし、13日の 中医協では、「体重100キロ・グラムの人なら2キロしか減らない。必要ない」「(関連学会は『病気』としているが)そもそも肥満症は病気なのか」などの 意見が相次いだ。

楽天の子会社、医療用医薬品のネット販売の権利を国に求め東京地裁に提訴

 安倍内閣は12日、市販薬(一般用医薬品)のインターネット販売のルールなどを盛り込んだ薬事法改正案を持ち回り閣議で決定し、国会に提出した。市販薬 の99・8%の品目のネット販売を解禁▽劇薬5品目は禁止▽医療用から切り替わった直後の薬は市販後3年間は原則ネット販売を認めない――との内容。6日 に関係閣僚が合意し、12日の自民党総務会で了承された。

 一方、楽天の子会社「ケンコーコム」(東京都港区)は12日、医師の処方箋 (せん)が必要な医療用医薬品について、ネットで販売できる権利の確認を国に求める訴えを東京地裁に起こしたと発表した。後藤玄利社長は同日の記者会見 で、同法案が医療用医薬品のネット販売も禁じることを「ルールづくりの議論がないままだ」と批判。同社は2009年、市販薬のネット販売を禁じた厚生労働 省令の有効性を争い国を訴え、今年1月の最高裁判決で勝訴している。

 菅義偉官房長官は同日の会見で「国としては法律に基づいて対応する。裁判の中で争われると思う」と述べ、争う姿勢を示した。

陸上自衛隊の医療チームがフィリピン中部に向けて出発


 フィリピン中部の台風被害を受けて、愛知県内からも13日、病院看護師長や陸上自衛隊の医療チームが同国に向けて相次いで出発した。

 名古屋市昭和区の名古屋第二赤十字病院では、関塚美穂看護師長を現地に派遣することを決め、同病院で出発式を行った。

  日本赤十字社は、全国の医師や看護師らによる本格的な支援を前に、現地調査を行う先遣隊のメンバー(5人)として関塚さんを選んだ。2010年のハイチ大 地震の際に、保健要員として参加するなど実績が評価され、抜てきされたという。関塚さんは成田空港からフィリピンに向かい、約6週間にわたり、本格支援を 行うための場所の選定などを行う。

 この日の出発式で、関塚さんは「たくさんの被災者が出ている中で、より効率的な支援が出来るように視察していきたい」と話した。

 航空自衛隊小牧基地(小牧市)では、陸上自衛隊の医療チーム10人が、同基地所属の空中給油・輸送機(KC767)でマニラ空港に向けて飛び立った。成田から出発した37人の本隊と現地で合流し、被災地での医療活動にあたる。

 派遣されたのは医師や看護師、薬剤師の資格を持つ男性7人と女性3人の隊員。輸送機には応急措置用の医療資機材など約1トンも積み込まれた。

RSウイルス流行

乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症の患者が全国で増えていて、これから年末にかけて流行のピークを迎えるとみられることから、国立感染症研究所は手洗いなど対策の徹底を呼びかけています。

RSウイルス感染症は、発熱やせきなど、かぜに似た症状が出る病気で、秋から冬にかけて乳幼児を中心に流行し、初めての感染では肺炎や脳炎を引き起こして重症化することがあります。
国 立感染症研究所によりますと、今月3日までの1週間に、全国およそ3000の小児科の医療機関で新たにRSウイルス感染症と診断された患者は4195人 で、前の週から490人余り増えました。都道府県別では、最も多いのが大阪府で323人、次いで東京都が291人、兵庫県が224人、埼玉県が210人な どとなっていて、都市部を中心に感染が広がっています。
RSウイルス感染症の流行は例年、12月ごろにピークを迎えることから、患者数は今後さらに増えるとみられています。
国立感染症研究所の木村博一室長は「乳幼児以外でも、ぜんそくの持病がある高齢者などは重症化するおそれがある。自分だけでなく周りの人を守る意味でもインフルエンザと同様、手洗いやマスクなど対策に努めてほしい」と話しています。

新型インフルエンザ発生時、人が集まる施設の使用制限を要請

 青森県は8日、「新型インフルエンザ対策推進本部」(本部長・三村知事)の会議を開き、新型インフルエンザが発生した場合の行政や医療機関などの対応をまとめた行動計画を正式決定した。

 行動計画では、「国内発生早期」や「国内感染期」などの5段階に区分し、対策を講じるとした。「国内発生早期」では、知事が外出自粛の要請を行うことや、不特定多数の人が集まる施設の使用制限を要請するなどし、被害拡大の防止を図ることを盛り込んだ。

 三村知事は会議で「新型インフルエンザの対策は何よりも県民の生命を守ることを第一に考え、油断なく準備を進めることが重要だ」と強調した。

トランス脂肪酸の使用を全面的に禁止する方針/アメリカ

米食品医薬品局(FDA)は7日、ファストフードやお菓子などに多く含まれ、とりすぎると動脈硬化などの原因になるとされるトランス脂肪酸の使用を全面的に禁止する方針を固めた。今後60日間で国民から意見を募り、開始時期などを含めた規制の詳細を決める。

 トランス脂肪酸は、植物油を加工してつくるマーガリンや、お菓子や揚げ物油として使われるショートニングに多く含まれる。米国では2006年から、加工食品に含有量の表示が義務づけられており、ニューヨーク市など一部自治体では、独自に使用を規制してきた。

薬のネット販売、監視態勢を強化する方針

 政府は6日、一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売を来春から原則解禁する法改正を行うことを踏まえ、無届けのネット販売業者や、偽造医薬品の販売サイトの監視態勢を強化する方針を固めた。

 これまで厚生労働省の担当職員が行っていた販売サイトの監視を民間業者に委託し、問題のあるサイトの発掘に集中的に取り組んでもらう。省令を改正し、市販薬を扱うすべてのネット販売業者には都道府県への届け出を義務づけ、問題のある業者への指導も行う。

 厚生労働省は「ネット販売は対面販売より安全性に問題がある」との立場で、安全対策を充実させる必要があると判断している。

  これに関連し、市販薬のネット販売の全面解禁を求めてきた楽天の三木谷浩史会長兼社長は6日、東京都内で記者会見し、政府が「劇薬」5品目の販売を禁止し たことなどについて、「ネット販売を規制する科学的根拠はなく、時代錯誤も甚だしい。(首相には)期待していたが、立法化されるなら司法の場で争う」と述 べ、新ルールが法制化される場合、政府の産業競争力会議の民間議員を辞任するほか、裁判で争う考えを表明した。

23品目は3年かけて安全性を確認、市販薬ネット販売

政府は6日、市販薬(一般用医薬品)の99・8%の品目のインターネット販売を解禁する一方、安全性に懸念がある28品目は販売を禁止したり、制限したり する方針を発表した。ネット販売の全面解禁を求めてきた楽天の三木谷浩史会長兼社長はこれを不服とし、政府の産業競争力会議の議員を辞める考えを表明し た。
約1万1千品目ある市販薬のほとんどはネット販売を認め るが、エフゲン(殺菌消毒薬)など劇薬5品目は禁止、リアップX5(発毛剤)など市販後間もない23品目は、原則3年間かけて安全性を確認できればネット 販売を認める。政府は今国会に薬事法改正案を提出し、来春から新たなルールにしたい考えだ。

 薬のネット販売をめぐる楽天と厚生労働省の 争いは根深い。楽天の子会社はネット販売禁止の厚労省令は違法だと訴えて最高裁で勝訴。これを受けた新たなルールづくりでも、全面解禁を求める楽天側と、 安全上、制限をかけたい厚労省が譲らず、最後は菅義偉官房長官らが仲裁に入った。
記事検索
最新記事
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ