2014年02月

子どもの気管支ぜんそくの吸入ステロイド薬に注意喚起

日本小児アレルギー学会は、子どもの気管支ぜんそくの治療で広く使われている吸入ステロイド薬を、より慎重に使うよう注意喚起する声明を出した。副作用で 子どもの身長の伸びを抑える可能性が、海外で報告されたためだ。ただ、治療の効果は大きいため、病状をこまめに調べて、使うのは必要最少量にすることを求 めている。

 15歳以下の小児ぜんそくは、20人に1人程度いるとされている。発症するのは0~1歳の乳幼児が多い。ダニなどへのアレルギー反応で気管支に炎症が起こるのが原因だ。発作が治まった後も炎症が続くため、発作の防止には治療を長期間続ける必要がある。

  よく使われるのが吸入タイプのステロイド薬。しかし、子どもの身長の伸びが抑制され、その影響は成人した後も続くという報告が、3年ほど前から米国で相次 いだ。患者約950人の調査では、5~13歳から吸入ステロイド治療を4~6年間受けた患者は、この薬を使わなかった患者と比べて、成人後の身長が平均 1・2センチ低かったという。

 こうした報告を踏まえ、同学会は25日に見解を示した。見解では、身長の伸びに最も影響を受けやすいとさ れる乳幼児は、軽症ならばステロイド以外の薬を最初に使うと指摘。のどが週1回以上ゼーゼーするなど中等症以上の場合は、年齢にかかわらず吸入ステロイド を最初に使うことが適切とした。体格に応じた使用量の基準がないため、少量から始めて効果を見極めていくことを勧めている。

 ステロイド の大量使用には、骨の成長を阻害するなどの副作用があることはわかっていた。これまでは、吸入タイプは気道や肺など限られた部分にしか薬が届かないことな どから、副作用は少ないと考えられてきた。また、身長の伸びが一時的に抑えられても、成人になれば差はなくなると考えられてきた。

カネミ油症 控訴を棄却

 国内最大の食品公害のカネミ油症をめぐり、新認定患者らがカネミ倉庫(北九州市)などに1人当たり1100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、福岡高裁(古賀寛裁判長)は24日、原告の請求を棄却した一審判決を支持し、控訴を棄却した。原告は上告する方針。

 原告は、長崎や福岡、広島各県などの患者や遺族ら57人。認定前の治療費などを求めていた。

 裁判では、20年が過ぎると損害賠償を求める権利が消える「除斥期間」の起算点をいつと考えるかが争点だった。

  一審・福岡地裁小倉支部判決は、患者の健康被害は、カネミ倉庫側に過失があると認めた上で「患者のほとんどは、カネミ油を口にしてから数カ月後の1968 年に発症している。除斥期間の起算点は最後に摂取した時期で、遅くとも69年末」と判断。20年後の89年末には、損害賠償の請求権は消滅したと結論づ け、原告側の訴えを退けた。

 原告側は「起算点は、カネミ油症と認定された時とすべきだ」と主張。原告の大半が、認定基準が緩和された2004年以降に認定されており、請求権は消滅していないと訴え、一審判決について「事実誤認がある」としていた。

インフルエンザ患者が急増している

インフルエンザ患者が急増しているとして、県は20日、この冬初めて県内全域に警報を出した。今月10~16日の1週間の患者数が、仙南(大河原町)と若 林(仙台市若林区)の2保健所管内で基準(1医療機関あたり30人)を超えた。県全域でも同24・78人で、注意報を出した先月13~19日の週の4倍を 超えている。

鹿屋体育大のスポーツサプリ

鹿屋体育大と地元鹿屋市の企業が協力して、スポーツ選手向けの栄養補助食品を開発した。鹿屋特産のサツマイモなどを原料に使い、同大の駅伝選手らも効果の検証に協力した。開発チームは「スタミナアップにどうぞ」と市民ランナーらにアピールする。

 栄養補助食品「スポーツハイブリッドサプリ」は17日、鹿屋体育大でお披露目された。市内産のサツマイモ「すいおう」の葉や茎と、キノコの一種である「冬虫夏草(とうちゅうかそう)」を粉状にしてカプセルに収めたものだ。

 茎や葉も食べられる「すいおう」はビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富。「冬虫夏草」は疲労をとるアミノ酸が豊富で、かつて陸上中長距離界を席巻した中国の「馬軍団」が愛用したことで知られる。

うつ病啓発CM、啓発活動や論文の中立性に疑問

うつ病啓発キャンペーンに批判が相次いだ問題で、製薬会社2社が「うつの痛み」の根拠とした論文は、この2社が広報用に行ったインターネット調査の データを医師に提供したもので、論文をキャンペーンの権威づけに利用していたことが、読売新聞の取材で分かった。啓発活動や論文の中立性に疑問が投げかけ られている。

 この論文は、高知大精神科の准教授ら3人が、米国精神病理学会の学術誌に投稿し、2012年に掲載された。うつ病患者663 人と医師456人を対象としたインターネット調査を分析したもので、「患者の68・6%が、体の痛みがうつ病の回復を妨げると感じている」などとした。

 塩野義製薬と日本イーライリリーは、この論文を根拠に昨秋からテレビCMなどを展開。国際的な診断基準では、うつ病の主症状ではない頭痛や肩の痛みを、主症状であるかのように訴え、受診を呼びかけた。

 ところがこの調査は、両社が作ったPR組織「『うつの痛み』情報センター」が10年に日本で行ったものだった。准教授は監修を務めた。論文中には、塩野義製薬から編集協力を得たとあるが、両社の調査を利用したという記載はない。

 フジ虎ノ門健康増進センターの斉尾武郎センター長(精神科医)は「調査を行った製薬会社が、第三者の学術論文の形にして、自らのキャンペーンの権威づけに利用する自作自演のような手法は大きな問題だ」と指摘する。

 准教授は「独自調査は時間がかかるため、メーカーの調査を活用した。資金提供は受けていない。調査では私の質問も入れ、論文では独自解析を行っているので問題ない」とする。

 塩野義製薬広報部は「(キャンペーンの手法は)通常行われている方法の範囲内と考えている。テレビCMは終了し再開予定はないが、ネットでは活動を継続する」としている。

水俣病の患者認定、熊本県が認定審査を国に返上

水俣病の患者認定をめぐり、熊本県が認定審査を国に返上する意向を伝えている問題で、環境省は国が審査を代行するため、臨時水俣病認定審査会(臨水審)を設置する方針を固めた。北川知克環境副大臣が19日夕、熊本県庁で蒲島郁夫知事と面会して正式に伝える。

  患者認定の枠を拡大するよう求めた昨年4月の最高裁判決を受け、新たに定める指針に基づき、国が自ら審査を行うことになる。その結果、どこまで枠が広がる かが今後の焦点。臨水審の審査には申請者の希望や同意が必要。県の審査と異なり、行政不服審査の請求ができないこともあり、応じる人がいるかは不透明だ。

 認定業務は現在、国からの法定受託事務として県が実施している。ただ、過去に急増した認定申請に対応するためにできた臨時措置法に基づき、国が臨水審を設置し、認定審査を行うことができる。

  認定をめぐっては、最高裁判決が昨年4月、熊本県が認定申請を棄却した女性(故人)を水俣病患者と認めた。10月には県が認定申請を棄却した同県水俣市の 男性に対し、国の公害健康被害補償不服審査会が「認定相当」との逆転裁決を出した。蒲島知事は男性に謝罪して患者認定したが、環境省は「参考事例として受 け止める」とする見解を出したため、蒲島知事は昨年12月、「国の基準に沿って認定審査をしても、今後も不服審査会で覆される恐れがある」などとして、認 定業務を国に返上すると宣言していた。

予防医科学研究所

長崎大は、遺伝子解析などによる疾病予防の調査研究を行う「予防医科学研究所」を長崎県五島市の市福江総合福祉保健センターに設置した。

 同大は2016年に千葉大、金沢大と共同で予防医学研究のための大学院を開設する予定で、研究所は大学院生の教育拠点としても活用していく予定。

  長崎大は04年に診療支援などを目的に県五島中央病院(五島市)内に離島医療研究所を開設。予防医科学研究所は、離島医療研究所と連携し、同市などの協力 を得ながら、生活習慣の改善や疾病の早期発見などのための研究を進める。さらに、遺伝子が持つ発病リスクの研究も行い、発病回避につなげることを目指す。

原発事故の健康影響、冊子を作り相談員配置などの支援

 東京電力福島第一原発事故の被曝(ひばく)による健康影響について、住民の理解につながる情報を積極的に提供するための施策を復興庁が18日、発表し た。放射線リスクに関する基本的情報を集めた冊子を初めて作り、放射線の専門家の育成や住民向け相談員の配置などの支援もする。

 昨年12月に決めた福島復興の新指針で、原発事故の避難者全員の帰還を断念した政府の方針転換に伴う具体的な施策の一つだ。

  国は今春以降、約3万8千人が避難を余儀なくされている福島の6市町村で避難指示解除を提案する予定だ。住民意向調査では放射線リスクへの不安などから、 「帰らない」「判断できない」といった回答が多数を占めている。このため、国が率先して情報を発信し、不安を和らげる必要があると判断した。2014年度 予算案に数十億円を計上している

http://apital.asahi.com/article/news/2014021800014.html

人のiPS細胞から止血効果のある血小板を大量に作製する方法の開発に成功/京都大

 京都大iPS細胞研究所の江藤浩之教授らは、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から止血効果のある血小板を大量に作製する方法の開発に成功したと発表した。

 藤教授はこの方法で、慢性的に血小板が少ない「血小板減少症」の患者に輸血する臨床研究に、来年から着手する計画を明らかにした。

 血小板減少症は、血管の傷をふさぐ血小板が、遺伝や、抗がん剤の副作用などのために減少、出血が止まらなかったり、青あざができやすくなったりする。国内で推定約2万人が難病に認定されている。輸血用の血小板は保存期間が短く、慢性的に不足している。

  この方法は、iPS細胞から血小板の元になる細胞を作り、特殊な薬剤を加えて大量培養し冷凍保存する。輸血の5日前に解凍し、薬剤を除いて成熟させると、 十分な量の血小板ができる。論文は14日、米科学誌セル・ステム・セル(電子版)に発表される。臨床研究では患者本人のiPS細胞を用いて、安全性などを 確かめる。これと並行し、江藤教授らが設立したベンチャー企業「メガカリオン」(本社・東京)が、血小板作製の専用施設を京大内に作り、16年から日米で 治験を始める予定だ。

アルツハイマー病研究データ改ざん 昨年8月に内部告発、事務局が放置 

 アルツハイマー病研究の国家プロジェクト「J―ADNI(アドニ)」のデータ改ざん疑惑問題で、研究チームの検証責任者らが昨年8月時点で事務局に 「データの不自然な修正依頼や介入、改ざんは許されない」と内部告発をしていたことが分かった。今年1月に改ざん疑惑が報道されるまで告発は放置されてい た。

 データ検証の責任者である杉下守弘元東大教授ら3人は臨床研究データが不自然に書き換えられていることに気づき、昨年8月2日に 「臨床・心理合同会議」を開いて対応を協議。「データセンターから改ざん指示が出ていたことが判明した。いくつかの施設から改ざんはおかしいという声も上 がっており、ADNIデータへの不信感がでている」と指摘する文書を作成し、同月9日、J―ADNIの事務局である「バイオテクノロジー開発技術研究組 合」(理事長・内藤晴夫エーザイ社長)の担当部長にメールで送信した。

 組合から何の反応もなかったため、杉下氏は3カ月後の11月18 日、厚生労働省に新たに告発メールを送付した。ところが、厚労省はこのメールを代表研究者の岩坪威東大教授へ転送し、朝日新聞の取材を受ける1月4日まで 調査に動かなかった。杉下氏は「組合がもみ消す疑念が生じたため内密で厚労省に告発したが、それも無視された」とし、今月3日の記者会見で実名告発に踏み 切った。

 同組合は「東大で調査が始まるので取材に応じられない」としている。厚労省は疑惑発覚後、岩坪教授が所属する東大に調査を依頼。東大は今月3日に弁護士ら外部6人、学内4人の計10人の調査委員会を作ったが、委員は公表していない。

研究における不祥事    

備忘


研究における不祥事                       責任者

 2013年7月 ・ノバルティス社のディオバンの臨床研究における論文データ操作    白橋伸雄氏、松原弘明教授、望月正武教授
 2013年7月 ・東大分子細胞生物学研究所での論文改ざん          加藤茂明教授
 2013年5月 ・三重大で脂肪細胞の論文でデータ捏造               青木直人准教授
 2013年3月 ・東北大の金属ガラス研究で論文捏造疑惑             井上明久前総長  
 2012年10月 ・iPS細胞虚偽論文                     森口尚史氏、佐藤千史教授、三原誠助教
 2012年7月 ・京都大薬学研究科で物品納入にからむ収賄事件          辻本豪三教授
 2012年5月 ・東邦大医学部で論文捏造                   藤井善隆准教授
 2012年3月 ・名古屋市立大医学部で論文捏造                 原田直明准教授、岡嶋研二教授
 2012年2月 ・東工大の電池研究でデータ捏造                  中国人研究員
 2012年2月 ・東京医科歯科大で論文データ捏造               川上明夫助教
 2012年1月 ・獨協医大で論文不正                      服部良之教授
 2010年4月 ・東大で盗用論文                       アニリール・セルカン助教

STAP細胞について、山中教授が称賛

大リーグだけじゃなく、サッカーのワールドカップも狙える――。理化学研究所の小保方晴子さん(30)らが作製したSTAP(刺激惹起(じゃっき)性多能 性獲得)細胞について、2012年にノーベル医学生理学賞を受けた京都大iPS細胞研究所の山中伸弥教授(51)が10日、京都市内で記者会見を開き、賛 辞を贈った。

 同じ万能細胞のiPS(人工多能性幹)細胞を先駆けて作製した山中さんは京大でもSTAP細胞をつくる意向を示し、「小保方さんにノウハウを教えていただきたい」と述べた。

  山中さんは今回の成果について「若い日本の研究者からの発信で、本当に誇りに思う」と評価。「iPS細胞と同じ仕組みでできているのかもしれない。研究者 として非常にワクワクする」と話した。iPS細胞で培った経験を理研に提供するなど、最大限協力して研究を進め、「ぜひ一緒に頑張っていきたい」という。

  また、STAP細胞は、体内で臓器を再生するなどiPS細胞には難しいことができる可能性があると指摘。「iPSにとっては大リーグがゴールだが、 STAPはもっとほかの可能性があると思う。必ずしも大リーグを目指すのではなく、サッカーでワールドカップも狙える」と例えた。

 その 一方で「iPS細胞がSTAP細胞に比べてがんになりやすいといった誤解が広まり、心を痛めている」と語った。iPS細胞は発見から8年でつくり方も変わ り、安全性が大きく高まり、人間への臨床試験が可能な一歩手前まできていることを説明。その上でSTAP細胞の安全性評価については「まだこれから」とも 指摘した。

ぜんそく悪化仕組み解明/筑波大

腸内細菌のバランスが崩れてぜんそくが悪化する仕組みを、筑波大学(つくば市)などが動物実験で突き止めた。善玉菌が減り悪玉菌が増えることが症状悪化の原因とわかり、人のぜんそく治療への応用が期待される。

 人の腸内には500種類以上の細菌がいて、病原体の感染予防や栄養吸収などを行っている。こうした腸内細菌のバランスが崩れるとぜんそくやアトピー性皮膚炎を引き起こすが、その仕組みは謎だった。

  同大の渋谷彰教授(免疫学)らは、マウスに5種類の抗生物質をそれぞれ与えた上でぜんそくの原因物質を吸入させ、症状を比べた。症状のひどいマウスは、カ ビの一種「カンジダ」が異常に増える一方、乳酸菌などの善玉菌が減っていた。カンジダがつくる生理活性物質が血液や肺に広がりぜんそくを悪化させていた。

阪神のチーム内で、インフルエンザが流行

阪神のチーム内で、インフルエンザが流行している。DeNAから新加入した鶴岡は6日にかかったことが判明し、7日の全体練習を休んだ。5日に主将の鳥谷 と、昨季正捕手だった藤井が感染して離脱したばかり。相次ぐ主力級の離脱に、球団は急きょ、選手らが集まる場所に新しい空気清浄機を設置した。また、選手 らには改めてうがいや手洗いの徹底を呼びかけたという。7日は西岡も体調不良で練習を休んだが、インフルエンザ検査では陰性だった。

インフルエンザの抗ウイルス薬「タミフル」どに耐性ウイルス、5道府県で発見

国立感染症研究所は3日、インフルエンザの抗ウイルス薬である「タミフル」や「ラピアクタ」の効きにくい耐性ウイルスが2013年11月以降に5道府県で見つかったと発表した。

 札幌市で相次いでいたが、北海道以外にも広がっていることがわかった。

  感染研は、全国約500の医療機関で見つかったウイルスの特性を分析。2月2日までに、北海道で15人、山形と神奈川、三重の各県で2人ずつ、大阪府で1 人と、計22人から耐性ウイルスが検出された。09年に流行したH1N1型と同じ型で、遺伝子の配列はほぼ同じだった。

 感染研は「まずはワクチンを接種してほしい。医師は流行しているウイルスのタイプを見ながら、薬の処方を適切に判断してほしい」としている。

花粉が目に入るのを防ぐ眼鏡、切り傷を負う危険

花粉が目に入るのを防ぐ眼鏡をかけた子どもが、ぶつかったり転んだりして目のまわりにけがをすることがあると国民生活センターが6日発表し、注意を呼びか けた。フレームが水中眼鏡のように顔の近くまで張り出しているためで、これで切り傷を負うことがあるという。「激しい運動をする時は、花粉防御用の眼鏡は 外しましょう」と呼びかけている。

 同センターなどには「体育の授業中に他の子とぶつかり、眼鏡の縁で左目の上を切った」といった子ども のけがの事例が、2010年から昨年12月末までに7件寄せられているという。フレームの張り出し部分によって通常の眼鏡と視界が変わり、まわりが見えに くくなることもあるという。

 同センターは昨年8月、事業者に改善を要望した。張り出し部分の材質を軟らかいものにしたり、スポーツの際は使用しないよう注意書きを加えたりした事業者もいるという。

インフルエンザ、耐性ウイルスが5道府県で発見

 国立感染症研究所は3日、インフルエンザの抗ウイルス薬である「タミフル」や「ラピアクタ」の効きにくい耐性ウイルスが2013年11月以降に5道府県で見つかったと発表した。

 札幌市で相次いでいたが、北海道以外にも広がっていることがわかった。

  感染研は、全国約500の医療機関で見つかったウイルスの特性を分析。2月2日までに、北海道で15人、山形と神奈川、三重の各県で2人ずつ、大阪府で1 人と、計22人から耐性ウイルスが検出された。09年に流行したH1N1型と同じ型で、遺伝子の配列はほぼ同じだった。

 感染研は「まずはワクチンを接種してほしい。医師は流行しているウイルスのタイプを見ながら、薬の処方を適切に判断してほしい」としている。

中国での鳥インフルエンザ 昨春以降の感染者は計310人。うち死亡者は81人

中国での鳥インフルエンザ(H7N9)の流行が拡大している。今年に入ってから5日までの感染者が香港も含め161人となり、約1カ月で昨年1年分を超えた。別の鳥インフルによる死亡者も報告されており、多種類の鳥インフルが人に被害を与えている。

 浙江省や広東省などは5日、H7N9型ウイルスへの感染者を新たに9人、公表した。5~67歳までの男女で、多くは重症だ。

  昨春以降の感染者は計310人。うち死亡者は81人に達した。H7N9型への感染は昨夏いったん収まったが、今年に入り流行の第2波がやってきた。東北大 の押谷仁教授(微生物学)は「インフルエンザの季節はまだ当分続く。昨年の最初の感染者が2月中旬に発症したことを考えても、第2波は、第1波よりは大き くなる」とみる。

薬局で妊娠しやすい排卵日を予測する排卵日検査薬

 政府は30日、妊娠しやすい排卵日を予測する排卵日検査薬について、医師の診療と処方箋がなくても薬局で買えるように規制緩和する方針を固めた。

 厚生労働省が検査薬を薬局で販売する際のルールをまとめた上で、2014年度中にも販売できるようになる見通しだ。

  薬局で販売が認められている検査薬は現在、〈1〉妊娠〈2〉尿糖〈3〉尿たんぱく――の3種類のみ。排卵日検査薬の解禁をめぐっては、誤診の恐れがあると して、日本医師会が慎重だったが、30日の規制改革会議の健康・医療ワーキンググループ(作業部会)で、健康診断に代わるものではないとの位置づけで、認 める方針に転じた。

 がんなどの病気の兆しを把握するため尿に血が混じっているかを調べる尿潜血検査薬についても、市販解禁の対象とする見通しだ。

アルツハイマー研究改ざん告発の元東大教授、国に調査要請 

アルツハイマー病研究の国家プロジェクト「J―ADNI(アドニ)」の主要メンバーで研究データの改ざんを内部告発していた杉下守弘・元東大教授が3日、 実名で記者会見した。データを扱ってきた事務局員が疑惑報道後に証拠資料を持ち出したと指摘。全資料を第三者の管理下にただちに移し、国が主体的に調査す るよう求める要請書を研究に予算を出す厚生労働、経済産業、文部科学の3省に送った。

 要請書などによると、杉下氏はデータチェックの責任者の一人。作業中に「データ改ざんというべき極めて不適切な問題」を発見し、昨年11月18日に厚労省に告発メールを送った。ところが厚労省は無断で告発対象の研究チームの責任者に転送し、調査しなかった。

  さらに朝日新聞が1月10日に改ざん疑惑を報道した後、製薬会社から出向している事務局員が研究責任者の指示で杉下氏が保管していた証拠資料を持ち出した と指摘。この職員は不適切なデータ処理に関与した疑いがあり、疑惑がもみ消される恐れがあると判断して実名での告発に踏み切ったという。

  杉下氏は厚労省が研究チーム責任者が所属する東大に調査を任せたことを問題視し、「J―ADNI関係者から完全に独立した第三者」による調査と結果の全面 公開を要請。「多額の国家予算が投じられるプロジェクトということで不当なデータ改ざんの問題に目をつぶれば、J―ADNIの科学的価値は失われ、アルツ ハイマー病患者をはじめ国民に多大な損失をもたらす」と指摘した。

 厚労省は告発メールの漏洩(ろうえい)を謝罪する一方、「告発として 受け止めると厚労省も調査に入らなければいけなくなる」(田村憲久厚労相)として内部告発として受理せず、東大に調査を依頼。2月中に結果の報告を求めて いるが、東大は3日現在、調査委員会を設立していない。
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