15歳以下の小児ぜんそくは、20人に1人程度いるとされている。発症するのは0~1歳の乳幼児が多い。ダニなどへのアレルギー反応で気管支に炎症が起こるのが原因だ。発作が治まった後も炎症が続くため、発作の防止には治療を長期間続ける必要がある。
よく使われるのが吸入タイプのステロイド薬。しかし、子どもの身長の伸びが抑制され、その影響は成人した後も続くという報告が、3年ほど前から米国で相次 いだ。患者約950人の調査では、5~13歳から吸入ステロイド治療を4~6年間受けた患者は、この薬を使わなかった患者と比べて、成人後の身長が平均 1・2センチ低かったという。
こうした報告を踏まえ、同学会は25日に見解を示した。見解では、身長の伸びに最も影響を受けやすいとさ れる乳幼児は、軽症ならばステロイド以外の薬を最初に使うと指摘。のどが週1回以上ゼーゼーするなど中等症以上の場合は、年齢にかかわらず吸入ステロイド を最初に使うことが適切とした。体格に応じた使用量の基準がないため、少量から始めて効果を見極めていくことを勧めている。
ステロイド の大量使用には、骨の成長を阻害するなどの副作用があることはわかっていた。これまでは、吸入タイプは気道や肺など限られた部分にしか薬が届かないことな どから、副作用は少ないと考えられてきた。また、身長の伸びが一時的に抑えられても、成人になれば差はなくなると考えられてきた。