2014年07月

けいれん性発声障害

 声が詰まったり途切れたりしてしまう「けいれん性発声障害」という病気がある。原因不明の神経の病気で、ストレスや緊張のせいと誤解されることも多い。  今月、発声障害の専門外来を開設した福岡山王病院(福岡市早良区)の梅崎俊郎耳鼻咽喉科部長(国際医療福祉大教授)は、「正しく診断されずに『心の病』などとされている現状が、患者をさらに苦しめているという問題がある」と指摘している。  けいれん性発声障害は、原因不明でのどの筋肉に不随意運動が起き、比較的若い女性に発症しやすい。  福岡県の女性(51)は、20年ほど前から会話中に声が詰まって出なくなる症状に悩んできた。先月まで梅崎医師が准教授を務めていた九州大学病院(福岡市東区)耳鼻咽喉科を2008年に受診、「けいれん性発声障害」と診断された。  会話の相手から「えっ」と聞き返される度、「言っていることが伝わっていないのでは」と不安になり、精神的に落ち込んだこともあった。梅崎医師から、のどの緊張を緩める手術を受け、以前よりはいくぶん楽に声が出せるようになったという。

原発事故の後、福島では本当に鼻血を出す人が増えた/岡山大調査

 原発事故の後、福島では本当に鼻血を出す人が増えたのか。  その疑問に答えるため、岡山大学の津田敏秀教授(環境医学)らは福島県双葉町の協力を得て調査。被災地外の地域と比べて鼻血の症状を訴えた住民の割合は高いことが確かめられたという。  調査は、水俣病などの公害被害調査を参考に疫学的手法を採用。2012年11月、全町民を対象に実施した。  双葉町は福島第1原発の立地自治体で、帰還困難区域と避難指示解除準備区域に指定され、被災地でも特に被害が深刻な地域だ。  比較対象に選んだ滋賀県長浜市と比べ、鼻血を発症する確率は双葉町民の方が3・8倍あった。吐き気や疲れやすさなどの率も有意に高かった。  津田教授らは、長期の避難生活だけでなく放射線の影響があるとみており、熊本学園大学の中地重晴教授が調査の中間報告を昨年、学会で発表。健康管理の重要性を訴えた。  郷地所長は今回、これらの症状を医学面から考察。津田教授も「説明に無理がなく、内容に異論はない。鼻血の症状自体を認めない人もいるが、それこそ科学的な根拠がなく、問題だ」と話す。  ただ住民の訴えは「ストレスの影響」などと軽視され、実態調査もほとんどなされてない。津田教授は「大気中の微小粒子状物質『PM2・5』では大騒ぎするのに、調査する権限を持つ自治体の首長も、この問題では事実を調べようとしない。その責任は大きい」と指摘する。

 高齢の糖尿病患者の3割にうつ症状、重いほど合併症も多い

 高齢の糖尿病患者の3割にうつ症状があり、症状が重いほど合併症も多い傾向にあるという調査結果を、東京女子医大糖尿病センターの石沢香野かや助教らがまとめた。

 2012年から、外来の糖尿病患者約1万人を追跡調査。同年にアンケートに答えた65歳以上の高齢患者4365人を分析し、患者の30・6%に当たる1334人にうつ症状があった。

 うつ症状がない人、軽症のうつ、中等度以上のうつと3段階に分け、合併症との関連を調べたところ、うつ症状が重い人ほど、視力低下や神経障害によるしびれ・痛み、自律神経障害が多くなる傾向にあった。また、過去1年間の入院回数も多くなっていた。

  調査責任者の内潟安子・糖尿病センター長によると、老化による身体機能の低下と共に、うつが原因で運動量などが減り、血糖の値が悪くなって合併症を起こす パターンと、合併症の影響や不安からうつ症状が出るパターンの双方向からの影響があるとみられる。内潟センター長は「精神科や心療内科と連携するほか、薬 剤師や看護師、栄養士、理学療法士らを総動員して心身の健康を守るべきだ」と話している。

夜間よく眠るには

 寝付きが悪いと不眠症状を訴える人の47%は夜中に目覚める悩みも持っており、朝も早く目覚めてしまう「三重苦」の人も37%いるという調査結果を、大分大の兼板佳孝教授(公衆衛生)がまとめた。徳島市で来月3日から開かれる日本睡眠学会で発表する。

 調査は全国から無作為で抽出した20歳以上の4820人を対象に、不眠症状について面接調査を行い2614人から回答を得た。

 寝付きが悪いと入眠障害を訴えたのは9・8%。夜間覚醒は7・1%、早朝覚醒は6・7%だった。

 入眠障害と夜間覚醒の二つを訴えたのは4・6%、入眠障害と夜間覚醒、早朝覚醒の三つすべてを訴える人も3・6%で、複数の症状を訴える人が多い実態が明らかになった。

 日本人は外国人に比べて、寝付かれない時に、寝酒に頼る人が多い。兼板教授らの以前の調査で、週1回以上寝酒を飲む人は男性48%、女性18%いた。しかし、寝酒は入眠を促す反面、睡眠の質を下げてしまう。

 兼板教授は「複数の不眠症状を訴える人が予想以上に多かった。寝酒に頼るのが原因かもしれない。夜間よく眠るには、昼間の運動などが効果的」と話す。

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