2014年07月
高齢の糖尿病患者の3割にうつ症状があり、症状が重いほど合併症も多い傾向にあるという調査結果を、東京女子医大糖尿病センターの石沢香野助教らがまとめた。
2012年から、外来の糖尿病患者約1万人を追跡調査。同年にアンケートに答えた65歳以上の高齢患者4365人を分析し、患者の30・6%に当たる1334人にうつ症状があった。
うつ症状がない人、軽症のうつ、中等度以上のうつと3段階に分け、合併症との関連を調べたところ、うつ症状が重い人ほど、視力低下や神経障害によるしびれ・痛み、自律神経障害が多くなる傾向にあった。また、過去1年間の入院回数も多くなっていた。
調査責任者の内潟安子・糖尿病センター長によると、老化による身体機能の低下と共に、うつが原因で運動量などが減り、血糖の値が悪くなって合併症を起こす パターンと、合併症の影響や不安からうつ症状が出るパターンの双方向からの影響があるとみられる。内潟センター長は「精神科や心療内科と連携するほか、薬 剤師や看護師、栄養士、理学療法士らを総動員して心身の健康を守るべきだ」と話している。
寝付きが悪いと不眠症状を訴える人の47%は夜中に目覚める悩みも持っており、朝も早く目覚めてしまう「三重苦」の人も37%いるという調査結果を、大分大の兼板佳孝教授(公衆衛生)がまとめた。徳島市で来月3日から開かれる日本睡眠学会で発表する。
調査は全国から無作為で抽出した20歳以上の4820人を対象に、不眠症状について面接調査を行い2614人から回答を得た。
寝付きが悪いと入眠障害を訴えたのは9・8%。夜間覚醒は7・1%、早朝覚醒は6・7%だった。
入眠障害と夜間覚醒の二つを訴えたのは4・6%、入眠障害と夜間覚醒、早朝覚醒の三つすべてを訴える人も3・6%で、複数の症状を訴える人が多い実態が明らかになった。
日本人は外国人に比べて、寝付かれない時に、寝酒に頼る人が多い。兼板教授らの以前の調査で、週1回以上寝酒を飲む人は男性48%、女性18%いた。しかし、寝酒は入眠を促す反面、睡眠の質を下げてしまう。
兼板教授は「複数の不眠症状を訴える人が予想以上に多かった。寝酒に頼るのが原因かもしれない。夜間よく眠るには、昼間の運動などが効果的」と話す。