富士登山者573人のうち、約半数が高山病にかかっていたことが、岩手大の山本清龍(きよたつ)准教授(観光学)らのアンケート調査で分かった。
重症者も1割を超えており、登山者にはさらなる体調管理が求められそうだ。
調査は7月30日と8月5日、山本准教授が中心となり、6合目の富士山安全指導センター(標高2390メートル)前で、下山者を対象に実施。回答者573 人のうち281人(49%)が、睡眠障害やめまいなどの高山病を経験したと回答。うち69人(12%)は重度の高山病に分類された。
登山中に経験したトラブルとしては、富士登山人気の過熱を背景に、232人(40%)が「混雑」を挙げた。富士登山者は2008年から5年連続で20万人を突破しており、山本准教授は「吉田口は人気の登山道なので、緩和に向けて対処していかなくては」と指摘した。
コンパスや登山用GPS(全地球測位システム)を持っていたのは39%、地図を持っていたのは27%にとどまり、登山者の装備不足も浮き彫りになった。山本准教授は「自分の位置を知るための道具を持っていない人が相変わらず多い」と警鐘を鳴らした。