サロベツ原野近くの、トナカイ牧場とか、刈り取ってロール状にした牧草がごろごろ転がっているのどかな牧草地に、突如高さ50メートルの展望塔を持った立派かつ胡散臭そうな施設が姿を現します。北海道の自然にまったく馴染まぬ、おじゃま虫的臭いがプンプンです。
北緯45度だから、45メートルの高さから施設を眺められるんだそうです。すごい必然性がありますね。
これは、各地の原発から排出される高濃度放射性廃棄物の最終地層処分のための実験施設です。それに地域住民を懐柔し、問題をソフトにごまかし、地域に雇用を創出して、そこはかとなく話を丸めて、放射能のゴミを北海道に持ってくるための展示施設がくっついています。展示施設の地底へエレベーターで向かうというコンセプトは、夕張市石炭博物館のパクリであることは明らかです。ショボ過ぎます。
何年かかけて、いま地下400メートルくらいまで掘って、頓挫していると聞いています。
展示施設で主張しているのは
・ここに放射性廃棄物を持ってくるつもりはない
・核燃料サイクルと原発推進は必要
・核のゴミの地層処分は安全で有望
という、なんとも矛盾したものです。
つまるところ、当局は、あわよくば北海道に核廃棄物を持ってこようとしていたことは明らかだと思います。この最終処分される核廃棄物というのは、瞬殺的な毒性を持つものをガラス固化し、ガチガチに固めたもので、極めて危険なものです。
しかしまあ、こんなものをつくって放射能をわざわざ受け入れないと食っていけないほど、この地域は困窮しているということです。
しかし原子力は地域経済にとって麻薬です。一度受け入れたら、周辺都市も含めてシャブ漬けになってしまいます。二度と立ち上がれません。道南は日銀の支店があった小樽より、岩内の政治的発言力が強くなっています。泊原発があるためです。原発が止まっているために、岩内周辺の旅館や建設業は順番に潰れていて、そうした動きが北海道の政治を歪めています。
しかし今日では、常識的な日本人であれば、放射性廃棄物は中間処理だけでなく、最終処分も福島で行えばよいというのがコンセンサスを得ている見解です。
アホみたいに北海道の原野を400メートルまで掘り進めて難渋する努力は、まったくのムダになったと言えるでしょう。
しかもまだ掘り続けてるって、まあ予算がつく限りは掘り続けるんでしょうけど、金のムダなのでやめたほうがいいと思いますけど・・・
なお、同様に「1000メートルまで掘る」と言って掘り始めて500メートルで挫折しているアホみたいな研究施設が、うちの近所の岐阜の瑞浪にありますorz