日本の人口10万人あたりの医師数が10年後、先進国が主に加盟する経済協力開発機構(OECD)の平均を上回るとの推計を厚生労働省がまとめ た。医学部の定員増などで、先進国の中で低水準という長年続いた状況から抜け出す見通しとなった。地域や診療科によっては医師不足が続く可能性もあり、厚 労省は夏以降に有識者会議を設け医師養成のあり方を検討する。
厚労省は、医学部の卒業生数や今後の人口推計などを基に、将来の10万人あたりの医師数を推計した。
それによると2012年の227人から20年に264人まで増え、25年には292人となり、OECDの平均(11年、加重平均)の280人を上回る見込 み。その後も30年に319人、40年に379人と増加が続く。政府による医学部の入学定員の増員策や人口減少の影響が出る格好だ。
08 年度から始まった医学部の定員増は19年度までの措置で、医師不足の問題を抱える自治体からは継続を求める声がある。一方、医学部を新設する動きには、医 療関係者から医師の余剰を懸念する声が上がる。25年に全国の医療機関の入院ベッドを現状より1割以上減らせるという政府推計もあり、医師の勤務先の見通 しを含めた医学部定員の方向性を、厚労省は文部科学省と検討する。