京都大iPS細胞研究所(山中伸弥所長)は6日、患者本人以外の人から作製、備蓄している医療用のiPS細胞(人工多能性幹細胞)の提供を始めたと発表した。  最初の提供先は、大日本住友製薬。同社は再生医療ベンチャーのヘリオス(東京)と共同で、理化学研究所の高橋政代・プロジェクトリーダーらが臨床研究を進める目の難病治療に使う網膜細胞などの開発を行う。  京大iPS細胞研究所は、拒絶反応を起こしにくい特別な白血球の型を持つ人の協力を得てiPS細胞を作り、医療用として備蓄する「iPS細胞ストック」を2013年に開始した。患者本人の細胞からiPS細胞を作る場合と比べ、作製期間や費用を大幅に省ける利点がある。  同研究所が提供したiPS細胞は20万個程度で、日本人の約17%が移植を受けても拒絶反応を起こしにくい白血球型という。最終的に75~150人の協力を得て、日本人の8~9割が使えるように備蓄の種類を増やすとしている。