群馬大学病院(前橋市)などで肝臓の腹腔鏡手術後に患者の死亡が相次いだ問題を受け、日本肝胆膵外 科学会は11日、全国で行われる肝臓の腹腔鏡手術をデータベースに登録する制度を今月から導入したと発表した。腹腔鏡を使う肝切除に特化して、全国的な手 術の実施状況や成績を学会が把握する。問題があれば調査や指導を行い、必要な情報は開示する方針で、安全性や透明性の向上を目指す。

 肝臓の腹腔鏡手術を巡っては昨年、群馬大病院や千葉県がんセンターで、保険適用外の高難度手術が病院の倫理審査なしに行われ、患者が相次ぎ死亡したことが発覚。保険診療として診療報酬を請求していたことも問題になった。

 登録制度は、同学会と肝臓内視鏡外科研究会が共同で導入した。肝臓手術を受ける患者数が多く学会から認定を受けている200病院余りが主な対象となる。

 登録は、保険適用外も含めすべての腹腔鏡を使う肝切除について、手術前に、患者の性別や年齢、腫瘍の個数など病気の状態、切除範囲のほか、倫理審査の有無、医療費は保険か研究費かといった取り扱いの別なども入力する。

 手術後は、直後に手術時間や出血量など実際の手術の状況、退院時の合併症の有無、死亡したのかどうかといった情報を入力。90日以内に再入院した場合は、その状況を入れる。